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序章〜観測者
3.エルフ?それとも女神来たーー! (挿絵あり)
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太陽の位置がまた一段と低くなっていた。
急激に辺りが薄暗くなった気がする。時計を見ると10分ほどしか経っていない。
ヘッドライトで前を照らしながら妃音の赤いクーペは先行するバスを追いかけた。
月斗は隣で運転をする妃音の童貞を瞬殺するセーターで瀕死寸前だった。
車内に立ち込めるいい香り。直視すれば即死だ。朝の星占い、トラブルに巻き込まれるって!とんでもないトラブルなんですけど?ラッキーアイテムのバーミリオンに殺されそうなんですけど?
800mほど走ると陽は完全に沈み、暗闇が2台を包むとバス車内のライトがつく。大木の周りを半周ほどすると、幹から20mくらいの所に洞窟の入り口の様なものが見える。
バスがハザードランプを点灯させ速度を落とていく。妃音の赤いクーペもそれに続く。
入り口から中を照らすと奥は行き止まりで、洞窟と言うよりも[かまくら]の様な形状をしていた。バスは少し先で車両を斜めに向けバックライトを点灯させる。
滑らかな動きでバスがゆっくりと[かまくら]の中央に駐車する。それに続いて赤いクーペも2、3度切り返しをしながらバスの横に駐車した。
「バックは苦手なのよ…」
月斗は食い気味に(でしょうね)と言いそうになるのを堪えた。
テヘペロみたいな表情をしてハンドルを握っている。端正なお顔が程よく崩れてとても可愛い!童貞を殺すセーターとの相乗効果でとてつもない火力だ!
早く車の外に出ないとマズイ……月斗と妃音が車から降りると、バスからも数名が降りて来ていた。
[かまくら]の中は2台が停めても充分なスペースがあり広かった。入り口以外にも2ヶ所同じ高さに大きな口が空いていた。
その中央にも小さく1ヶ所。暗闇にもだんだん目が慣れてきた。
「月斗良かったこっちに乗ってたんだな!」
バスから降りて来た陸が月斗に声をかける。
「ああ」と答える月斗が何だか苦しそうだ。
「大丈夫か?」と言う陸は月斗の側に立っている綺麗なお姉さん妃音に気付く。
「えっ、って何てキレイな女の人!」と思わず声が漏れる。
「はじめまして、本庄陸17歳です!」
と言って妃音に握手を求めた。
それに応じる妃音
♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎
「みんな集まれ!」
と堂島の声が聞こえた。
バスから降りて来た生徒たちが運転手と堂島(どうじま)、妃音(ひめの)を囲む様に地面に座る。
「全員いるな!」
と堂島が声をかけると、生徒たちが口々に「先生!ここどこですか?」
「先生、その人誰ですか?」という声がする。
それに応える様に「橘妃音22歳です」
月斗たちにつられてついつい年齢まで言ってしまう。
「ここが何処だかはわからん。スマホも繋がらんから位置情報も掴めないしな!」
堂島がそういうと、「先生、ここって異世界っていうやつじゃ無いですか?」
「何だソレ?」という堂島に
「きっと俺たち異世界に転生されたんですよ!」
1年の梶大作がそう言う。
「バスが事故って全員死んで、この世界に転生したんです!」
「いや事故って無いだろ!」
「死んだのに気付いて無いんですよ!みんなそのままの記憶を持ってそのままの姿で転生したもんだからわからないんです!異世界転生ってそういうものなんです!」
よく喋る。
「そしてもうすぐ女神とか王様とかが出てきてイベントが始まるんですよ!もしかしたらそのお姉さんかも?」
妃音はキョトンとしている。
「異世界転生って事は、魔法とか使えるんじゃねー?」
「魔法って!漫画じゃあるまいし。」
「先生知らないんですか?」梶はそう言って掌を前へ出しながら叫んだ!
「ステータスオープン!」………………………………シーン!
何も起きずに変な空気が一同を襲う。
すると「あの…魔法って」と妃音がその生徒に声をかけようとする。
しばらく目を閉じてからその生徒をじっと見つめて続けた。
「…魔法ってこういうのも魔法ですか?」と言って掌を胸の中央でゆっくりと合わせ始めた。
すると妃音の両手の周りがポゥッと明るくなる。
「おおおおおおっ!」
「お姉さん!スゲェー!女神来たーーー!」
生徒たちが立ち上がって妃音を取り囲む。
さらに集中するとその光が更に大きくなり、[かまくら]内を明るく照らした。
それに伴ってさっきまで真っ暗だった[かまくら]内が明るく照らされた。
「おわあぁぁぁぁぁー!」
[かまくら]の入り口辺りを指さして生徒の1人が声を上げる。
皆がその方向を見る。
さっきまで暗くて気づかなかった[かまくら]の入り口にヒトの歯の様な物がズラリと並んでいた!
同じ高さに空いた穴がちょうど目の様だ!
「何だコレ?」
「おわぁぁ」
「ここって!髑髏(どくろ)の中だ!」
誰かが叫ぶと、他を押し除けあわててバスの中に駆け込む生徒が数人いた。
「巨人の骸骨だ!」
「落ち着け!パニックになるな!」
堂島が皆を制す。
やや小さめとはいえ、全長10mはあるバスをすっぽり飲み込むほどの大きさの人が存在するものなのか?
生徒たちに落ち着く様に促す堂島自身も不安に満ち、じんわりと背中を汗が伝う。
妃音が照らし出した光がだんだんと弱くなり、やがて消えた。
暗闇が更に皆を恐怖心で包み込んだ。
急激に辺りが薄暗くなった気がする。時計を見ると10分ほどしか経っていない。
ヘッドライトで前を照らしながら妃音の赤いクーペは先行するバスを追いかけた。
月斗は隣で運転をする妃音の童貞を瞬殺するセーターで瀕死寸前だった。
車内に立ち込めるいい香り。直視すれば即死だ。朝の星占い、トラブルに巻き込まれるって!とんでもないトラブルなんですけど?ラッキーアイテムのバーミリオンに殺されそうなんですけど?
800mほど走ると陽は完全に沈み、暗闇が2台を包むとバス車内のライトがつく。大木の周りを半周ほどすると、幹から20mくらいの所に洞窟の入り口の様なものが見える。
バスがハザードランプを点灯させ速度を落とていく。妃音の赤いクーペもそれに続く。
入り口から中を照らすと奥は行き止まりで、洞窟と言うよりも[かまくら]の様な形状をしていた。バスは少し先で車両を斜めに向けバックライトを点灯させる。
滑らかな動きでバスがゆっくりと[かまくら]の中央に駐車する。それに続いて赤いクーペも2、3度切り返しをしながらバスの横に駐車した。
「バックは苦手なのよ…」
月斗は食い気味に(でしょうね)と言いそうになるのを堪えた。
テヘペロみたいな表情をしてハンドルを握っている。端正なお顔が程よく崩れてとても可愛い!童貞を殺すセーターとの相乗効果でとてつもない火力だ!
早く車の外に出ないとマズイ……月斗と妃音が車から降りると、バスからも数名が降りて来ていた。
[かまくら]の中は2台が停めても充分なスペースがあり広かった。入り口以外にも2ヶ所同じ高さに大きな口が空いていた。
その中央にも小さく1ヶ所。暗闇にもだんだん目が慣れてきた。
「月斗良かったこっちに乗ってたんだな!」
バスから降りて来た陸が月斗に声をかける。
「ああ」と答える月斗が何だか苦しそうだ。
「大丈夫か?」と言う陸は月斗の側に立っている綺麗なお姉さん妃音に気付く。
「えっ、って何てキレイな女の人!」と思わず声が漏れる。
「はじめまして、本庄陸17歳です!」
と言って妃音に握手を求めた。
それに応じる妃音
♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎
「みんな集まれ!」
と堂島の声が聞こえた。
バスから降りて来た生徒たちが運転手と堂島(どうじま)、妃音(ひめの)を囲む様に地面に座る。
「全員いるな!」
と堂島が声をかけると、生徒たちが口々に「先生!ここどこですか?」
「先生、その人誰ですか?」という声がする。
それに応える様に「橘妃音22歳です」
月斗たちにつられてついつい年齢まで言ってしまう。
「ここが何処だかはわからん。スマホも繋がらんから位置情報も掴めないしな!」
堂島がそういうと、「先生、ここって異世界っていうやつじゃ無いですか?」
「何だソレ?」という堂島に
「きっと俺たち異世界に転生されたんですよ!」
1年の梶大作がそう言う。
「バスが事故って全員死んで、この世界に転生したんです!」
「いや事故って無いだろ!」
「死んだのに気付いて無いんですよ!みんなそのままの記憶を持ってそのままの姿で転生したもんだからわからないんです!異世界転生ってそういうものなんです!」
よく喋る。
「そしてもうすぐ女神とか王様とかが出てきてイベントが始まるんですよ!もしかしたらそのお姉さんかも?」
妃音はキョトンとしている。
「異世界転生って事は、魔法とか使えるんじゃねー?」
「魔法って!漫画じゃあるまいし。」
「先生知らないんですか?」梶はそう言って掌を前へ出しながら叫んだ!
「ステータスオープン!」………………………………シーン!
何も起きずに変な空気が一同を襲う。
すると「あの…魔法って」と妃音がその生徒に声をかけようとする。
しばらく目を閉じてからその生徒をじっと見つめて続けた。
「…魔法ってこういうのも魔法ですか?」と言って掌を胸の中央でゆっくりと合わせ始めた。
すると妃音の両手の周りがポゥッと明るくなる。
「おおおおおおっ!」
「お姉さん!スゲェー!女神来たーーー!」
生徒たちが立ち上がって妃音を取り囲む。
さらに集中するとその光が更に大きくなり、[かまくら]内を明るく照らした。
それに伴ってさっきまで真っ暗だった[かまくら]内が明るく照らされた。
「おわあぁぁぁぁぁー!」
[かまくら]の入り口辺りを指さして生徒の1人が声を上げる。
皆がその方向を見る。
さっきまで暗くて気づかなかった[かまくら]の入り口にヒトの歯の様な物がズラリと並んでいた!
同じ高さに空いた穴がちょうど目の様だ!
「何だコレ?」
「おわぁぁ」
「ここって!髑髏(どくろ)の中だ!」
誰かが叫ぶと、他を押し除けあわててバスの中に駆け込む生徒が数人いた。
「巨人の骸骨だ!」
「落ち着け!パニックになるな!」
堂島が皆を制す。
やや小さめとはいえ、全長10mはあるバスをすっぽり飲み込むほどの大きさの人が存在するものなのか?
生徒たちに落ち着く様に促す堂島自身も不安に満ち、じんわりと背中を汗が伝う。
妃音が照らし出した光がだんだんと弱くなり、やがて消えた。
暗闇が更に皆を恐怖心で包み込んだ。
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