嘘つきは恋人の始まり

JUN

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練習試合開始

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「いい、試合日和じゃねえか」
 どんよりとした空を見上げてガチガチの軍曹が言うと、ハカセは空を見上げて、
「物凄く曇ってるよ。軍曹、しっかり」
と困ったように肩に手を置いた。
「男のクセ気が小さいわね」
 言いながらマヤがバンと背中を叩く。
「霙の一生がかかってるんだぜ」
「その本人を見なさいよ」
 クイッと顎で示されてそちらを見た軍曹は、霙がいつも通りにストレッチをしているのを見た。
「川田ぁ。大丈夫なのか」
「ええ!昨日、あの女の似顔絵を的にして射撃練習たっぷりしておいたから、もう、スッキリ!」
「あ、そ、そうなんだ」
 いい笑顔で霙が答え、軍曹は少しビビった。
「大丈夫。落ち着いてやろう」
 マヤが言い、皆で円陣を組む。
「今日の為に、物凄く練習したもんね」
 オバQが言う。
「大丈夫。勝てない相手じゃないわ」
 半蔵が笑う。
「自信を持って、落ち着いて行こう」
 ハカセが皆の顔を見回す。
「俺達の引退戦だ。勝ってしめようぜ!」
 軍曹がニヤリとする。
「負けるわけにはいかないわ」
 霙は、静かだが力強い声音で言った。
「さあ、始めましょうか」
 相手ブースから出て来た利子達のチームが、自信満々でそう言った。

 真秀は、時計を見た。
(そろそろか)
 電話で霙と話したが、
「これは女の意地の戦いなの」
と、キッパリと霙は言い、利子に申し入れしようかというのを断ったのだ。
(勝っても負けても厄介な気がするなあ)
 真秀はそう思い、嘆息しながら膝の上のレインを撫でたのだった。

「ルールは、お互いの旗を奪うか、相手を殲滅させれば勝ち」
 利子が言い、霙が
「ええ、わかったわ」
と応じる。
「時間は20分間。万が一決着がついていなかった場合は、残っている人数で」
「それが同じだったら?」
「射撃対決でどうかしら?1発ずつ撃って、真ん中に近い方が勝ち」
「OKよ」
 利子と霙は全く笑っていない笑顔を向け合い、ルールの確認をした。
「じゃあ、10分後の鐘で開始しましょう。タイマーで、終了時間にベルが鳴るようにしておくわ」
 それで両チームは、スタート位置についた。
 旗を見る。
「ふふふ。いよいよね」
 陣地の真ん中にでんと座ったそれを見て、半蔵が笑う。
「作戦は、変更なしでいいね?」
 ハカセが言い、皆、頷く。
「じゃあ、行くわよ!」
 マヤが手を出し、それに皆が手を重ねる。
「真秀は渡さない!」
「おお!!」
 雄叫びを上げた。
 それを聞いて、利子も負けじと円陣を組む。
「では。
 真秀さんを取り戻す!」
「おお!」
 こちらもやる気満々で、声を張り上げた。
 そうしてしばらくの後、近くの時計塔が、時報の鐘を鳴らした。戦闘開始だ。






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