どうしてこうなった道中記-サブスキルで面倒ごとだらけ-

すずめさん

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-第一章-スプリングフィールド王国編-

-第一章四節 お祭りモードとメイドさんと緊張の待ち時間-

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一人絶望した様子でギルドを出たマサツグは無駄だと思いつつも一度逃亡を考えては

現段階で出来る移動手段を全部試す。まずは別の町に移動しようと改めて王都の外に

通じるゲートに行くのだが、王都守衛の人間達にはもうマサツグの手配書が回って

いるのかゲート手前で止められ、もう一度ギルドに戻っては馬車に乗る手続きを

踏むも途中で出場者とバレると別の町への移動を断られる。

徒歩も馬車も駄目となり王都を出るゲートでは守衛が特定プレイヤーを出さない様に

監視し、いよいよ打つ手が無くなって来た所でマサツグが最後の空路に賭け、

乗り場に言っては乗せてくれと頼むも…


「すまねぇな…アンちゃん…

アンタを乗せるな!って、御上からお達しか来てるんだ…

下手に乗せると俺の首が飛んじまうよ!…」


「…はあぁ~…クソォ~…

やっぱ打つ手無しかぁ…」


「すまねぇな……

それにしても御上から乗せるなってお達しが出てるって事は指名手配?…

いや、だとしたら守衛達が捕まえに来る筈だよなぁ?…

…ッ~アンちゃん?…一体何をやらかしたんだい?…」


「ンな事俺が聞きたいよ…」


飛行船乗り場のチケット購入口で販売員が申し訳なさそうにマサツグに謝っては

乗船を拒否し、その言葉にマサツグがやっぱり駄目かと言った様子で肩を落とすと

更に販売員のおじさんはマサツグに謝罪をする。そしてマサツグに別に追われても

居ないのに指名手配されている理由について尋ねられるのだが、マサツグ自身も

如何説明したら良いのか分からないので適当にはぐらかす。スプリングフィールド

王国全体がマサツグを逃がさないとばかりに退路を塞ぎ、その行動力にマサツグが

驚き悩み…頭を抱えて居るとあっという間に時間は過ぎて行く。

初回プレイ時間にして約五時間…ガッツリ遊んで戦って脱獄を企てるも上手くは

行かず、その日は初めてのダイブと言う事も有りマサツグが色々と疲れると、

その日はゲームをログアウトして休む事とする。布団の中に入っては初めての体感と

面倒臭さの両方に襲われ、数分もしない内に寝てしまうのであった。


そうして次の日…目覚めては祝日である事を確認し、同時に昨日の出来事も徐々に

思い出すとマサツグは徐にゲームの電源を入れてログインする。昨日散々な事が

有ったにも関わらず、やっぱりこのゲームは面白いと感じて続ける事を決めると

昨日作ったばかりのアバターを選択してゲームを再開する。するとゲームの方でも

朝なのか雀の鳴く声が聞こえる宿屋の一室…ベッドの上で目を覚ますとベッドから

体を起こし、色々と確認し始める。


__チュン!…チュンチュン!…


「……えっと…予定では今日がその御前試合だったよな?…

…はあぁ~…面倒だけど…行くか…どうせ逃げられないし…

何より…昨日逃げる手段を考えてる内に何か腹も立って来たし!…

それにあの騎士様にデカい啖呵も切っちまったし?…

やるしかねぇよな?…」


__ガチャガチャ…


マサツグがイベント確認画面を開いてはその日のスプリングフィールド大陸で

行われるイベントについて調べると、トップ画面には堂々と御前試合の事が

表記されてそのイメージキャラクターにあのムカつく騎士団長様が笑顔で

映って居た。剣を構え得意げに笑みを浮かべるその姿にマサツグが少し苛立ちを

覚えるも、さっさと身支度を整えては宿屋の店主に部屋の鍵を返してチェック

アウトし、王都へと歩き出す。ゲーム内の時間にして朝の8時位だろうか…

まだ朝早いと言うの既に王都はお祭りモードで町の人や冒険者達は活気に

満ち溢れていた。


__ワイワイ!!…ガヤガヤ!!…


「ッ!…もうこんなに!?…出店も開いてるし!…それにあれは?…」


「フン!!!…」


「ヌオオオオ!!!…」


「……腕相撲?…」


宿屋を出て直ぐ目に映るは立ち並ぶ出店に、楽しそうにそのお祭りを

満喫する町の人達、出店で買ったであろうホットドックやフィッシュ&チップスを

頬張りながら待ちゆく冒険者と十人十色。子供は元気に駆け回りいかにも異国の町…

ファンタジーらしい雰囲気が感じられ、その様子にマサツグは再度このゲームの

完成度に感動する。そんな中片隅では樽を台にして屈強そうなオジサン達が

唸りながら腕相撲大会が開かれていたりと本当に楽しそうな雰囲気を出している中、

メインイベントである御前試合まで時間が有ると感じたマサツグは一人…

改めて王都の観光へと歩き出す。


「……一応集合時間まで時間は有るな?…ちょっと見て回るか…」


__コッ…コッ…コッ…コッ…


「……へぇ~…色々有るなぁ~…

…大抵どのゲームでも犬や猫は居るよな?……ッ!

うわあぁ!?…」


改めて体感する臨場感に大人ながら童心に帰る気持ちで王都を歩き、色々見て回ると

昨日時点では気付かなかったものを多数見つける。まずは王都の町で飼われている

ペット、普通に犬や猫と言った良く見る動物を飼って居るのが見られるのだが、

その中にはモンスターも含まれているのか昨日リンチにされかけたウサギを

飼っている人の姿を見つける。椅子に腰掛け膝の上に乗せては優しく背中を撫で、

ウサギも気持ちが良いのかうっとりとした様子の表情を見せては口元をヒクヒクと

動かす。そしてマサツグがウサギに気が付くと思わず驚くと後ろに仰け反り、

そのウサギを飼っている人はマサツグが驚いて居る理由に気が付いたのか、笑顔で

大丈夫と答える。


「だいじょ~ぶですよ?…この子は大人しい子ですから…」


「え?…あ、あぁそうですか…申し訳ない…」


「ほっほっほ…良いですよ?…

冒険者さんみたいですし…警戒されるのも無理は無いかと…」


ウサギの飼い主は優しそうなおばあさんで町の様子を見詰めては笑みを浮かべ、

ウサギの背中を撫でる…そんな暮らしをして居ると言った様子でマサツグにウサギは

大人しいと優しいトーンで伝えると、マサツグは戸惑いながらも返事をしては

驚いた事に謝罪をする。その様子にウサギおばあさんは優しく笑うとマサツグに

仕方ないと察した様子で話を進め、また町の様子を眺めながらウサギを撫で始める。

そんな様子にマサツグがホッコリしながらもウサギおばあさんに一礼をすると

その場を後にする。その後各名所と呼ばれると事を巡っては王都を楽しんで居ると、

あっと言う間に集合時間が迫って来る。


__コッ…コッ…コッ…コッ…


「……やっぱこのゲームスゲェわ!…

別に冒険しなくても町を歩いてるだけで楽しいもんな!…って、もう時間か…

…はあぁ~…一気に憂鬱になって来た…」


町中をただ歩くだけでも新鮮でその様子を眺めて一人王都を満喫するのだが、

時間が迫って来ている事に気が付くと楽しいテンションから一転、重く暗い

テンションに一気に下がる。これから城に向かい戦いたくも無い相手と戦う事を

考えては憂鬱になる。しかし行かなければ行かなかったでまた面倒事になると

マサツグが理解すると、マップを頼りに王城に向かい歩き始め、その道中マサツグ

同様御前試合に参加するのかそれとも観戦なのか、冒険者がちらほらと集まり

目立ち始める。勿論町の人・観光客などのNPCも良く見かけるのだが、圧倒的に

冒険者プレイヤーが多いのか王城への道は人でごった返し、思う様に前へ進めない。


__わいわい!…ガヤガヤ!…


「ちょっ!…進み辛!?…これ集合に間に合うかな!?…」


__コッ…コッ…コッ…コッ………


「あとちょっと!…あとちょ……っと!!…ぷあぁ!!…

はあぁ~!!漸く抜けたぁ~!!!…

それにしても…あれだけの道幅が有るのに詰まるのか!?…」


思う様に道を進む事が出来ず時間内に間に合うかどうかすら不安になり始める

マサツグなのだが、ただ波に乗る様に歩き続ける事15分…何とか王城手前の

広場までやって来ると軽い鮨詰め状態から解放される。漸く解放間を得られた事に

言葉を漏らして居ると抜けた事に大きく息を吐いては同時に大きく伸びをし、

そこそこ道幅が有ったにも関わらずそれでも鮨詰め状態であった事に驚いて

居ると、何処からとも無く御前試合の参加者に呼び掛ける声が聞こえて来る。


「御前試合参加者はこちらですぅ~!」


「…ん?」


「御前試合参加者はこちらですぅ~!!」


「…参加者はあっちに集まるのか……いよいよだな!…」


参加者を募る声に反応してマサツグが振り返ると、そこには一人のメイドさんが

看板を高く掲げては必死に集まって来た人の波に対して呼び掛け、御前試合に

出場する冒険者達を集めていた。遠くからでも分かる見事なグラマラスボデーに

おっとりとした口調、参加者じゃなくても気になると言った様子の冒険者も

居た中、気のせいだろうかそのメイドさんはマサツグに対して呼び掛けて

居る様にも見えるのであった。勿論そんな事に気が付かないマサツグはとにかく

行くかと言った様子で覚悟を決めるとそのメイドさんの方へと歩いて行く。


__コッ…コッ…コッ…コッ…


「あの~すいません。…

御前試合に参加申し込みはここですか?」


__……ッ!…ッ……


「あ、はいそうです~!」


マサツグがメイドさんに近付き、声を掛けるとメイドさんもマサツグに気が付いた

様子で返事をする。その際チラッとだけマサツグの事を見ては何やら妖しい笑みを

浮かべるのだが、勿論マサツグ君は鈍感なのでその事には気が付かずメイドさんの

手続きを正直に待つ。身長は150位だろうか?…見事なヴィクトリアン様式の

メイドさんで、顔は少し吊り目ながらも気品を感じる優しいクールビューティ、

髪はフードで多少隠れていてもハッキリと分かる位の緋色の艶やかな髪で、さすが

お城で働くメイドさんとマサツグが一人納得する。そうして目の前のメイドさんに

マサツグが関心を持って居ると、メイドさんは掲げていた看板を一時下ろす。


__カコンッ!…


「……えぇ~っと…それでは…

申し訳ございませんがお名前をお伺いしても宜しいでしょうか?」


「え?…あ、あぁ!…すいません…

マサツグと言います。」


__ピタッ!…


メイドさんが自分の隣に設置されて在る机から参加者リストらしき紙の束を取ると

マサツグに名前を尋ね、その問い掛けにマサツグが一瞬戸惑うも直ぐにハッ!と

なり謝ると、自分の名前をメイドさんに教える。するとその名前を聞いた瞬間

メイドさんの動きが一時的にピタッと止まり、紙の束を見詰めていた目が今度は

マサツグの顔へと…驚きの表情が向けられる。その様子に勿論マサツグは気付き

如何したのかな?と言った様子で軽く首を傾げて居ると、そのメイドさんは

再度マサツグに名前を尋ねる。


「も…申し訳ありませんが…

もう一度お伺いできますか?」


「え?…えっと…はい…

マサツグと言います…」


「………。」


「……えっと?…」


メイドさんに驚きの表情を向けられたままマサツグがその問い掛けに戸惑うも

了承し、もう一度名前を教えるとメイドさんは聞き間違いではなかったと言った

様子で表情を戻すとマサツグを見詰める。ただ何も言わずにメイドさんに

見詰められ、マサツグがどう反応したものかと困惑し固まって居ると突如として

メイドさんの態度が変わり、今度はリストとマサツグの顔を交互に確認して

クスクスと笑い始める。


__チラッ…チラッ…チラッ…チラッ…


「……ふふふ!…やっぱり…

そうなんですか~…へぇ~…貴方が…」


「え?…あ、あの~…」


メイドさんが一人何か納得した様子で呟いては笑い、紙の束をそっと机の上に戻すと

ゆっくり…マサツグを見詰める。何で見詰められているのか?…笑われているのか

分からないマサツグは当然更に困惑し、その理由を尋ねようとメイドさんに恐る恐る

声を掛ける。するとメイドさんはやはり静かに笑いながら笑顔を作ると次の瞬間

マサツグが混乱する一言を言い放つ。


「…貴方が…我がスプリングフィールド王国騎士団・騎士団長様に

喧嘩を売ったお馬鹿さんですね?…」


{………へ?…}


「どんな頭の悪そうな人が来るかと思えば…意外と普通の方なのですね?…」


「……ッ!?…」


先程の真面目で綺麗なメイドから突如一転…少し砕けて取っ付き易くなったと思えば

まさかの罵倒、突然の言葉にマサツグの思考が停止し動かなくなると心の中で声を

漏らし、困惑し切った表情でメイドさんを見詰める。そうして固まって居ると更に

メイドさんはマサツグの事を予想外と言った様子で口に手を当て上品に笑って見せ、

その様子にマサツグがビックリした様子で完全に固まり動けなくなる。しかし直ぐに

メイドさんの態度はまた先ほどの丁寧な…おっとり口調に戻る。


「では、此方へどうぞですぅ~。」


「………。」


「……?

もう直ぐ開会式が始まりますのでお急ぎを?…」


「…え?…えぇ~?…」


元の口調に戻ったかと思えば今度はマサツグを控室にまで案内しようとし、

そのコロコロキャラが変わるメイドさんにマサツグが考える事を止めると、

メイドさんが不思議そうな表情を見せてはマサツグに近付き、手を取る。

そして無理やり連れ込むようマサツグの手を引っ張り、他に集まって来た

者達とは別に王城の門を潜って行く際、マサツグが一切気付く気配を見せない

ままあるボロローブを纏う者に目を付けられていた事を知り由も無いのであった。

そうしてマサツグとメイドさんが門を潜ると目の前に有名なネズミシリーズ

アニメに出てきそうな西洋のお城が現れる。巨大な城壁の中央奥に

その立派な城が立っており、手前には綺麗に剪定された庭園が広がっていて、

その庭園より右側に兵士達の訓練場と一緒に闘技場があった。城内の中に

闘技場が有ると言うのも少し不思議に感じるも、その頃にはマサツグの思考も

戻って来たのかメイドさんに連れられるまま闘技場へと向かって居る事に

戸惑いを覚える。


「……ッ!?…え?あっ…えぇ!?…ちょ!…ちょっと!?…」


「お城の中で噂になってましたわよ?…

この国一番の騎士様に喧嘩を売った身の程知らずが御前試合に出るって…

この御前試合も元々は兵士や騎士達の戦いを民衆に見て貰う事によって、

いかに我が国の屈強か…民衆に安心と安全を教えるものだった筈なのですが…

騎士様が返って来るなりいきなり王様に…ンン!!…


{王よ!!…今回は冒険者も参加させて民衆が楽しめるようにしては!?…

最近の冒険者たちの中には中々骨の有る奴も居るようで、その者達と

我が兵や騎士達が戦う事により互いに切磋琢磨する!…

更に民衆へのアピールに繋がると思うのですが如何でしょうか!?…}


…って、貴方が逃げないように王様に持ちかけた余興らしいですし?…」


{あのパツキン歯磨き液ヤロー手の込んだことをしやがる…

ていうか何このメイド!ちょいちょい毒を吐いてくる!…

城の人間はこんなんばかりか?…}


闘技場へ向かう道中…マサツグがメイドさんに困惑した様子で声を掛けようと

するのだが、メイドさんの口調がまた変わるとマサツグの噂はお城で評判と

言った様子で話し始めては、わざわざハイドリヒの物真似をしては王様との

会話を再現し、その様子にマサツグがハイドリヒに対して面倒臭い奴と感じては

眉を顰める。そしてその様子を楽しそうに話すメイドさんの態度にも困惑し、

マサツグが王城で働く人間は全員がこうも何かしら性格に問題が有るのかと

考えて居ると、マサツグ達は闘技場へと辿り着き一般の人達とは別に裏口から

入って控室に向かう。その際メイドさんが引っ張るマサツグの手を漸く放し、

フフフッ!と笑いながら突如ある事を話し始める。


「ふふふ!…その件の冒険者さんに会えて本当に良かった…

あの子が久しぶりに目をキラキラとさせて王様に意見して居たんだから…」


「え?……ッ!…」


「……哀れな冒険者様に一つ助言を…

もし騎士様が突きの構えを取られたらお気を付けになった方が良いですわよ?…」


「は、はぁ…ご丁寧にどうも…」


{突きの構え?…如何言う事だ?…

まず、なぜこのメイドはそんな忠告をするのか?…

と言うかさっきから口調がおかしいぞ?…}


メイドさんがまるでハイドリヒの母親の様な目線で語り始めると、その話に

マサツグが不思議そうな表情を見せてメイドさんを見詰める。その時の

メイドさんの表情は母親の様な優しい笑顔を見せており、マサツグがその表情に

若干困惑していると、メイドさんは表情をスッと先ほどまでの澄まし顔に

戻しては突如マサツグに助言をする。それは恐らくハイドリヒの事であろう…

特定の構えを見せたら気を付けるようマサツグに忠告すると、メイドさんから

何故その忠告を受けたのかとマサツグが動揺し返事が雑になる。

そして心の中でその忠告とメイドさんの真意について若干考えてしまって居ると

選手控室に辿り着いたのか、闘技場の数ある部屋の中ある一室の前に立ち止まると

メイドさんはクルリとマサツグの方に振り返ると、部屋の中で待つ様に声を掛ける。


「ここですぅ~。

こちらの控室でお待ちになってて下さいませぇ~。」


「え?…あ、はい…

案内ありがとう御座います…」


「いえいえ、それではご健闘お祈り致しますぅ~。

それではぁ~…」


__コッ…コッ…コッ…コッ…


「……まぁ~た口調が変わってるし…

一体どうなってるんだ?…あのメイドさんは一体?…」


メイドさんの言葉にマサツグが戸惑いながらもお礼の言葉を口にしては頭を下げ、

そのマサツグの態度にメイドさんはスカートの裾を摘まんで会釈をしては健闘を

祈ると笑顔で答える。そして部屋の前でマサツグとメイドさんが別れ、メイドさんは

そのまま別の参加選手を呼びに戻るのかマサツグと一緒に歩いて来た道を引き返し

歩いて行くのだが、また口調が変わって居る事に気が付いてはマサツグは案内を

してくれたメイドさんに疑問を感じながらも案内してくれた控室の中へと

入って行く。


__ガチャッ!…ギイイィィィ…


「失礼しま……って、あれ?…何処ここ?…

え?…他の選手は?…」


__………。


「…えぇ~……本当にここで合ってるの?……お?…」


そこは控室と言う割には他の選手の姿が無く寧ろ応接室の様な豪華さが目立ち、

マサツグが部屋を間違えたのかと困惑する。誰もいない部屋でマサツグ一人…

本当にここが控室で合って居るのかと戸惑いつつも中に入ると部屋の中を見渡しては

ふと目に付いたトロフィー等を見つけ、そのトロフィーなどを少し調べて見ると

そこには色々な功績と共に誰が闘技場で優勝したか等、色々と書かれていた。

その中には勿論ハイドリヒの名前が入っており、それを見たマサツグがやっぱり…と

もはや呆れた様子で溜息を吐く。


「…はあぁ~……やっぱり有りますよねぇ~?…

なんせ国一番の騎士様ですからねぇ~…

…って、俺もそういやあのオオトカゲを倒してからレベルアップしてたよな?…

確認しておかないと!…」


__ヴウン!…


 ----------------------------------------------------------------------

「マサツグ」

「春王蜥蜴を討ちし者」

 Lv.15    「剣士」         装備 

 HP 1650    TP 400      武器 トライアルソード

 ATK 130+10  DEF 125+60          頭装 無し   

 INT  50     RES  75                 体装 トライアルメイル

 AGI 100    LUK 999                足装 無し 

 MS [剣術Lv.3]             装飾 春王蜥蜴の腕輪

 SS [鑑定LV.2]    [採取術Lv.2]         

        [技術向上]    [超幸運]

        [初級剣術マスター] 

  [術技]

  兜割り  TP 10   ダッシュ斬り  TP 15   火炎斬り  TP 20

 -----------------------------------------------------------------------


「ッ!!!!…やった!!…遂に!!…遂に覚えた!!!…

Foooooooo!!!!…RPGの醍醐味、剣術技キターーーーーーーーーーー!!

うっしゃああぁぁぁ!!…これで対等とまでは行かなくてもまだ戦え!!…」


ハイドリヒの名前が書かれたトロフィーを手にマサツグがこの後に待っている

その騎士様との戦闘を考えて居ると、ふと自分がオオトカゲを倒した時の

レベルアップを思い出しては確認しようとステータス画面を開く。トロフィーを

元の位置に戻し、自分のステータスを確認するとそこにはLv.1からLv.15まで

一気に能力が上がった様子とこのゲーム初めての特技を習得した表記されていた。

それを目にしてマサツグが漸くRPGらしくなってきたと興奮しては大喜びし、

グッとただ喜びを噛み締めていると闘技場の方から歓声が上がっているのが

聞えて来る。


__ワアアアアアアァァァァァァァァ!!!!…


「え!?…歓声!?…あれ?…開会式は!?…

俺は!…っと言うより本当にこの部屋で待ってればいいの!?…」


マサツグが一人喜んでいる中、歓声が大きく聞こえては自分の世界から

一気に現実(ゲーム内)に戻され、歓声が聞こえて来た事に戸惑っては開会式は

どうなったのかと心配し始める。闘技場に全員が整列して宣誓をすると言った

事をするのだと思っていた矢先、そうなのかそうじゃないのかすら分からず、

更に本当にこの部屋で待って居ればいいのかが心配になって来てはマサツグは

落ち着かない様子で部屋の中を歩き回る。その間にも闘技場からは歓声が

上がってはPvPプレイヤーvsプレイヤーPvCプレイヤーvsAIで白熱している様子が伺える。ただ一人応接室で

待たされているマサツグが非常に不安になりながらその外から聞こえて来る

歓声に耳を傾けて居ると、突如部屋の扉を叩く音が部屋の中に響く。


__…コンコン!……ガチャ!!…


「ッ!?…」


「…失礼します!……

マサツグ殿…でしたね?…お待たせいたしました…

貴方様の対戦相手の準備が整いましたのでお呼びに上がりに来ました…」


「……ホッ!…

忘れ去られていなかったぁ~!…」


ノックの後数秒の間を置いて兵士が入って来るとマサツグが驚くのだが、兵士が

マサツグに挨拶をすると準備が出来たと伝えてはマサツグを呼びに来たと説明し、

その言葉を聞いた瞬間マサツグはホッ!と安堵した様子を見せる。その様子に若干

兵士が戸惑うも、マサツグは兵士に連れられて応接室の様な控室を後にすると

今度は闘技場の戦闘エリアの方に出るゲートの前まで移動し始める。その道中…

闘技場では今だ激しい戦闘が繰り広げられているのか、激しい剣戟音の嵐や魔法が

炸裂し合う音等で盛り上がっている様子が多々感じられる。着々と進む御前試合に

マサツグも徐々に緊張し始めては遂にゲート前に辿り着き、その際ゲート付近に

居る者へ目を向けるとマサツグ同様御前試合に出場するであろう選手が呼ばれるのを

待って居た。明らかに高ランクの装備でガチガチに固めた者も居れば、マサツグ同様

駆け出しの格好で呼ばれるのを待つと言った、色々な人がゲート横に設置されて在る

簡易ベンチに腰掛けて待って居た。それを目にしてマサツグが軽き唾を飲み込む

と案内をしてくれた兵士がマサツグにここで待つよう指示される。


「…ではこちらの方でお待ち下さい……

順次呼ばれて行きますので呼ばれたらゲートの前に立って待って頂き、

ゲートが開きましたら入場をお願いします!…ではご武運を!…」


「は、はい…」


「……ッ……ッ……ッ…」


「え?……?…」


兵士がマサツグに案内と説明を終えると敬礼をし、その場を後にすると持ち場へと

戻って行く。マサツグは緊張した様子で兵士に返事をして一呼吸落ち着き、

他の選手同様にその簡易ベンチの空いて居る所に座ろうとするのだが、隣から

ブツブツと念仏を唱える様な声が聞こえて来てはそれが気になり、マサツグが

その声に耳を澄ませる。するとその隣に居た奴は如何やら怯えているらしくただ

ひたすらにこう呟き繰り返していた。


「騎士団長は嫌だ!…騎士団長は嫌だ!…騎士団長は嫌だ!…騎士団長は嫌だ!…」


{えぇ~~~~ッ!?…隣の奴ヤベ~~~!!!…

え!?…そんなに嫌なの!?…一体お前と騎士団長との間に何が有った!?…

…てかそれなら何でこのイベントに参加したんだ?…}


そんな隣でブツブツ呟く声を聞いてマサツグが隣に座る選手に疑問を抱くのだが

明らかに聞ける状態では無く、ただただ戸惑い座って待って居ると次に呼ばれたのは

その隣の選手。顔面蒼白で立ち上がってゲートの前へと歩いて行き、闘技場へと

向かって行って扉の向こうで姿を消す。その後マサツグが彼の姿を見る事は二度と

無いのだが、嫌な消え方をした選手としてマサツグの記憶の隅に残るのであった。

そうして順調に御前試合は消化されて行き、遂にマサツグ一人だけがゲート前に

残されると順番が巡って来たのか、兵士の人に名前を呼ばれる。


「…最後の御前試合!!…出場者…マサツグ!!…」


「ッ!!…いよいよか……はぁ…」


__スッ…コッ…コッ…コッ…コッ……カツ!…


{……最後かぁ…何でよりにもよって最後なんだ?…

こっちは駆け出しだっつうの!!…

俺よかもっとトリに相応しいプレイヤーは居ただろうが!!!…}


マサツグが兵士に呼ばれて立ち上がっては重い足取りで闘技場のゲート前に移動し、

ゲートの前に立つと如何して最後になったのかと色々心の中で運営に文句を

言い始める。別に望んで参加した訳でも無い御前試合に…初めてまだ二日しか経って

居ないのに…色々な不満が募ると同時に動悸が激しくなるのを押さえつつ、

闘技場前の門前に立って待って居ると、遂にマサツグの目の前の扉が開いては光が

差し込み、マサツグを闘技場の舞台へと誘う。目の前には石で出来て居るであろう

四角いリングに円形状の観客席、その観客席と一緒に屋根付きの観客席が設けられて

おり、明らかに豪華な椅子が二つとその椅子に座る二人の要人…

その二人は間違いなく王様とお妃様であろう。まだ闘技場に足を踏み入れていない

のにハッキリと分かるその光景にマサツグは戸惑いつつも、覚悟を決めると

闘技場へと一歩…足を踏み出すのであった。

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魔法が支配する世界で、魔力を持たない少女アリア・マーウェラ。彼女は、かつて街を守るために命を落とした英雄的冒険者の両親を持ちながら、その体質ゆえに魔法を使えず、魔道具すら扱えない。しかし、彼女は圧倒的な身体能力と戦闘センスを武器に、ギルドでソロ冒険者として活動していた。街の人々やギルド仲間からは「英雄の娘」として大切にされつつも、「魔力を捨てて進化した次世代型脳筋剣士」と妙な評価を受けている。 そんなある日、アリアは山中で倒れていた謎の魔法使いイアンを助ける。彼は並外れた魔法の才能を持ちながら、孤独な影を背負っていた。やがて二人は冒険の中で信頼を深め、街を脅かす魔王復活を阻止するため、「カギ」を探す旅に出る。 しかしイアンには秘密があった。彼は魔族と人間の混血であり、魔王軍四天王の血を引いていたのだ。その事実が明らかになったとき、アリアは「どんな過去があっても、イアンはイアンだよ」と笑顔で受け入れる。 過去に囚われたイアンと、前を向いて進むアリア。二人の絆が、世界を揺るがす冒険の行方を決める――。シリアスとギャグが織り交ざる、剣と魔法の冒険譚!

『山』から降りてきた男に、現代ダンジョンは温すぎる

暁刀魚
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 社会勉強のため、幼い頃から暮らしていた山を降りて現代で生活を始めた男、草埜コウジ。  なんと現代ではダンジョンと呼ばれる場所が当たり前に存在し、多くの人々がそのダンジョンに潜っていた。  食い扶持を稼ぐため、山で鍛えた体を鈍らせないため、ダンジョンに潜ることを決意するコウジ。  そんな彼に、受付のお姉さんは言う。「この加護薬を飲めばダンジョンの中で死にかけても、脱出できるんですよ」  コウジは返す。「命の危険がない戦場は温すぎるから、その薬は飲まない」。  かくして、本来なら飲むはずだった加護薬を飲まずに探索者となったコウジ。  もとよりそんなもの必要ない実力でダンジョンを蹂躙する中、その高すぎる実力でバズりつつ、ダンジョンで起きていた問題に直面していく。  なお、加護薬を飲まずに直接モンスターを倒すと、加護薬を呑んでモンスターを倒すよりパワーアップできることが途中で判明した。  カクヨム様にも投稿しています。

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
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2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

異世界にアバターで転移?させられましたが私は異世界を満喫します

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ナノハは気がつくとファーナシスタというゲームのアバターで森の中にいた。 そこからナノハの自由気ままな冒険が始まる。

収奪の探索者(エクスプローラー)~魔物から奪ったスキルは優秀でした~

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HOTランキング1位ありがとうございます! 2000年代初頭。 突如として出現したダンジョンと魔物によって人類は未曾有の危機へと陥った。 しかし、新たに獲得したスキルによって人類はその危機を乗り越え、なんならダンジョンや魔物を新たな素材、エネルギー資源として使うようになる。 人類とダンジョンが共存して数十年。 元ブラック企業勤務の主人公が一発逆転を賭け夢のタワマン生活を目指して挑んだ探索者研修。 なんとか手に入れたものの最初は外れスキルだと思われていた収奪スキルが実はものすごく優秀だと気付いたその瞬間から、彼の華々しくも生々しい日常が始まった。 これは魔物のスキルを駆使して夢と欲望を満たしつつ、そのついでに前人未到のダンジョンを攻略するある男の物語である。

【完結】元ゼネコンなおっさん大賢者の、スローなもふもふ秘密基地ライフ(神獣付き)~異世界の大賢者になったのになぜか土方ばかりしてるんだがぁ?

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【Hotランキング3位】  ゼネコンで働くアラフォーのおっさん、多田野雄三は、ある日気がつくと、異世界にいた。  見覚えのあるその世界は、雄三が大学時代にやり込んだVR型MMOアクションRPGの世界で、当時のキャラの能力をそのまま使えるらしい。  大賢者という最高位職にある彼のやりたいことは、ただ一つ。スローライフ!  神獣たちや気がついたらできていた弟子たちと共に、おっさんは異世界で好き勝手に暮らす。 「なんだか妙に忙しい気もするねぇ。まあ、楽しいからいいんだけど」

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