至って真面目で平凡で

三日

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去らば、ブランディッシュ家

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「それでは、お父様、お母様。行って参ります。夏休みには、帰ります。」

「あぁ、行ってらっしゃい。体には気を付けるのだぞ!」
「ミノは、かわいいから大変ねぇ。アイル、頼みましたよ。」

「もちろんです。父上、母上。ミノは、僕が守って見せます!」

そう別れを告げると二人は馬車に乗り込んだ。

「お兄様と一緒の学校に行くなんて思いませんでしたわ。友達できるかしら」

「大丈夫さ。ミノは、可愛いから、きっと友達が沢山出来るぞ!
でも、男には、気を付けるんだ。結婚なんて、お兄様は認めない。
ブランディッシュ家全員で阻止する!」

「お兄様。大袈裟ですよ。大丈夫です。
私のことを可愛いと仰ってくれるのはブランディッシュ家のみんなとお兄様だけだって事ぐらい分かってましてよ。
私、もう10歳ですのよ。もう、甘やかされるだけの子は嫌ですの。」

「ミノ!なんて、謙虚なんだ!嫁にしたい。ミノを誰にも渡さないぞ!」

話がまた、変な方向に。
でも、モテモテなのは、お兄様の方に決まってるわ。さすがですわ。
比べられて、気を落とさないようにしなくっちゃ。
お兄様のためにも、ブランディッシュのためにも頑張らないと。

それにしても、楽しみだなー。魔法。ファンタジーの世界。
乙女ゲームって言ってたけど、私の人生だし、特に関係ないわよね。
主人公とか悪役の子可愛いのかなー、綺麗なのかなー。楽しみだなー。

「えらく浮かれてるじゃないの?あんた、最初は、色々必死だったじゃない。
まぁ、うっかり殺されないように私もいるから安心しなさい。
頼っていいんだからね。恋愛事も相談にのってあげなくもないんだから。」

そうだった。忘れてた。この世界の治安ってどうなんだろう?
家から一歩も出たことないんだった。あんな甘甘な家で過ごしてたから忘れてたわ。いえ、私はもうブランディッシュ家の一員よ。

「あんた、色々と染まり過ぎじゃない?まぁ、頑張んなさいよ。」


そうこうしているうちに、学校に到着した。

「ミノ。着いたぞ。さぁ、お手をどうぞ。」
笑顔が眩しい。

「お兄様。ありがとうございます。」ニコッ

降りると、そこは大きな学園の門があったのだった。と思いきや、

「キャー‼」

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