Re:crossWORLD 異界探訪ユミルギガース

LA note (ら のおと)

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序章〜観測者

15.the first team to the farm (1軍から2軍へ)

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「先生!ここは異世界って事でいいんですか?」月斗げっとが堂島に質問をする。

「わからん!そもそも異世界転移とか異世界転生って何?って話だしな!」

「異世界転生ってのは、主人公が死んで、ファンタジーな世界観のあるところで前世の記憶を持ちながら生まれ変わるんですけど、主人公は大体、願望満載の能力を持っているんで無敵です!異世界転移は、別世界へそのままの姿のまま迷い込む!みたいなものなので僕たちはソレっぽいですね!」1年の梶が解説をする。

「まぁここが我々のいた世界と時間軸が違うと言う事は間違い無いな!」

「先生?時間軸が違うって事は、どういう事ですか?」

「ああ、平行世界パラレルワールドと言う言葉を知っているか?」

「聞いた事があります!SFなんかの映画や小説なんかに出てくる」

「そうだな!物理学、いや量子力学と言う学問では割とパラレルワールドの解釈が出て来る。と言うのも我々の日常的な常識を飛び越えてSF的な想像さえしてしまうんだ。量子論での基本的な概念として状態の重ね合わせと言うのがあって、その重なった数の分だけ世界が分岐しているという考え方だ」

「それってSFぽいですね!」

「ああ、1932年、数学者のジョン・フォン・ノイマンと言う学者が『波の収縮は、物理世界ではなく、起こっている』と主張をした。2重スリットの実験の事はみんな知ってるな?」
「………」

『知らんけど』

 今橋の思考が漏れる。

「あの…」

 生徒たちが黙っている中、運転手の三原が手を挙げた。
「先生、間違ってたらすみません…確か、中学校の授業の時に聞いてすごく不思議だなって思った印象があったんですが…確か…スリットの間を光が通り抜けていったとき、壁に光の干渉縞かんしょうじまが出来るってやつでしたっけ?」

「そうです!三原さん、凄いですね!それまで光はニュートンの光の粒子説が支持されてたのですが、トマス・ヤングがおこなったこの実験によって光に波の性質があることが証明され光の波動説が唱えられました。驚く事に光は粒子としての性質と波としての性質を併せ持ち結果として…」

「先生!この話まだ続きますか?学校の授業みたいでみんな疲れてて…」

 月斗が長々と講義をする堂島を制した。

『よく言った!月斗!』

 今橋の思考もだだ漏れている。

「すまん…そうだな…ついこの世界のことわりに興奮してしまった…」

「先生!この世界で俺たちの武器になる魔法のうりょくの事についてもっと話合いませんか?」

 月斗がそう切り出すと

「月斗!お前の魔法のうりょくって断然1軍だよな!」陸がそう言う。
「1軍?」
「それに比べて俺のちょっと地面が盛り上がるって何?コレ?なんなん?って感じなんですけど!」

 陸がそう言うと

「俺のも1番嫌な魔法のうりょくだな!」

 堂島が鏡の様なサングラスをクイッとしながらそう言った。

「指から塩水が出ますからね…」

「でも塩分補給って大事なのでそれはそれで良くないですか?」

 月斗がフォローすると

『指から出た水を飲むの嫌だな…』

「………」

「でも先生!俺の火球にしても先生の海水にしてもどこから?て言うか身体の中から作られて放出されてるんですか?どういう仕組みなんだ?」

「うむ…我々の世界では、「エネルギー」と言う言葉は、物理学的にはを表しているんだが…エネルギー保存の法則からは説明が付かない…ここが異世界だから…と言ってしまえばそれまでだが…」

「異世界だからっ!って事でいいじゃないですか?昼と夜が短いのも、重力が弱いのも、魔法のうりょくが使えるのもみんな異世界だからって事で!だから僕たちはこの魔法のうりょくを使いこなす必要があるんです!」

 1年の梶がそう言うと

「まだ僕と三原さん、たいさん、あと
道修どしょう先輩と淡路あわじ先輩、博労ばくろう魔法のうりょくがまだわかって無いですね!みんなの魔法のうりょくやその使い道を把握するのが大事じゃないですか?」

「おお梶!凄いな!」

道修どしょう 空太くうた…絶対アレだ!」

「そうですね!」皆は空太という名前から想像した。

空太くうた、お前はきっと空を飛べるはず!」

「1軍だ!」

「1軍すね!」空を自由に飛ぶ。人類が憧れてやまなかった夢の様な能力。

 皆が一斉に、背が高く体格もがっしりしていて前髪と襟足の長い道修どしょう 空太くうたの方を見る。
空太くうたに皆の期待が向けられた。
  空太くうたは両手を合わせる仕草をすると、直立したまま地面からフワリと20センチほど浮かんだ!

「舞空術か!」

「おっと…思ってたのと違うな…ジャンプした方が高く飛べそうだ…」

「2軍か…」

「2軍すかね…」

 みんなのガッカリ感を感じて空太くうたは、1人その場を離れた。

淡路あわじ 駿しゅん!淡路は絶対アレだな!」

「アレっすね!」

「めっちゃ足が早そうだな!」

「1軍だ!」

「1軍すね!」

 皆が一斉に昭和のアニメキャラを彷彿させる風貌の長い前髪で、片目を隠した淡路あわじ 駿しゅんの方を見る。

 運転手の三原に関しては彼に対して既視感しかなかった。

 絶対足の速いサイボーグの人だ!と決めつけていた。

「………」

 と皆の視界から駿しゅんが一瞬消えたかと思うとまた同じ場所に現れた。

「???」

 一瞬の事で皆わからなかったが手には堂島の鏡の様なサングラスと竹刀を手に持っていた!

「なっ!」

 堂島が思わず声をだす!

「おお!想像を越えて来たー!」

「足が速いどころか瞬間移動テレポーテーション?想像以上だ!」

「1軍の中の1軍だ!」

「1軍すね!」

 皆が歓喜していると淡路あわじ 駿しゅんは肩を震わせながらその場にへたり込みうずくまりながら

「…………」

 めちゃくちゃ小さい声で聞こえない。
駿しゅんは声が小さすぎて周りとのコミュニケーションが苦手だった。その為、幼馴染の空太くうた駿しゅんの言葉を代弁するのだが空太くうたはもう居ない。

「2軍…かな…?」

「2軍…すね。」

「ギリ、1軍…ベンチ…じゃないですか…?」

「豆を植えてひえだな!」堂島がポツリと言う。

「………」

陶犬瓦鶏とうけんがけいだな!」

「………イヤ!2軍のことわざ使われても!全く入って来ません!」

 月斗が皆の気持ちを代弁した。

♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎

登場人物紹介 ※注(若干ネタバレ有り)

道修どしょう 空太くうた

 年齢:17歳 男性
 身長:184cm 体重:74kg
 技能:ハンドボールCB(センター)
    
 種族:人間

 性格:風の様にさわやかな性格。頭脳明晰、冷静沈着で咄嗟の判断力があり、自己流に周りを観察する。洞察力にたけチームの司令塔の役割を担う。この世界に来てからペースが乱されがちで分析力の観点がややズレて来ている。

   
 容姿:やや茶系の黒髪、前髪と襟足が長い。
 魔法:風属性/風の流れをコントロールして空中に浮いたり、飛行する事が出来る。

 異世界転移時の持込物:制服/ハンドボール部ユニホーム/ジャージ上下/スマホ


■ 淡路あわじ 駿しゅん

 年齢:17歳 男性
 身長:172cm 体重:56kg
 技能:陸上競技・ハンドボールRW
    
 種族:人間

 性格:空気の様に物静か。声が異常に小さく幼馴染の空太に会話のほとんどを代弁してもらう。大人し目の性格の様にみられがちだが意外と毒舌で人一倍行動力に長けている。堂島に対しても物怖じしない言葉を浴びせたり、異世界で出会った異種族にも怯む事なく行動をする。

 容姿:やや栗色の毛、前髪で常に片方の目が隠れている、二重の三白眼
 魔法:時間/高速移動。瞬間移動(テレポート)と違い自分の足での移動が必要な為、空中や足場の無い場所ではこの能力が使えないが自身の周りの者の時間を限りなく止まっているかの如く遅らせる。対象者に身体が触れた状態では対象者にも同様の時間体験が可能だが反動でしばらく動けなくなる。

 異世界転移時の持込物:制服/ハンドボール部ユニホーム/ジャージ上下/スマホ/リュック

 私立応徳学園高等部のハンドボール部RW。中学時代から月斗と同様ハンドボール部に所属、全国大会準決勝まで進出するもある事件がきっかけで無効試合となるが特に気にもしていない。フォワードのエースである月斗以上のポテンシャルを持ちながら控えめな性格から前に進んでは出たがらない。しかし異世界に来てからは割と小声で言いたい事をズバズバ言ってたり、人一倍行動が早かったりと意外な一面を披露する。空太とは幼馴染。声が異常に小さい。現時点での魔法(アニマ)としては物語中最強。



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