Jelly Fish

誠奈

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 俺はその人を翔真と呼ぶことにした。

 いつまでも名無しの権兵衛さんでいさせるわけにもいかないし、何よりその人が唯一覚えていたのが翔真という名前だったから。

 声をなくした翔真との会話は、当然のことだが筆談になる。
 最初はお互い不慣れなこともあって面倒にも感じたけど、それも慣れてくるとそれ程苦ではなくなった。
 どちらが始めたかは忘れたが、最近では”絵で会をする楽しみだって見つけた。
 翔真の描く絵は俺の想像を超えてに下手で、それを悩みながら解読するのも、声で会話できない俺たちのコミュニケーションの一つになった。

 何より翔真の笑顔を見られることが嬉しかった。
 俺は自分でも気付かない内に翔真に惹かれていった。

 それは多分翔真も同じで……、視線がぶつかった瞬間、俺達は吸い寄せられるように唇を重ねた。

 「ご、ごめん、やだった?」

 訊く俺に、翔真は首を横に振って答えた。そして自分の唇に指を宛て、ゆっくりと瞼を伏せた。

 「もう一回、ってこと? してもいいってこと?」

 しつこく問う俺に、焦れた翔真は瞼を閉じたまま何度もウンウンと頷いて見せ、俺は翔真の両頬を手で包み引き寄せた。

 再び重なった唇のその熱さに、もう自分を抑えられなくて、俺はキスだけで脱力した翔真の身体を抱き上げた。
 瞬間、咄嗟に俺の首に腕を回した翔真の顔が、ほんのり薄桃色に染まった。
 寝室のベッドにゆっくりと翔真を下ろし、その上に覆い被さり、啄むようにキスを繰り返しながら、震える手でシャツのボタンを外した。

 「緊張、してる?」

 うん、と頷く翔真。

 「俺も。……始めてだからさ、男とスンの。ヘタだったらゴメンな?」

 ううん、と首を横に振って答える翔真の額に、キスを一つ落とす。

 サラサラと、指の隙間から零れる髪を撫でながら唇を寄せ、僅かに開いた唇の間から舌を差し入れ、翔真の感触を楽しむように味わった。。

 時折唇の端から零れる吐息がどんどん熱を帯びて行き、翔真の手が苦しげに俺のシャツを掴み、それを合図にゆっくり離れた俺達の唇を銀の糸が繋いだ。

 翔真の半身を抱き起こし、肌蹴たシャツを肩から落とし、露になった肌に指で触れると、翔真の身体が擽ったそうにピクンと震えた。

 「かぁわい♡」

 俺の言葉に翔真の顔に火がつく。
 顔を真っ赤にして俯く翔真が可愛くて、俺はその身体をギュッと抱き締めた。
 肩に顔を埋め、首筋を舌でなぞると、翔真の腕が俺の背中に回った。

 「好きだよ、翔真…」

 俺の胸で翔真が小さく頷いた翔真をベッドに横たえ、腰の上に跨った俺はシャツを脱ぎ捨てた。
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