どうしてこうなった道中記-サブスキルで面倒ごとだらけ-

すずめさん

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-第一章-スプリングフィールド王国編-

-第一章五節 御前試合・前半戦と刹那とこっから本気-

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マサツグが意を決して闘技場へと歩いて行き、観客達の前にその姿を現すと歓声が

上がる。御前試合も残るはこの最終戦だけと言う事もあり、観客達の熱気は

凄まじいものとなってマサツグの嫌気は更に大きくなる。ただ普通に冒険する筈が

いつの間にか御前試合…如何してこうなった?…と、思いつつもリングに上がると

同時に観客席から笑い声と誰かを待ち望む声が聞こえて来る。


「おい!wなんだよアイツw

まだ駆け出しの格好のままじゃね~かww」


「それともナメプ装備かww

お~い!!残って居るのはそんな装備じゃ絶対に倒せないぞぁ~!!!www」


「ねぇ~!…ハイドリヒ様はまだぁ~!!!

もしかして今回は出場しないのぉ~!?…」


「この試合で出て来るに決まってるでしょ!!!

あの方は毎大会に絶対姿を現すのだから!!!!」


{好きなだけ笑ってろ!…

駆け出しでも一矢報いる事が出来る事を!…証明してやる!!!…}


リングに上がると明らかに場違いとばかりにマサツグを笑う声がチラホラと

聞こえ、その声にマサツグが苛立ちを覚えるもジッとリングの上に立っては

相手の登場を待ち、勝てなくても一泡吹かせてやろうと気概を持ち始める。

トカゲを倒した時の態度…勝手な事をされて町を出れなくした事…更にこの扱いと

静かに怒りを燃やし、そうしてマサツグがジッと相手が出て来るのを待って居ると、

マサツグの出て来たゲートとは別…反対側のゲートが開いては選手では無く音楽隊が

出て来る。そして道を作る様に隊列を作り互いに向き合い誰かを向かい入れる準備を

すると、音楽隊はまるで競馬でも始める気かと思う様なファンファーレを演奏する。


__パァ~パパパァ~!!…パパパァ~!!!ダダダダン!!…パパパァ~!!…


__ッ!!……ワアアアアアアァァァァァァァァァ!!!!!…


「……おぉおぉ!…俺の時とは違ってご大層な登場じゃねぇか!…」


闘技場に響く位の大音量でファンファーレを演奏し始めるとその演奏に反応して

観客達が一斉に音楽隊の方を見詰め、歓声を上げる!勿論音楽隊の方に注目して

いるのではなくて、反対ゲートから姿を現しその音楽隊の隊列の間を通って

出て来たハイドリヒに向けられていた。ハイドリヒがさわやかな笑みを浮かべては

観客達に手を振ってアピールをし、マサツグの待つリングへ颯爽と歩いて行く。

その際まるで少女漫画の様に闘技場観客席の一角で黄色い歓声が上がったと思えば、

自分に手を振って貰った!と勘違いをした様子で失神する観客も現れる始末…

その様子にマサツグがさすが騎士様…と言った様子で若干ハイドリヒを

妬ましく思う。


「やっぱりおモテになるようだなぁ…

妬ましい!!…盛大に爆ぜやがれってんだ!!…」


__コッ…コッ…コッ…コッ…


「良く逃げずにここまで来たな!!…その度胸だけは褒めてやる!!」


「馬鹿野郎!!逃げれなくしたのはそっちだろうが!!!

国家緊急レベルの警戒網を敷きやがって!!…相当アンタも暇なんだろうな!?…」


黄色い歓声を浴びながらハイドリヒがリングに上がり、マサツグの前に姿を現しては

意気揚々とリングに上がって来た事を喜ぶよう話し始め、その言葉にマサツグが

すかさずツッコミを口にしてはハイドリヒに指を突き付け文句を言う。マサツグが

ハイドリヒに臆する事無く言葉を交わして居る事に観客達が少々驚いて見せる中、

マサツグの心情はと言うと実は焦りまくりで動悸が止まらない。そしてマサツグの

言葉にハイドリヒは軽く笑うと徐に腰に携えている剣に手をやり、抜いて見せては

ウズウズとした様子でマサツグに話し掛ける。


「ッ!…ふふふ!…いやぁ何…この時を昨日の晩からずっと待って居てなぁ?…」


__スウゥ…チャキッ!!…


「最近張り合いの有る者が居ない中!…

あの様に向かって来たのが貴様だけだったのでな!!…

それに…あのオオトカゲを一人で仕留めたのだ!!!…力量も十分!!!…

試したくなるのが本分では無いか!?…」


「ッ!?……その気持ちは分からんでも無い…」


まるでマサツグと戦えるようわざわざセッティングした様に話しては嬉々として

マサツグに剣を構え、初めて出会った時…歯向かわれた事が嬉しかった様に

話してはマサツグの力量を認めた上で戦いたい!と豪語する。その見事なまでの

脳筋発言にマサツグが一瞬戸惑うも自分にも分かる部分が有る為強くは否定出来ず、

思わず納得してしまうとマサツグは何も言えなくなる。そうして闘技場内が最終戦と

言う事とハイドリヒが出て来た事により、更にボルテージが上がった様子を

見せ始めて居るとハイドリヒがマサツグに剣を抜くよう急かし始める!


「…さて!…もう御託は良いだろう!!!…

早速!!…互いの技を!!…己の強さを!!!…ぶつけ合おう!!!!」


「ッ!?…テンション無駄に高ぇな!?…

…とは言え…俺もやるって決めたんだからちゃんとやらねぇとな?…」


__カッ!…スウゥ…チャキッ!!…


「勝てなくても一泡吹かせてやるって!!…決めたんだからな!!!」


ハイドリヒが剣を構えてマサツグを囃し立てると、そのハイドリヒのテンションの

高さと目力具合に動揺する…何故ならまるで子供が玩具を見つけた様なキラキラと

した視線でマサツグを見詰めるのだから…更に剣まで構えているのでもはや狂気の

沙汰と思う他無理は無い!…しかしマサツグのここまで来て引き下がるのは自分と

しても許されないと言った様子で改めて戦う覚悟を決め直すと鞘から剣を抜いて

ハイドリヒに構えて見せる!そうして互いがリング上で剣を構え向き合い、いつでも

動ける状態になるとリング上に審判が歩いて来ては互いの選手の確認をする。


__コッ…コッ…コッ…コッ……チラッ…チラッ……


「さぁ、始めるとするか!」


「すうぅ~!…ふうぅ~!…」


審判が互いに動けるかどうかの確認をし後ろで見ている王様の席の方を振り返ると

一回頷き、そしてその観覧して居る王様から何か合図が有ったのかもう一度頷くと、

二人の方に振り向き直す。その様子はマサツグ・ハイドリヒ共に確認出来ており、

もうすぐ始まると思うと各々が気を張り詰め始める。ハイドリヒは漸く戦えると

言った様子でワクワクしており、マサツグは緊張した様子で一度深呼吸をすると

真っ直ぐにハイドリヒを見詰める。そして互いが審判の合図を待ち、ただ剣を

構えて睨み合って居ると審判が右腕を天高く上げては一度ピタッと止まり、

その様子に観客達がシンと静まり返っては闘技場内に緊張の糸が張り巡らされる。

誰もがその緊張の一瞬に目を向ける中、遂に二人に最終戦の合図を出す!



「……ッ!!!始め!!!!」



__ッ!!…バッ!!…ワアアアアアアァァァァァァァァァ!!!!!…


「ッ!!…」


「ふふふ!…」


審判が掲げた右を振り下ろし戦いの始まりを宣言するとマサツグ・ハイドリヒの

両者が走り始めては真っ直ぐ互いに向かって走り始める!そのに続くよう始まった

戦いに観客達が沸き上がるとその声援は闘技場内で何重にも反響しては軽い騒音と

なるも、マサツグ達は足を止める事無く向かって行く!そして先に攻撃を仕掛けた

のはハイドリヒ、マサツグが走って来るのを目で追いながら剣を上段に構えると

マサツグとぶつかるかと言ったタイミングで振り下ろしては、走って来た勢いを

乗せた重い一撃をマサツグの頭上から叩き込む!


「ハアアァァ!!!」


「ッ!?…」


__フォン!!ギイィィン!!!…


「ッ!!…あっぶな!?…」


__ワアアアアアアァァァァァァァァァ!!!!!…


振り下ろされたハイドリヒの剣は真っ直ぐマサツグの頭上に向かい振り下ろされ、

それにマサツグが気付くと慌ててブレーキを掛けては腰を落とし、右膝を地面に

着けるよう足を開き剣を自分の頭上で横になるよう構えて受け止める!勿論勢いの

乗った重い一撃なので片手で受け止める事が出来ず、両手で受け止めガードしては

激しい剣戟音が鳴り響き、マサツグが眉を顰めて一言漏らす。そのハイドリヒの

最初の一撃を受け止めた事に観客達が歓声を上げると同時に、やはりマサツグの事を

今だ馬鹿にしている様子で笑い声もまだ聞こえて来る。真面に攻撃を喰らっては

いないもののガードしていてもダメージがあり、当の騎士様は全然本気を出して

いない様子だが咄嗟のガードを見せたマサツグに対してはハイドリヒが褒める。


「ふふふ!…さすが!!…

あのオオトカゲを倒すには運動神経も良く無いといけないんだが…

反射神経もそこそこと言った所か!?」


「ッ!!…さっきから涼しい顔して笑いやがって!!…

絶対に泣かす!!!」


「ッ!?…あの駆け出し騎士団長の攻撃を防ぎやがったぞ!?…

それもただのガードじゃねぇ!?…芯を捉えたガードだ!!…」


「まさか!?…たまたまガードしたらうまく行ったって奴だろ?…

ビギナーズラックってやつさ!…」


マサツグもハイドリヒへ先制攻撃をする為に走って居たのだが先制攻撃をされ、

攻撃態勢から防御態勢に移行する事を強いられるのだが、それをハイドリヒの

目の前でやって見せるとハイドリヒはその決断の速さと実行に移るまでの反射神経を

自分の目で確認しては称賛する。その際ハイドリヒはマサツグの反応が面白いと

言った様子で笑みを浮かべ、マサツグがその様子を見てカチンッ!と来た様子を

見せるのだが、周りの観客達の中にもマサツグの咄嗟のガードに驚いた様子を

見せる者も居れば、マグレと言って笑う者も出て来る。しかしそんな観客達の声など

今は如何でも良いマサツグは突如大きく息を吐き出す。


「…はあぁ~……ッ!!!…」


__ガキイィィィン!!!…


「ッ!?…」


「貰った!!!」


マサツグがガードの体勢のまま息を吐き出したかと思えば剣を握る手に力を

入れ直し、意を決した様子でハイドリヒの剣を上に大きく弾き飛ばすと反撃に

打って出る!弾かれた際ハイドリヒが後ろに仰け反り弾かれた事に驚き、

マサツグがその隙を狙って剣を直ぐに剣を下段に構え直すとハイドリヒへ一気に

近付き、攻撃を仕掛ける!その際ハイドリヒは弾かれた事により足元が覚束ず、

ガードの体勢を取る事が出来ない、それを見越してマサツグがまず一撃と一言

漏らすのだが…


「ッ!!…やはりやるな!?…」


__フラフラ~…トッ!…フォン!!…


「な!?…」


ハイドリヒはマサツグが一気に近付き攻撃して来るのを確認するとワザと後ろに

そのままフラ付き、マサツグから距離を取って見せると更にバックステップを間に

挟む。その甲斐も有ってかマサツグが見計らった距離にハイドリヒの体は何処にも

無く、マサツグのカウンターダッシュ斬りは空振りに終わる。ハイドリヒが後ろに

逃げた事、体勢を崩しても攻撃を与える事が出来なかった事にマサツグが空振りした

状態で驚いて居ると、休む暇を与えないとばかりに今度はハイドリヒの方が

カウンターに打って出る!


__…ザザザァ!!…ダッ!!…


「ストレートスラッシュ!!」


「ッ!?…ダッシュ斬り!?…」


__ゴロ…フォン!!!…


切り返し早くマサツグの真似と言わんばかりにハイドリヒが自分流のダッシュ斬りを

放つと一気に間合いを詰め、マサツグもハイドリヒの攻撃に反応しては直ぐに右へ

ドッジロールをして回避する!その間まさに紙一重でマサツグのドッジロールが

遅ければハイドリヒはマサツグの顔を斬って見せ、アウトローな傷が出来る事間違い

無しの恐ろしい剣技を見せつけて来る!その事はマサツグも重々承知しており、

自分の目の前を恐ろしい勢いで剣が通ったと感じてはドッジロールの受け身を

取りつつ青ざめる。


__ゴロン…スタッ!…はぁ!…はぁ!…


{あっっっっっぶねぇぇぇ!!!!…

危うく何処かの部族もしくは世紀末よろしく強面フェイスになる所だったぁぁ!!…

…それにしてもやばいな!!…さすがのレベル差だぁ!…

小手先だけのカウンターや見せ掛けじゃ到底攻撃どころか…

自分から近づく事すら出来そうにない!……

…さて、如何したものか?…}


「フンッ!…如何した!?

この程度か!!!…」


「クッ!?…調子に乗っちゃってこの野郎!!…」


試合が始まって早々のぶつかり合いファーストコンタクトでマサツグとハイドリヒが予想外の戦いを

見せて居る事により観客達が沸き上がると同時にマサツグの評価も少し変わった

様子を見せる。駆け出しが国一番の騎士団長に勝てる筈が無い!…

誰もがつまらない早期決着を予想したのだが、最初のマサツグの動きを見て

その認識を改めると黙って試合の行方を見守り始める。その中でも大会が

始まる前メイドさんに連れられて行くマサツグの様子を見ていたボロローブを

纏う者だけがジッとマサツグの事をさも当然と言った様子で見詰め続けていた。

しかしそんな事など知らないマサツグはただ息を切らしてはハイドリヒを見詰め

如何打って出るかについて悩み、苦し紛れに技を放つ!


「ッ!!…火炎斬り!!!」


__ボウッ!!!…


「ふふふ!無駄打ちした所で当たる訳が無いだろう!!!」


__ズバアァァァン!!!…


ドッジロール後少し間を置き屈んだ状態からマサツグが剣に炎を纏わせると

思いっきり横薙ぎに振り抜き、炎の斬撃をハイドリヒに向けて放つ!

しかしハイドリヒは一切怯む事無くその炎を目にしては笑みを浮かべ、自身の

剣を上段に構えるとその炎の斬撃に真っ向からぶつかって行くよう剣を

振り下ろし、マサツグの炎の斬撃を一太刀に消してしまう。しかしマサツグの

狙いは単に攻撃するのではな無く、別の用途に有った事をハイドリヒに

叩き付ける!


__バッ!!!…


「ッ!?…」


「こんにちは!!!」


__ガキイィィィン!!!…


ハイドリヒがマサツグの炎の斬撃を打ち消すと炎は揺らめき真っ二つに裂けては

ハイドリヒを間に通して霧散するのだが、次の瞬間ハイドリヒの目の前にマサツグが

姿を現して果敢にハイドリヒに鍔迫り合いを仕掛けて行く!煙幕目的で使われたと

思っていない中、突然のマサツグの出現にハイドリヒが戸惑い押されてしまうも、

直ぐに態勢を整えるとマサツグとの鍔迫り合いに乗っかり始める。リング中央で

互いの剣がガチガチと音を立ててはぶつかり合い、押し問答状態になると互いが

硬直状態になる。


__ガ!…ガガガ!!…ガキキ!!…


「ッ!!!…クッ!!…味な真似をする!!…

確かに予想は出来なくもなかったが!…まさかこうも早く動いて来るとは!!…」


「こっちだってやられっぱなしは趣味じゃねぇんだ!!!…」


「ッ!?…なるほど!…だがそれはこちらも同じ事だ!!!…」


__ガキイイィィン!!!…


鍔迫り合いが起きては少し押され気味になったハイドリヒがマサツグの咄嗟の奇策に

戸惑った表情を見せ、マサツグがここぞとばかりに押し込んではハイドリヒのTPを

削りに掛かるのだが、ハイドリヒもやられてばかりでは無いと言った様子で答えて

鍔迫り合いを弾いて見せる!そして改めて思い知らされる練度の差、マサツグが

ハイドリヒの剣を防いだ時は仰け反らせる程度だったのが、ハイドリヒの場合は

マサツグを軽く宙に浮かせては後ろへ吹き飛ばし、バランスを崩させる。その事に

マサツグがしまった!?と言った表情を見せて居ると、ハイドリヒが攻撃の構えを

取る!


__チャキッ!!…


「これならどうだ!アースランナー!!!」


__ズバアァァァン!!!…


「ッ!?…間に合うか!?…」


__バッ!!!…


マサツグが着地するより早く剣を構えては地面ごと切り上げる様に剣を振り、

着地するタイミングで当たるよう地を這う斬撃をマサツグに向けて放つ!

その地を這う斬撃は真っ直ぐにマサツグに向かい伸びて行ってはリングに

爪痕を残し、そしてマサツグがリングに着地するタイミングで斬撃の位置を

確認すると、斬撃はマサツグの目の前まで迫っていた!さすが騎士団長!…

この手の芸当も出来るのかとマサツグが驚きつつも慌てて無理な体制のまま、

ドッジロールを敢行し何とか回避に成功するのだが、勢いが付き過ぎたのと

体勢が悪いまま敢行したのが祟ってかほぼ横っ飛び回避みたくなる。


__ズザアアァァ!!!…


「ッ!?…馬鹿なアレを避けて見せただと!?……」


「…ッ!!……な、何とかなるもんだな!!…」


「だがその恰好ではもう避けれまい!!!…お代わりだ!!!」


マサツグがアースランナーを回避して見せた事にハイドリヒは勿論観客達が驚いた

様子でマサツグを見詰め、、王様達が座って居るであろう専用観覧席の方からも

感嘆の声らしき声が聞こえて来る。そしてマサツグが避け方はともかくハイドリヒの

アースランナーを避けれた事に対して安堵した表情を見せて居ると、ハイドリヒが

戸惑いながらもマサツグの体勢を目にしては、次は外さないとばかりにもう一度

アースランナーを放つ!


__ズバアァァァン!!!…


「ッ!?…やっば!?…」


__あぁ!?…


{こいつは貰っちまった…

あ~あ…やっぱ無理だったのかな?…}


マサツグも二発目のアースランナーが向かって来た事に気が付くが横っ飛び回避を

した為、受け身をとっても二撃目は避けるも守るも出来ない体勢になっていた。

ほぼ倒れた様にして床に伏せており、その状態から続け様の回避が出来ない上、

体を起こしている間に被弾すると言う状況に観客席からも戸惑いの声が聞こえて

来る。そして迫って来るアースランナーを目の前にしてマサツグも回避が出来ないと

悟ると大ダメージを覚悟し、やはり勝てないのかと諦めた様子を見せるのだが

次の瞬間いきなりスキル獲得の通知が来る。


__シュイン!!…


[マサツグは「刹那 Lv.1」を獲得しました。]


「え?…」


__ヴウゥゥン…


目の前に危険が迫って居るのに突如として通知されたスキル獲得のお知らせ、

その突然の事にマサツグが戸惑いの表情を見せて倒れて居ると、その獲得した

スキルは発動どころか選択すらしていないのに勝手に発動する。マサツグもスキルが

暴発した事に気付くと一瞬だけ目線をスキル欄に移して何が暴発したのかと考える

のだが、今はそれどころ無いと判断し、ハッ!と慌てた様子で目線を

迫って来るアースランナーの方に向けると、眼前にはある異変が起きていた。


……「遅い」のである……


ハイドリヒがアースランナーを打ち出した時、一撃目は避けるので精一杯だった

ものが二撃目ではまるで車が徐行して居る様な速度で迫って来ており、その事に

気が付いたマサツグが慌てて立ち上がると、余裕で体勢を整え直すと同時に回避も

成功させる。


「ッ!?…な、何だこれ!?……スローモーション?…

でも何で?…回線がおかしくなったとか…そう言うのでも無さそうだし…

まさかさっきのスキルの効力?…だとしてもこれは一体?…

……何て言ってる場合じゃないな!!!…」


__シュバッ!!!…


「……俺は普通に動ける…でもあの斬撃はゆっくり?…

……それどころかハイドリヒの奴まで反応が遅い様な?…

……これはチャンス?」


アースランナーはそのままマサツグを通り過ぎてはゆっくりと徐行し続け、

マサツグが何事なんだ?と言った様子で徐行するアースランナーを見送ると

振り返り、今度はハイドリヒの方に視線を向ける。するとハイドリヒもやっぱり

ゆっくりと動作しては驚いた様子を見せ、その様子にマサツグがおかしいと

思いつつもこの状況を好機と感じたのか、マサツグは利用するのであった。


ハイドリヒ視点…


__シュバッ!!…


「なっ!?…何だその反応は!?…一体何を!?…」


__シュンッ!!…ドゴスッ!!!…


「ッ!?!?…ガァ!!…ハ!!!…」


マサツグの方では何もかもがゆっくり見えている一方…ハイドリヒの方からすると

直撃が確定したと思った技が謎の超反応で回避され、同時にマサツグの姿が消えたと

思えば次には自身の腹部に激しく鈍い痛みが広がる!その痛みにハイドリヒが口から

唾を吹き出しては体をくの字に折り、その場に膝を着くと剣を支えに腹部の痛みに

耐える。マサツグの方はと言うとハイドリヒが回避されたショックを受けている

隙を狙ってダッシュ斬りを放ち、斬り掛かるのでは無くハイドリヒの腹部目掛けて

柄打ちで攻撃したのだが、その攻撃は見事にハイドリヒの鳩尾を捉えた上に

呆けた状態で立って居た為ノーガード、更にここでダメ押しのクリティカルヒットと

まさに「超幸運」が炸裂する!膝を着き小刻みに震えるハイドリヒの姿を初めて見た

と言った様子で観客達が戸惑い驚く中、マサツグがその膝を着いたハイドリヒから

少し距離を取って姿を現すと闘技場に響く勢いで「してやったり!」と興奮気味に

吠える!


「どうだコンチキショウ!!!!」


「……ハァ!…ハァ!……クッ!!…」


マサツグが吠えては観客及び王様達、イベントの警護をしている兵士達がジッと

マサツグの事を見詰めては何をやったのかと困惑する。中には新手の魔術かと

言った様子で貴族の者が懐から魔法石を取り出してはマサツグに向かい掲げ、

魔力の検知をするのだが当然反応は無く、観客達の中に居る冒険者達の中でも

マサツグがやって見せた行動に戸惑い怪しむ者も出て来るのだが、逆にマサツグが

何をしたのかを理解した冒険者も出て来ては、マサツグに関心を向ける。


__どよどよ!…どよどよ!…


「お…おい今の!…あれ何だよ!?…

チートか何かの類か!?…普通あんな動き出来る訳が無いだろ!?…」


「でもよく考えろ!?…

こんな所でチート使えば運営が検知して直ぐに飛んで来るだろうが!!!…」


「……ミサカ副長…あれ…」


「…そうだね…かなり稀なタイプの冒険者だね…

あのレベルで「刹那」を使えるプレイヤーが居るなんて……

…「刹那」…このスキルの特徴はプレイヤーの反応速度を一時的にかつ格段に

上昇させ、一度使えばまるで周りの風景がスローモーションで動いて居る様に

見えて、運動能力も大幅に上昇させる簡易覚醒スキルの一つ!…

その取得条件は今だ明確にされてはいない上に取得したとしても長時間の使用が

出来ない難しいスキル…一応どの種族・クラスでも取得出来るけど…

あのレベルで覚えるのは確率的に言うと…

まだ誰も引いて居ない一番〇じでA~H賞までダブらずに引き当てる位の確立!…

僕が知ってる限りでもまだ彼で二人目位だよ!…今回の目玉は確実に彼だね?…」


「……副団長?…その確率の表現ですが…少々伝わり難いかと…」


観客席の方で困惑した様子と感心した様子の声が上がる中、当の本人達はと言うと

リング上で片や仁王立ちで剣を構え、もう片やは今だダメージを引き摺った様子で

膝を着く。審判もハイドリヒの方を見詰めては戦闘を続ける事が出来るかを

確認するのだが、ハイドリヒがフラフラとしながらも剣をリングに突き刺し、

杖代わりにして徐々に立ち上がって見せると、項垂れたまま静かに笑い始める。


__キィン!!…フラ…フラ…


「……フフ…フフフ!!…良いぞぉ?…そう来なくては!…

それでこそ私が認めた者!!…だが!…おかげで目も覚めた!!!…

やはり、あのオオトカゲを倒した事だけはある!…

何をやったは分からなかったが!!…絶対に!!…負けん!!!!」


__ザワッ!?…ザワザワ!!…


「おい嘘だろ!?あのトカゲを駆け出しが倒したって?…」


「ありえないだろ!駆け出しじゃあクリティカルを連発しても勝てねーよ!…」


「第一アレ、レアモンスターじゃねーか!…」


まだ戦えるとばかりに声を張り上げハイドリヒがマサツグにその素顔を見せると、

そこにはもはや一部の油断も隙も無いと言った様子の鋭い眼光でマサツグを見詰める

ハイドリヒの姿が有った。多少なりとも残って居るダメージを気にした様子で

杖代わりの剣をリングから引き抜き、マサツグと睨み合いをし始めるとリング上は

一触即発の状態になる。ハイドリヒから感じる怒りと殺意のオーラ…

余程ボディブローが聞いたのかよく見ると涙目になって居るのだが、そんな事関係

無いとばかりに互いが剣を構える。そんな二人の様子を他所に観客席では

ハイドリヒの一言が気になったのか冒険者達同士でザワ付き、今リング上に居る

マサツグが一体何者なのかと言った様子で注目を集める中、マサツグはハイドリヒと

睨み合ってはここからが本番と気を引き締め直す!


{集中!!…集中しろ!!…

さっきの一撃が余程堪えたかあの騎士様はもう本気になった筈だ!…

その証拠に眼光だけで殺せそうな凶悪な目付きになってやがる!…

ありゃかなりご立腹だ!……

一撃でも貰えば即死!…何てのも十分に考えられる!!…

さぁて?…こっからが本番ってところかね!?…}


「…正直舐めていたよ……貴様の事を!…

だがもう微塵も油断しない!!…貴様を一人の剣士として認め…

今から全力を持って潰させて貰う!!!!」


「…別に無理してくれなくても良いんだぜ?……

そっちが素直に負けを認めてくれれば良いんだから!…」


「フン!!…まだそれだけの口が利けるのなら全く問題無いな!?…

……行くぞ!!!…」


マサツグが自身を落ち着かせる為に心の中で説得を続けるが動悸は早くなるばかり、

その音がまるで耳にも届く様に聞こえて来るとマサツグが酷く緊張し、ハイドリヒは

絶対に仕留めると言った様子でマサツグを見詰めては肩で息をし腹部の痛みを

少しでも和らげようとする。そして互いがリング上で睨み合いここからが本気と

言った様子の真剣勝負が漸く始める。途中まではお遊び…練習・訓練と言わんばかり

のハイドリヒが改めてマサツグを好敵手と認め、その言葉にマサツグが勘弁してくれ

と言った様子で嘆くが目は真剣そのもの。そうしてどちらが先に動くかで互いが

警戒し合い剣を構え合っては硬直するのだが、ハイドリヒが埒が明かないと言った

様子で動き出すのであった。

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【第10章、始動!!】ダンジョンが現れた、現代社会のお話 主人公の冴島渉は、友人の誘いに乗って、冒険者登録を行った しかし、彼が神から与えられたのは、一生レベルアップしない召喚獣を用いて戦う【召喚士】という力だった それでも、渉は召喚獣を使って、見事、ダンジョンのボスを撃破する そして、彼が得たのは----召喚獣をレベルアップさせる能力だった この世界で唯一、召喚獣をレベルアップさせられる渉 神から与えられた制約で、人間とパーティーを組めない彼は、誰にも知られることがないまま、どんどん強くなっていく…… ※召喚獣や魔物などについて、『おーぷん2ちゃんねる:にゅー速VIP』にて『おーぷん民でまじめにファンタジー世界を作ろう』で作られた世界観……というか、モンスターを一部使用して書きました!! 内容を纏めたwikiもありますので、お暇な時に一読していただければ更に楽しめるかもしれません? https://www65.atwiki.jp/opfan/pages/1.html

魔力ゼロの英雄の娘と魔族の秘密

藤原遊
ファンタジー
魔法が支配する世界で、魔力を持たない少女アリア・マーウェラ。彼女は、かつて街を守るために命を落とした英雄的冒険者の両親を持ちながら、その体質ゆえに魔法を使えず、魔道具すら扱えない。しかし、彼女は圧倒的な身体能力と戦闘センスを武器に、ギルドでソロ冒険者として活動していた。街の人々やギルド仲間からは「英雄の娘」として大切にされつつも、「魔力を捨てて進化した次世代型脳筋剣士」と妙な評価を受けている。 そんなある日、アリアは山中で倒れていた謎の魔法使いイアンを助ける。彼は並外れた魔法の才能を持ちながら、孤独な影を背負っていた。やがて二人は冒険の中で信頼を深め、街を脅かす魔王復活を阻止するため、「カギ」を探す旅に出る。 しかしイアンには秘密があった。彼は魔族と人間の混血であり、魔王軍四天王の血を引いていたのだ。その事実が明らかになったとき、アリアは「どんな過去があっても、イアンはイアンだよ」と笑顔で受け入れる。 過去に囚われたイアンと、前を向いて進むアリア。二人の絆が、世界を揺るがす冒険の行方を決める――。シリアスとギャグが織り交ざる、剣と魔法の冒険譚!

『山』から降りてきた男に、現代ダンジョンは温すぎる

暁刀魚
ファンタジー
 社会勉強のため、幼い頃から暮らしていた山を降りて現代で生活を始めた男、草埜コウジ。  なんと現代ではダンジョンと呼ばれる場所が当たり前に存在し、多くの人々がそのダンジョンに潜っていた。  食い扶持を稼ぐため、山で鍛えた体を鈍らせないため、ダンジョンに潜ることを決意するコウジ。  そんな彼に、受付のお姉さんは言う。「この加護薬を飲めばダンジョンの中で死にかけても、脱出できるんですよ」  コウジは返す。「命の危険がない戦場は温すぎるから、その薬は飲まない」。  かくして、本来なら飲むはずだった加護薬を飲まずに探索者となったコウジ。  もとよりそんなもの必要ない実力でダンジョンを蹂躙する中、その高すぎる実力でバズりつつ、ダンジョンで起きていた問題に直面していく。  なお、加護薬を飲まずに直接モンスターを倒すと、加護薬を呑んでモンスターを倒すよりパワーアップできることが途中で判明した。  カクヨム様にも投稿しています。

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

異世界にアバターで転移?させられましたが私は異世界を満喫します

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ナノハは気がつくとファーナシスタというゲームのアバターで森の中にいた。 そこからナノハの自由気ままな冒険が始まる。

収奪の探索者(エクスプローラー)~魔物から奪ったスキルは優秀でした~

エルリア
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HOTランキング1位ありがとうございます! 2000年代初頭。 突如として出現したダンジョンと魔物によって人類は未曾有の危機へと陥った。 しかし、新たに獲得したスキルによって人類はその危機を乗り越え、なんならダンジョンや魔物を新たな素材、エネルギー資源として使うようになる。 人類とダンジョンが共存して数十年。 元ブラック企業勤務の主人公が一発逆転を賭け夢のタワマン生活を目指して挑んだ探索者研修。 なんとか手に入れたものの最初は外れスキルだと思われていた収奪スキルが実はものすごく優秀だと気付いたその瞬間から、彼の華々しくも生々しい日常が始まった。 これは魔物のスキルを駆使して夢と欲望を満たしつつ、そのついでに前人未到のダンジョンを攻略するある男の物語である。

【完結】元ゼネコンなおっさん大賢者の、スローなもふもふ秘密基地ライフ(神獣付き)~異世界の大賢者になったのになぜか土方ばかりしてるんだがぁ?

嘉神かろ
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【Hotランキング3位】  ゼネコンで働くアラフォーのおっさん、多田野雄三は、ある日気がつくと、異世界にいた。  見覚えのあるその世界は、雄三が大学時代にやり込んだVR型MMOアクションRPGの世界で、当時のキャラの能力をそのまま使えるらしい。  大賢者という最高位職にある彼のやりたいことは、ただ一つ。スローライフ!  神獣たちや気がついたらできていた弟子たちと共に、おっさんは異世界で好き勝手に暮らす。 「なんだか妙に忙しい気もするねぇ。まあ、楽しいからいいんだけど」

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