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望月ハル Ⅱ
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このまま流れに任せて彼と結婚してもいいのか?雛型のような夜景の綺麗なレストランで指輪を出されてめでたく婚約した
彼は私にはもったい人だ
愛くるしいルックスとブランドのデザイナーで社長という肩書き
お互いに好き だけど穏やかすぎる
彼だって私じゃなきゃダメで私がいないとダメなんていう盲目的な愛じゃない
生活を共にするなら静かな愛でいい
そう思うのに結婚すると決めると心がざわつく
結局いつも私たち2人の間にはゆっきーがいる
ゆっきーの話は一度もしなかったけどいつも3人のような気分になる
私にとってゆっきーは特別で多分彼にも特別
どうしようもなくゆっきーに会いたい
会ってどうなる?と思う
ゆっきーと恋するとは思えない
でもこのざわめきを鎮めてくれるはず
「聞いてる?」
彼がウエディングドレスをデザインして私に着せようとしている
「任せるよ どんなデザインでもきっと素敵に作ってくれると思うから」
「でもなんか希望ないの?マーメイドドレスがいいとか?レース使いたいとか?レースにも色々あるんだよ さすがにフリルはないよね?」
「ないない フリルはない あえて言うならシンプルなのがいい」
「シンプルかぁそれが1番むずかしいな」
彼は鉛筆と消しゴムを交互に握ってスケッチブックと睨めっこしてる
「忙しいのに 隙間時間でやってくれたらいいよ」
「そんな事言ってたらいつまでも結婚式出来ないよ!」
彼はカリカリと頭を掻きながらちょっとむくれて私を見る
彼の方がドレスを着れば似合うかも?
「無理してほしくないだけ」
「大丈夫」
言うなら今しかないと思った
「まだゆっきーと連絡取れないの?」
彼が驚いたような困ったような顔した
「なんで?」
「結婚式には出席して欲しいから」
「会いたいの?」
「会いたくないの?」
質問を質問で返して逃げる
「そりゃ会いたいよ 時々どうしてるかな?って考えるよ」
私はこの頃毎日毎時間考えてる
「どうしてるんだろうね」
「なんとか探してみるからそれまで待ってて」
彼が私の手を軽く握りながら無理に笑う
本当に探してくれるの?本当なの?
「そうだ忘れてた ハルちゃんにプレゼントあったんだ」
そう言って彼がカバンから写真集を取り出した
「これハルちゃんの好きなBlue Beeのπって人の写真集 限定本だよ」
心臓が一瞬ギュッって縮んで爆発するんじゃないかと思うほど膨らんだ
「ありがとう!」
私はその本を受け取ると彼に抱きついた
慎重に本を見る
子供達に囲まれて歌を歌ってるπの表紙
奇跡と記録と伝説 青い文字がBlue Beeを思い出させる
前半はボランティアで訪れた世界中の子供との触れ合いの写真だった
その中にカンボジアというページがあった
嘘 私は彼に気づかれないように息を呑む
髪がボサボサで髭を生やした男が子供達の後ろにいる ゆっきー?虫眼鏡が欲しい
まじまじとそのページを見るのはおかしいと思ってページめくる
中盤は街角のスナップ
アメリカの小さなライブハウスで歌っていたり
ロシアでお墓の前で佇んでいたり
パリの街中で人混みに飲み込まれていたり
あのkooを着たπとゆっきーの写真
よく見ると鏡に映った2人を写真に撮ってる
後半はBlue Bee
CDジャケットやライブ写真
私にとっては青春のπ
ラストのページ
アントンに愛を込めて AZU
AZUって人に聞けばゆっきーの事わかるんじゃないか
そう思ったけど彼には言わなかった
なぜ?聞かれても説明できない
携帯を出すとAZUという人を検索した
それらしいのは日本のフォトグラファー 女性
戦場で泣いている子供
アメリカのピューリッツァー賞
ウクライナとロシアの戦争で親を亡くした8歳の子供が親の遺体のそばで泣いている写真で一躍有名になる
写真集 作品
戦争の記憶
貧困と子供
スラムに生きるという事
愛を語る人達
新作 奇跡と記録と伝説 10000部限定
本の収益は全て戦争孤児に寄付される
戦場で泣いている子供という写真は魂が揺さぶられて涙が込み上げてくるような作品だった
「この本買ったの?」
「嫌 出版社から事務所に送られてきててあの写真が使われてるからかな?」
「これでまた服が売れるね」
私は冗談のように笑って本を胸に抱えた
あの日からAZUを追っかけている
残念な事にSNSはやっていない
AZU自身にはコンタクトが取れない
出版社に電話しAZUの個展がないか聞いたりどうにか連絡取れないか聞いたりとにかく会いたい熱を込めて自分の連絡先を知らせてくれと頼み込んだ
全作品買いたかったけどネットと本屋巡っても愛を語る人達しか買えなくて残念で仕方ない
愛を語る人達は題名通り恋人たちの写真でカップルの街角でのキスや老夫婦が公園のベンチで手を繋いでいたり小さな男の子が女の子に花をプレゼントしてたり見てるだけで癒される優しい気持ちになる写真集だった
ゆっきーの事抜きにしてもAZUという人に会いたいと心から願った
そんな願いを叶えてくれたのはなんとかおりだった 彼に付きまとってる自称姉だ
かおりがkoo3の特集記事をやってみないかと知り合いの雑誌編集の人に頼まれて彼を呼び出した時たまたま私も一緒にいてAZUに繋がればとノコノコついて行った
かおりはあきらかに嫌な顔したけど雑誌編集の人と彼は名刺を交換しながら私を婚約者ですと紹介した
「すいません あっちにいますから気にしないでください」AZUの話は後でいい
そう言って席を移動してアイスコーヒーを頼む
たまに笑い声が聞こえる彼達のテーブルに遅れて女性が加わった
黒髪が綺麗な切長の目 オーラが半端ない
タバコ吸っていい?席に座ると女性はタバコを出して煙を燻らせる
「あずささん自由すぎますよ こちら写真家さん」
編集者の男が苦笑いした 何気に聞き耳
「貴方がkooのデザイナー?」
「はい 大堀康太です」
彼が握手を求めるように手を出した
「いつもはこんな仕事しないし今の所貴方を撮るつもりないんだけどkooの社長ってどんな人か興味あって見にきたの」
「こんな奴です」
物怖じしない彼を見て「類は友を呼ぶんだろうね」と女性が笑う
その言葉に私は弾けてAZU?!と大声で叫ぶ
店の中の人が一斉に私を見たが席をかき分けてテーブルに辿り着きAZUさんですか?と身を乗り出した
「そっそうだけど?」
「ゆっきーいや真田和也知ってますよね?」と詰め寄る
「カズ?懐かしい名前 彼元気?」
彼は私にはもったい人だ
愛くるしいルックスとブランドのデザイナーで社長という肩書き
お互いに好き だけど穏やかすぎる
彼だって私じゃなきゃダメで私がいないとダメなんていう盲目的な愛じゃない
生活を共にするなら静かな愛でいい
そう思うのに結婚すると決めると心がざわつく
結局いつも私たち2人の間にはゆっきーがいる
ゆっきーの話は一度もしなかったけどいつも3人のような気分になる
私にとってゆっきーは特別で多分彼にも特別
どうしようもなくゆっきーに会いたい
会ってどうなる?と思う
ゆっきーと恋するとは思えない
でもこのざわめきを鎮めてくれるはず
「聞いてる?」
彼がウエディングドレスをデザインして私に着せようとしている
「任せるよ どんなデザインでもきっと素敵に作ってくれると思うから」
「でもなんか希望ないの?マーメイドドレスがいいとか?レース使いたいとか?レースにも色々あるんだよ さすがにフリルはないよね?」
「ないない フリルはない あえて言うならシンプルなのがいい」
「シンプルかぁそれが1番むずかしいな」
彼は鉛筆と消しゴムを交互に握ってスケッチブックと睨めっこしてる
「忙しいのに 隙間時間でやってくれたらいいよ」
「そんな事言ってたらいつまでも結婚式出来ないよ!」
彼はカリカリと頭を掻きながらちょっとむくれて私を見る
彼の方がドレスを着れば似合うかも?
「無理してほしくないだけ」
「大丈夫」
言うなら今しかないと思った
「まだゆっきーと連絡取れないの?」
彼が驚いたような困ったような顔した
「なんで?」
「結婚式には出席して欲しいから」
「会いたいの?」
「会いたくないの?」
質問を質問で返して逃げる
「そりゃ会いたいよ 時々どうしてるかな?って考えるよ」
私はこの頃毎日毎時間考えてる
「どうしてるんだろうね」
「なんとか探してみるからそれまで待ってて」
彼が私の手を軽く握りながら無理に笑う
本当に探してくれるの?本当なの?
「そうだ忘れてた ハルちゃんにプレゼントあったんだ」
そう言って彼がカバンから写真集を取り出した
「これハルちゃんの好きなBlue Beeのπって人の写真集 限定本だよ」
心臓が一瞬ギュッって縮んで爆発するんじゃないかと思うほど膨らんだ
「ありがとう!」
私はその本を受け取ると彼に抱きついた
慎重に本を見る
子供達に囲まれて歌を歌ってるπの表紙
奇跡と記録と伝説 青い文字がBlue Beeを思い出させる
前半はボランティアで訪れた世界中の子供との触れ合いの写真だった
その中にカンボジアというページがあった
嘘 私は彼に気づかれないように息を呑む
髪がボサボサで髭を生やした男が子供達の後ろにいる ゆっきー?虫眼鏡が欲しい
まじまじとそのページを見るのはおかしいと思ってページめくる
中盤は街角のスナップ
アメリカの小さなライブハウスで歌っていたり
ロシアでお墓の前で佇んでいたり
パリの街中で人混みに飲み込まれていたり
あのkooを着たπとゆっきーの写真
よく見ると鏡に映った2人を写真に撮ってる
後半はBlue Bee
CDジャケットやライブ写真
私にとっては青春のπ
ラストのページ
アントンに愛を込めて AZU
AZUって人に聞けばゆっきーの事わかるんじゃないか
そう思ったけど彼には言わなかった
なぜ?聞かれても説明できない
携帯を出すとAZUという人を検索した
それらしいのは日本のフォトグラファー 女性
戦場で泣いている子供
アメリカのピューリッツァー賞
ウクライナとロシアの戦争で親を亡くした8歳の子供が親の遺体のそばで泣いている写真で一躍有名になる
写真集 作品
戦争の記憶
貧困と子供
スラムに生きるという事
愛を語る人達
新作 奇跡と記録と伝説 10000部限定
本の収益は全て戦争孤児に寄付される
戦場で泣いている子供という写真は魂が揺さぶられて涙が込み上げてくるような作品だった
「この本買ったの?」
「嫌 出版社から事務所に送られてきててあの写真が使われてるからかな?」
「これでまた服が売れるね」
私は冗談のように笑って本を胸に抱えた
あの日からAZUを追っかけている
残念な事にSNSはやっていない
AZU自身にはコンタクトが取れない
出版社に電話しAZUの個展がないか聞いたりどうにか連絡取れないか聞いたりとにかく会いたい熱を込めて自分の連絡先を知らせてくれと頼み込んだ
全作品買いたかったけどネットと本屋巡っても愛を語る人達しか買えなくて残念で仕方ない
愛を語る人達は題名通り恋人たちの写真でカップルの街角でのキスや老夫婦が公園のベンチで手を繋いでいたり小さな男の子が女の子に花をプレゼントしてたり見てるだけで癒される優しい気持ちになる写真集だった
ゆっきーの事抜きにしてもAZUという人に会いたいと心から願った
そんな願いを叶えてくれたのはなんとかおりだった 彼に付きまとってる自称姉だ
かおりがkoo3の特集記事をやってみないかと知り合いの雑誌編集の人に頼まれて彼を呼び出した時たまたま私も一緒にいてAZUに繋がればとノコノコついて行った
かおりはあきらかに嫌な顔したけど雑誌編集の人と彼は名刺を交換しながら私を婚約者ですと紹介した
「すいません あっちにいますから気にしないでください」AZUの話は後でいい
そう言って席を移動してアイスコーヒーを頼む
たまに笑い声が聞こえる彼達のテーブルに遅れて女性が加わった
黒髪が綺麗な切長の目 オーラが半端ない
タバコ吸っていい?席に座ると女性はタバコを出して煙を燻らせる
「あずささん自由すぎますよ こちら写真家さん」
編集者の男が苦笑いした 何気に聞き耳
「貴方がkooのデザイナー?」
「はい 大堀康太です」
彼が握手を求めるように手を出した
「いつもはこんな仕事しないし今の所貴方を撮るつもりないんだけどkooの社長ってどんな人か興味あって見にきたの」
「こんな奴です」
物怖じしない彼を見て「類は友を呼ぶんだろうね」と女性が笑う
その言葉に私は弾けてAZU?!と大声で叫ぶ
店の中の人が一斉に私を見たが席をかき分けてテーブルに辿り着きAZUさんですか?と身を乗り出した
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