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惑わせの罠と決断の勇者
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海の上は日陰が無い、船の甲板も、船が動くたびに日向になったり日陰になったり。
「帽子、サングラス、水分補給、日焼け止めは必須だぞ。倒れるからな」
「はい!」
しゃくって、しゃくって、しゃくって。投げて、しゃくって、しゃくって、しゃくってーー。
今日は船からのジギングだ。ひたすらこれを繰り返すのだ。罰ゲームか我慢大会か筋トレか?
「ハマチが好調で、カンパチも混ざるらしいからな。いやあ、楽しみだ」
関東では養殖のブリをハマチと呼ぶが、関西ではブリになる前の小さいのをハマチと呼ぶ。関西のガシラはカサゴの事で、九州のアラはクエの事だ。
魚の名前は地方で色々あって、面白い。
それにしても、腕が痛い・・・。
「ははは!流石に高校生でも疲れたか。なんせ、ジギングの為に筋トレするのは、ジギング好きなら良くあることだからなあ。
適当に休んで、また復活しろよ」
北倉さんも笑いながら、竿を振る。
ジギングは誘ってなんぼ。誘わなければ釣れない、過酷な釣りだ。
その上ーー。
「おお、向こうで釣れたか。赤金かあ」
さっきは青だったのに、赤金だと!?
そう。金属のジグというものを付けて誘い、食いつかせるのだが、色がたくさんあって、迷う。あたる色というのがあって、その日によってまちまちなのだ。
だから、釣れた人が付けているジグと同じ色に変えてみたりして、迷い続けることになる。ああ。流される人間には辛い。
赤と金色のコンビネーションのジグに変えようかと思っていたら、北倉さんはオレンジでメジロを釣り上げた。
ああ!どうしろと!?
「自分のカンを信じるのも大事だし、周りの状況を分析するのも大事だしなあ」
「うん」
「やってみるしかないんだよなあ。誘い方もあるからさ」
北倉さんは考え込んだ後、こう言って笑った。
ああ、わからない。
「取り敢えず、暖色系にしてみます」
オレンジとピンクで、振ったらシャカシャカと音が鳴るラトル入りのものにしてみる。
ジグを投入。着底したので、ベールを起こし、しゃくって巻く、しゃくって巻く、しゃくって巻く。誘いも変えてみる。
「トライしてみることだね」
「はい」
深いなあ。
何度かやって、迷いの虫がもぞもぞとし出したのを、まだだと押さえつける。自分なりの分析で決めた事じゃないか、と。
誰かが釣る度に、焦りが出る。自分の選択は、正しいのか。
何か、人生に似ているなあ、釣りって。誘い方、合わせ方、仕掛け、ジグ選び。工夫し、人に教えてもらい、何度も試す。
クスッと笑いが出た時、竿にガッと手ごたえが来た。
「来た!」
反射で合わせ、巻く。糸を緩めないように、巻いて、巻いて、向こうが引く時はそのまま待って、また巻く。魚との1対1の真剣勝負だ。
やがて水面に、魚体が上がって来て、タモですくう。
「やったな!お疲れさん!」
「はい!ありがとうございます!」
そこそこのカンパチだ。前から見たら、顔に「八」という模様があるように見えるからカンパチというらしい。
「コリコリしてて美味いぞ」
「おお、楽しみだあ」
「後1時間半程だ。ジャンジャンしゃくれ!」
「はい!」
僕と北倉さんは、しゃくって、しゃくって、しゃくりまくった。
カンパチ、メジロ、ハマチ、サバ、カツオ。今日は5種だ。
「刺身は5種盛だな」
「サバも刺身?」
「美味いぞ。新鮮なやつしか食べられないけどな。あとは、昆布締めにもできるし、それを棒寿司にしたらサバ寿司だしな。勿論、塩焼き、味噌煮も定番だし、竜田揚げもビールのあてにいいな」
涎が垂れそうだ。
「カツオは刺身、叩き、ハンバーグも魚嫌いの子供なんかには食べやすいかな」
「叩きがいいです」
「よし、そうしよう」
分担して魚を捌いていく。
「ほお。もう刺身もバッチリだな、航平も」
「へへへ。悠介さんのおかげです」
褒められて、嬉しい。
2人で料理して、お茶で乾杯して、海の恵みに感謝する2人だった。
『カツオの叩き』
刺身用のさくにおろした身に串を打って火に炙るーーというのができればいい
が、簡単、安全にするなら、フライパンが便利だ。フライパンの上に身を乗せ
てサッと表面に火を通し、転がして、3面共、表面に火を通せばいい。塩で食
べるのもあっさりしているが、ポン酢とおろしニンニクなども鉄板だ。小口切
りのネギを乗せて。
『サバの竜田揚げ』
サバを3枚におろし、それを一口サイズに切る。そこに、酒、しょうゆ、みり
ん、おろししょうが、で下味を付け、片栗粉をまぶして揚げる。
または、塩、胡椒、片栗粉をつけて揚げたものを、酒、しょうゆ、みりん、砂
糖に熱い内に漬け、ゴマをふってもいける。
「帽子、サングラス、水分補給、日焼け止めは必須だぞ。倒れるからな」
「はい!」
しゃくって、しゃくって、しゃくって。投げて、しゃくって、しゃくって、しゃくってーー。
今日は船からのジギングだ。ひたすらこれを繰り返すのだ。罰ゲームか我慢大会か筋トレか?
「ハマチが好調で、カンパチも混ざるらしいからな。いやあ、楽しみだ」
関東では養殖のブリをハマチと呼ぶが、関西ではブリになる前の小さいのをハマチと呼ぶ。関西のガシラはカサゴの事で、九州のアラはクエの事だ。
魚の名前は地方で色々あって、面白い。
それにしても、腕が痛い・・・。
「ははは!流石に高校生でも疲れたか。なんせ、ジギングの為に筋トレするのは、ジギング好きなら良くあることだからなあ。
適当に休んで、また復活しろよ」
北倉さんも笑いながら、竿を振る。
ジギングは誘ってなんぼ。誘わなければ釣れない、過酷な釣りだ。
その上ーー。
「おお、向こうで釣れたか。赤金かあ」
さっきは青だったのに、赤金だと!?
そう。金属のジグというものを付けて誘い、食いつかせるのだが、色がたくさんあって、迷う。あたる色というのがあって、その日によってまちまちなのだ。
だから、釣れた人が付けているジグと同じ色に変えてみたりして、迷い続けることになる。ああ。流される人間には辛い。
赤と金色のコンビネーションのジグに変えようかと思っていたら、北倉さんはオレンジでメジロを釣り上げた。
ああ!どうしろと!?
「自分のカンを信じるのも大事だし、周りの状況を分析するのも大事だしなあ」
「うん」
「やってみるしかないんだよなあ。誘い方もあるからさ」
北倉さんは考え込んだ後、こう言って笑った。
ああ、わからない。
「取り敢えず、暖色系にしてみます」
オレンジとピンクで、振ったらシャカシャカと音が鳴るラトル入りのものにしてみる。
ジグを投入。着底したので、ベールを起こし、しゃくって巻く、しゃくって巻く、しゃくって巻く。誘いも変えてみる。
「トライしてみることだね」
「はい」
深いなあ。
何度かやって、迷いの虫がもぞもぞとし出したのを、まだだと押さえつける。自分なりの分析で決めた事じゃないか、と。
誰かが釣る度に、焦りが出る。自分の選択は、正しいのか。
何か、人生に似ているなあ、釣りって。誘い方、合わせ方、仕掛け、ジグ選び。工夫し、人に教えてもらい、何度も試す。
クスッと笑いが出た時、竿にガッと手ごたえが来た。
「来た!」
反射で合わせ、巻く。糸を緩めないように、巻いて、巻いて、向こうが引く時はそのまま待って、また巻く。魚との1対1の真剣勝負だ。
やがて水面に、魚体が上がって来て、タモですくう。
「やったな!お疲れさん!」
「はい!ありがとうございます!」
そこそこのカンパチだ。前から見たら、顔に「八」という模様があるように見えるからカンパチというらしい。
「コリコリしてて美味いぞ」
「おお、楽しみだあ」
「後1時間半程だ。ジャンジャンしゃくれ!」
「はい!」
僕と北倉さんは、しゃくって、しゃくって、しゃくりまくった。
カンパチ、メジロ、ハマチ、サバ、カツオ。今日は5種だ。
「刺身は5種盛だな」
「サバも刺身?」
「美味いぞ。新鮮なやつしか食べられないけどな。あとは、昆布締めにもできるし、それを棒寿司にしたらサバ寿司だしな。勿論、塩焼き、味噌煮も定番だし、竜田揚げもビールのあてにいいな」
涎が垂れそうだ。
「カツオは刺身、叩き、ハンバーグも魚嫌いの子供なんかには食べやすいかな」
「叩きがいいです」
「よし、そうしよう」
分担して魚を捌いていく。
「ほお。もう刺身もバッチリだな、航平も」
「へへへ。悠介さんのおかげです」
褒められて、嬉しい。
2人で料理して、お茶で乾杯して、海の恵みに感謝する2人だった。
『カツオの叩き』
刺身用のさくにおろした身に串を打って火に炙るーーというのができればいい
が、簡単、安全にするなら、フライパンが便利だ。フライパンの上に身を乗せ
てサッと表面に火を通し、転がして、3面共、表面に火を通せばいい。塩で食
べるのもあっさりしているが、ポン酢とおろしニンニクなども鉄板だ。小口切
りのネギを乗せて。
『サバの竜田揚げ』
サバを3枚におろし、それを一口サイズに切る。そこに、酒、しょうゆ、みり
ん、おろししょうが、で下味を付け、片栗粉をまぶして揚げる。
または、塩、胡椒、片栗粉をつけて揚げたものを、酒、しょうゆ、みりん、砂
糖に熱い内に漬け、ゴマをふってもいける。
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