勇者として召喚されたはずだけど、勇者として歓迎されませんでした

戦争 終章

222.囲まれた後の希望

　ジャンプしたところで、俺は聖剣の衝撃波を地面へと叩きつけた。
　そこから生まれた爆風と煙を辺りに覆い隠す。更には煙玉を何個も地面へと投げ、更に濃くさせる。

「くそ、前が見えない！」
「慌てるな。声を出すと奴に気付かれるぞ！」

　空中を飛んでる時にそんな声を拾う。俺はそこに衝撃波を何回も飛ばす。
　悲鳴や、それにより逃げ回っているのが分かる。薄っすらと逃げている影が見える。
　衝撃波を地面へと放っている為、飛んでいる時間は長い。
　その為、一旦地面へと降りる。

「このままじゃ、全滅だ。一旦交代しろ！」
「進路はどうすれば・・・」
「四方八方に散らばって退却するしかない」

　どうやら撤収するみたいだ。そうはさせないがな。
　俺は走りながら、見つけた兵士に攻撃する。
　かなりの数がいる為にこの煙の中を走る。
　それは相手も同じだ。四方八方に逃げられているが、ルートは二つしかない。
　なら、片方を潰すだけだ。
　俺は立ち止まった時、前方に見えた影に再度生成した短剣を投げる。

「がは・・・」

　その声とともに何かが倒れる音が聞こえてくる。
　その後にもう一つの影が聞こえてくる。

「大丈夫か！おい」
「逃げ・・・てくれ・・・」

　刺さった者がそう語った時、短剣は爆破し、助けに来た兵士も吹っ飛ばした。
　次々と見つけたものを倒していくが、突如として煙が薄く、透き通るように景色が戻っていった。
　まだ煙の効果はあるはずだが・・・まさか。
　俺は辺りを見渡すと、上のフロアには魔導師がいた。
　彼らがこの煙を消したのだろうな。

「標的を確認した。この数で一気に倒すぞ！」

　辺りには兵士が固まっていた。先程よりも数が多い。
　この事を予知していたか。あの魔導師は元から用意していた可能性がある。
　チェーンブレードを生成してから、それを分解し、刃を全て操る。
　さすがにこの数を真正面から相手する事は出来ない。
　なら、爆破しながら一気に片付けた方が早い。

「この数を相手する事は出来ないはずだ。ここで死ね！やれ」

　その掛け声とともに皆が一斉に俺へと走り出した。
　数も多い。ここで相手していたら確実に死ぬな。
　今の魔王は俺を脅威と認識している。この数も突破出来なければ、魔王討伐なんて無理だろうな。
　チェーンの刃を兵士の前辺りの地面に刺し、爆破させる。その隙に俺は上へとジャンプするが、ファイアやアイスなどの魔法が俺に向けて詠唱され、放たれる。
　それを必死に回避しながら、刃で魔導士の間辺りに刺し、爆破させる。
　魔導士がいたところへと着地し、魔導士を殲滅するために刃をすべて使った。

「さて、このままここは撤収するか」

　まだ下にはかなりの数がいるが、俺は別のルートを使って奥へと行くことにした。