ＲｏｏｍＮｕｎｍｂｅｒ「０００」

第３章 ００３

１２

　向き合ったまま、暫くの間考え込む二人。

　その時、びっくり返ったワゴンの中で寝袋がゴソリと動いた音がして、二人はほぼ同時に肩をビクリの跳ね上げた。

　ターゲットが目を覚ましたんだろうか……

　二人は急に騒々しくなった鼓動を誤魔化すため、口元をキュッと引き縛り、息を鎮めた……が、それ以上寝袋が動くことはなく……
　どちらともなくホッと息を吐き出すと、脱力したように跳ね上がった肩を下ろした。

「なあ、俺、考えたんだけどさ……」

　沈黙を破るように、翔真がボソリと言う。

「な、何をだよ……」
「このままだと、確実に俺らが犯人にされる……じゃん？」
「まあな……」

　当然だと言わんばかりに、智樹が溜息を落とす。

「だからさ、アイツのせいにしない？」
「アイツ……って？」
「だから、〝アイツ〟だよ」

　分かっているくせに嘯うそぶく智樹に、翔真は少々苛立ち気味に寝袋に包まれた物体を指差した。

「そんなこと出来んのかよ……」
「分かんないよ……。分かんないけどさ、このままだと俺達間違いなく殺人犯にさせられるんだぜ？」

　頼まれたこととはいえ、誘拐を犯した上殺人の罪まで着せられるとなれば、それなりの刑罰を受ける可能性は高い。
　そうなれば、アクション俳優を目指す翔真も、歌手になりたいという智樹の夢も、全て諦めざるを得なくなる。
　それだけは何が何でも避けなくては……