雪・月・華 ー白き魂ー

誠奈

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番外編  ー朝月夜ー  其の一

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 その晩、眠気覚ましにと庭を散歩をしていた翔真は、普段は滅多に使われることのない裏門から、提灯の灯りだろうか、三つの光が庭の奥へと向かっているのを見かけた。

「こんな時分に……?」

 土地の名士でもある父を尋ねて来た客人なのか、はたまた大田家の財産を狙って忍び込んだ盗っ人なのか……

 正体が何であれ、不審に思った翔真は、連なる三つの光の後を追った。
 
 時折木の陰に身を潜めて息を殺し、足音を忍ばせながら着いて行くと、ある場所に辿り着いたと同時に、三つの光が一瞬にして消えた。

「あれ……?」

 薄闇の中凝らした視線の先には、無数の蔦が壁を包む古い蔵が建っていて、その一角だけは全く庭木の手入れがされておらず、鬱蒼とした……不気味な雰囲気さえ漂わせている。

「あ、ここって……」

 翔真自身、蔵の存在を全く知らなかったわけじゃない。
 ただ幼い頃より、大田家の当主でもある父親から、蔵に近寄ることを固く禁じられていたのと、加えて、不用意に扉を開けば、たちまち不幸が訪れるだろうなどと言われれば、幼い上に肝の小さい翔真には恐怖以外の何物でもない。

 だからこそ、翔真は蔵の存在自体を忘却の彼方へと追いやっていたのに、その蔵が今翔真の目の前に建ちはだかり、しかも固く閉ざされていた扉が開けはなられているのだ。
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