H･I･M･E ーactressー

第12章 ｓｃｅｎｅ３：診察室

７

　バイオレットのブラジャーをずらし、おっぱいの先にあるコリコリを指で摘み、下半身に伸ばした手は、スケスケカップの上から《暴れん棒》をスリスリと撫でた。

　でもさ、どれだけ撫でたり揉んだりしても、カップの上からでは刺激が足りないのか、全然気持ち良くならなくて……

　「お願……ぃ……、これ……、外して？」

　僕は両手を忙しなく動かしながら、息も絶え絶えに松下さんに訴えた。

　なのに松下さんと来たら、「それは出来ないな」と彫刻のような顔を不敵に歪ませるだけで、僕のお強請りには一切耳を傾けようとはしてくれない。
　それどころか、手にしたリモコンのレバーを更にスライドさせると、《暴れん棒》を握った僕の手を払い除け、パンティ（しつこいようだけど、貞操帯ね）の前をグイグイと引っ張るから大変で……

　「い……やぁ……っ！」

　はち切れそうに満たされたお腹も、窮屈なスケスケカップの中でパンパンに膨れ上がる《暴れん棒》も、苦しくて息が詰まりそうになる。

　「ね……、苦し……の、助けて……ぇっ……」

　あまりの苦しさに、松下さんを縋るように見つめる目にも自然と涙が溢れてくる。
　そこをすかさず森岡監督がカメラで狙う。


　ってゆーか、何で監督さんまで全裸なの？

　そりゃそうゆー監督さんもいるにはいるけど……、流石に白いブリーフだけって、ちょっと笑える。

　苦しいやら、でも気持ち良いやらで、どうかなってしまいそうなのに、森岡監督の姿を見た途端に吹き出してしまった僕に、松下さんがチッと舌打ちをする。
　そして森岡監督も……

　ちょいちょいちょい、ダメじゃねぇか吹き出したりしたら……。せっかく良い流れになって来たってぇのに、台無しになっちまうじゃねぇか」

　肩に担いでいたカメラを下ろし、呆れた顔で僕を一瞥してから、深ーい溜息を一つ落とした。

　「ごめ……なさい……」


　でも仕方ないじゃん？
　だいたい、森岡監督がそんな変な格好してるのが悪いんじゃん？

　僕は悪くないもん！


　……って言いたいところだけど、そんなことも言えないから、僕は診察台の上でお股をおっぴろげたまま頭を下げた。
　ついでに僕の《暴れん棒》も一緒に、ペコリとした。