わたしの愛した世界

伏織

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九章

9-9

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その子の手を握り、引っ張ってもらって私は立ち上がった。

「ありがとう」

「別に。正しくないことをやめさせただけだもん。感謝される事はしてない」

「“カンシャ”?」


言葉の意味が解らず、首をかしげる私。「ありがとうっていうことだよ」その子はニッコリと微笑んだ。美しい子だった。

いじめっ子が大声を上げながら走り出し、公園の外へと出ていってしまった。少し可哀想になったが、これまでの言動を考えると、当然の報いのような気もした。


「名前、なんていうの?」

「んー……」


困ったような笑顔を浮かべ、その子は俯いた。金髪が頬を隠す。そして


「どんな名前だと思う?」


と尋ねてきた。私はパッと思いついた名前を上げた。それは当時子どもたちの間で流行っていたアニメのキャラクターで、おとなしい主人公をいつも励ましている、明るくて強い女の子のキャラクターだった。


「“ミミ”だと思う」

「……かわいい名前だね」

「アニメに出てくるの。あなたみたいなかわいい女の子だよ」


その子は、少し悲しそうな表情を一瞬だけ見せた。小さな声で、かわいい女の子か、と呟く。しかし、すぐに笑顔に戻って「その名前、気に入ったよ」と言った。


「自分のことはミミって呼んで」

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