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第17章 generalpause
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松下と話しをしたことで、それまで俺の胸を黒く覆っていた靄がほんの少しだけ晴れたせいか、多少気持ちが軽くなったんだろうな……。
その晩は酒を飲むことはなかった。
もっとも、冷蔵庫にあると思っていたビールのストックが切れていたことをすっかり忘れていたことも、酒を飲まなかった理由の一つではあったけど。
その代わり……と言うわけではないが、智樹と別れて以来、自分のためには淹れることのなかったコーヒーを淹れた。
開封してからかなりの時間が経っていたからか、多少香りや風味は飛んでいたし、ミルクが無かったことは残念だったが、それなりに美味いと感じることは出来た。
ただ、元々は酒のツマミのつもりで買って来たホタテフライとの相性は驚く程最悪で、こんなことなら別の物を買って来れば良かった、そう思わなくもなかったが、昼間食い損なったホタテフライが、どうしても食いたかったんだから仕方ない。
普段は滅多に飲まないブラックのコーヒーとホタテフライで腹を満たし、名前も知らない芸人のコントをテレビを見る。
こんな時間、何時ぶりなんだろう……
頭の中で指折り数えていると、今度は自然に瞼が下がって来て……。俺はソファの背もたれに掛けてあったブランケットを引き寄せると、ラグの上に寝転がった。
それから眠りに落ちるまでは、本当にあっという間だった。
気付けば、智樹が気に入っていたブランケットに包まったまま、俺は深い眠りに就いていた。
まさか、俺が寝入っている間に、彼女がいつの間に作ったのか……合鍵を使って部屋に入って来ているなんて、露とも思わずに……
だから目が覚めた時の俺は、それが現実なのか夢なのかも分からないまま、ただ虚ろな視界の中で、爪を赤く染めた指の先だけを見ていた。
その光景が夢ではなく、現実なんだと気付いたのは、その手の中にあるのが、俺のスマホだと分ってからの事だった。
その晩は酒を飲むことはなかった。
もっとも、冷蔵庫にあると思っていたビールのストックが切れていたことをすっかり忘れていたことも、酒を飲まなかった理由の一つではあったけど。
その代わり……と言うわけではないが、智樹と別れて以来、自分のためには淹れることのなかったコーヒーを淹れた。
開封してからかなりの時間が経っていたからか、多少香りや風味は飛んでいたし、ミルクが無かったことは残念だったが、それなりに美味いと感じることは出来た。
ただ、元々は酒のツマミのつもりで買って来たホタテフライとの相性は驚く程最悪で、こんなことなら別の物を買って来れば良かった、そう思わなくもなかったが、昼間食い損なったホタテフライが、どうしても食いたかったんだから仕方ない。
普段は滅多に飲まないブラックのコーヒーとホタテフライで腹を満たし、名前も知らない芸人のコントをテレビを見る。
こんな時間、何時ぶりなんだろう……
頭の中で指折り数えていると、今度は自然に瞼が下がって来て……。俺はソファの背もたれに掛けてあったブランケットを引き寄せると、ラグの上に寝転がった。
それから眠りに落ちるまでは、本当にあっという間だった。
気付けば、智樹が気に入っていたブランケットに包まったまま、俺は深い眠りに就いていた。
まさか、俺が寝入っている間に、彼女がいつの間に作ったのか……合鍵を使って部屋に入って来ているなんて、露とも思わずに……
だから目が覚めた時の俺は、それが現実なのか夢なのかも分からないまま、ただ虚ろな視界の中で、爪を赤く染めた指の先だけを見ていた。
その光景が夢ではなく、現実なんだと気付いたのは、その手の中にあるのが、俺のスマホだと分ってからの事だった。
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