わたしの愛した世界

伏織

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十一章

11-11

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クロスの表情ときたら、先程から怒ったり混乱したりと、コロコロ変わって面白い事この上ない。エリザが名乗った名前に、彼は目玉が零れそうなほど大きく目を見開き、赤い唇はぽかんと間抜けに開いた。


「驚きすぎだろ、お前」


ランドルフ、聞き覚えがある。確かモルドールの知人で、クロスも何度か会ったことのある人物のはずだ。彼がこれほどに驚くということは、想像の人物とは違っていたのだろう。そもそも、名前からして男と勘違いしそうな雰囲気だ。名字とは私も思わなかったが。


「あなたは動じないのね」

「ランドルフがあなただとは思いませんでしたが、最初からなにか怪しいとは思っていました」


そうなのだ、よく思い出して見れば、私達があの村で襲撃を受けた後、暗い森の中を歩いて彼女の家にたどり着いた。その時、彼女はあんなに真っ暗な森の中を明かりも持たずに歩く私達を目視し、玄関から出て迎えた。
疲れ切っていたあのときは、彼女がべらぼうに優れた視力なのだ、となんとも愉快な勘違いをしたが、冷静に考えてみたらそんなわけがないのはわかる。


「そうね、あのときはちょっと失敗したと思っていたの。でもすぐ忘れたのかと思ったわ」

「少しだけ、引っかかってはいました。やっと今答えが出た感じです」


どうやら、モルドールはクロス以外にも“ねじ”の話をしていたようだ。先程のエリザの言動からして、何も知らない様子ではない。少なくとも、簡単な概要くらいは把握してそうだ。


「モルドールからは、“ねじ”をこの世に具現させたことと、自分の弟子がいつか救世主を連れてくるという話を聞いてる」

「旅についていけとは言われてないですよね?」

「……ええ」


エリザは視線を落とし、眉根を寄せてうつむいた。彼女は嘘つき、というわけではないようだ。

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