H・I・M・E ーactressー

誠奈

文字の大きさ
上 下
32 / 688
第3章  scene1:屋上

しおりを挟む
  「お疲れ様でしたぁ♪」

 長井さんから受け取ったブランケットを肩に掛けながら、カメラマンさんと監督さんに頭を下げて、下したパンティを定位置まで引き上げる。
 大事なの出しっぱなしにして、風邪を引いちゃったら大変だからね。(なんたって商売道具だし)

 「今日も良いのが沢山撮れたよ」

 カメラマンさんが、撮ったばかりのデータを、監督さんと一緒にPC上で確認しながら言う。

 「本当ですかぁ?」

 言葉は勿論のこと、表面上はカメラマンさんに笑顔を向けるけど、内心は寒くて寒くてそれどころじゃない。
 不思議なことなんだけど、カメラを向けられている時は、どんなにそこが寒くても、自然と身体が火照るのに、一度カメラの前から離れてしまうと、自分でもビックリするくらい、急激に熱が冷めて行く。

 アソコ・・・だってそう。
 カメラのレンズが向けられている時は、どっからどう見ても元気100倍状態だったのに、今は……情けないくらいションボリとしている。


 やっぱり僕って、誰かに見られていることで興奮するタイプ……なの?


 「HIMEちゃん、今回もパッケージはこっちで選んじゃって良いのかな?」
 「はい、お任せします」
 「OK。じゃあ、動画からのカットも併せて、最高に可愛くて、エロいの選んどくよ」
 「宜しくお願いします」

 僕はいつも自分では写真を選ばない。
 だって、自分の写真……それも大事なトコ丸出しにしてポーズ取ってる写真とか、恥ずかしくってとても自分では選べないし、凝視するだけで照れちゃうんだもん。

 それに、僕が自分で可愛いと思った写真と、第三者が良いと思う写真とでは好みだって違う。
 だから僕はいつも写真のセレクトに関しては、監督さんやカメラマンさんにお任せすることにしている。
 勿論、ゴーグルマンだとかマスクマンだとか、顔出しNGの男優さんの場合は別として、相原さんみたく顔出しOKな男優さんの場合は、相手役の男優さんの意見も採用されたり……ってこともあるんだけどね。
しおりを挟む

処理中です...