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しおりを挟む三日考えた。考えれば考えるほど、僕の思考はこんがらがるだけで、答えらしい答えは見付からない。ただの十五歳の僕に、あの公園をどうこうする力はないし、何をどう考えたところで、僕にできる事は何もないのだ。
しかし、居ても立ってもいられなくなった。三日間みっちり考えてなんの解決策も無いとなると、後はもう、彼女に会いに行くことしか考えられなかった。
二度と会いたくないと言われたが、最後にもう一度でもいい、彼女に会いたくて堪らなくなった。
ある夜の八時、僕はこっそり家を抜け出した。十一歳の時とは比べ物にならない、身が弾け飛んでしまいそうな焦燥感に追い立てられながら、懐かしいあの公園に早足で向かった。
久々に来た公園は、以前よりもずっと寂れていて、雑草も生え放題だった。草に埋もれた空き地の奥の方に、砂場はひっそりとあった。
「お姉さん」
「リョウちゃん」
「久しぶり」
彼女は、以前と何も変わらずそこに居た。相変わらず砂場の真ん中で、砂の中から頭と上半身の右側だけを出して、かのじょはそこに居た。顔も、服も、何一つ経年を感じない。
「この公園、無くなるって聞いたんだ」
「……そうなの」
他人事のような、何の感慨もない様子だった。僕は砂場の中に入っていくと、彼女の前に腰を下ろした。少し屈んで、彼女の身体の周りの砂を指で触ってみる。やはり砂は硬く、掘ることは出来なさそうだ。
「取り壊されてアパートになるって。お姉さんどうするの」
「そうねぇ……。どこか、別の所に行こうかしら」
「自分でここから出られるの?」
「出来なくはないわよ、大変なだけ。それに__……」
「それに?」
彼女は一度目を閉じて、大きく息を吐いた。再び目を開いた時には、彼女の瞳は楽しげに輝いて僕を映していた。「ここには、リョウちゃんに会いたくてずっと居たの」唇がゆっくりと動いて、僕の名前を呼んだ。
吐息まじりの掠れた声が、心地よく耳を擽る。久しぶりに味わうその感覚は、十一歳のあの頃よりはずっと静かで、しかし、あの頃以上にメラメラと燃え盛る勢いだった。
蛇のように全身を這い上がってきて、絡みつき、僕の本能を苛立たしげに突いてくる。僕は寒気がした。
「どこに行くつもりなの?」自分の声が不愉快だった。隠しきれない下心が滲み出て、意図していない好色さが言葉の端に出ている。
一瞬、彼女がハッとした顔をした。僕は羞恥心のあまり消えてしまいたかった。己の汚い感情が彼女に伝わってしまったことに、今更になって申し訳ない気持ちになった。同時に、誤解しないでくれと思った。
確かに僕は彼女に対して良からぬ欲望を抱いているし、十一歳のあの頃から変わらず、彼女を独占したいという衝動を飼っている。しかし、断じて疾しい気持ちしかない訳ではないのだ。
彼女を愛している。十五の身空でそんなことを断言するのは烏滸がましい限りだが、彼女の笑顔や、息遣いや、体温や、それ以外にも沢山。とにかく、彼女の全てが愛おしい。
こんなに愛しているのに、彼女は僕が望む形では決して手に入らない。いっそのこと僕は死ねばいいのだろうか。それとも彼女を殺して仕舞えばいいのか。それがもし、根本的な解決策だと言うのなら、喜んでそうするが。
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