戦記×戦記

王国を脅かす黒騎士

王国脱出

　黒騎士達は王を殺すと、火矢を放った。家や、畑は、焼かれ、王国全土が瞬く間に戦場に化した。
「殿。黒騎士集団によって、城は、包囲されました。地下道を通って、脱出をしましょう。」
「分かった。カーラも就いてこい。死にたくないならな。」
「いやでもついて行きますよ。王子。この年で、ここまで成り上がれたのだから、死も悔いにはならない。生きる可能性が貴方に就いていくことで、減ったとしても、その時は、王子を守って命を落とします。」
「そうか。それなら早く行くぞ。」
　三人は地下道を通って、脱出を始めた。
　だが、追ってはすぐに三人に迫ってきた。
「王子フリーグ。覚悟は出来ておるな。」
「死ぬ覚悟など出来ていない。敵は十人。三人で倒す。二人とも、命を落とすなよ。」
　三人は、刀を取り出すと、まずカーラが刀を一人に突き刺した。刀が刺さり、抜く隙に一人が不意討ちを仕掛けようとしたが、その首をアグロが切った。
「気を付けろ。数だけでは、圧倒的不利だ。ここは、少しでも、相手から引き下がらないと行けない。」
「王子。地下道を抜ければ、馬とわずかな兵がおります。急ぎましょう。」
　そこから三人は、二人、三人と切り倒しながら、地下道を抜けた。
　だか、そこに兵はいなかった。
「王子フリーグ、やはり来たか。第一騎士ターナバードが殺させてもらうぞ。」
　ターナバードと名乗る者が一人いただけだった。
「三人で倒すぞ。」
　ターナバードは、槍を両手で持ち、三人を圧倒する実力を見せた。
　一振りで、カーラとアグロを振り払うと、フリーグに槍の先端を突き刺そうとしたその時だった。
「届け。我が刀剣。」
　刀剣がターナバードの槍をへし折った。
「我が槍をへし折るとは。」
　ターナバードが槍に気をとられている隙に刀剣を投げた人間は、四メートル上から、ターナバードの頭を斬りかかった。
　太陽の光で、人間の顔は、分からなかった。
　だが、その人間が後々まで、三人に関わることになる。