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同体
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忽然と姿を消した早苗を思い出すたびに健一は、ため息を漏らした。
「早苗、戻ってくれよ。なんで消えたりしたんだ…… 」
健一は早苗が忘れられなかった。あるとき、事務室で業務をこなしていたときだった。玄関の自動ドアが開き、一人の女が入ってきた。
「早苗! 」
健一はとっさに叫んだ。女はきょとんとした顔を健一に向けながら言った。
「はじめまして、大山美穂と申します」
女は白い歯を見せ、笑った。
「えっ、大山さん。ああ、張り紙の求人広告の募集を見て来られた? 失礼しました」
冷静になって美穂をよく見た。早苗はショートカットだった。しかし、美穂は髪をポニーテールのように後ろで結っていた。幾らなんでもそんなに髪がすぐに伸びるわけはなかった。健一は頭を掻きながら、美穂を応接室に通した。
「しかし、よく似ています」
「どなたに? 」
「大昔の彼女にね……」
健一と美穂は、意気投合し、6ヶ月後、結婚式を挙げることになった。
結婚式当日、美穂は髪をショートカットにした。それを見た健一は思わず声を出していた。
「早苗…… 」
「また、早苗さんのことを思い出したの? 」
「ごめん…… はっきり言って君と早苗が同じに見えるのだよ」
「あら、そう…… だって同じだもの」
「え、どういうこと? 」
二人のいる控え室をノックする音がした。美穂が「来たわ」と言った。ドアから入ってきた女を見て健一は心臓が止まる思いだった。それはもう一人の美穂だった。
「あたしの妹、早苗よ。あたしと早苗は一心同体なの。だから、別々の男は駄目。あなたは早苗とあたしを愛せる人なのよ。デート中も入れ替わっていたけど、あなたは気がつかなかった」
早苗は笑いながらポニーテールのかつらをかぶった。
「これから3人でずっと楽しく暮らせそうね」
二人は白い歯を見せて笑っていた。
「早苗、戻ってくれよ。なんで消えたりしたんだ…… 」
健一は早苗が忘れられなかった。あるとき、事務室で業務をこなしていたときだった。玄関の自動ドアが開き、一人の女が入ってきた。
「早苗! 」
健一はとっさに叫んだ。女はきょとんとした顔を健一に向けながら言った。
「はじめまして、大山美穂と申します」
女は白い歯を見せ、笑った。
「えっ、大山さん。ああ、張り紙の求人広告の募集を見て来られた? 失礼しました」
冷静になって美穂をよく見た。早苗はショートカットだった。しかし、美穂は髪をポニーテールのように後ろで結っていた。幾らなんでもそんなに髪がすぐに伸びるわけはなかった。健一は頭を掻きながら、美穂を応接室に通した。
「しかし、よく似ています」
「どなたに? 」
「大昔の彼女にね……」
健一と美穂は、意気投合し、6ヶ月後、結婚式を挙げることになった。
結婚式当日、美穂は髪をショートカットにした。それを見た健一は思わず声を出していた。
「早苗…… 」
「また、早苗さんのことを思い出したの? 」
「ごめん…… はっきり言って君と早苗が同じに見えるのだよ」
「あら、そう…… だって同じだもの」
「え、どういうこと? 」
二人のいる控え室をノックする音がした。美穂が「来たわ」と言った。ドアから入ってきた女を見て健一は心臓が止まる思いだった。それはもう一人の美穂だった。
「あたしの妹、早苗よ。あたしと早苗は一心同体なの。だから、別々の男は駄目。あなたは早苗とあたしを愛せる人なのよ。デート中も入れ替わっていたけど、あなたは気がつかなかった」
早苗は笑いながらポニーテールのかつらをかぶった。
「これから3人でずっと楽しく暮らせそうね」
二人は白い歯を見せて笑っていた。
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