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-第一章-スプリングフィールド王国編-
-第一章八十四節 リーナの意地と魔王の本気と初めての魔王戦決着-
しおりを挟む__ドゴオオオォォォォォォ!!!!…ザシュッ!!…ザシュ!!…
「風切りの剣!……ウィンディア!!…ストライクス!!!!」
__フォン!!…ッ!!…ギャギャギャギャギャギャ!!!!…
「ッ!!…クハハハハハ!!!
良イ!!…良イゾ!!!
サァ!…二度目ノ力比ベト行コウカ!?…」
竜巻がリーナに近付くに連れて刃物が摺り合う様な鋭利な音が聞こえ出し、
その音にマサツグとモツが嫌な予感を感じて居ると、リーナが竜巻に対して
技名を口にしては左手の先端を摘む手を離すと、思いっきり縦に剣を
振り下ろす!距離にして約1m…リーナがその独特の構えから繰り出した
技は真っ直ぐ竜巻にぶつかって行き、間接的なバルデウスとの鍔迫り合いが
始まると、その様子にバルデウスが興奮する!…本来ならば有り得ない
光景であるのだが…ゲームの中ならではの出来事にマサツグとモツが固唾を
呑んでリーナを見守ると、竜巻とリーナの剣の間…接触部では激しい剣撃音が
鳴り響く!
__ギャギャギャギャギャギャ!!!!…
「グッ!!…ウゥ!!…ウアァッ!?…」
「ッ!!…リーナ!?…」×2
「マダ始マッタバカリデハナイカ!!!…
ソノ程度デコノ技ヲ弾キ切レルト思ッテイルノカ!?…
人間ノ小娘!?…クハハハハハ!!!…」
鍔迫り合いからはまるで木材を加工する為用のチェーンソーを鉄パイプに
当てた様な不快かつ激しい剣戟音が響き、技を放ったリーナが竜巻の圧に
負けない!と言った様子で踏ん張るが、威力は竜巻の方が上なのか徐々に
押されていた!…ジリジリと押されては振り下ろした時の構えのまま
後ろに押され、リーナも苦しそうな表情を見せつつ声を挙げて居ると、
その様子に後ろで控えているマサツグとモツが心配の声を掛ける!…
押されているリーナの様子を見てはバルデウスが煽る様に声を掛け出し、
両手を広げて見せては高笑いする等余裕を見せ付けて居ると、そんな
バルデウスの様子にリーナが意地になって再度踏ん張り始める!
「ウグググ!!…まだ!…まだあぁぁ!!…」
「……モツ!…いつでも!…いつでも動ける様にだけ構えて置けよ!?…
モツがリーナを後ろに投げてくれ!…俺は!……」
「いつでも構えているよ!…何なら既に止めに入りたい位だ!…
だが今止めたら確実に恨まれるぞ!?……
…後言っておくが自分だけが犠牲何てパターンは無しだからな?…」
「ッ!?…」
リーナが歯を食い縛り耐えるもやはり押される!…不思議な事にリーナの
技はまだ生きて居るのか激しい剣戟音が鳴る割に剣はブレてはおらず、
竜巻に対して真っ直ぐ、少しづつながらも剣が食い込んで居る様にも見える!…
しかしその様子はマサツグ達には見えて居らず、ただリーナが押されている
光景を見てもしもの時の段取りをマサツグが確認し出し、いつでも
飛び出せる様にとモツに注意を促して居ると、その言葉にモツが
ツッコミを入れる!…その際若干の本音を口にしてリーナの様子を注視し、
マサツグが最後に言おうとした作戦について苦言を呈すとマサツグを
戸惑わせるのだが、肝心のリーナはと言うとそんな事を言っている場合では
無いと言った様子で竜巻に押され続けていた!…
__ギャギャギャギャギャギャ!!!!…
「グッ!!…クウゥ!!…絶対に!…負けない!!…
負けられないのだ!!!…」
{……フゥム…幾ラ封印ガ解カレテ久々ノ戦闘トハ言エ…
マサカココマデ苦戦スルトハナ……マダ完全ニ力ガ戻ッテイナイセイカ?…
イツモナラ…コノ狭イ建物ナド吹キ飛バス事ナド容易デアッタガ……
マァイイ…今ハコノ者達ヲ相手ニスル事ダケヲ考エルトシヨウ…
コノ様ニ楽シイ戦イハ本当ニ久々ナノダ!…例エコレデコノ者達ニ
負ケヨウトモ…我ハ本望!!!…今コノ時ニ全力ヲ注ギ満足ガ
行ク戦イサエ出来レバ!…コノ渇キヲ潤ス事ガ出来レバソレデ充分!…
サァ!…モット来イ!…モットダ!!!…我ニソノ武勇ノ粋ヲ見セテミヨ!!!…
勇アル者達ヨ!!!!…}
必死に負けないよう耐えるも押され続け…自分でも負けられないと言っては
竜巻に食らい付き対抗するリーナ、そんな様子は竜巻越しに見えているのか
バルデウスが奮闘しているリーナを見て、自身の力が封印されている間に
衰えている様な感覚を覚えて徐に自身の体を動かし確認する。そして
実際に力が衰えて居ると感じたのか自身の技の様子を見て若干ショックを
受けた様子を見せ、改めてマサツグ達を相手にするのに油断は出来ないと
自覚すると、竜巻の向こうに居るマサツグ達を見据える!…
この戦いを本当に楽しむよう相手を竜巻越しにジッと見ては一人ほくそ笑み、
竜巻が晴れた後の事考えてはただ自分の欲望の為に忠実に動き暴れる機会を
探り始める!…そしてその一方で後ろで見ている事しか出来ないマサツグと
モツはと言うとリーナの様子を見ては助ける・助けないで揉めては
ただ慌てた様子を見せて居た!…
「……ッ!!…おい如何する!?…介入するか!?…
アレはかなり厳しそうだぞ!?…」
ただリーナが押される姿を見詰めては危機感を覚え…その間にも
カマイタチがリーナに襲い掛かってはリーナのアーマードレスを
切り刻んで行き、カマイタチで斬れた切り口からは鮮血が滲み出ていた!…
明らかに出血している様子を見せて息を荒く押し問答を続け…
その様子にモツが限界だ!と言ってマサツグに止めるかどうかの
判断について尋ねるのだが、マサツグは何故かその判断に渋りを
見せては止めずに居た。
「ッ!!…飛び出したいところだが!!…でも!!!…」
「あのままだと本当に不味いぞ!?…
……ヤブが行かないってのなら!…俺が!!…」
「ッ~~~!!!
あぁ~もう!!!…リーナ!!!…時間切れだ!!!」
何故渋るのか分からないモツはマサツグの様子に戸惑うも、自分の判断で
無理だと感じて一人リーナに向かい飛び出して行き、マサツグも最後まで
悩んだ様子を見せて結局飛び出して行く!…その際葛藤した様子で
叫んではリーナにこれ以上は無理だ!と言って駆け寄って行くのだが、
リーナは二人に止めるよう言われても尚竜巻との鍔迫り合いを続けていた!…
「まだ!…まだああぁぁ!!!…」
「ッ!?…リーナ終わりだ!!!…もうこれ以上は無理だ!!!…
このままだと本当にお前!!…この竜巻に切り刻まれて死ぬぞ!?…
お前が死んだら!…俺達の依頼どころか王様や王妃様!…
将軍も悲しむ事になるんだぞ!?…その三人だけじゃない!!…
この国の国民はお前を慕っている!!…ここで死んで良い様な奴じゃ!!…」
「ッ!!…それを言うのならお前達もそうだろうが!!!」
「ッ!?…」
まだ勝機は残っている!…このままでは終われないと言った意地と共に何かに
固執した様な様子で鍔迫り合いを続けるリーナにモツが止めに入るが、
止めようとはしない!…そんなリーナの様子にモツが慌てた様子で無理だと
言って説得するよう色んな名前を挙げ…改めて死ぬかもしれない!と脅しを
掛けると、その言葉にリーナが強く反論し始める!…如何やらここで自分が
退けばマサツグとモツが犠牲になると考えているのか、その事を追求するよう
叫んで見せては今だ離れようとはせず、そんな反論を受けたモツも戸惑いを
隠せない様子でリーナを見詰めて居た!…そんな二人の会話など御構い無しに
竜巻はどんどんリーナを押してはカマイタチを放ち続け、その間にもリーナが
嬲られるよう切り刻まれて苦痛の表情を見せて居ると、マサツグが一人…
やっぱり…と言った表情を見せてはアイテムポーチからアイテムを取り出す!
「…何と無くこうなるとは思って居たけど……しゃあねぇな!!…」
__ガサゴソ!…ガサゴソ!…キュポン!!…フワァ…サアアアァァァァ!…
マサツグが緑色の綿菓子が入った様な小瓶を三つ開けると、中からその綿菓子が
モクモクと出て来る!…そしてそれぞれの小瓶から出て来た綿菓子が他の綿菓子と
一体化するよう混ざり合って一つの大きな雨雲となり、マサツグ達の頭上に
滞留して雨を降らし始めると、リーナやモツ…マサツグのHPが回復する!
この時…竜巻の影響を受けないのか雨雲はずっとマサツグ達の上に滞留して
雨を降らし続け、リーナが突如体に力が入る様な感覚を覚えると若干戸惑った
反応を見せる。
「ッ!…これは…」
「治癒の雨!…それも一気に三つ開けてやった!…
これでちったぁ力を入れやすくなっただろ?…
じゃあさっさとぶった切っちまえよ!…
お前の力はそんなモンじゃないだろ?…」
「ッ!!……あぁ!!…任せろ!!!」
リーナの反応に答えるようマサツグが呆れた表情で開けた小瓶を振って見せると、
リーナに文句を言うよう決着を求め出す!…その際ただ文句を言うのでは無く…
励まし交じりの言葉でリーナに声を掛けて、その言葉にリーナが目を見開き…
マサツグが信じてくれていると言った様子でリーナが再度やる気を出し始めると、
威勢良く返事をしては剣を握る手に力を入れ出し始める!すると如何だろう…
治癒の雨のお陰か先程までは押されていた様子が突如として徐々に押し返し始め、
リーナが叫ぶと一緒に剣が竜巻の中へと食い込み出すと遂にその瞬間が
訪れようとする!…
「ッ~~~!!!…ハアアアアアアアアアァァァァァァ!!!…」
__ゴゴゴゴゴゴゴッ!!!…
「ッ!?…押サレテイル!?…馬鹿ナ!?…」
「私だって!!…負けられないんだアアアァァァァァァ!!!!」
__ゴゴゴゴ!!!…ズバアアァァァン!!!!…ッ!?…
リーナが思いっきり叫び剣を振るうと竜巻が押され!…その光景を見た
バルデウスが有り得ないと言った様子でリーナの復活に戸惑って居ると、
リーナが最後の力を振り絞る様に剣を振り抜く!…するとそのリーナの
剣は遂に竜巻を真っ二つに斬り裂いてそのまま追撃で斬撃を飛ばし、
唖然として居るバルデウスに襲い掛かると負傷していた胸部に向かい
鋭い一撃が入る!…全くのノーガード!…完全に竜巻が両断された事に
気を取られバルデウスが困惑して居ると、リーナが満足げな様子で
バルデウスにこう言って見せる!…
「はぁ!…はぁ!…やって!…やったぞ!!…
魔王…バルデウス!!!…少々!…思っていたものとは!…
はぁ!…違うがな?…」
「ッ!?…あっ!……え?…」
「モツ!!!」
「ッ!!…」
モツがリーナの一撃に驚き言葉にならない声を出し、まさか先程まで押されては
完全に逃げる体勢で居たのに…まさかのまさかで逆転劇が起きた事にモツが
戸惑い、負傷したバルデウス、晴れた竜巻の様子を見て唖然として居た!…
ただつい先程起きた光景が信じられず…その際リーナの方にも視線を向けると、
そこには竜巻を斬り裂いた時に駄目になったのかボロボロに折れて使い物に
ならない剣を手に…リーナ自身もアーマードレスがズタズタで素肌がチラホラと
見える…剣を振り下ろした姿でその場に固まって居た!…そんな光景を目の前に
モツがその場に固まり動けないで居ると、マサツグが突如モツの名前を呼んでは
バルデウスに向かい剣を構え始め、モツもマサツグに名前を呼ばれた事で
ハッ!と我に返りマサツグの方を振り向くと、そこには赤いオーラ…
連携のオーラを身に纏うマサツグの姿が有った!…
「…最後だ!!行くぞ!!!」
「ッ!?…あ…あぁ!…分かった!…」
__バシュン!!…コオオオォォォ!!!……バッ!!…
まるで最初からこうなる事を予想して居たが如く!…ただ目で合わせるよう
モツに訴え掛け、その視線にモツが再びハッ!とし、慌てた様子で剣を
構えるとマサツグとモツはバルデウスに向かって走り出し、互いの
剣に高圧電流を帯電させてはマサツグは縦に!…モツは横に剣を振って
振り抜く体勢で駆け抜けて行くと固まって居るリーナを追い越し、リーナの
一撃で怯んで居るバルデウスとの距離を詰める!…
「喰らえ!!…バルデウス!!」
「これが俺達最後の連携技!!!…」
「グッ!!…マダ!!…終ワッテハ!!!…オラン!!!」
__ボシュッ!!!…バババババ!!!…
ここまで頑張ってくれたリーナの為にも!…決着を着ける覚悟で二人が
駆け抜けバルデウスの元まで迫ると、バルデウスも怯みから復帰しては
向かって来るマサツグとモツに反撃を繰り出す!…発狂モード時の様に!…
カマイタチで応戦するのだが二人はまるで見切ったかの様に紙一重で
回避し、遂にバルデウスとの距離をほぼ無いまでにすると二人は帯電させた
剣をバルデウスの胸に向けて、ゼロ距離の雷鳴十文字撃を繰り出そうとする!
__チャキッ!!…ッ!?…バッ!!…
「「雷鳴!!…十文字撃!!!!」」×2
__…フォン、ガキイィン!!…ッ!?…バジュウゥゥ!!!…カッ…
マサツグとモツが技を放つより先にバルデウスが最後の抵抗とばかりに腕に
力を入れては十字に防御の態勢を執るが、マサツグとモツは構わずバルデウスの
負傷している胸部に向かい攻撃を繰り出す!もはや職人芸の様に雷鳴十文字撃を
放っては普通に剣戟でバルデウスのガードを剣でこじ開け、その後に発生した
雷鳴十文字撃がバルデウスの胸に直撃!…運が悪い事にクリティカルヒットの
判定になって胸の中で大放電を起こし、バルデウスは声にならない悲鳴を
上げ始める!
__ブゥワチ!!…バチバチバチバチ!!!!…
「ッッッッッッッ!!!!????…」
「効かねぇのなら!…効くまでやってやろう!…
バルデウス!!…」
「ンな馬鹿な事言ってないで距離を取るぞ!?…下がれ!!!」
バルデウスの胸元で雷鳴十文字撃が稲光を発して大放電し、スタン及びダメージが
入ると両手を広げて大の字になる!…この時二人は技を放った反動で若干後ろに
ノックバックしては放電の影響を受けない場所で体勢を立て直し、マサツグが徐に
何処かで聞き覚えの有る俳句?…を読み出すと慌てた様子でモツがマサツグに
ツッコみを入れる!ツッコミを受けたマサツグは若干ショボ~ンとした表情を
見せるもモツのツッコミ通りバルデウスから距離を取り出し、満身創痍で
へたり込むリーナを途中で回収し廃墟入口の所まで距離を取って見せると、
バルデウスの方でも放電が終わったのか…胸元から焦げた様に黒い煙を挙げて
その場に固まって居た!…
「………。」
「……動かない?…」
「う…うぅ!…スマンが降ろしてくれ…」
「ッ!…す、スマン!…」
バルデウスは祭壇が有った場所で何も言わぬまま硬直!…ピクリとも動かない
様子にマサツグとモツがリーナを抱えたまま不気味さを感じて居ると、
抱えられているリーナは二人に下ろすよう辛そうな表情を見せてお願いする。
この時マサツグとモツはリーナの両足両脇を抱えて宙ぶらりんにしており、
リーナのお願いを聞いて二人が謝り床にゆっくり下ろすと、改めてバルデウスを
確認するがやはり動く気配は見せない…距離があるせいでバルデウスに対する
表示も曖昧で、とにかく静かな事にマサツグがバルデウスの様子を見詰めては
またもや失言を口にしそうになる。
「…もしかして?…今度こそや…」
__ッ!?…パシィ!!…
「…余計な事を言うんじゃねぇ!!……
死にてぇのか!?…」
「ッ!…モガモガ…」
マサツグが口を滑らしそうになるとモツが慌ててマサツグの口を抑えに掛かる!…
また余計な事を言われない様に!…そんな暗殺者の様な静かな殺気を放っては
マサツグの後ろに回って口を塞ぎ、若干の怒り交じりの声でマサツグに注意を
すると、マサツグが口を塞がれながらも反省した様子でモツに謝る。そうして
辺りに不気味な程の静寂が訪れ…何時まで経っても動かないバルデウスの様子に
マサツグが痺れを切らした様子で恐る恐る近付き確認しようと動き出すのだが…
「……ちょっと確かめて来る!…」
__コッ…コッ…コッ…コッ……ッ!?…
「マサツグ待った!!…まだ戦闘は終わってはいない!!!
戦闘エリアが消滅していない!!!」
「ッ!?…嘘だろ!?」
モツがある事に気が付くと途端に慌てた様子でマサツグに注意を呼び掛ける!
それは[戦闘エリアが消滅していない]と言う事であり、これが消滅していないと
言う事はまだバルデウスは生きて居ると言う意味になる!…モツの忠告を受けて
マサツグが戸惑って居ると、この時マサツグは既に廃墟中心部…三人の中で最も
狙われやすい位置に立っており、モツの忠告は遅かったとばかりにバルデウスが
固まった関節を鳴らすよう音を立てて徐々に動き出すと、スッとその場に
仁王立ちしては何故か軽く手を叩き出す!…マサツグ達を称賛し始める!…
__パキッ!…パキパキ!…ゴシャ!!…バキパキパキ!……パン!…パン!…
「……え?…」
「クハハハ……本当ニ楽シキ猛者達ヨ……
ココマデ苦戦ヲ強イラレタノハアノ勇者達以来カ……
本当ニ強キ者達ヨ……賞賛ニ値スル!……ナルホド…
アノ化ケ狐ニ気ニ入ラレルダケノ事ハアル!…」
「え?…ば、化け?…ま、まぁ……ハァ…どうも……」
まるで劇を見終えたかの様に手を簡単に叩いて見せてはその反応に
マサツグ達が戸惑い、ただ何が起きているのかと困惑に駆られて居ると
バルデウスは突如マサツグ達を称賛し始める!…まるで勇者達のよう!…
そう言っては苦戦したとまるで戦闘が終わった様に語り出し、誰の事を
言っているのか気になる一言を言っては更にマサツグを困惑させ、
とにかく訳が分からないと言った様子でのん気にマサツグがバルデウスに
返事をして居ると、突如としてバルデウスの様子が豹変する!…
「……シカシソレモココマデダ!!…
最期ニ立ッテイルノハコノ我!!…タダ一人!!!…
コノ技ニ耐エレタノナラ我ハコノ場ヲ去ロウ!…」
「ッ!?…」
「ダガ我トテ容赦ハセヌ!!!…
我ガ最終奥義ヲ持ッテ貴様達ニ打チ勝ッテ見セン!!!…
見事勝利ヲ掴ミタクバ!!…コノ最後ノ攻撃ニ耐エテミセヨ!!!」
__バッ!!!…スウゥ……ゴゴゴゴゴゴ!!!…
突如としてバルデウスが最終決戦モードになり出し、今までの話の流れで
勝利宣言をすると何やらマサツグに対して構えを取り始める!…
腕にはあの竜巻を繰り出した時同様…暴風を纏い出し、バルデウスの表情も
強張ったモノになると、その体から禍々しいオーラを放ち始める!…
その場に仁王立ちしてマサツグに対し腕を上下に間隔を開けるよう構えて
突き出し、クルリと円を描く様に腕を回す!…その動作の流れはまるで
世紀末救世主の無想〇生の様な動きで、バルデウスがその動きを見せた途端に
廃墟全体が突如として揺れ始め!…ただでさえいつ倒壊してもおかしくない
この建物にモツがリーナの容態を見ながら警戒して居ると、マサツグの
目の前では奇妙な光景が見て取れた!…
__シュウウウウゥゥゥゥ!!!…
「へ?…」
「コレガアァァ!…コノ技コソガ我ガ最終奥義ィィィ!!!…
今マデコノ技ヲ喰ラッテ生キ延ビタ者ハ居ラズ!…無ニ帰ルノミ!!!…
真ニ勝利ヲ掴モウトスルナラァァ!!!…
見事乗リ越エテミセヨォォォォォォォォォォ!!!!」
__ゴウッ!!!…シュウウィィィィィン!!!!…
バルデウスの突き出した腕の間で不自然に空気が流れ始めると、目に見えて分かる
半透明の空気の球が出現する!…流れる空気はその球に集まるよう流れては徐々に
球が大きくなり出し、空気がグルグルと逆巻く様に旋回し始めギュッと
圧縮された様に小さくなると、同じ工程を何度も繰り返す!…明らかに不気味な
その光景にマサツグが戸惑って居るとバルデウスは嬉々とした様子で
また発狂し始め、何度も繰り返す内に圧縮し切れず徐々に球が大きくなり出すと、
更に取り込む空気の量も増えた様子で作業は加速する!…その際マサツグ達に
その風の影響は無いのかただ目の前の光景に戸惑い、マサツグの後ろから見ていた
モツとリーナが危機の迫った表情で見詰めて居ると、バルデウスの最後の技の
凶悪具合に驚愕する!…
「な!…何だあの空気の塊は!?…アレを如何するつもりなんだ!?…」
「……考えたくも無いところだが射出だろうな?…
そしてあの空気の量で圧縮量!…少なくとも直撃したら確かにアイツの言う通り…
何も残らない位の衝撃が襲って来るだろうな!?…圧力が解放されるって事は!…
元に戻ろうとする力を諸に受けるって事だからな!…」
「ッ!?…だとすればマサツグは!?…この場所は!?…」
「……規模を見ただけでもここら辺は簡単に吹き飛びそうだな!…
確実に死…」
__ザザッ!…バッ!!…
リーナが見た事が無いと言った様子で驚き!…少なくとも危険である事を
理解すると、この手の話はモツの方が強いと今までの戦いで学んだのか
モツに質問をする!…その質問を受けてモツは少なくとも想像の域を出ないが
自分が予想出来るだけの事を話し出し、その話を聞いてリーナが更に青ざめ
驚き戸惑った表情を見せると二度目のモツへ質問をする!…その質問を受けて
モツが表情を悔しさに歪めるとあの球の近くに居るマサツグは確実に死ぬと
結論付け、それと同時に現状況を打開する案を必死に考え始めるのだが
当然思う様に出ず!…リーナがあの竜巻の怯みから復活した様子で立ち上り、
マサツグの方へと駆け出そうとすると、それに気付いたモツが慌てて
手を引き止めに入る!…
「ッ!…馬鹿!!待て!!!…」
「ッ!…放せモツ!!!…私ならアレを切る事が!!!…」
「出来る訳が無いだろ!?…
お前も!…剣もボロボロでどうやってアレを斬るって言うんだ!?…
現に俺の手を振り払う事も出来ない程に消耗してるってのに!!…
今行った所で間違いない無駄死にするだけだぞ!?…」
「じゃあマサツグを見捨てると言うのか!?…
ただ目の前で何も出来ないまま!!…
自分の友達が目の前で殺されるのを黙って見て居ろと言うのか!?…
モツはマサツグの友では無かったのか!?!?…」
__ッ!?……ッ!!……
バルデウスの最終奥義を目の前にしてリーナが飛び出そうとするとモツが
慌てて止めに入り、止められた事に抵抗しリーナが必死に振り払おうと
するが振り払えない!…モツが助けに行こうするリーナに思い止まるよう
説得し始めてはリーナ自身の状態を改めて理解するよう話し出し、
それでも尚リーナはマサツグを助ける事で頭が一杯なのか、モツに放すよう
文句を言ってはモツを人でなしと言わんばかりの怒声で、涙を流しながら
訴え始める!…それを聞いてモツもウッ!となると思わず考えてしまうのだが、
ここは冷静になって自身の依頼…マサツグも望むであろう結果を考えると
必死にリーナを止めようと引き留める!…そうしてマサツグの後ろでは助ける
助けないで大揉めに揉めており、その揉める原因となった当本人はと言うと…
何故かバルデウスの球を呆然と見詰めて、突如としてある事をし始める!…
「………フンッ!!!」
__ザクゥン!!……ッ!?…
「ッ!!…お、おい?…マサツグ?…
一体何を……ッ!?…まさか!!…」
「……一か八か!…叩っ斬る!!!」
マサツグは突如モツ達の居る方に振り返ると大剣を地面に突き刺しては
再度バルデウスの方に振り向く…その謎行動を揉めながらも見ていた
モツやリーナが困惑すると、モツがその行動の真意について質問をするのだが、
直ぐに理解した様子で驚き戸惑い出すとマサツグは徐に刀を手にする!…
そしてモツの言葉は聞こえていたとばかりにマサツグが返事をすると
刀を数cmだけ抜いては鞘ごと構え出し、バルデウスに向き合い始めると
モツが慌てた様子でマサツグに止めるよう言葉を掛け出す!
「ッ!?…無茶だ止せ!!!
その大剣を置いてマサツグも逃げて来い!!!
今考えたけど!!…その大剣ならワンチャン!!!…」
「…ふうぅぅぅ~~~……」
大剣の向こう側に居るマサツグにモツが必死に戻って来るよう訴えては声を
掛け続けるが、マサツグは全く言う事を聞かない様子で刀を構え始める!…
今だモツの手を振り解く事が出来ないリーナもマサツグがやろうとして居る事に
気が付いて更に慌て始めるのだが、マサツグはそんな二人の事など気にして
いない様子で息を吐いては足を肩幅に開いてゆっくり腰を落とし出し…
まるで抜刀術でもするのかと言わんばかりの体勢で左手に鞘を握っては柄を下に
構えて見せ、右手を柄に添えていつでも動ける様に身構えるとバルデウスを
睨み付ける!…マサツグ自身…出来る抜刀術と言うと一つしか無く!…それに
賭けるしか無いのだが、バルデウスも無言で構えるマサツグに興味を持った
様子で話し出す!
「ソノ意気ヤ良シ!!!…ダガ手加減ハセン!!!」
__ゴウッ!!!…シュウウィィィィィン!!!!…
「ッ!?…不味い不味い不味い!!!…逃げろ!!!マサツグ!!!!…」
「マサツグ!!!!!…」
マサツグに敬意を払う様な素振りを見せつつバルデウスは更に空気の球を圧縮し、
遂に空気の球をバランスボール台の大きさにまで拡大させると、その空気の球の
中では衝撃音と風の斬る音が反響し合う!…更に目に見えて分かる位に内部では
風が螺旋を描く様に流れる光景が見て取れ、その光景にモツとリーナが大剣の
影からでも見れると言った様子で驚愕して居ると、遂に準備が出来たのか
バルデウスはその場で飛び上がっては上空からマサツグに向け圧縮した空気の球を
射出する!
__シュウウィィィィィン!!!!…バッ!!!…ッ!?…
「コレガ!!!…我ガ放ツ最終ニシテ最強ノ技!!!……
ゲイル!!!…ジャッジメントォォォォォォォォォ!!!!!」
「…ッッッッ!!……すぅ…はあああぁぁぁ~~~~………刹那!!!」
__バシュウゥゥン!!!!……ヴウン!!…バッ!!!…
バルデウスが最後と言った様子で叫んで空気の圧縮弾を射出し、マサツグが
それに反応するよう呼吸を整えて前に飛び出し添えていた手に力を入れて
柄を握ると、自身の間合いにその空気の圧縮弾を捉える!…そして空気の
圧縮弾との距離が残り僅かとなった所でマサツグは瞬時に刹那を発動し、
空気の圧縮弾に対して自身が唯一使える抜刀術!…自分の中で一番高火力な
技を放つとその空気の圧縮弾に斬り掛かって行く!
「…ッ!!!…行くぜ!!!…
四季刀剣術!!…疾風の型!!!…春!!!…一番んんんんん!!!!」
__ブワギイイィィィン!!!!!…ゴウッ!!!…ドゴォン!!…
「ッ!?…マサツグゥゥゥゥゥ!!!!……ッ!?」
バルデウスが放った空気の圧縮弾とマサツグの下から斬り上げる抜刀術が
真っ向からぶつかった瞬間!…物凄い衝撃音が廃墟内全体に響き渡ると共に
衝撃波が辺りに飛び散るよう猛威を振るい、廃墟の壁や天井を
揺るがし吹き飛ばし破壊し始める!…当然その衝撃波はモツやリーナにも
被害が及びそうになるのだが、マサツグが予め地面に刺した大剣が功を
奏したのか衝撃波全てが大剣によって防がれて無事難を逃れる事に成功し、
その大剣の影に隠れるよう二人がマサツグの様子を確認すると、そこには
バルデウスが放った空気の圧縮弾と対峙しては必死の形相を見せるマサツグの
姿が有った。
「グウゥゥ!?…ウオオオオオオオォォォォォォォ!!!!」
「グッ!!!…ウゥ!!…幾ラ完全ニ戻ッテハイナイトハ言エ!!…
ヤルデハナイカ!!!…ダガ!!!…我トテ負ケハセヌ!!!!」
__ガガガガギギギギ!!!!
マサツグは歯を食い縛っては最初の衝撃に耐えて見せると次に吠えるよう
圧縮弾との鍔迫り合いをし始め、その様子にバルデウスが圧縮弾に腕を
伸ばしたまま硬直して居ると、マサツグの底力に驚き戸惑った反応を見せる!…
バルデウスの状態から察するにまだ圧縮弾のコントロールを握っている様に
見え、実際マサツグが押し返すとバルデウスが戸惑った様子で反応しては
腕を伸ばし押し返そうとする!…そうしてマサツグVSバルデウスの鍔迫り
合いが始まる訳なのだが…さすがバルデウスの最後の攻撃と言うだけあってか
その一撃はかなり重く、マサツグの持つ春風刀がガタガタと悲鳴を上げて更に
激しいTPの消費を感じると、マサツグが死を連想し始める!…
__ガタッ!!…ガタガタッ!!…ピシッ!!…
「グッ!!!…クゥ!!!…」
{ッ!?…クソッ!!…何とかやってみたけどやっぱ厳しいか!?…
TPはゴッソリ持ってかれるしその後の消費も激しい!!…
おまけに刀まで様子がおかしくなって来た!!…
…このままだと本当に!!……頼むからもってくれよ!!!…}
「ウッ!!…グウゥゥ!!!…」
互いに押し切れない様子で硬直しては歯を食い縛り!…気を抜くと簡単に
弾かれて即終了の状態にマサツグが必死に踏ん張っては、空気の圧縮弾を
叩き斬ろうと刀を握り続ける!…その間にもTPだけでなく徐々にHPも
消費し始め、マサツグの視界が危険信号を鳴らす様に赤く染まり始めると
いよいよ不味いとマサツグも感じ…このまま死ぬのか?…と思わず弱音を
吐きそうになって居ると、次の瞬間マサツグの身に有る事が起き始める!…
__シュウウゥゥン!!…
「え?…」
「ッ!?…マサツグが風を纏い出した!?…」
「ッ!!…まさか!?…このタイミングで風神演武!?…」
突如としてマサツグが領巾の付いたローブを纏うよう全身に風を纏い出し、
その事に当本人が驚いて居ると自身の内側から力が湧き上がる様な感覚を
覚える!…先程までの圧縮弾の重さが嘘の様に緩和され軽くなり、
危機的状況に関わらず冷静な判断力!…サイクロプスを斬った時みたく
正確な刃の入れ方が突如として分かり始めると、マサツグはその突然の
出来事に動揺を隠せないでいた!…その光景はモツやリーナの目にも止まり
マサツグの様子が変わった事に驚き、風神演武が発動した事にモツが気付き
ただ驚き戸惑った表情を見せて居ると、マサツグ自身…次第にこの状況に
ついて如何でも良くなり始める!…今はただこの状況を利用して攻撃を
乗り切る衝動のみがマサツグを突き動かし!…圧縮弾を斬り裂くと言う自信が
内から沸き出て来始めマサツグが改めて終わらせる気満々で力を振り絞ると、
刀を一気に振り上げ斬り裂く!
「ッ!!…これなら行ける!!!…
これで!!!…これで終わりだぁぁぁぁぁぁぁあああああ!!!!」
__ズバアアァァァン!!!!…
「ッ!?!?!?!?………」
そして決着は突然に訪れる!…先程まで押されていたのが嘘の様に途端に
ズバンッ!!!と言う大きな音が廃墟内に響き渡ると、バルデウスの空気の
圧縮弾がマサツグの目の前で真っ二つに斬れて宙に浮かびその場に留まる!
その奇妙な光景にモツとリーナが驚き戸惑うのだが一番に驚いたのは
バルデウスであろう…だが自身の最高の技が破られたにも関わらずその表情は
驚きながらも何処かスッキリとした晴れやか様にも見て取れ、ただただ
その二つに斬られた空気の圧縮弾とその場で刀を振り終え固まるマサツグを
見詰めてバルデウスも宙に浮遊し動かなくなる。そうして微妙な時間が
数分間訪れ…突如としてマサツグが斬った空気の圧縮弾の斬られた断面から
圧縮された空気が一気に解放され、噴き出始めると廃墟の壁へと飛んで行き…
壁にぶつかっては廃墟内の壁を粉々に吹き飛ばすだけに終わらず天井及び屋根を
跡形も無く吹き飛ばす!
__バシュン!!!…ドゴオオオオオオォォォォォォォォ!!!!!!…
「うわあああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!…」
「きゃああああぁぁぁぁぁぁ!!!!…」
__ゴオオオオォォォォォ!!!!………パラパラ……
その威力は凄まじく!…廃墟全体がまるで遺跡採掘現場の遺跡の建物…
一部壁が倒壊せず基礎だけが発見された様に残り、何故完全に倒壊しないのか
疑問になるレベルで残って居ると、その遺跡みたいになった廃墟の床では
モツとリーナが暴風に耐えた様子で丸まり固まって居た。その際最後まで
モツとリーナを護り切ったのか二人の目の前の床にはマサツグの大剣が
刺さっており、バルデウスはその散々たる光景を見るなりと満足した様で
マサツグに振り向くとポツリと呟く…
「見事!!!…」
「マサツグ(ヤブ)!!!!…」
「………。」
呆気ない幕切れに怒る訳でも無く…ただマサツグの技量…と、言うよりは
幸運を褒めた様子でバルデウスが宙から降りて来るとマサツグを称賛し始める!…
それは真に勇気を示した者への称賛の声であり、モツとリーナが心配した
様子でマサツグに声を掛けるがマサツグからの返事は無い…モツが返事が
無い事に慌ててはマサツグのステータスを調べ出すと、そこには残りHPが
一割を切った瀕死の状態であると同時に、TPは見事に0を差して気絶状態に
有ると表示するマサツグのステータス画面が目の前に現れ、バルデウスも
マサツグに対し…追撃を放つ様子を見せる事無くただ腕をダランと垂らしては
息を切らして居た…最後の技と言うだけあってかバルデウスの腕全体は反動を
受けた様子で激しい出血を見せており、ブラブラと振り子の様に揺れ動かしては
マサツグを見て静かにフッと笑みを浮かべると、意識が飛んで居るマサツグは
突如崩れて地面に倒れる…
__……フッ…ドサァ!…
「マサツグ!!!…」
__ダッ!!…ザザァ!…
マサツグの方も反動が大きかったのか上半身は裸で服は見事に吹き飛んでおり、
体からはバルデウスほどではなくとも出血が見られては時間経過で死にそうに
なっていた。そんな倒れた様子を見て居たモツとリーナが慌てて駆け寄り、
マサツグの治療に取り掛かろうとして居ると、バルデウスは満足した様子で
モツ達に話し掛け出す。
「……実ニ…実ニ良キ闘争デアッタ!…
今回ハ我ノ負ケノヨウダガナ?…」
「ッ!?…バルデウス!!…ッ!!…待て!!何処へ行く気だ!!!」
「モウ戦ウダケノ力ハ互イニ残ッテハイナイ…
ダトスレバココハ一度退クノミ…ダガ、次ニ会ウ時ハコウハ行カンゾ?…
クハハハハ!…」
完全燃焼したと言った様子でバルデウスが笑みを浮かべ…マサツグ達に背を向け
何処かへ行こうとすると、リーナが背を向けるバルデウスに怒鳴るよう文句を
言っては剣を突き付ける!…しかしバルデウスはリーナの言葉に対して簡単に
答えるだけで一切足を止めず、ただ笑ってその場を後にしようとするバルデウスに
リーナが怒ると後を追い掛けようとする!…
「ッ!?…待て!!!」
「ッ!!…待つのはお前だ馬鹿!!!…
どっちもこれ以上は無理だ!!!…引き返せ!!!」
「一度魔界ニ戻リ!…傷ヲ癒シタノチマタ暴レサセテモラウトシヨウ!…
ソレマデ息絶エル事!…我ノ他ニ負ケル事ハ許サンゾ?…
勿論…ア奴ニモナ?…クハハハハ!…」
折れた剣を手にこの場を後にしようとするバルデウスの後を追い掛け、
その様子にすかさずモツが止まる様に声を荒げるが、リーナは止まらない!…
まるでマサツグの敵を討つ!とばかりに勇んではただひたすらにバルデウスを
追い駆け、バルデウスもその様子に気付いてもやはり反撃する様子を見せない…
ただ本当に楽しかったと言った様子で笑っては去り際の言葉だけを残し、
腕を動かす事さえ辛そうにしながらもパチンッ!…と指を鳴らすと、あの最初に
バルデウスが出て来た黒い渦が目の前に現れる!…
__プルプルプルプル!…パチンッ!…ブワアァン!!…
「サラバダ…好敵手ヨ!!!…最後に我の名前を覚えておくが良い!…
宣言通り!…貴様が撃退した者の名は!!…バルデウス!!!…
[バルデウス・バビロニウス・パズス]である!!!!」
「ハアアアァ!!!…」
__フォン!!!…
バルデウスはリーナが追い付くより先に黒い渦に手を掛けると最後にマサツグ達を
強者と言っては語り掛ける様に言葉を残し、その際自身の本当の名前を高らかに
口にしてはマサツグに誇るよう口にする!…そしてそのまま渦の中へと消えて
行くよう姿を消すと後から遅れてリーナが剣を振るうのだが当然空振りに終わり…
空しく空を斬る音だけが聞こえて来るとその音で目を覚ました様にマサツグが
一言呟く…
「好敵手か……本当に!…
ただのバトルジャンキーかよ!…」
「ッ!!…マサツグ!!…生きて!!!…」
「当たり前だろ!…まぁ…体が如何にも動かねえけどな?…」
マサツグが気絶から復帰するとバルデウスの言葉は聞こえて居た様子で
文句を口にし、この一連の戦闘に嫌気が差した態度を見せて居ると、
リーナはマサツグが目を覚ました事に感動する!…本当に死んだと思われて
いたのか涙を流して喜び出し、その言葉にマサツグがツッコミを入れると
横になったまま動けないで居た…こうして漸くカルト教団の誘拐騒動から
始まったこの戦いも漸く終わり、一段落した事にホッとするマサツグで
あったのだが、満身創痍のこの状態から如何やって帰るのかと考え出すと、
ただ動かない体にもどかしさを覚えつつ悩むのであった。
応援ありがとうございます!
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