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008 被害者視点…?
しおりを挟む俺の名前はオルセイン・シュレヴィッツ
今年28になった。
現在第2騎士団の副団長を務めている。
俺の黒い髪は硬く、目も紅い目で二重ではない。
この世界の男は髪は柔らかくて美しく、目は二重で大きいほど男前と称される。
俺は男前のどれにも当て嵌まらない。
当て嵌まらないどころか俺の顔は女性は見るのも耐えられないほどの不細工だ。
それについてはもう諦めいる。
侯爵家の嫡男としは申し訳ないが、親戚筋から養子をもらえば良いだろう。
実際、女性の数が少ないので貴族間では往々にしてある。
結婚に憧れはあったが…こればかりは相手がいることだから仕方ない。
だから俺は昔から身体を鍛えることにした。
自分を認めてもらえる何かが欲しかった。
おかげで副団長にまでなれたのだから俺の人生も良かった方だと思う。
「やぁ、オルセイン!今日は宜しく頼むよ。」
振り向くとさらりと長い銀髪が美しい男がいた。
こいつは第1騎士団、副団長のスタニラス・ディント。ディント公爵家の三男だ。
第1騎士団は見目が良く、貴族の子息しか入隊出来ないから最初は平民が多い第2騎士団のことを侮っている奴らが多い。
だがこの男は騎士団に大体同じ時期に入団した時に俺がスタンをぶっ倒したら認めてくれたらしく、
そこからは見た目に反してなかなかえげつない事もする時もあるが、基本気のいい奴だ。
自分自慢が凄いけどな。
「スタン、こちらこそ宜しく頼む。
今日を楽しみにしている奴も多くてな。
なんでも第1の奴らを倒したがっている奴らが多いらしい。」
「おぉ~怖いねぇ~。まぁ楽しみにしてるよ♪ 」
軽やかに去っていく男は本当に男前だと思う。
ーーーーーーガヤガヤガヤガヤーーーーー
これだけ集まると騒めいてしょうがないな。
まぁ今回は黄薔薇姫と白薔薇姫がいるから余計に騒めいているのか。
愛くるしい容姿に小さな金髪が美しい黄薔薇は侯爵家の一人娘だ。
ここにいる貴族の次男、三男の奴らはあわよくばお眼鏡に叶いたいのだろう。
それにあの小柄で可愛らしい様は男の加護欲を引き出す。俺なんかが側に近寄ったら犯罪にしか見えないがな。
対して白薔薇姫は美しい白金の髪と綺麗な蒼い瞳が印象のとても美しい女性だ。
目は大きな二重で唇は小さく小顔だ。
あと、なんと言ってもスタイルの良さがとても目につく……いや、女性に対して失礼だな。
ただ、人のことは言えないがあまり社交には出てこないので、少しミステリアスな雰囲気も相まって、良く妄想に出てお世話になっている…。…………男には色々と事情があるので見逃して欲しい…。
俺ももう一回見たいが、俺なんかが見て恐がらせてしまったら可哀想なので我慢しよう。
ーーーーーーーゾワリッ
なんか尻から物凄い視線が感じたような…?
ふと視線の感じた先を見ると……その先には美しい白薔薇姫がいた………。
いや、まさか白薔薇姫が俺のことを見ていないだろう。
この歳で勘違いしては恥ずかしすぎる。
白薔薇姫の美しい顔を見れただけで良かったとしよう。
ーーーーーーー「解散ッ!!」
団長の大きな声で公開演習が終わった。
やはり普段第2は人前で仕事をすることはあまりないので動きが硬かったな。今後の課題としよう。
「オルセイン!!お前また腕を上げたな~!
最後の試合、こちらが負けてしまったが今度は負けないからな!!」
肩をバシバシ叩きながらスタンはにこやかに隣に来た。
こいつは本当に見た目と性格が合わないよな…
女性は大抵クールな雰囲気かと思って近づくが、過激な性格に驚いている。まぁそれを差し引いても男前だから引く手数多みたいだが。
「そういえば、今日は白薔薇姫が来ていたな。美しかったなぁ~!」
「そうだな。」
「なんか俺たちの試合すげー見てたよな…」
「そうか?」
「あぁ、すげぇ表情で見ててちょっと興奮した。」
「お前…そんな余所見ばかりしているから負けるんだぞ。」
「まぁそう言うな!あの白薔薇姫に見られたらしょうがない!
カッコいい姿を見せておきたかったが…
後ほどお会いした時にお声掛けさせて頂こう。まさか白薔薇姫が俺に気があるとはな…」
ニヤリと笑いながらも嬉しそうだ。
スタンは鼻歌を歌いながら宿舎の方へ戻って行った。
「白薔薇姫とスタンか……お似合いだな……」
自分で言って少し胸が痛くなった気がしたが
気づかないフリをした。
そのまま宿舎に戻る気にもならず、少し頭を冷やす為に足を井戸の方へ歩みを進めた。
ーーーーーーーばしゃっ
頭から冷たい水を被ると少し昂ぶった気が落ち着いてきた。
あの蒼い瞳を見たら普段は抑えてる欲がどんどん出てきそうだ…
でもこれからは友人の恋人となったらそういったのも失礼になるな………
ーーーーーーーガサリ
いつもだったら早急に気づけたのだろうが少し考え過ぎていたみたいだ。人が背後にいた。
ーーーーーーー驚いた。
そこには美しい人がいた。いや、本当に人か?女神の間違いではないか?
女神は何故かこちらを黙って見ているんだが……
どうしよう………少し恥ずかしい………
この歳になって本当情け無いが、俺は女性と一対一になったことも数えるくらいしか無い。だから女性の扱いは本当に分からん。
勇気を振り絞って声を掛けたら女神は迷子だったみたいだ。可愛いな。
思わずニヤケそうなったので誤魔化すように急いで服を着よう。こんなオッさんのニヤケ面など気持ち悪いだろうからな。………自分で言ってダメージ受けた………。でも10歳も離れてればオッさんだよな………。
流石に若い女性の前で半裸はまずいから、シャツを着て身なりを簡単に整えてから改めて自己紹介をした。どもらず出来ていた筈だが……女神が近くてどうしよう…!えっ?さっきまであっちにいたよな?!
しかも女神はその美しい蒼い瞳をしっかりと俺の目を見てくれる。ただそれだけだが、俺には凄く嬉しい…。いつも俺の紅い瞳は恐怖の対象だから……。
でも女神を見続けるのは俺には無理だ……。…………情けねぇ。
ーーーーーー「きゃっ!」「危ないっ!!」
よろけた女神を、抱きとめて、しまった。
ーーーどうしよう。
いつも仕事中に魔獣に囲まれて命がやばい時でも冷静に対応する事が出来ている筈なのに、この時の俺は頭が真っ白になってしまったようだ。
ーーーーーーースリィ…
女神の、柔らかな頬が、俺の胸元に、寄せられている………?
一瞬理解が出来なかったが、もしかしたら足を痛めていたのかもしれない!!
慌てて確認したが、大丈夫なようだ。
女神はやはり白薔薇姫と呼ばれる女性で間違いなかったようだ。いや、女神なのも間違いではないな。
少し女神が俺の腕の中から離れたのは寂しい気持ちが出たが、気を取り直してエスコートすることにしよう。
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長くてすみません。
もう少しだけ続きます。
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