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-第四章-オータムクラウド国編-
-第四章十二節 葛根湯と特徴的な顔と寝てしまった看病!…-
しおりを挟む癒月葛を女将さんに預けてマサツグ達は部屋に!…部屋に戻るとそこには依然
苦しそうな表情を浮かべるシロとフィロが!…そんな表情を見てマサツグも
居ても立っても居られず!…シロの手を握るなり何なりして居ると、シロが
ふと気が付いた様子で目を覚ます!…その際マサツグに手を握られて居る事に
気が付いた様子で、苦しそうながらもニコッと笑い!…マサツグもそんなシロの
様子を見て薬はまだか!と焦りを見せて居ると、約十分位で部屋にノックが…
__……コンコンッ!…
「ッ!!…来たか!!…」
__ガチャッ!!…
「…お待たせしましたぁ!…これがあの葛で作った湯薬…
葛根湯になりますぅ~」
待ちかねた様子でマサツグが反応!…そんなマサツグの反応に合わせてライザが
扉を開けると、扉の向こうには女将さんが立っていた!…そしてその手には
おぼんが握られてはその上に茶碗が二つと、湯気を立てて居り!…女将さんも
待たせた事を口にしつつ!…シロの傍にいるマサツグにその癒月葛で作った湯薬…
葛根湯を持って行くと、おぼんごと手渡す!…本来葛根湯とは風邪をひく前に
飲む物なのだが、この世界では違う様で!…とにかくマサツグもそれをおぼんごと
受け取り、急いで起きているシロにそれを飲ませようとその茶碗に手を掛けると、
ある事に気が付く!…
「ッ!!…ありがとうございます!!……さぁシロ!!…もう大丈夫だぞぉ?…
この薬を飲めばきっと!!……ッ!?………」
「……ん?…何や?…どないしたんや?…」
「……いや……女将さん?…これって…本当にあの葛で作った薬湯?…」
「……ッ?…へぇ?…そうですぅ?…
あの葛はこの国でも一級品の漢方薬として知られてて効果も抜群!…
これを飲んだ次の日には全快なんて当たり前ぇ!…
何て言われてる物ですよぉ?…」
「………。」
それこそシロに安心するよう声を掛けて薬湯を飲ませようとするのだが!…
茶碗の中身を見た途端にマサツグの表情は戸惑いに変わり!…当然そんな
マサツグの様子にライザも釣られて戸惑い出し…一体何が有ったのか?と
声を掛けると、マサツグはそんなライザの問い掛けに対して返事をしつつ!…
女将さんに改めて質問をする!…するとその問い掛けに対して女将さんも
キョトンとした反応を見せると、先程の葛について説明をし!…効果は抜群!
と他の人の体験談まで持ち出して話し!…マサツグに微笑みながら安全と
答えると、更にマサツグを困惑させる!…では如何して!…何故にマサツグが
こんなにも困惑して居るのかと言う事なのだが、その理由はと言うと…
__…どよおぉ~~ん!!……
{…ほ、本当に大丈夫なのか!?…
こんな紫色をした茶なんて聞いた事がねぇぞ!?…
…まぁ確かに香ばしい匂いはして…玄米茶みたく感じるが!…
それにしたってこの色は!?……}
「……ごひゅじんひゃま?…」
「ッ!……えぇ~い!!…」
女将さんから貰った薬湯は何処をどう見ても真紫!…ハーブティーでも見ない
色をしており!…しかしその薬湯からは一応香ばしい匂いが…だが目にも
鮮やかな紫が邪魔をしては飲ませる事を躊躇わせ!…ライザも疑問を持った
様子でマサツグが見ている薬湯の様子を覗きに来ると、途端にその光景を
見ては固まってしまう!…そしてアヤも疑問に思った様子で覗き込んでは
同じ様に戸惑いを覚え!…マサツグが悩んでいる一方でシロも呂律が回らない
ながらも不思議そうにマサツグの顔を覗いて居ると、マサツグも遂には覚悟を
決める!…
__スッ……ッ!……
「…ごひゅひんさまぁ~?…これはぁ~?…」
「これは薬だ!…これをゆっくり飲むんだ!…
そうすれば楽になる!…」
「……はいです…」
マサツグはシロの口元にその茶碗を持って行く!…すると当然シロは疑問を
覚えた様子で茶碗を覗くなり質問をし始め!…マサツグもその質問に対して
薬と安心するよう声を掛けると、葛根湯を飲ませようとする!…この時シロは
表情からも若干嫌そうな表情を見せるのだが、マサツグが勧める事によって
渋々返事…シロは少しづつながらもその葛根湯を飲んで行き、落ち着いた所で
再びベッドへ寝かされると、それは突如異変を起こす!…
__ンクッ…ンクッ…ンクッ…ンクッ……ぷはぁ~!………スッ……
「……どうだ?…シロ?…」
__…プルプルプルプルプルプルプルプル!!…
「ッ!?…ど、如何したんだシロ!?…おい大丈夫か!?…
シロ!!…シロ!!!」
心配した様子でマサツグはシロを寝かせ!…その容態を見守り回復するのを
祈って居ると、それは突如起きる!…シロの体がプルプルと痙攣するよう
震え出すと、その顔色も真っ赤に!…まるで発熱が更に増した様に発汗も
凄く!…容態が急変した事でマサツグも慌ててシロに声を掛け出すが、当然
返事は返って来ない!…もはや憑き物につかれた様な反応を見せるシロに
マサツグはパニック!…何あらその様子を一緒に見て居るとアヤやライザも
驚き戸惑い!…マサツグが何度もシロの名前を呼んで居ると、遂に事が
切れた様にシロは動かなくなる!…
__ビクンッ!!……………
「シロ?…おいシロ!?…生きてるか!?…」
「………。」
「……これって本当に薬湯なんだよなぁ?…」
一際大きく最後に痙攣をするとシロは遂に動かなくなる…そしてマサツグが
何度シロの肩を揺すろうとも目を覚まさず、何度声を掛けても返事をする事は
決してないのであった!…ただうんともすんとも言わないシロの横たわる姿に
マサツグも立ち尽くし…薬湯を疑い!…まるで絶望に俯いた様子のまま
女将さんに三度質問をし始め!…女将さんも初めて見る反応に戸惑った様子で
返事をすると、マサツグは有る行動に出る!…
「へ、へぇ!…間違いありません!…
我々の間でも飲まれる者で私も何度かお世話に!…
で、でもまさかこんな事になるなんて!?……」
_……ガッ!!…グイッ!!……
「ッ!?…ちょ!?…」
「マ、マサツグ!?…」
横たわるシロを目の前に女将さんも狼狽え!…まさかの事態に衝撃を隠せない
様子で受け答えると、マサツグは暫くの間沈黙した後、突如として残りの薬湯に
手を伸ばす!…そしてアヤやライザが見て居る前で一気に飲み干し!…当然の
如く二人を驚かせると、マサツグの体にも異変が起きる!…それこそシロみたく
発汗に体の震え等は無いのだが!…突如として喉を押さえてはまるでサスペンス
が如く蹲り!…
「ッ!?…グッ!!…ガハッ!!…」
__カラァン!!…カラカラ…
「な、何をやってるの!!!…
《せ、精霊よ!…水の精霊よ!!…》」
「……女将はん?…これ?…
事と次第によっては悪いけど…覚悟して貰うで?…」
「ッ!?…そ、そんなぁ!?…ウチはただ!!…」
呻き声を上げては茶碗を落とし!…空しくその茶碗の転がる音が室内に小さく
響くと、マサツグは膝から折れて崩れる!…すると慌ててアヤがマサツグの
元に駆け寄ると、魔法で救出を試み!…その一方でライザは女将さんに対して
不信感を持ち出し!…最悪アンタを詰め所に突き出す!と言った鋭い眼光を
女将さんに向けると、当然の如く女将さんは慌てる!…そして必死に弁明しよう
としている一方で、マサツグもその話を聞いて居たのか!…
__……スッ……パタパタパタパタ!…
「……ッ!…な、何やその手は?…まさか許せ言うんか?…
だとしても自分のペットの命が奪われてんやぞ!?…
さすがにお人好しが過ぎる!…」
「チ!…違!……シロ!…死んで…ない!!…」
「ッ!?…はぁ!?…おいおい!……現に目の前でトンデモナイ!…」
マサツグはライザに対して手を突き出すと左右に振り!…まるで違う!と
言った風にジェスチャーをすると、ライザもそのジェスチャーに気が付く
なり戸惑い出す!…その際自身のペットが殺されたんだぞ!とマサツグに
言うのだが、マサツグは苦しそうにそれを否定!…かなり聞き取り辛い
声で喋ったのだがライザは聞き取り!…更に戸惑った様子でマサツグに
その意味について尋ね出すと、徐々にマサツグも回復する!…
「……ガッハ!!…ゲッヘ!!…ゴッホ!!!……あぁ~…
何なんだこれ!?…ヤバ過ぎるだろ!!…」
「ッ!?……はぁ?…」
「ッ!!…マ、マサツグ!!…貴方大丈夫!!……ッ!?…」
突如として咳き込み出すと徐々に立ち上がって見せ!…マサツグも復帰した
様子で先程の薬湯の感想を口にすると、その様子にライザも困惑する!…
先程まで苦しんで居たと思えば次にはケロリ!…もはや何が何だか分からず
困惑!…ただひたすらに困惑して状況に付いて行けないで居ると、アヤも
マサツグが復帰した事で心配をする!…その際マサツグの顔を見て状態を
確認しようとするのだが、アヤはマサツグの顔を見た途端に言葉を失い!…
マサツグもマサツグでそんなアヤの事など露知らず!…シロがまだ生きて
いる事を口にすると、その理由を話しては呼吸を確かめる!…
「あぁ~…酷い目に遭った!…まさかこんなに苦いモンだとは!…
それにシロがもし死んだのなら通知が来る筈!…
それが無いって事はまだ生きてるって事だ!………うん!…
浅いが息は有る!…恐らく例によって副作用的な……って、如何した?…」
「ッ!?…ッ~~~~!!!……」
「……ッ?…何?…如何したってんだよ?…」
シロの口や鼻に手を近付けるとちゃんと息はしている様子で微かに寝息が!…
マサツグもそれをちゃんと確認してホッと安堵し!…女将さんは冤罪!と
ライザに言おうとするのだが、ふとある異変に気が付く!…それはアヤや
ライザの表情が困惑!…いや!…微かにだが笑って居る様に見え!…マサツグは
当然そんな二人に対して質問をし始め!…二人は二人で喋りたくとも喋れない!
と言った反応を見せると、露骨にマサツグから視線を逸らす!…
__プイッ!…プイッ!!…プイプイッ!!…
「……んん~?…何故に視線を…」
__……チョイチョイッ!……ッ?…
幾ら視線を合わそうとしても二人は顔を背けて逃げ!…フェイントを掛けて
無理矢理にでも視線を合わせようともするが、やはり逃げる!…その徹底した
逃げにマサツグが戸惑い疑問を感じて居ると、徐に肩を突かれ!…それに
反応して振り返ると女将さんが立って居り!…女将さんもやはり何処か笑いを
堪える様な!…そんな苦悶の表情を浮かべて様に見えると、ある助言を
マサツグにする!…
「お、お客さん?…向こうに鏡が有るからそこでご自身の姿を!…
そうしたらお二人様の気持ちが分かるかと!…」
「……え?…」
__……コッ…コッ…コッ…コッ……ッ!?…
「な!?…何じゃごりゃあああああぁぁぁぁぁ!?!?」
女将さんがした助言とは鏡を見る事!…当然そんな事言われたのでマサツグは
更に戸惑い!…一体如何言う事か?と思いつつ!…言われた通りにその鏡の
有る方へ向かい歩いて行くと、鏡を覗き込む!…するとそこに映っていたのは
言うまでもなく自分の顔なのだが!…その顔は何故か某・滝行をする梅干し
みたくしわくちゃの険しい顔つきで!…そして恐ろしい事に本人からすれば
その表情は無自覚だったらしく!…それを見るなり本人も驚いた様子で声を
上げると、次には部屋一体から笑いが上がる!…
「ッ~~~!!!…ぶううぅぅぅ!!!…
だあぁ~~っはっはっはっはっはっはっは!!!…
お、おいおい!…気付いてなかったんかい!!!」
「それにしても凄い顔よ!?…ホント!!…
そんな顔した人初めて見た!!……」
「ククククク!……ッ!…
もう一方にも飲ませないといけないのでしたね?…
少々お待ちを!…準備してまいります!…」
マサツグの顔一つで陰鬱な空気は吹き飛び!…ライザとアヤは大爆笑!!…
女将さんも先程まで疑われていた事を忘れた様子で笑って居り、はたと
気が付いた様子でフィロの分を用意しに戻ると、部屋を出る!…その一方で
シロも徐々に回復して落ち着きを取り戻し!…残るはフィロなのだが…
その肝心のフィロは如何やら物を知って居るらしく!…用意されて目を
覚ました際、マサツグに文句を言う!…
__約十数分後……
「い~や~な~の~じゃ~!!…これ位の病!!…
わっちの妖力さえ戻れば!…ッ!!…ケホ!…コホコホ!!…」
「ほら戻って無いからそんなに咳き込んだろ?…
良いから飲め!…それとも幼児化した事で舌も幼児化したのか?」
「ッ!?…バ、馬鹿にするでない!!…
コレは元々苦手なのじゃ!…
…苦いし風味もアレじゃし!……苦いし…」
「同じ事二回言ってるぞ?…」
隣でシロが寝ている一方でフィロは我儘!…これを飲む位なら自力で直すと
意地を張り、掠れた声ながらも息を巻く!…しかしそれが良くなかったと
ばかりに直ぐに咳き込み始めると、マサツグもそんなフィロにあやす様に
言葉を掛け!…フィロの口元に薬湯を持って行き、何とか飲ませようと試みる
のだが!…やはりフィロネウスは駄々を捏ねる!…この時やはり子供みたく
シュンとすると、耳を前に倒しては苦手と言い!…その際余程苦手なのか
同じ言葉に二度口にし…マサツグもその言葉を聞いて思わずツッコミを入れて
居ると、そんな駄々っ子のフィロから質問を受ける!…
「……それはそうとマサツグ…何でそんな険しい?…
いや、しわくちゃな顔をしておるのじゃ?…まるでこれを飲んだ様な?…」
「いや飲んだからこんな顔になってんの!…
さっきシロに飲ませたら反応が変だったから!…
俺も毒味で飲んだらこうなったの!…」
「ッ!!…なら余計に飲まないのじゃ!…
…ッ!!…ケホッ!!…コホコホッ!!…」
「ッ!?…あぁ~もう!!……ッ!…
だったら!…女将さん!…はちみつか砂糖って有ります?…」
「ッ!…へ、へぇ…少々お待ちを…」
フィロの質問の内容は当然マサツグの顔の事で!…マサツグが今だ○梅をして
居る事に疑問を持つと、的確にその原因を当てるよう言葉を口にする!…
するとマサツグも誤魔化す事無くその訳について肯定すると、毒味をしたから
と言い出し…勿論そんな話を聞いてフィロは更に抵抗!…咳き込みながらも
飲まないと言った意思をマサツグに見せると、マサツグも遂には面倒臭くなった
具合に策を考える!…その際直ぐに思い付いた様子で女将さんを呼ぶと、
甘みのある調味料を要求し!…女将さんも女将さんでそれを聞いて厨房より
持参!…約数分を要してマサツグの言う通り蜂蜜の他に甘みのあるモノを少量
持って来ると、女将さんはそれをマサツグに渡す!…
__…数分後……
「……お待たせしましたぁ~!…
蜂蜜に砂糖に果物のシロップ漬け…今ウチに有るのはこれ位で…」
「いや十分です!…ありがとう!…
じゃあ!…」
__…とろ~り…サラサラ…スッ……クルクルクルクル……
「…これで飲める筈だ…さぁ!…フィロ?」
甘味料を受け取ったマサツグは女将さんにお礼を言うと調合?…を始める!…
思わず顔が男○になってしまう位の苦さ、渋さを誤魔化す為に蜂蜜を入れ!…
更に砂糖を少量!…駄目押しで果物のシロップ漬けを一切れ浮かべ、風味付け
をするよう現状より飲み易くすると、完成とさせる!…その際実際はどんな
味がするのかは未知数なのだが!…それでもマサツグはこれで飲めるとフィロに
手渡し!…フィロはフィロでそれを使付けられた事で耳を伏せっとさせ!…
次には怪訝な表情を浮かべてマサツグに見るが、マサツグは容赦をしない!…
__……チラッ?……
「……早く飲まないと無理やりにでも飲ませるぞ?…」
「ッ!?…わ、分かったのじゃ!…うぅ~!……
ッ~~!!…えぇ~い、ままよ!!!」
__グイッ!!…ッ!?……ングッ!…ングッ!…ングッ!…ングッ!…
「……ぷはぁ~!……うぅ~!!…
甘いのか苦いのかよう分からん味じゃ~…
とにかく不味い!……しかし……」
躊躇うフィロに対してマサツグは笑顔で脅迫!…そんなマサツグの笑顔を見て
本気と受け取るとフィロも慌てて飲むと言い!…若干時間と覚悟は要ったものの、
一気に飲み干して何とか事を済ませると、マサツグからの怒りを治める!…
その際やはり不味かったのか、眉間にしわを寄せつつ味の感想を口にし…
それでもその効果は有ったと!…自身でもその効果が感じられる具合に突如
自身の手を見詰め出すと、次の瞬間発汗する!…
__……シュンシュンシュンシュン!!…ブワアァァ!!……ッ!?…
「あぁ~!…サウナに居る様な気分じゃ~…
汗が止まらん!…一先ず湯浴みに言ってもよいか?…」
「ッ!?…い、いやいや!…さすがにその状態で行くのは!…」
「マサツグが同伴したら良いのじゃ~♥…
今やら艶やかなわっちの体を余す事無く見る事が♥…
何ならいつでも求めてくれれば♥…」
「……随分と元気そうだな?…心配する必要も無さそうだ…」
まるで何か変な呪いにでも掛かったようフィロは滝の様に汗を掻き!…そんな
フィロの様子にマサツグ達も戸惑い驚いて居ると、フィロはそんな状態を
焦る事無くサウナに例える!…そして自身が汗を掻いて居る事に対し!…
風呂に入りたいと!…すると当然その言葉にマサツグが慌てて止めに入り!…
真面に風呂も入れる状態じゃない!と言おうとすると、フィロはマサツグを
挑発する!…この時肌をワザと開けさせては頬を染めマサツグの劣情を煽る
のだが、マサツグはスンッと!…逆に呆れた様子で心配を止め!…行くなら
行って来いとばかりに冷たい視線を向けると、フィロはその視線にビクッと
する!…
「ッ!?…おおぅ!…あ、相変わらずの冷たい視線!…
でも何故じゃろう?…心成しか心地よい気が…」
「……はあぁ~……スマンがアヤ?…頼めるか?」
「ッ!…今度の酒場は奢りね?」
「ッ!?……しょうがねぇなぁ!…
今回色々助けて貰ったし!…」
マサツグからの冷たい視線に対してフィロは動揺!…しかし次には何か別の
扉を開いた様子で頬を染め!…そんなフィロの様子にマサツグも更に呆れて
見せると、アヤにフィロの同伴をお願いする!…するとそのマサツグからの
お願いに対してアヤもマサツグにあるお願いをすると、マサツグはその言葉に
戸惑い!…しかし今までシロやフィロの面倒を見ててくれた事!…そして
今も面倒を見てくれようとしている事に!…マサツグも感謝をすると同時に
申し訳なさを感じると、アヤの言葉を聞き入れる!…するとアヤはマサツグに
対してガッツポーズで喜びを露わにすると、意気揚々とフィロを抱え!…
「よっし任せて!…こう見えてお子様の面倒を見るの得意だから!…」
「ッ!!…こりゃ貴様!!…
今わっちの事をお子様とぉ!…ッ!!…ケホッ!…ケホ!…」
「はいはい無理しないの!…場所は大浴場で良かったわね?
それに貴方もそんだけ汗を掻いたら気持ち悪いでしょ?…
さっさと流しちゃいましょ?」
「……クッ!……病に罹って居らねばこの様な横暴を!!…」
フィロを抱えるなり扉の前へ!…その際子供の世話をするのは得意とアヤが
豪語すると、フィロは自身が子供扱いされている事に文句を言う!…そして
アヤに向かって続けて抗議をしようとするのだが、次には言葉に詰まって
咳き込み始め!…そんなフィロの様子にアヤも宥めるようあやして見せ!…
そのまま部屋を出てフィロと共に大浴場へと向かい出すと、フィロは力尽きた
様子で言葉を残す!…この時のフィロの表情を言わずもがな、苦虫を噛んでは
ガックリと折れて居り!…ドナドナされて行くフィロの様子にマサツグ達も
見送り!…ここでふとライザが疑問を持った様子でマサツグにある質問をし
始めると、フィロは次の瞬間ショックを受ける!…何故なら!…
「……ッ!…そう言えば?……
お前どうやってあの子にあの葛根湯を飲ませるつもりやったんや?
あの様子やと鼻摘まんでも口を開きそうに無かったけど?…」
「え?…ンなモンきまってんじぇねぇか。
指を入れてこじ開けるなり!…俺が口に含んで無理やり流し込んだり!…」
__ピシャアア~~~ンッ!?!?!?!?……
{よ!…よもや!…口移しのチャンスが有ったと言うのかや!?…
あの状況で!?…しかも無理やり口を開かれ流し込まれる!?…
…あぁ~何故!!……何故わっちはあの時抵抗せなんだ!!!…
わっち!!…一生の不覚!!!……}
__ガクンッ!……ッ?…
ライザの質問とはフィロがもし葛根湯を飲まなかった場合の話で、ライザと
してはあのフィロの守りを如何崩すかが気になったらしく!…特に不純な
気持ちは一切なく、単純に好奇心から来ており!…そんなライザの質問に
対してマサツグも普通に返事をすると、自分が出来る限りの手段を話す!…
するとそのマサツグが話す手段の中には口移しが含まれており、それを耳した
フィロは当然ショックを受け!…何故あの時更に抵抗しなかったのかと
数分前の自分を後悔し!…更に力尽きた様子でガックリと折れると、
その様子にアヤが疑問を持つ!…さてそうしてフィロがドナドナされて行った
一方でシロも遅れながらに発汗をし始め!…マサツグもシロの世話に追われると、
その日一日は看病!…その際ライザも同じ宿を取ってその日を終えると、
ドタバタの過ぎ去った次の日を迎えるのであった!…
__チュン…チュン…チチチチチ……
「……ん…うぅ~ん……あれぇ?…シロはぁ?……ッ!…」
__スコォ~…スコォ~……
「ッ!……えへへへ♪……ッ!…」
この日珍しく先に目を覚ましたのはシロであった。シロは目を覚ますなり
自身の体が軽い事に気が付き!…ダルさや熱が下がっている事にも気が付くと、
不思議に思いつつ辺りを見回す…するとそこで寝落ちをして居るマサツグの
姿を見つけては、初めてマサツグより先に起きた事でハッとし!…初めて見た
マサツグの寝顔にトキメキを覚え!…ただジッとその寝顔を見詰めて微笑ましく
感じて居ると、更にある事にも気が付く!…
__……ギュッ!…
「ご主人様……ッ~~~!!!…ッ!…」
それはマサツグがシロの手をギュッと握っている事であり、マサツグとしては
葛根湯を飲ませた事で安心はしてるのだろうが、やはり不安であって!…自身の
不安を掻き消す為!…何なら自身の体力を分け与える様に!…別にそう言う
スキルが有る訳でも無いのだがシロの手をギュッと握っており!…そうしてシロの
面倒を見て居る内にマサツグは寝落ち!…シロもそれを把握した様子で一気に
マサツグへの好感度が更に完凸しそうになると、ある事を考える!…
__ゴソゴソ…そろ~りそろ~り…ヨジヨジ…ヨジヨジ…ヒョコッ!…
「…大好きです♥…ご主人様♥…」
__チュッ♥……
「……ん?…んん~…何だぁ?…
今何か蚊に刺された様な?……」
__ガアァ~ン!!!……ぷっくうぅ~~!!!…ブンブンブンブン!!!…
ある事を思い付いたシロは早速実行に移し始める!…その際マサツグの握る手を
一度離すと起こさない様にベッドから起き!…次にベッドの上を這う様に匍匐前進
をすると、寝ているマサツグへと近付いて行く!…その際マサツグとの距離を
詰めた所で改めて恋人の様に手を握ると、上体を起こしてマサツグの頬に顔を
近付け!…そして寝ているマサツグに大好きと一言口にし!…マサツグの頬に
軽くフレンチキスをすると、再びその寝顔を見詰めて微笑み始める!…だがその
シロのキスが目を覚ますきっかけとなった様で、マサツグはキスされた頬を撫で
ながら目を覚まし!…その際キスされた事を蚊に刺されたと勘違いした様子で
寝惚けて居り!…その一言でシロがショックを受け!…勿論ブン膨れてマサツグに
抗議の尻尾振りをして居ると、マサツグも漸く意識をはっきりさせてはシロが
起きて居る事に気が付く!…
「…うぅ~ん………ッ!?…シ、シロ?…」
「……はいです!…」
「……もう…大丈夫なのか?…」
「……はいです!…」
眠い目を擦りながら意識をはっきりさせて行き!…そして目の前に膨れている
シロの姿を見つけると、マサツグはその目を見開いて見せる!…そしてシロが
起きている事について声を掛けると、シロは不服そうにマサツグへ返事!…
その際もしっかりと膨れて居り!…今だマサツグに対して抗議の視線を向けて
居ると、構わずマサツグは再び質問をし始める!…その質問もシロの容態に
ついて尋ねる言葉なのだが、シロはやはり膨れて居り!…余程蚊に刺されたと
言われた事にショックを受けた様子で!…とにかくマサツグに対して抗議の
視線を向けて居ると、マサツグは更に目を見開くなりシロに飛び付く!…
__………ッ~~~~~!!!!……ガバァ!!!…
「ッ!?…きゃああああぁぁぁ!!!………ッ?…ッ!…」
「よかったああぁ~~!!…シロが元気になったあぁぁ~~~!!!!」
「ッ!!……ご主人様!!………えへへ♥」
感極まった様子で両腕を広げ!…覆い被さる様にしてマサツグがシロを押し
倒すと、シロは驚いた様子で悲鳴を上げる!…しかしそのシロの悲鳴も
長くは続かない様子で、マサツグが安堵している事に気が付くと、それは
途端に喜びに変わり!…マサツグはマサツグでシロが無事完治した事で
大喜び!…声に出してシロを抱き締め安堵の様子でベッドの上を転がって
居ると、シロも改めてマサツグが看病してくれた事に感謝をする!…
その際既に蚊に刺された等と言われた事に対しての不満は消えて居り!…
大好きなマサツグが今抱き締めてくれている事!…看病をしてくれた事!…
心配をしてくれた事等々!…色々な感情が溢れ出しては!…更にマサツグの
事をシロは好きになるのであった!…
※ 尚、今回この話に出て来た葛根湯は現実の物とは当然味等が異なる為、
本物を飲まれた際、味が違う!…と言ったご指摘等は受け付けません
ので悪しからず…あくまでもこれはこの世界での話で有り、現実と
一緒にされないよう願います。
応援ありがとうございます!
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