140 / 176
九章
9-11
しおりを挟む
「ハルノは本当は強い子なのに、弱いフリをしてる。あのいじめっ子にだって勝てるはずなのに、弱いフリをしてる」
「強くないよ」
「いや、強いよ」
ブランコに座る私に歩み寄り、見下ろしてくる。見上げると、夕方が近づく陽の光に、ミミの金髪が赤く染まっている。不思議な表情をしていて、私にはミミがどういう意図でそのような発言をしているのか、全く解らなかった。
急にミミのことが恐ろしくなった。身の危険からくるものではなく、理解が及ばない、得体の知れない物への恐怖だ。
思えば、最近引っ越してきた家の話も聞かないし、何よりミミのように金髪でフランス人形のような子供がいる家庭なら、すぐに近所の噂になるはずだ。当然大人たちが噂をすれば子どもたちも聞き耳を立てる。なので、今までミミの存在を知らなかったというのは、いささか違和感を覚える。
「ミミは、ここらへんに住んでるの?」
「そんなわけないでしょ。この国にすら住んでないよ」
「じゃあ、いつもはどこにいるの?」
今思えば、間抜けな質問だ。そうじゃないだろう、と当時の自分にツッコミを入れたくなる。しかし、ミミはその質問を笑ったりはしなかった。どうしてか、ギクリと、核心を突かれたような、戸惑った顔に見えた。
「ここじゃないところ」
「どこ?」
「……もう、自分は帰ることにするよ」
急に態度が変わったミミが、冷たい声でそう言った。そして背を向けると、公園の出口へ向かってスタスタと歩き出した。「待って!」ブランコを離れ、私もミミの後を追いかける。ミミは立ち止まると、肩越しに私を一瞥した。背を向けたまま、ミミは少し項垂れた。
「強くないよ」
「いや、強いよ」
ブランコに座る私に歩み寄り、見下ろしてくる。見上げると、夕方が近づく陽の光に、ミミの金髪が赤く染まっている。不思議な表情をしていて、私にはミミがどういう意図でそのような発言をしているのか、全く解らなかった。
急にミミのことが恐ろしくなった。身の危険からくるものではなく、理解が及ばない、得体の知れない物への恐怖だ。
思えば、最近引っ越してきた家の話も聞かないし、何よりミミのように金髪でフランス人形のような子供がいる家庭なら、すぐに近所の噂になるはずだ。当然大人たちが噂をすれば子どもたちも聞き耳を立てる。なので、今までミミの存在を知らなかったというのは、いささか違和感を覚える。
「ミミは、ここらへんに住んでるの?」
「そんなわけないでしょ。この国にすら住んでないよ」
「じゃあ、いつもはどこにいるの?」
今思えば、間抜けな質問だ。そうじゃないだろう、と当時の自分にツッコミを入れたくなる。しかし、ミミはその質問を笑ったりはしなかった。どうしてか、ギクリと、核心を突かれたような、戸惑った顔に見えた。
「ここじゃないところ」
「どこ?」
「……もう、自分は帰ることにするよ」
急に態度が変わったミミが、冷たい声でそう言った。そして背を向けると、公園の出口へ向かってスタスタと歩き出した。「待って!」ブランコを離れ、私もミミの後を追いかける。ミミは立ち止まると、肩越しに私を一瞥した。背を向けたまま、ミミは少し項垂れた。
0
あなたにおすすめの小説
魔力値1の私が大賢者(仮)を目指すまで
ひーにゃん
ファンタジー
誰もが魔力をもち魔法が使える世界で、アンナリーナはその力を持たず皆に厭われていた。
運命の【ギフト授与式】がやってきて、これでまともな暮らしが出来るかと思ったのだが……
与えられたギフトは【ギフト】というよくわからないもの。
だが、そのとき思い出した前世の記憶で【ギフト】の使い方を閃いて。
これは少し歪んだ考え方の持ち主、アンナリーナの一風変わった仲間たちとの日常のお話。
冒険を始めるに至って、第1章はアンナリーナのこれからを書くのに外せません。
よろしくお願いします。
この作品は小説家になろう様にも掲載しています。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
スライムからパンを作ろう!〜そのパンは全てポーションだけど、絶品!!〜
櫛田こころ
ファンタジー
僕は、諏方賢斗(すわ けんと)十九歳。
パンの製造員を目指す専門学生……だったんだけど。
車に轢かれそうになった猫ちゃんを助けようとしたら、あっさり事故死。でも、その猫ちゃんが神様の御使と言うことで……復活は出来ないけど、僕を異世界に転生させることは可能だと提案されたので、もちろん承諾。
ただ、ひとつ神様にお願いされたのは……その世界の、回復アイテムを開発してほしいとのこと。パンやお菓子以外だと家庭レベルの調理技術しかない僕で、なんとか出来るのだろうか心配になったが……転生した世界で出会ったスライムのお陰で、それは実現出来ることに!!
相棒のスライムは、パン製造の出来るレアスライム!
けど、出来たパンはすべて回復などを実現出来るポーションだった!!
パン職人が夢だった青年の異世界のんびりスローライフが始まる!!
異世界のんびり放浪記
立花アルト
ファンタジー
異世界に転移した少女リノは森でサバイバルしながら素材を集め、商人オルソンと出会って街アイゼルトヘ到着。
冒険者ギルドで登録と新人訓練を受け、採取や戦闘、魔法の基礎を学びながら生活準備を整え、街で道具を買い揃えつつ、次の冒険へ向けて動き始めた--。
よくある異世界転移?です。のんびり進む予定です。
小説家になろうにも投稿しています。
異世界ママ、今日も元気に無双中!
チャチャ
ファンタジー
> 地球で5人の子どもを育てていた明るく元気な主婦・春子。
ある日、建設現場の事故で命を落としたと思ったら――なんと剣と魔法の異世界に転生!?
目が覚めたら村の片隅、魔法も戦闘知識もゼロ……でも家事スキルは超一流!
「洗濯魔法? お掃除召喚? いえいえ、ただの生活の知恵です!」
おせっかい上等! お節介で世界を変える異世界ママ、今日も笑顔で大奮闘!
魔法も剣もぶっ飛ばせ♪ ほんわかテンポの“無双系ほんわかファンタジー”開幕!
めんどくさがり屋の異世界転生〜自由に生きる〜
ゆずゆ
ファンタジー
※ 話の前半を間違えて消してしまいました
誠に申し訳ございません。
—————————————————
前世100歳にして幸せに生涯を遂げた女性がいた。
名前は山梨 花。
他人に話したことはなかったが、もし亡くなったら剣と魔法の世界に転生したいなと夢見ていた。もちろん前世の記憶持ちのままで。
動くがめんどくさい時は、魔法で移動したいなとか、
転移魔法とか使えたらもっと寝れるのに、
休みの前の日に時間止めたいなと考えていた。
それは物心ついた時から生涯を終えるまで。
このお話はめんどくさがり屋で夢見がちな女性が夢の異世界転生をして生きていくお話。
—————————————————
最後まで読んでくださりありがとうございました!!
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
レディース異世界満喫禄
日の丸
ファンタジー
〇城県のレディース輝夜の総長篠原連は18才で死んでしまう。
その死に方があまりな死に方だったので運命神の1人に異世界におくられることに。
その世界で出会う仲間と様々な体験をたのしむ!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる