49 / 176
四章
4-3
しおりを挟む
「だってー」
18の男が、モゴモゴと子供のような口調で言い訳をする。なんだか無性に顔を曇らせてやりたくなって、私は手の中の地図をじっと見た。そして
「決めた。ここに行こう。この先の山を越えたところの村」
コンパスで方角と自分たちの向いている方角を確認し、目の前にある山を指さした。昨日まで居た山よりは遥かに小さいが、だがそれでも山は山だ。高さはある。
頂上まで青々と木々が茂り、中々に越え甲斐のありそうな山だ。クロスへの意地悪もあったが、なんとなく、私の心がこちらの方面へ行きたがっているようにも感じる。
「えー……?」
というか他の方角にも山が並んでいるから、どうせどこを選んでもクロスは嫌そうな顔をしていたかもしれない。見える中で一番大きな山を指定はしたけど。
「移動魔法は使わないで行こう」私の言葉に、クロスは口をへの字に曲げた。もちろん彼への意地悪でもあるが、この国で魔法を使うのはリスキーなのだ。それに移動魔法でも体力を消耗するらしいし、へこたれた魔法使いを引きずる羽目にはなりたくない。
「まあ、僕も体力つけないと行けないからね。あの山にずっといるならまだしも」
「そういえば、クロスはずっとあの山にいたにしては、結構人と話せてるよね」
「そりゃあ、師匠は人間だからね。それに彼の知り合いの訪問者もいたからね」
「ほう」
「この国にも、一人だけ味方がいるはずなんだ」
「魔法使い?」
「うん」頷いて、肩にかけた鞄の紐をギュッと握るクロス。大きな目を更に大きくして、私が登ると宣言した目の前の山を見上げた。そして彼なりの速度で、ゆっくり歩きだした。
曰く、高齢の人間で、ろーぶフードを深く被っていたので顔などはよく見えなかったらしい。性別は、彼の見立てでは男だと思うとのこと。
彼の師匠のモルドールから「ランドルフ」と呼ばれていたその人は、自身が魔法使いであることは秘密にしてこの国のどこかで生活しているそうだ。
18の男が、モゴモゴと子供のような口調で言い訳をする。なんだか無性に顔を曇らせてやりたくなって、私は手の中の地図をじっと見た。そして
「決めた。ここに行こう。この先の山を越えたところの村」
コンパスで方角と自分たちの向いている方角を確認し、目の前にある山を指さした。昨日まで居た山よりは遥かに小さいが、だがそれでも山は山だ。高さはある。
頂上まで青々と木々が茂り、中々に越え甲斐のありそうな山だ。クロスへの意地悪もあったが、なんとなく、私の心がこちらの方面へ行きたがっているようにも感じる。
「えー……?」
というか他の方角にも山が並んでいるから、どうせどこを選んでもクロスは嫌そうな顔をしていたかもしれない。見える中で一番大きな山を指定はしたけど。
「移動魔法は使わないで行こう」私の言葉に、クロスは口をへの字に曲げた。もちろん彼への意地悪でもあるが、この国で魔法を使うのはリスキーなのだ。それに移動魔法でも体力を消耗するらしいし、へこたれた魔法使いを引きずる羽目にはなりたくない。
「まあ、僕も体力つけないと行けないからね。あの山にずっといるならまだしも」
「そういえば、クロスはずっとあの山にいたにしては、結構人と話せてるよね」
「そりゃあ、師匠は人間だからね。それに彼の知り合いの訪問者もいたからね」
「ほう」
「この国にも、一人だけ味方がいるはずなんだ」
「魔法使い?」
「うん」頷いて、肩にかけた鞄の紐をギュッと握るクロス。大きな目を更に大きくして、私が登ると宣言した目の前の山を見上げた。そして彼なりの速度で、ゆっくり歩きだした。
曰く、高齢の人間で、ろーぶフードを深く被っていたので顔などはよく見えなかったらしい。性別は、彼の見立てでは男だと思うとのこと。
彼の師匠のモルドールから「ランドルフ」と呼ばれていたその人は、自身が魔法使いであることは秘密にしてこの国のどこかで生活しているそうだ。
0
あなたにおすすめの小説
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
攻略. 解析. 分離. 制作. が出来る鑑定って何ですか?
mabu
ファンタジー
平民レベルの鑑定持ちと婚約破棄されたらスキルがチート化しました。
乙ゲー攻略?製産チートの成り上がり?いくらチートでもソレは無理なんじゃないでしょうか?
前世の記憶とかまで分かるって神スキルですか?
気弱令嬢の悪役令嬢化計画
みおな
ファンタジー
事故で死んだ私が転生した先は、前世の小説の世界?
しかも、婚約者に不当に扱われても、家族から冷たくされても、反論ひとつ出来ない気弱令嬢?
いやいやいや。
そんなことだから、冤罪で処刑されるんでしょ!
せっかく生まれ変わったんだから、処刑ルートなんて真っ平ごめん。
屑な婚約者も冷たい家族も要らないと思っていたのに・・・?
『まて』をやめました【完結】
かみい
恋愛
私、クラウディアという名前らしい。
朧気にある記憶は、ニホンジンという意識だけ。でも名前もな~んにも憶えていない。でもここはニホンじゃないよね。記憶がない私に周りは優しく、なくなった記憶なら新しく作ればいい。なんてポジティブな家族。そ~ねそ~よねと過ごしているうちに見たクラウディアが以前に付けていた日記。
時代錯誤な傲慢な婚約者に我慢ばかりを強いられていた生活。え~っ、そんな最低男のどこがよかったの?顔?顔なの?
超絶美形婚約者からの『まて』はもう嫌!
恋心も忘れてしまった私は、新しい人生を歩みます。
貴方以上の美人と出会って、私の今、充実、幸せです。
だから、もう縋って来ないでね。
本編、番外編含め完結しました。ありがとうございます
※小説になろうさんにも、別名で載せています
【本編完結】異世界再建に召喚されたはずなのになぜか溺愛ルートに入りそうです⁉︎【コミカライズ化決定】
sutera
恋愛
仕事に疲れたボロボロアラサーOLの悠里。
遠くへ行きたい…ふと、現実逃避を口にしてみたら
自分の世界を建て直す人間を探していたという女神に
スカウトされて異世界召喚に応じる。
その結果、なぜか10歳の少女姿にされた上に
第二王子や護衛騎士、魔導士団長など周囲の人達に
かまい倒されながら癒し子任務をする話。
時々ほんのり色っぽい要素が入るのを目指してます。
初投稿、ゆるふわファンタジー設定で気のむくまま更新。
2023年8月、本編完結しました!以降はゆるゆると番外編を更新していきますのでよろしくお願いします。
没落した建築系お嬢様の優雅なスローライフ~地方でモフモフと楽しい仲間とのんびり楽しく生きます~
土偶の友
ファンタジー
優雅な貴族令嬢を目指していたクレア・フィレイア。
しかし、15歳の誕生日を前に両親から没落を宣言されてしまう。
そのショックで日本の知識を思いだし、ブラック企業で働いていた記憶からスローライフをしたいと気付いた。
両親に勧められた場所に逃げ、そこで楽しいモフモフの仲間と家を建てる。
女の子たちと出会い仲良くなって一緒に住む、のんびり緩い異世界生活。
私の存在
戒月冷音
恋愛
私は、一生懸命生きてきた。
何故か相手にされない親は、放置し姉に顎で使われてきた。
しかし15の時、小学生の事故現場に遭遇した結果、私の生が終わった。
しかし、別の世界で目覚め、前世の知識を元に私は生まれ変わる…
とある中年男性の転生冒険記
うしのまるやき
ファンタジー
中年男性である郡元康(こおりもとやす)は、目が覚めたら見慣れない景色だったことに驚いていたところに、アマデウスと名乗る神が現れ、原因不明で死んでしまったと告げられたが、本人はあっさりと受け入れる。アマデウスの管理する世界はいわゆる定番のファンタジーあふれる世界だった。ひそかに持っていた厨二病の心をくすぐってしまい本人は転生に乗り気に。彼はその世界を楽しもうと期待に胸を膨らませていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる