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-第ニ章-サマーオーシャン連合国-獣人の国編-
-第二章八十八節 つかの間の休息と来客の多い日と獣人国のギルド-
しおりを挟む……さて、ガイアス達からの勧誘を断ってからかなり日数が進んだ今日この頃…
今日も私は元気です!…と言うフレーズから始まりそうなものなのだが、始まる
のは宿屋の一室からで…ハーフリングスではギルドの建設も進み遂にギルドの
設置・開設がされると、ハーフリングス内は今までに無い位の賑わい様を見せて
居た!…そしてやって来た冒険者達に対して獣人達はと言うと、やはり物珍しい
のか集まっては冒険者達を興味津々で揉みくちゃし!…された方もされた方で
その歓迎具合に困惑すると、ある種のトラウマを覚える者まで出て来るので
あった。しかし幸いにもこれ以上の事件は今の所これと言って起きて居らず、
最初の出だしも上々と行った所で!…数日たったマサツグ達はと言うと、色々な
イベントを体験した後今だハーフリングスに滞在しており…、改めてヴェノム
コカトリスから手に入れたレアアイテムを部屋の中で確認しつつ今日の予定を
考えていた…
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毒石化怪鳥の羽飾り
レア度 A
SPD+20
[毒石化怪鳥の防毒羽]
状態異常・毒、猛毒、ウィルス 完全無効
地形ダメージ・毒沼 完全無効
-------------------------------------------------------------------------------
「……うぅ~ん…何度見てもネイティブ!!…
それにさすがヴェノムコカトリス!…毒に対しての耐性が完璧だ!…
……で、今日は如何しようかな?…
今まで畳み掛ける様にイベントが沢山有ったし…
一段落着くと暇と言うか…」
__すぅ~…すぅ~…
「……シロは寝てるし…
シロを置いて出かける訳にも……」
ヴェノムコカトリスから手に入れた羽根飾りは何処をどう見てもネイティブな
部族の長が頭に被って居るアレで…目立つ事間違いなしと言った様子でマサツグが
眺めて、そのさすがの能力に目が行っては戸惑いを隠せないで居た。
そうしてベッドに腰掛けながら今までにあった事を振り返りつつ…今日の予定が
無い事にマサツグが暇をして居ると、その隣ではシロが寝息を立てており…
シロの寝顔を眺めつつ暇だと声に出して呟いて居ると、突如マサツグ達の
泊る部屋の扉からノックの音が聞こえて来る。
__……コンコン!…
「ッ!…は~い!…何方さんでぇ~?」
「ッ!…良かった…出掛けてなかったか…
俺だレイヴンだ。中に入って良いか?…」
「ッ!…レイヴン?…何か慌ててる?…あぁ、今開ける!…」
ノックをされた事に反応するようマサツグが扉の方に視線を向け、そのノックの
主に対して返事をすると、そのノックの主はレイヴンなのか…マサツグが部屋に
居る事で安堵したよう扉越しに声を掛けると、許可を取った上で部屋の中へ
入って来ようとする。その際レイヴンから何やら慌てた様子が感じられると、
マサツグは妙な違和感を覚え!…とにかくマサツグは自分が開けるよう返事を
すると、扉の方へ移動し!…その際警戒した様子でレイヴンを部屋の中へと
招き入れようとすると、そこには…
__……ガチャッ!…ぎいぃぃ~…
「…如何したんだレイヴン?…何か慌ててる様に聞こえたんだが……ッ!?…」
__ずどおぉぉん!!…
「レ、レイヴン!?…な、何か豪く暗い!…まぁワイトだから仕方が無いが…
てか如何した!?…何かいつも以上に暗く見えるんだが!?…」
戸惑い警戒しつつもマサツグが扉を開けてレイヴンの姿を確認すると、
そこにはあのヴェノムコカトリスのレア報酬か…同じ様に羽根細工の
首飾りを着けて居るレイヴンが扉の前に立っており…アンデッドらしく
何やら陰気な雰囲気を漂わせながら絶望の様相を見せて居ると、
その様子を見たマサツグは驚きの声を挙げる!…そしてレイヴンの
様子に戸惑いながらも何が有ったのかを聞き始めると、レイヴンは
とにかく絶望の様相のまま部屋の中へと入り…部屋の角に置かれて有る
椅子へ腰掛け…マサツグの問い掛けに答えるようその絶望している
理由について話し出すと、更にマサツグを困惑させる…
「……師匠から…」
「ッ!……し、師匠?…」
「…師匠から連絡があったんだ……今日!!…」
「……え?…」
レイヴンは何やら震えながらボソボソと語り出すのだが、聞こえたのは師匠と
言う言葉だけで…当然何の事か分からないマサツグはただ戸惑った様子で復唱し、
もう一度訪ねる様にレイヴンへ視線を向けて居ると、レイヴンは今度こそハッキリと
分かる様にもう一度その言葉を口にする。その際再度口にした言葉はその師匠から
連絡が有ったと言う謎の言葉であり、ますます意味が分からないマサツグは困惑し…
一体何の事かと言った様子で表情を顰めて居ると、レイヴンは青褪めた様子ながらも
詳しい説明をし始める。
「……いや…実は……ヤブは師弟システムって知ってるか?…」
「…ッ?…師弟システム?…それって確か…アレだよな?…
そのキャラの弟子になって技を覚えたり…スキルを獲得したり…」
「そうだ!……で、俺はそのキャラの魔法に興味が有って
弟子入りした訳なんだが……ッ…」
レイヴンがまず話し出したのはとあるシステム…師弟関係についてであった。
簡単に説明するとそのキャラ特有の技・術技を覚えられると言う物で、その
他にもキャラが保有しているスキルを習得出来たり…更に術技を大幅に時間を
短縮して覚えたり出来ると言った色々なメリットも有るのだが…如何やら
レイヴンはその師匠が鬼門で有るらしく…突如マサツグにその師弟システムに
ついて確認をすると、マサツグは戸惑いながらも答える…一体何でそんな事を
急に聞いて来たのか?…その事に疑問を持つのだが、マサツグから返事を
聞いた所でレイヴンは自分にその師匠が居る事を話し!…妙にまた話し難いと
言った様子を見せ始めると、マサツグもさすがにツッコミを入れる。
「……ッ?…何か煮え切らないな?…
連絡が来てるなら返事をすれば良いのに?…」
__ッ!?…ガタッ!!…バッ!!…ガシィィ!!!…
「冗談じゃない!!!
あんな人の皮を被った何かの所に戻る位なら!!…
このキャラを削除してまた一から始めた方がまだマシだ!!!…」
「ッ!?…はっや!!…
…てか何でじゃあ俺にそんな話を持って来たんだよ!…
俺の所に持って来た所で何の解決にもならないし!…
何なら俺に師匠は居ねぇ!!…」
先程から某・有名ホラーフリーゲームに出て来るタンスのバイブレーション
の様な震え方をして居るレイヴンに…マサツグがその師匠に連絡を取るよう
勧めると、レイヴンは今まで以上に無い位の機敏な動きを見せては椅子から
立ち上がり!…本当に魔術師か!?…と言いたくなる様な間合いの詰め方で
マサツグに詰め寄って、マサツグの手を掴むなり冗談じゃない!!と
嘆き出す!…当然そんな機敏な動きを見せるレイヴンにマサツグは更に
戸惑うのだが、レイヴンの嘆きはちゃんと聞いていたのかツッコミを入れ
始め!…とにかく自分に言っても無駄だと言い聞かせ、レイヴンを自分から
引き剥がそうとして居ると、レイヴンは漸く本題の話をマサツグにし始める。
「だから!!…ヤブに丁度良い逃げ場所が無いか聞きに来たんだよ!!!
あんだけ波乱万丈な冒険をして来たんなら一か所か二か所!!…」
「ッ!?…んな事で頼りにされても迷惑だっつうの!!!…
てか人を逃亡犯みたいに言うんじゃねぇ!!!
これでもオリャ優良プレイヤーやってんだよ!!!」
レイヴンは縋るようマサツグに組み付くとこれが聞きたかったとばかりに
逃亡先について質問し!…マサツグもマサツグでその質問をされた事に
ショックを受けると、激しいツッコミを入れる様に文句を言う!…その際
縋り付くレイヴンをマサツグは引き剥がそうとするのだが、レイヴンは
何故か激しく抵抗し!…マサツグに何とか逃亡先について聞き出そうと
頑張って居ると、またもやマサツグ達が揉めている部屋の扉を誰かが
ノックする。
__…コンコンッ!…ビクゥ!!…バッ!!…
「ッ!?…また豪く跳ねたな!…それに離れるのも早!?…
…ってか今日は来客が多いな?…今度は誰だ?…」
__プルプルプルプル!!…
突然のノックにレイヴンが驚いた反応を見せると、猫の様に跳び上がっては
瞬く間にシロの寝ているベッドの陰へと隠れ!…そのレイヴンの行動の速さに
マサツグも驚いた表情をすると、本日二度目のノックが鳴った扉の方へ徐々に
視線を動かす。その際今日は客が多いと言った様子で呟くと、扉を開ける前に
レイヴンの様子をチラッと確認するのだが…そこに居たのはまるで借りて来た
猫の様…縮こまっては震えるレイヴンの姿で、そんなレイヴンの姿にマサツグが
呆れた様子で溜息を吐くと、情けない姿を見せるレイヴンに声を掛ける。
「……はあぁ~…何かは知らねぇけど…
幾ら何でもその師匠がここに来る訳が…」
「ッ!?…よ…余計なフラグを立てるんじゃな~い!!!」
「……はあぁ~…やれやれ…何方さまぁ~?…ッ!…」
呆れながらもレイヴンに居る筈が無いと安心させる様に声を掛けると、
レイヴンはその言葉にも文句を言うようマサツグにツッコみを入れ!…
そしてまたベッドの陰に隠れるよう縮こまり!…一人またもやバイブ
レーションを発動させると、そんなレイヴンの様子を見たマサツグは
更に呆れてしまう…そうしてそこまでレイヴンを怯えさせる相手とは?…
と逆にマサツグは興味を持ち出すのだが…とにかく今はその来訪者の
確認を最優先するよう扉を開けると、そこに居たのはモジモジとした
様子のミスティーとボロを身に纏う何者かであった。
「…ミスティーと……どちら様?…」
「あっ!…お久しぶりです!…
朝早くに申し訳ありません!…少し確認したい事がありまして……」
「……ッ?…確認したい事?…まぁいいや…とにかく中に…」
マサツグは久しぶりに見たミスティーを確認してレイヴンに違うと声を
掛けようとするのだが、その隣に居たボロを身に纏う女性…胸が出て
居るのを確認して女性と判断すると、思わず戸惑ってしまい!…
ミスティーはミスティーで部屋からマサツグが出て来た事に安堵すると、
まずはマサツグと挨拶を交わす。そして申し訳なさそうな表情を浮かべ
出すと、徐に何か確認したい事が有ると言い…そんなミスティーの
問い掛けにマサツグは更に戸惑い…とりあえず立ち話もどうかと言った
様子で中へ誘うと、ミスティーよりも先にそのボロを身に纏った女性が
中へと入って行く!…
「では失礼するぞ!」
「ッ!…え?…」
「ッ!?…ちょ!…ちょっと待ってください!!…」
「……ふむふむ…マサツグは普段この様な部屋で
寝泊りをしているのか……なるほどなるほど……」
そのボロを身に纏った女性が部屋の中へと入ってくる際…聞き覚えの有る声で
返事をされるとマサツグはその声に驚き…女性は一斉の遠慮無しにズカズカと
部屋に入って来ると、徐にマサツグの泊っている部屋を見渡し始める!…この時
ミスティーもその女性を追い駆ける様に慌てて部屋へ入ると、女性を落ち着かせ
ようとするのだが…その女性は一切落ち着かず!…辺りを物色する様に動き
回っては初めて見ると言った様子で零し…マサツグもその女性の声を聞いて思い
出したのか女性に声を掛け出すと、その女性もマサツグの声に反応するよう
返事をする!…
「……ッ!…その声はもしや?…」
「ッ!…やっと気づいたか?……そうだ!!…
こんなボロを着て居ても隠せない程の豊満なボディー!!…
布の合間から見える際どい褐色の肌!!…
そしてフードを被って居てもその愛くるしさが伝わって来る耳!!…
そう!!…その正体は!!!」
__バサァ!!!…ッ!?…ぱさぁ…
「余だよ!!!」
「………。」
マサツグも気付いた様子で警戒を解いてその女性に声を掛け、
そのマサツグの呼び掛けに反応するよう女性もマサツグの方に振り向くと、
謎の登場台詞を口にする!…その際ボロを脱ぐ気で居るのかスッとボロに
手を掛けて溜め出し!…最後の言葉を言った所でそのボロを勢い良く
脱いで見せると、そのボロの下からは何故か水着姿のフィアナが姿を現す!
最期に自分である事をアピールするよう[余だよ!?]と言うと、笑みを
浮かべており!…そんなフィアナの登場に何処か既視感を覚え…マサツグが
如何反応したものか?と言った表情で固まって居ると、レイヴンも大丈夫と
悟ってか体を起こす。……因みに漸く許されたのかフィアナの首には看板は
下がって居なかった。
__……ゴソゴソ…ムクッ…
「……ッ!…あれ、女王陛下?…如何してここに?…
公務は良いのですか?…」
「ん?…あぁ…ただの息抜きだ!…気にするでない!!」
「いや気にするなじゃなくて!…」
堂々登場したフィアナは得意げな表情を見せており、レイヴンも取り敢えず危機は
去ったとばかりに顔を上げると、フィアナの姿を見つけるなり戸惑い出す。
現在ギルドが建てられた事により冒険者と獣人達との間で問題が起きた場合、
その解決策や新しい法案等を決めると言ったややこしい事になって居る
筈なのに…その決定者が如何してここに居る!?と言った様子で驚いて
居ると、フィアナは悪ぶれる様子もなく笑顔で答える!…当然そんな様子を
見せるフィアナにマサツグがツッコミを入れて居ると、ミスティーは申し訳
なさそうな表情を浮かべ…本当の目的は別にあるのか、マサツグに謝りながら
モジモジとしていると、その本当の理由を話し出す。
「え…えっとぉ……ごめんなさい!……
お姉様が如何してもマサツグ様に大至急の要件が有るとかで!…
わ、私もマサツグ様に会いたいと…
しかし今この状況で王宮から堂々と抜け出すと色々と……その……」
ミスティーから話された理由とはこうである…フィアナは如何しても
公務から逃げ出したかったらしく、その建前にマサツグを使ったらしい…
この時ミスティーも何の疑いも持たなかったのか賛同すると、私欲で
動いたと自白し…その際王宮からそのまま抜け出す事が出来ない状態
だったのか、変装して出て来たとミスティーが申し訳なさそうに語ると、
それを聞いて理解したマサツグも再度確認する様に復唱する。
「………OK大体分かった…
つまりは王宮を向け出すきっかけに俺を使ったと…
で、ミスティーも俺に会いたいから乗っかったって口か?……全く!…」
「ス、スイマセン…」
「ッ!…何だ何だ!!…
折角余が会いに来たと言うのにその呆れようはぁ~!!
さすがの余もショックを受けるぞ!!…本当に用件があった訳だし!!」
そうしてその理由を聞いてマサツグが呆れた様子で一言漏らすと、ミスティーは
マサツグに頭を下げて謝り!…フィアナはフィアナでマサツグの反応を見るなり
膨れた表情で文句を言い出すと、腕をブンブンと振って子供の様に不貞腐れる。
その余りにも本当に女王陛下なのか?と言いたくなる様な振る舞いを見せる
フィアナに!…マサツグが更に呆れる一方で、レイヴンはフィアナの言葉に疑問を
持ったのか…呆れるマサツグを余所にフィアナに声を掛け出すと、その用件に
ついて質問をする。
「……じゃあその用件ってのは?…
何なら女王陛下自ら出て来なくても使いの者に任せるなり…
手紙で伝える事も可能だと思うが?…」
「それでは余が王宮から抜け出せんでは無いか!!……と言うよりも…
この事は内密に進めたいからな?…
余がマサツグを呼ぶと何故かピリピリとし始める!…
…恐らくは余がマサツグ達を呼ぶ事で大事が起きると感じて居る者が
居るらしく…迂闊に心配を掛ける様な事は出来んのだ!…」
「ほう?…最初の言葉無視して…で、用件ってのは?…」
レイヴンが用件を聞く際、別にフィアナが直に出て来なくても伝える方法は
有ると居た様子で問い掛けると、そのレイヴンの言葉に猛反発するよう
フィアナはツッコミを入れ!…その際誰にも聞かれたくはないのか、秘密裏に
進めたい話であるとマサツグとレイヴンに答えると、王宮にマサツグ達を呼べない
理由を話し出す。何でもマサツグ達を呼ぶとまた事件が起きたのかと心配する
者達が居るらしく…と言うよりも自分達が居るのにマサツグを頼る事で
嫉妬して居るのでは?と感じるのだが…とにかくその事にあえて触れない様に
マサツグがツッコミを入れて話を聞いて居ると、フィアナはマサツグに
戸惑いつつもギルドへの同行を求める。
「ッ!…マサツグよ…最近余にイケズでは無いか?…まぁよい!…
とにかく余達とギルドに来て欲しい!…詳しい話はロディ殿と共に!…」
「……そりゃ別に構わないんだけど?…
それだったら最初からミスティーに頼んでギルドに来る様に
言えば良かったんじゃないのか?…そしたらギルドで待ってるだけだったのに…」
「ッ!?…だからそれでは余がマサツグに会う口実が無いではないか!!…
これで三度目だぞ!?…もうワザとか!?…ワザとなのであろう!?…」
「……いやぁ…何と言うか…
最近フィアナっていじり甲斐が有るなぁ…って?…」
「ッ!?!?…余!?…余は女王ぞ!?…ふ、不敬である!!…」
如何やら本当に話せない内容なのか、異様に警戒した様子をフィアナが
見せており…そんなフィアナの様子にマサツグ達は戸惑いつつ、ギルドに
付いて行く事を同意すると、改めて三度フィアナが来なくても伝言が
出来る方法について話し出す。するともはやここまで来るとさすがの
フィアナもワザとと理解したのか、マサツグに向かって行くよう詰め寄ると
文句を言い!…マサツグはマサツグでそんなフィアナの反応を楽しむ様に…
詰め寄って来たフィアナの頭を撫でながら楽しいと言った言葉を口にすると、
そのマサツグの言葉を聞くなりフィアナはショックを受ける!…
だがマサツグに頭を撫でられている事は満更では無いのか、自分から頭を
摺り寄せてもっと撫でる様に態度で示し!…そんな様子をミスティーも
羨ましそうに見詰めて居り…レイヴンとしても何か居た堪れない状態に
なって居ると、先程まで寝ていたシロが空気を読んだ様に目を覚ます。
「……んん~!…ふらいどちきん!!……あれ?…」
「ッ!…一体どんな寝言なんだよ!……おはよシロ!」
「あっ!…ご主人様!!…おはよう御座います!!……ッ?…」
「……フライドチキンは無いぞ?…」
夢の中でもフライドチキンを食べていたのか?…もはや中毒の域にまで
到達しそうな寝言にマサツグがツッコミを入れると、シロに挨拶をし…
そのマサツグの挨拶にシロも挨拶で返し…徐に部屋の中を見渡し始めると、
首を傾げては眠い目を擦って見せる。そんなシロの様子を見てマサツグも
察した様にツッコミを入れると、シロは残念そうにしょぼんとし…
そして改めてハッと目を見開き、フィアナとミスティーが部屋の中に居ると
気が付いた様子で目をパチパチとさせると、二人に声を掛け出す。
「……ッ!…あれ?…フィアナお姉ちゃんにミスティーお姉ちゃん…
おはよう御座います…如何して此処に?…」
「ッ!…あぁシロ!…おはよう!(シロちゃん!おはよう!)…
いや実はな…」
「ッ!?…もしかしてコカトリス!!…」
「もはや二人からの頼み事=コカトリスになっている件について…」
二人が居る事に若干戸惑った様子でシロが挨拶をすると、フィアナと
ミスティーも挨拶を返し…その際シロからの問い掛けに対してフィアナが
答えようとすると、シロはまたもやハッと目を見開いては何かを察した
様子で!…期待の表情を浮かべてコカトリスが出て来た!と喜びようを
露にすると、そのシロの脳内変換についてマサツグが戸惑いの言葉を
漏らす…余程気に入ったのかコカトリス=御馳走の変換が出来て居る事に
レイヴンも同じく戸惑った反応を見せて居ると、コカトリスかと問われた
事にミスティーが戸惑い!…だがそこは女王様!…フィアナがキョトンと
した表情でマサツグに撫でられつつシロに視線を向けて居ると、アッサリと
否定してしまう。
「……コカトリス?…いや違う違う…別の要件だ。
まぁ確かにあの鶏肉は幾ら食べても飽きが来ないが…今回は別件だ…
スマンがマサツグと一緒にギルドへ来てくれ…な?…」
「……はいです…」
フィアナはシロに違うと言い聞かせると別件で来たと言い、同時にシロの
気持ちにもフォローを入れる様に言葉を掛け…謝りながらもマサツグと
一緒にギルドへ来るようお願いをすると、シロは目に見えてしょんぼりと
しては返事をする。そんなシロの様子にマサツグは思わず苦笑いをすると、
言われた通りに準備をし始め…既にレイヴンと合流して居る事から直ぐに
ミスティーとフィアナを連れてギルドへ向かい出すと、その道中奇妙な物を
目撃する!…それは…
__わいわい!…がやがや!…わいわい!…がやがや!…
「……何か今日のメインストリートめっちゃ混んでね?…
確かに開国された事で冒険者も利用する機会が増えたが…」
「…いや冒険者よりも獣人の方が?……てか並んでる?…」
いつも以上に賑わっているメインストリートの様子なのだが…如何にも
外出している獣人達の様子が多く、それも一方向に向かって妙な待機列が
出来ては今だ伸びている光景であった。まるでコミケの人気サークルの
待機列の様に2~3列になって並んでおり!…それぞれ並んで居るのが
ほぼほぼ獣人達で!…何やら興味津々の様子で並んでは今か今かと期待に
胸を膨らませていた。当然何の待機列か分からないマサツグ達は思わず
その光景を見て戸惑うのだが、ギルドへ向かう道中…この待機列は何の
待機列なのか?…正体が分かる様にギルドへ辿り着くと、更に奇妙な
光景を目にする!…
「…ッ!…おぉ、立派だな!!」
「そうだな!…立派だな!……立派なんだが……」
__わいわい!…がやがや!…ズラアアアァァ!!!!…
「何の待機列なんだと思っては居たが!…」
「まさかの待機列だな?…てか、追い掛けてた訳でも無いんだが…」
いざマサツグ達がギルドに辿り着くとそこにはハリボテとは思えない位に
立派な建物が建てられて有り、例によってロディがモデルであろう看板が
設置されて有るのだが!…それ以上に目を引くのは入り口の光景で!…
先程の待機列は如何やらギルドに入る為の列の様で有り、まるでギルドの
入口からモフモフが生えている様な?…とにかく変な光景が見て取れる
のであった。そうしてその光景を目撃したマサツグ達はと言うと、納得
した様子で各々が言葉を零すのだが…それ以上にあの列に並ばないと
いけないのか?…と言う面倒臭さに襲われ、ただその光景を見詰めては
如何しようかと言った具合に悩み出す。
「……如何しようか、これ?…モフモフ祭りじゃねえか…」
「今から並ぶにしてもそこそこ時間が掛かりそうだぞ?…
何なら整理券を配ってるし…初めてだぞ?…
ギルドで整理券が配られてる光景を見るの?…」
「ス、スマン!…この国の国民性は好奇心旺盛でな?…
…新しい物や珍しい物には滅法弱いのだ……
こうなると色々と不便だから衛兵達にも交通整理をさせようか?…」
ただギルドから溢れんばかりに尻尾が出ている光景に…ある意味でモフモフ
好きには堪らないのだろうが、今のマサツグ達はそんな事を言っている場合
ではなく…今から並ぶにしても時間が掛かり、ギルド側もキャパオーバー
なのか整理券を配り出す始末を見せて居ると、レイヴンは初めて見ると言った
様子で思わず笑う。そうしてフィアナもその光景を見て思わずマサツグ達に
謝ると、国民性だと言い訳をし…今すぐにでも衛兵達を呼ぼうかとマサツグ達に
提案し始め、マサツグ達もその言葉に同意しようかと考えて居ると、ふとその
ギルドの裏口より聞き覚えの有る声が聞こえて来る…
__ガチャッ!!…きいぃぃぃ~…
「…よいしょっと!……ふぅ…ッ!…
…あれ?…マサツグさんにレイヴンさん!…
如何したんですか?」
「あ!…ルン!!」
ギルドの裏口より扉が開く音が聞こえて来ると、そこからルンが姿を現し…
丁度ゴミ出しで出て来たのか額に大粒の汗を滲ませ!…その汗を拭いながら
一息吐くと、マサツグ達の存在に気が付く。そして久しぶりの再会を喜ぶよう
徐に笑顔で声を掛けると、その用件を聞き出し…マサツグ達もルンの存在に
気が付いた様子で!…返事をしてそのままルンの元へと駆けて行くと、
マサツグ達は焦った様子で事情を説明する!…
「いや…ギルドに入ろうと思ったら…
モフモフが詰まってて入れないから如何したものかと…」
「……え?…そ、それは如何言う?…
えぇ~っと……如何言う事でしょうか?…」
「ッ!…え?…あっ!…その調子だと知らない様子?…いや実は…」
「え?……ッ!?…」
マサツグが焦った様子で事情を説明するのだが、その説明は独特過ぎて…
案の定何の事か分からないルンは戸惑い!…もう一度訪ねるようマサツグに
返事をすると、困惑の様子で返事をされた事にマサツグは戸惑う!…その際
今のギルドの状態を知らないのか、ルンはただ不思議そうにマサツグの事を
見ており…そのルンの様子から察したのか、マサツグはハーフリングス側の
ギルドの玄関口を指差して見せると、ルンもそれを確認するよう視線を移す。
すると如何だろう…そこにはマサツグの言う通りケモケモの玄関が見えており、
その状況を見て初めて知ったのかルンが驚いた表情を見せると、困惑した
様子で零す!…
__もっふ~~~ん!!……わいわいがやがや!…
「……本当ですね!……」
「な?…モフモフ……」
「マサツグさんが言語能力を失ったのかと一瞬疑いましたが…
とにかくなるほどの光景だと言う事は分かりました…」
「ちょッ!?…ヒデェ!!……」
ルンの目にもその獣人達の毛玉パレードの様子が目に映ったのか、ただ目を
丸くしてその光景を見詰めており!…マサツグもそのルンの言葉に安堵した
様子で伝わったとばかりにもう一度モフモフと口にすると、ルンから辛辣な
言葉が帰って来る。そんなルンからの言葉にマサツグはショックを受けつつも、
状況は理解された様子のか…そのままマサツグ達は裏口から案内され、その際
ミスティーとフィアナも初めてと言った様子で申し訳なさそうに通ると、
何とかマサツグ達はあの列に並ぶ事なくギルドの中へと入って行くのであった。
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唯一のスキル《アイテムボックス》。
そして契約により初めて“成長”する力を与えられたソラは、
弱き自分を変えるため、再びダンジョンと向き合う。
だがその裏で、
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復讐の道を静かに歩み始めていた。
これは――
“最弱”と“最凶”が手を取り合い、
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本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
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【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
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