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厨二病、林間学校に行く。
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夏休みが明けて数週間後――うちらの学年は林間学校に行く時期になった。
「林間学校?なんだそれは。」
「1泊2日で皆で校外学習するんだよ。ほら、これがしおり。」
学校で渡されたしおりをクリスに手渡した。楽しみだな♪
「ほぅ、バスで行くのか。日本の学校は行事が多いな。」
「そうだね、11月には文化祭もあるし…あっ酔い止め用意しないと!」
まどかはそう言ってタンスの中を漁り始めた。
「酔い止めと虫除けスプレーと……。」
「なんだ、まだ暑いのにTシャツやハーフパンツはダメなのか?」
「長袖シャツを着ればTシャツでもいいんだよ?山に入るからね、虫とか居るから肌を出す格好はダメみたい。」
クリスはチェックの長袖シャツと黒いジーンズを用意した。うわぁ、クリスに似合うな…。てか本当なんでも似合う。
「準備が出来たなら寝なさい。明日早いんだから。」
お母さんが覗き込んで言った。ウチらははーい、と返事をすると2階へ上がって行った。
「じゃぁ気をつけて行ってらっしゃい。」
お母さんに見送られて学校へと向かった。荷物、重い。
「結構重いな…まどか大丈夫か?持ってやろうか?」
「ん?大丈夫だよ。ありがとうクリス。」
「無理はするなよ?まどかぐらい簡単に持てる。」
「えっ!?持つって荷物じゃなくて私なの!?」
当たり前じゃないか、とクリスはシレッと言った。怖い。
「おはよう二人とも。」
「あっおはよう花梨。」
「バスって自由席だったよね?まどか、近くに乗ろう!」
「もちろん!着くまで退屈だし、お話してよう♪」
こうして学校に着いた私達は先生の話を聞いた後バスに乗り込んだ。私の隣が花梨、後ろにクリスと田中くんで固まって乗った。
「楽しみだね林間学校♪」
「ねー!班も一緒だしね♪」
バスが動き出した。あっ酔い止め飲んでおこう。
「着いたぁー!空気が綺麗だね。」
「本当だね、澄んでる気がする。涼しいし。」
私と花梨が話しているとクリスが魔物が出そうだな、と呟いた。
「魔物は出ないと思うけど幽霊出そうだよね。」
田中くんがニヤニヤして話し始めた。
「えっ幽霊?」
「あそこにさ、小さい山あるでしょ?あそこ少し登った先に神社があるんだって。」
「えっ何?田中……そこが心霊スポットだって言いたいの?」
花梨が顔を顰めた。
「いや、そんな話は聞かないけど。肝試しにはピッタリだよね。」
「はぁ!?肝試し!?」
「うん、リクリエーションの時間にさ、うちのクラスは肝試しをしようってなったわけよ。」
何それ聞いてないと騒ぐ花梨にだって今決まったから、と田中くんは笑って言った。
「まぁ強制じゃないから参加したくないならいいよ?でもまさかあの花梨ちゃんが幽霊ダメだったとはねぇ。」
「ちょっと、私がいつダメって言ったのよ。参加する私!」
ええ!?花梨めっちゃ怯えてたのに!?
「花梨!?無理はしない方が……。」
「まどか大丈夫だよ。私より田中のが怖がりに見えるけど。」
「俺?俺は大丈夫だよ。だってアレクくんが付いてるからね。」
田中くんの言葉に3人がえ?となった。
「え?俺はまどかと行くつもりだが。」
「えっ!?バスの座席順じゃないの!?」
「いや、関係ないでしょ。何、あんたアレクくんに守ってもらうつもりだったの?」
花梨が聞くと田中くんはうん、と真顔で答えた。
「こういうのは男女ペアのがいいんじゃないか?田中は花梨と行け。」
「えっ!待って、なら俺はまどかちゃんと行く!!」
「いや、まどかをお前に預けるのは心配だ。」
「ちょっと、私ならいいってこと?アレクくん。」
花梨が睨むとクリスはそういう事では……と頭をかいた。
「ふふ、冗談だよ。アレクくんはまどかと行きたいんでしょ?大丈夫、このおじゃま虫は私が預かるから。」
「おじゃま虫って何!!ならここは公平にジャンケンで…。」
グダグダ話していると集合がかかった。早く行かないと!
お風呂も終わってついにリクリエーションの時間。皆小山の前に集まった。
「えっと軽く説明するが神社のお賽銭の近くにスタンプが置いてある。今からこの紙を渡すからそれにスタンプを押してこい。」
先生はそう言って紐の付いた紙を配った。首から下げるのか。
「そんなに険しい道ではないが、山は山だ。足元には注意しろ。あと具合が悪くなったり途中で怖くなったら躊躇せず戻ってこい、分かったな。」
うーんやっぱり夜の山って怖いよね…何人かもう始まる前にリタイアした。
「クリス……大丈夫?私めっちゃ怖いんだけど………。」
「俺は大丈夫だ。訓練で1人夜の山道をさ迷ってたりしたからな。」
えっ何その訓練怖すぎる。いじめか。
「まどかこそ大丈夫か?怖くなったら俺がおんぶするからな。」
いやいやそれは全力で遠慮します!!
「じゃぁ始めよう。この懐中電灯を持っていけよ。」
――ついに肝試しが始まった。
私達の順番は後ろの方だった。
「私達が行ったら次は花梨達の番だね。」
「うん……。………結構リタイアしてる人多いね?ってか何?スタンプ押して帰ってる人居なくない!?」
行った人の話を聞くと暗闇が怖いのはもちろん、至る所から変な音が聞こえるらしい。特に神社の近くは凄くて奥に行く前に逃げ帰ってしまう、との事。
「えっ待って、お化け役とか居ないんでしょ?って事は怪奇現象!?」
「いや、動物だな………。」
花梨が怯えながら言うとクリスが冷静に返した。
「動物?」
「ああ、昼間山に入った時に糞や足跡が沢山あった。恐らく狸などが住み着いてるんだろう。」
うわ、うちらがぼーっと山登ってる間にクリスはちゃんと周りを見ていたのか。やっぱり凄いな、クリス。
「なんだ動物か。なら怖くないな?花梨ちゃん?」
「いや、野生だしそれはそれで気を付けた方がいい。下手に刺激すると襲ってくるぞ。」
幽霊よりかはマシだわ…花梨が青い顔でそう言った。えっ花梨、本当に大丈夫かな…………?
「はい、次佐々木さん達の番だよ。」
話しているとクラスの子に懐中電灯を渡された。ついに来た!!
「頑張ってねまどか……!!無事を祈る!!」
「まだスタンプ押した人居ないって!!アレクくんなら行けるって!!」
何故かクラス全員の期待を背負ってうちらは出発した。なんだこれ。
「おい、まどか大丈夫か?」
「怖い、怖いよクリス。お願い離れないで。」
なんだか恥ずかしい事言った気がするけど気にしてられない。だって怖いんだもん!!真っ暗で本当に見えない!!懐中電灯頼りなさすぎだよ!!
ガサガサッ
「ひぃ!?」
皆が言った通りだ。至る所から音がする。怖い!!
「大丈夫、動物だ。ほら見ろ動物の目が光ってるだろ?」
クリスがそう言って懐中電灯を向けると狸か何かの目が光って見えた。これはこれで怖いけど。
「うっうん、動物だね、幽霊じゃないね…。」
「あっまどか階段だ。神社の階段があったぞ。」
恐る恐る前を向くと神社の階段が目の前にあった。
「怖い!!クリスお願い!!一生のお願い!!腕にしがみついていい!?」
「なっ!?しがみつく!?」
「お願いクリス!!いや、もうクリスの返事は聞かない!!」
私はそう言ってクリスにしがみついた。クリスの身体がビクッとした。ん?クリスも怖いの?
「くそっ!いいか?絶対に俺の顔見るなよ?」
「えっなんで?」
「いいから!!」
えっなんだろう…めっちゃ気になるけどここでクリスを怒らせて腕を振りほどかれたら絶望しかないから我慢した。
「そんなに強くしがみつかれたら胸が……当たる………。」
「え?何クリス?怖いんだからボソボソ喋らないで!」
「何でもない!!」
えっなんで怒られてるの。理不尽。
そんなこんなで何とか階段を登り切った私達。そしてついに――!
「やったー!スタンプゲット!!」スタンプを押した。
「おい、いきなり元気になったな。」
「だって初めてだよ?押した人!自慢しちゃうよね。」
主にクリスのお陰だけど。私はちょっと浮かれていた。それがいけなかったのだ。
「クリス、ほら帰ろ…………あっ!?」
真っ暗で見えなかった。階段を踏み外してしまったのだ。
「!! っまどか!!」
クリスが私の手を引っ張った。そして力いっぱい私を自分の方へと引っ張って――。
「………………………………………………………。」
「………………………………………………………。」
え?今………えっ?
「えっ?クリス…………今…。」
「………まどか…大丈夫か…?」
「あっ……うん、クリスがクッションになってくれたから…ありがとう…………。えっそれよりクリス………今………。」
「……………………………………悪い、その…唇が…。」
!!えっやっぱり!?なんか唇に暖かいものを感じたんだけど!?
「えっ!?クリスの唇!?今唇が唇に当たったの!?」
「デカい声で言うな!!許せ、事故だ!!」
「だっだってそんな!!えっ!?」
「悪かったって!!大丈夫だ!!責任は取る!!」
「せせせ責任って何ぃ!?」
いや、私が調子乗って転んだんだからクリスを責める気は毛頭ない。でも…まさかファーストキスが事故だなんて!!
「本当に悪かった。もしかしてまどか初めてか?」
「いいいやいや大丈夫、そそそれより早く戻ろう?」
私達はギクシャクしたまま帰った。
帰ってきた私達の態度に皆が凍りついた。こいつら…幽霊でも見たんじゃないか、と。
「えええ!?アレクくん!?何があったの!?ねぇ、見たの!?」
「嘘でしょ!?私やっぱり行かない!!リタイアする!!」
花梨のリタイアで肝試しは幕をおりた。唯一スタンプを押してきた私達だったが誰一人詳細を聞いてこなかった。
「やっぱり何か出るんだ!あの神社は!!」
その神社はその後心霊スポットになってしまったらしい。
「林間学校?なんだそれは。」
「1泊2日で皆で校外学習するんだよ。ほら、これがしおり。」
学校で渡されたしおりをクリスに手渡した。楽しみだな♪
「ほぅ、バスで行くのか。日本の学校は行事が多いな。」
「そうだね、11月には文化祭もあるし…あっ酔い止め用意しないと!」
まどかはそう言ってタンスの中を漁り始めた。
「酔い止めと虫除けスプレーと……。」
「なんだ、まだ暑いのにTシャツやハーフパンツはダメなのか?」
「長袖シャツを着ればTシャツでもいいんだよ?山に入るからね、虫とか居るから肌を出す格好はダメみたい。」
クリスはチェックの長袖シャツと黒いジーンズを用意した。うわぁ、クリスに似合うな…。てか本当なんでも似合う。
「準備が出来たなら寝なさい。明日早いんだから。」
お母さんが覗き込んで言った。ウチらははーい、と返事をすると2階へ上がって行った。
「じゃぁ気をつけて行ってらっしゃい。」
お母さんに見送られて学校へと向かった。荷物、重い。
「結構重いな…まどか大丈夫か?持ってやろうか?」
「ん?大丈夫だよ。ありがとうクリス。」
「無理はするなよ?まどかぐらい簡単に持てる。」
「えっ!?持つって荷物じゃなくて私なの!?」
当たり前じゃないか、とクリスはシレッと言った。怖い。
「おはよう二人とも。」
「あっおはよう花梨。」
「バスって自由席だったよね?まどか、近くに乗ろう!」
「もちろん!着くまで退屈だし、お話してよう♪」
こうして学校に着いた私達は先生の話を聞いた後バスに乗り込んだ。私の隣が花梨、後ろにクリスと田中くんで固まって乗った。
「楽しみだね林間学校♪」
「ねー!班も一緒だしね♪」
バスが動き出した。あっ酔い止め飲んでおこう。
「着いたぁー!空気が綺麗だね。」
「本当だね、澄んでる気がする。涼しいし。」
私と花梨が話しているとクリスが魔物が出そうだな、と呟いた。
「魔物は出ないと思うけど幽霊出そうだよね。」
田中くんがニヤニヤして話し始めた。
「えっ幽霊?」
「あそこにさ、小さい山あるでしょ?あそこ少し登った先に神社があるんだって。」
「えっ何?田中……そこが心霊スポットだって言いたいの?」
花梨が顔を顰めた。
「いや、そんな話は聞かないけど。肝試しにはピッタリだよね。」
「はぁ!?肝試し!?」
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「まぁ強制じゃないから参加したくないならいいよ?でもまさかあの花梨ちゃんが幽霊ダメだったとはねぇ。」
「ちょっと、私がいつダメって言ったのよ。参加する私!」
ええ!?花梨めっちゃ怯えてたのに!?
「花梨!?無理はしない方が……。」
「まどか大丈夫だよ。私より田中のが怖がりに見えるけど。」
「俺?俺は大丈夫だよ。だってアレクくんが付いてるからね。」
田中くんの言葉に3人がえ?となった。
「え?俺はまどかと行くつもりだが。」
「えっ!?バスの座席順じゃないの!?」
「いや、関係ないでしょ。何、あんたアレクくんに守ってもらうつもりだったの?」
花梨が聞くと田中くんはうん、と真顔で答えた。
「こういうのは男女ペアのがいいんじゃないか?田中は花梨と行け。」
「えっ!待って、なら俺はまどかちゃんと行く!!」
「いや、まどかをお前に預けるのは心配だ。」
「ちょっと、私ならいいってこと?アレクくん。」
花梨が睨むとクリスはそういう事では……と頭をかいた。
「ふふ、冗談だよ。アレクくんはまどかと行きたいんでしょ?大丈夫、このおじゃま虫は私が預かるから。」
「おじゃま虫って何!!ならここは公平にジャンケンで…。」
グダグダ話していると集合がかかった。早く行かないと!
お風呂も終わってついにリクリエーションの時間。皆小山の前に集まった。
「えっと軽く説明するが神社のお賽銭の近くにスタンプが置いてある。今からこの紙を渡すからそれにスタンプを押してこい。」
先生はそう言って紐の付いた紙を配った。首から下げるのか。
「そんなに険しい道ではないが、山は山だ。足元には注意しろ。あと具合が悪くなったり途中で怖くなったら躊躇せず戻ってこい、分かったな。」
うーんやっぱり夜の山って怖いよね…何人かもう始まる前にリタイアした。
「クリス……大丈夫?私めっちゃ怖いんだけど………。」
「俺は大丈夫だ。訓練で1人夜の山道をさ迷ってたりしたからな。」
えっ何その訓練怖すぎる。いじめか。
「まどかこそ大丈夫か?怖くなったら俺がおんぶするからな。」
いやいやそれは全力で遠慮します!!
「じゃぁ始めよう。この懐中電灯を持っていけよ。」
――ついに肝試しが始まった。
私達の順番は後ろの方だった。
「私達が行ったら次は花梨達の番だね。」
「うん……。………結構リタイアしてる人多いね?ってか何?スタンプ押して帰ってる人居なくない!?」
行った人の話を聞くと暗闇が怖いのはもちろん、至る所から変な音が聞こえるらしい。特に神社の近くは凄くて奥に行く前に逃げ帰ってしまう、との事。
「えっ待って、お化け役とか居ないんでしょ?って事は怪奇現象!?」
「いや、動物だな………。」
花梨が怯えながら言うとクリスが冷静に返した。
「動物?」
「ああ、昼間山に入った時に糞や足跡が沢山あった。恐らく狸などが住み着いてるんだろう。」
うわ、うちらがぼーっと山登ってる間にクリスはちゃんと周りを見ていたのか。やっぱり凄いな、クリス。
「なんだ動物か。なら怖くないな?花梨ちゃん?」
「いや、野生だしそれはそれで気を付けた方がいい。下手に刺激すると襲ってくるぞ。」
幽霊よりかはマシだわ…花梨が青い顔でそう言った。えっ花梨、本当に大丈夫かな…………?
「はい、次佐々木さん達の番だよ。」
話しているとクラスの子に懐中電灯を渡された。ついに来た!!
「頑張ってねまどか……!!無事を祈る!!」
「まだスタンプ押した人居ないって!!アレクくんなら行けるって!!」
何故かクラス全員の期待を背負ってうちらは出発した。なんだこれ。
「おい、まどか大丈夫か?」
「怖い、怖いよクリス。お願い離れないで。」
なんだか恥ずかしい事言った気がするけど気にしてられない。だって怖いんだもん!!真っ暗で本当に見えない!!懐中電灯頼りなさすぎだよ!!
ガサガサッ
「ひぃ!?」
皆が言った通りだ。至る所から音がする。怖い!!
「大丈夫、動物だ。ほら見ろ動物の目が光ってるだろ?」
クリスがそう言って懐中電灯を向けると狸か何かの目が光って見えた。これはこれで怖いけど。
「うっうん、動物だね、幽霊じゃないね…。」
「あっまどか階段だ。神社の階段があったぞ。」
恐る恐る前を向くと神社の階段が目の前にあった。
「怖い!!クリスお願い!!一生のお願い!!腕にしがみついていい!?」
「なっ!?しがみつく!?」
「お願いクリス!!いや、もうクリスの返事は聞かない!!」
私はそう言ってクリスにしがみついた。クリスの身体がビクッとした。ん?クリスも怖いの?
「くそっ!いいか?絶対に俺の顔見るなよ?」
「えっなんで?」
「いいから!!」
えっなんだろう…めっちゃ気になるけどここでクリスを怒らせて腕を振りほどかれたら絶望しかないから我慢した。
「そんなに強くしがみつかれたら胸が……当たる………。」
「え?何クリス?怖いんだからボソボソ喋らないで!」
「何でもない!!」
えっなんで怒られてるの。理不尽。
そんなこんなで何とか階段を登り切った私達。そしてついに――!
「やったー!スタンプゲット!!」スタンプを押した。
「おい、いきなり元気になったな。」
「だって初めてだよ?押した人!自慢しちゃうよね。」
主にクリスのお陰だけど。私はちょっと浮かれていた。それがいけなかったのだ。
「クリス、ほら帰ろ…………あっ!?」
真っ暗で見えなかった。階段を踏み外してしまったのだ。
「!! っまどか!!」
クリスが私の手を引っ張った。そして力いっぱい私を自分の方へと引っ張って――。
「………………………………………………………。」
「………………………………………………………。」
え?今………えっ?
「えっ?クリス…………今…。」
「………まどか…大丈夫か…?」
「あっ……うん、クリスがクッションになってくれたから…ありがとう…………。えっそれよりクリス………今………。」
「……………………………………悪い、その…唇が…。」
!!えっやっぱり!?なんか唇に暖かいものを感じたんだけど!?
「えっ!?クリスの唇!?今唇が唇に当たったの!?」
「デカい声で言うな!!許せ、事故だ!!」
「だっだってそんな!!えっ!?」
「悪かったって!!大丈夫だ!!責任は取る!!」
「せせせ責任って何ぃ!?」
いや、私が調子乗って転んだんだからクリスを責める気は毛頭ない。でも…まさかファーストキスが事故だなんて!!
「本当に悪かった。もしかしてまどか初めてか?」
「いいいやいや大丈夫、そそそれより早く戻ろう?」
私達はギクシャクしたまま帰った。
帰ってきた私達の態度に皆が凍りついた。こいつら…幽霊でも見たんじゃないか、と。
「えええ!?アレクくん!?何があったの!?ねぇ、見たの!?」
「嘘でしょ!?私やっぱり行かない!!リタイアする!!」
花梨のリタイアで肝試しは幕をおりた。唯一スタンプを押してきた私達だったが誰一人詳細を聞いてこなかった。
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