あなたナニサマ!?聖女サマ!

JUN

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再会

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 ニコラスと騎士団長の息子であるロイは、アラデルに着いた。
「意外と活気があるし、きれいだな。もっと田舎だと思っていた」
 ニコラスが見廻しながら言う通り、首都は道路も舗装されており、人通りも賑やかだ。店に並ぶ商品は種類も数も多く、笑顔で店員と客が売り買いをしていた。
「フン。首都だからだろう」
 ロイは面白くなさそうに言った。
 エミリのそばで留守番をしていたかったのに、こうしてアラデルまでユリウスを連れ戻しに行くように命令されてしまったから、それが不満だったのだ。
「それより、さっさと探して、連れ帰るぞ。本当にここにいるんだろうな」
「ユリウスなら、魔道具職人としてくらいしか働けないでしょうし、魔道具の店なら首都に集中しているはずらしいので、この街のどこかにいると思います」
「それほど店の数も多くはないんだろう。片っ端から行くぞ」
 2人は魔道具を扱う店、工房を、回り始めた。

 ユリウスの勤める魔術団は、「魔術兵課」と「研究課」がある。兵課の方は、魔術師として戦うための課だ。そして「研究課」は、魔道具の開発や魔術師の使う兵器の開発や修理、新しい魔術の研究などと幅広く手掛けている。
 アラデルは魔術の研究課の充実を図っていきたいと思っていたので、ユリウスはまたとない人材だったのである。
 ユリウスはそこで、朝から晩まで――放っておけば夜中まででも、趣味に没頭でき、すればそれが正当に評価されるという夢のような毎日を送っていた。
 そして休日も放っておくと勝手に出勤しかねないので、時々、セルジュやアデリアが寮に来て、外に連れ出したり、城へ呼んで一緒に過ごしたりしていた。
「そう言えば、今更だけど、皇太子殿下と王女殿下なんだよな」
 ふと、メレンゲを焼いたお菓子を食べながら、ユリウスが我に返ったように言った。
 今日は休日で、遊びに来たセルジュとアデリアと3人で観劇に繰り出した後、お茶を楽しんでいるところだった。
「何だよ、急に」
 セルジュが吹き出した。
「いやあ、これって態度とか問題じゃないかなって」
「親友だろ?問題ない」
「そうよ。
 何なら本当に、うちの子になればいいのよ。婿ね」
 アデリアがいたずらっぽく言い、ユリウスは笑った。
「ははは!そんな冗談、本気にされちゃ大変だぞ。アデリアには有力貴族の息子との話があるのに」
「だからそれが嫌なんです!」
 プッと頬を膨らませるアデリアだったが、ユリウスも内心では思うものがなくもない。形だけでもヒースウッドを名乗る事を許されていれば、あるいは、と。
 ユリウスも、アデリアの事は、憎からず思ってはいるのだ。
(まあ、考えても仕方がない)
 ユリウスは笑い、
「その時は、凄い何かをお祝いに贈るよ」
と静かに言った。
 セルジュは内心、舌打ちしていた。
(アデリア、押しが弱い!僕がそれとなく薦めてもユリウスはとことん弱気なんだから。
 ん?待てよ?これはいっそ、真剣に、正式なやり方で、強く打診した方が上手く行くんじゃないか?)
 そう気付き、ニンマリと笑いそうになるのを堪えた。
 両親共ユリウスをかっており、アデリアをつまらない貴族に降嫁させてその家に変に力をつけさせるくらいならば、ユリウスを婿に取ってしまえと王は考えており、王妃も母としては、アデリアを王女としてしか見ない相手になどやりたくないと考えている。
(早速帰って、打診してみるか。そうだなあ。ユリウスにも見合いの話が来そう、とか言ってみるかな)
 セルジュは企んで、そろそろ時間だと立ち上がった。

 ユリウスはブラブラと寮への道を歩き出した。
(今日も楽しかったな。あの舞台装置での演出も面白かった。あれは水と光と風の魔術式を組み合わせていたな。あそこに熱も加えたら、もっと臨場感が出るんだけど)
 考えながら歩いていると、不意に聞いた事のある声が飛び込んで来た。
「ユリウス!?」
 見ると、魔道具工房から出て来た人物2人が、ユリウスを指さしていた。
「あ。ええっと、お久しぶりです」
 ユリウスはニコラスとロイに、言葉に迷いながら軽く頭を下げた。



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