70 / 369
第8章 To embrace
4
しおりを挟む
こんなことなら、禁煙ではなく、喫煙可の部屋契約させれば良かった……
俄に痺れ始めた足と、煙草も吸えないことへの恨み節に心の中で盛大な溜息を落とし、膝の上の智樹に視線を向ける。
「ったく、気持ちよさそうに寝やがって……」
智樹が起きる気配は……全くもってない。
俺は寝ている智樹のシャツの背中を、そっと捲った。
「何だよこれ……」
普段は面倒臭がりな智樹が、ストリッパーだから、肌を見せる仕事だからと、珍しくケアを怠らなかったその白い肌には、背中だけじゃない、全体に渡って顔と同じように無数の擦り傷と、赤黒く鬱血したような痕が無数にあって、それを見ただけでも怒りが込み上げて来るのに、更に追い討ちをかけるように視界に飛び込んできた、手首の痣……
相当強い力で抑え込まれたんだろうな……
所々人の指の痕の様な痣が残っている。
「これも……和人のせいなのか?」
智樹をこんな目に遭わせたから……、だから和人は黙って姿を消したのか?
そうなのか、智樹?
だとしたら俺は、和人を……、アイツを許さねぇ……
和人の身に何があったのかなんて、理由は知らない。
仮に智樹を問い詰めたところで、智樹が簡単に口を割るとも思えねぇし、俺もあえて聞くつもりはねぇ。今までもそうしてきたし、これからも変わることは無い。
ただ智樹が自分から話せば別だが……
智樹の身体にも、そして心にも傷をつけておいて、勝手に逃げるなんて……最低の人間のやることだぜ?
分かってんのか、和人。この落とし前、どうつけて貰おうか……
沸々と湧き上がって来る怒りの感情と、煙草さえもろくに吸えない苛立ちとが混じり合って、俺は硬く握った拳をベッドに叩き付けた。
その振動が身体に伝わったのか、智樹が俺の膝の上で小さく身じろいだ。
俄に痺れ始めた足と、煙草も吸えないことへの恨み節に心の中で盛大な溜息を落とし、膝の上の智樹に視線を向ける。
「ったく、気持ちよさそうに寝やがって……」
智樹が起きる気配は……全くもってない。
俺は寝ている智樹のシャツの背中を、そっと捲った。
「何だよこれ……」
普段は面倒臭がりな智樹が、ストリッパーだから、肌を見せる仕事だからと、珍しくケアを怠らなかったその白い肌には、背中だけじゃない、全体に渡って顔と同じように無数の擦り傷と、赤黒く鬱血したような痕が無数にあって、それを見ただけでも怒りが込み上げて来るのに、更に追い討ちをかけるように視界に飛び込んできた、手首の痣……
相当強い力で抑え込まれたんだろうな……
所々人の指の痕の様な痣が残っている。
「これも……和人のせいなのか?」
智樹をこんな目に遭わせたから……、だから和人は黙って姿を消したのか?
そうなのか、智樹?
だとしたら俺は、和人を……、アイツを許さねぇ……
和人の身に何があったのかなんて、理由は知らない。
仮に智樹を問い詰めたところで、智樹が簡単に口を割るとも思えねぇし、俺もあえて聞くつもりはねぇ。今までもそうしてきたし、これからも変わることは無い。
ただ智樹が自分から話せば別だが……
智樹の身体にも、そして心にも傷をつけておいて、勝手に逃げるなんて……最低の人間のやることだぜ?
分かってんのか、和人。この落とし前、どうつけて貰おうか……
沸々と湧き上がって来る怒りの感情と、煙草さえもろくに吸えない苛立ちとが混じり合って、俺は硬く握った拳をベッドに叩き付けた。
その振動が身体に伝わったのか、智樹が俺の膝の上で小さく身じろいだ。
0
あなたにおすすめの小説
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
鍛えられた肉体、高潔な魂――
それは選ばれし“供物”の条件。
山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。
見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。
誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。
心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる