S/T/R/I/P/P/E/R ー踊り子ー

誠奈

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第18章   Emotion 

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 その直後からだろうか、俺への指名が急に増え出したのは。

 以前は一日おきだった仕事が毎日入るようになって、そのうち一日に何度も指名が入るようになり、気が付いた時には、一日に何人もの相手をさせられるようになっていた。


 当然、俺の身体はボロボロになる一方で……


 心配した和人は、俺に指名を断るように言った。
 でも俺は、まだ大丈夫だと、どうってことないと言い張り、和人の忠告を跳ねのけた。


 和人が俺を思って胸を痛めていることを知りながら……


 客の中には、当然だけどアイツ、あの変態趣味のインポ野郎もいて、インポ野郎は会う度に俺に薬入りのウィスキーを飲ませた。

 最初こそ疑うことなくそれを受け入れていた俺も、流石に毎回ともなると、自分が何を飲まされているのかは気になるし、それを飲まされた後に襲う、倦怠感と高揚感との繰り返しに不安になり、何度か尋ねたこともあったが、その度にインポ野郎は、「お前が知る必要はない」と答えを渋った。

 でも明らかに世間一般で流通している代物ではないと確信した俺は、インポ野郎と会う時に限ってだけ、佐藤から持たされた携帯電話を隠し持って行くようにした。


 まさか本当にそれを使うことになるとは、思いもせずに……




 男は俺が部屋に入るなり、薬入りのウィスキーを俺に差し出した。でもその日は朝から酷く身体が重くて、俺はそれを飲むのを拒んだ。


 それがいけなかったんだろうな……


 激昂した男は、許してくれと懇願する俺を何度か殴り倒した挙句、無理矢理開かされた口の中に液体を流し込んだ。
 瞬間、全身が痙攣したように震え出し、頭が割れるような痛みが俺を襲った。

 「ウッ……、あぁぁっ……!」

 突然呻きを上げて床に倒れた俺に驚いたのか、男は血相を変えて部屋を飛び出て行った。


 誰か……、助けて……


 それまで感じたことのない痛みと息苦しさに藻掻きながら、俺はジャケットの内ポケットの中に隠し持った携帯電話を取り出すと、たった一件登録された番号に電話をかけた。

 「もしもし、智樹か? どうした? おい、智樹?」

 電話の向こうから聞こえる佐藤の声が、徐々に切羽詰まった物に変わっていくのを聞きながら、俺は電話をギュッと握り締めると左耳に宛てた。

「助け……て、翔……真……」

 届くことのない言葉を、聞こえることのない耳に宛てた電話に向かって呟いた。
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