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運命(4)そして、終わりへ
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しばらくの間、息を潜めるようにして、変化を待った。トビー達の父親の親友だという男を介して王と王妃、教皇とシロだと確信できる教皇の右腕をコンサートに招待し、証拠物件を提示したのである。
教会内については、不正に手を染めていたダレル元司祭他を追放とし、資産は没収、また、内部の引き締めが図られた。
変態王族については、大っぴらに罪に問うことはできないらしい。だが、身柄は何もない厳しい領地へ移されるらしい。
出入り業者については選考し直すという。
そしてもうひとつ。トビーらの両親の汚名は晴れ、称号と領地が元通りになると決まった。
「良かったな。大手を振って帰れるな」
「トビーの料理が、最後に食べたい!」
「しょうがないなあ。何がいいの」
「鳥の生姜焼きと、親子丼と、ああ、もう、ありったけで、パーティーしよう!お祝いだ!」
「ね、ね、この前の丼もあるの?」
「勿論さ!」
「やったあ!」
コメ教信者は、確実に増加していた。
父親の親友という人も呼んで、騒いで、すっかり安心して眠りについた。
油断していた。雑魚がまだ、復讐の機会を窺っていた事を忘れていた。奴隷を取り損ねた商人が、変態王族の命令を聞く人間がいる事を、日本の事情と違うという事を、忘れていたのである。
「何か焦げ臭い」
ふと目が覚めた理生は、玄関が燃えているのに一気に目が覚めた。
「火事だーっ!!」
あたふたと皆で火を消そうとしていると、外からドヤドヤと入って来る人達がいる。
消火の手伝いにしては、やけに人相が悪いやつらだ。
「ガキ共は売り物にする。元尼さんは殿下の所へやるから、ケガさせるなよ」
リーダーの命令で、犯人が誰だか言ったも同然だ。
「どこまでもクソ野郎だな」
「理生、突破できるか?あれで」
「幸か不幸か、壁が薄いから」
壁がセットのようにパタンと倒れた。
「いけるね」
「どこまでボロいんだ」
呆れつつ、皆で固まる。そこで、車を出し、とにかく全員で乗り込む。初めて見る侵入者は、何かわからずに遠巻きに眺めるばかりだ。
というのも、やたら眩しい2つの目玉ーーヘッドライトだがーーが自分達を睨み、ブォン、ブォンという聞いた事のない唸り声を上げて威嚇しーーエンジン音だーー、何という怪物かと、腰が引けているのだ。
「やっちまえ!」
振り上げた剣は簡単に弾かれ、今度は、恐ろしいほどのスピードで飛び出していく。
「何だ、あれは!?」
「魔王か!?」
戦慄する彼らの前で、車はクラクションを鳴らした。
「な、何て大きな鳴き声だ!」
「どうする!?」
リーダーは迷ったが、雇い主に粛清される方が怖かった。
「追え!手ぶらで帰ったら殺されるぞ!?皆で囲んで仕留めればやれる!」
それで、車を追って外へ飛び出した。
外へ飛び出した車だったが、ギュウギュウ詰めの車内から、クリスタが前方を指さした。
「あの馬車の紋章、あの変態バカ王族!」
少し先で止まっていた馬車が2台あり、片方は高そうな物、もう片方は輸送用という感じだった。
「あっちは奴隷商人か」
クリスタは、泣きそうな顔で唇をかみしめる。
「どうやってもあいつに踏みつぶされる。それが運命なの?」
「アホか。運命なんてわけのわからないもののせいにするな」
貴音が切り捨てた。
「どうする、タカネ」
「変態バカ王族とダレルは乗ってるのか?」
「乗ってるぞ、窓から覗いてる」
こっちの人間は、目がいい。
「よし。ぶつけて逃げられないようにしよう。それで、目撃者を集めろ」
「どうするんだ、タカネ」
「一番偉いやつを呼ぶんだよ、大勢の前で」
「王と教皇か?」
「もっと上」
「あ。
よし、シートベルトーーは無理だな。皆、掴まっててね」
理生はアクセルを踏み込んだ。思い切ってぶつけに行く。
ガタンとかなりの衝撃があって、高そうな方の馬車の車輪が壊れ、馬車が傾いていた。もう1台が逃げようとするのでそっちにも急加速して追突すると、こっちはバラバラになって、商人が転がり落ちた。
「よし!」
「わ、わざとぶつかるのも、ストレスだよ」
理生は言いながら、クラクションを鳴らしまくった。
火事の炎と煙、大きな音に、衛兵や付近の住民が集まって来る。
「よし」
車から降り、人垣に囲まれて逃げられない変態バカ王族とダレル、奴隷商人の姿を確認して4人はほくそ笑む。
「判子だ、神!」
貴音が堂々と神を呼びつけた。
途端に、神が現れる。依頼をした神、主神だ。
「おお!」
ざわめきが広がる。
「神が!」
「神よ!」
視線で、「やれよ」と言うと、ニヤリと神はしてみせ、すぐにすましかえる。そして、変態バカ王族とダレルの馬車を、落雷でバラバラにした。
「ヒッ!!」
「神意である」
竦みあがった2人は、言い訳もできず、震えていた。
「愚かな。人の法で裁くが良い」
父親の親友が、トビーに突かれ、我に返る。
「罪人を捕えよ!これは、神の御意思だ!」
それで、衛兵達が変態バカ王族とダレル、奴隷商人を捕えていく。
そして神は、判子をおした。
「いやあ、見せ場まで貰っちゃって」
コソッと言う。
「いいから、偉そうにしてて下さいよ」
理生がコソッと返し、神は
「わかってる、わかってる」
とウインクする。
「生まれや地位で人の法から逃れられても、神の目からは逃れられぬと知れ」
神は厳かに言って、消えて行った。
後にこの場面は奇蹟の日、神判の日と呼ばれ、例の歌劇団を中心に、広く語られることになる。
一面、稲が風になびいていた。
一切の罪を明らかにされ、変態バカ王族とダレルの他、手出しできなかった貴族や大商人が、ここぞとばかりに断罪された。
また似たようなことは起こり得るが、それは、人間自身が防がなければならない。
子供達は、前の街へ送った。ここなら今仕事もたくさんあり、意外と子供達は器用で楽器や踊りにも長けていたので、歌劇団に見習いとして入団することになったのである。
そしてトビーとクリスタは生まれ育った家へ領主として戻ることになったので、3人で送って来たのだ。
最後のビータである。
「最初から、えらい騒動の連続だったなあ」
稲の植わった田んぼを見ながら、トビーがしみじみと言う。
「でも、退屈はしなかっただろ」
「する暇なかったな。楽しかった」
「米は、任せた」
「ああ、任せろ」
トビーは力強く、頷く。
「そうだ。あの石のペンダント、返さないと」
外そうとするのを、貴音が止める。
「いや、持っとけよ。アンデッドが出たら使えるぞ。向こうの世界に持ち帰っても、ぼくらは使えないけどな。
まあ、記念に持っておくか」
「そうだね。言っても信じてもらえないだろうけどね」
「ああ、宇宙戦艦にはお礼を言わないとなあ。これには随分助けられた。
だから、予備のも置いて行っていいよね、貴音君」
「ああ。効果が切れたりする可能性はあるけどな、ぼくらが戻ったら。
それと、理生。御崎 怜だから。いい加減人間の名前で呼んでやれよ」
「ははは、つい、ね」
皆で笑うものの、別れの寂しさは消せない。
「なあ、最後に1曲頼むよ」
「何がいいかな」
風が緩やかに、穏やかに吹く。
「ん、タイスでどうだ、理生」
「わかった」
ピアノとバイオリンを出す。
「つくづく、便利だなあ、これ」
ミハイルがクスクスと笑った。
静かに、最初の1音が生まれる。
マスネー作曲『タイス』の瞑想曲。娼婦タイスが修道士の導きで修道院に入り、そこで安らかな死を迎えるというもので、崇高な美しい曲だ。ゆったりと、浪々と。
4分半程の曲が終わり、余韻が風の中に消えて行く。
もうどこにも、一緒に旅をした3人の仲間はいなかった。
教会内については、不正に手を染めていたダレル元司祭他を追放とし、資産は没収、また、内部の引き締めが図られた。
変態王族については、大っぴらに罪に問うことはできないらしい。だが、身柄は何もない厳しい領地へ移されるらしい。
出入り業者については選考し直すという。
そしてもうひとつ。トビーらの両親の汚名は晴れ、称号と領地が元通りになると決まった。
「良かったな。大手を振って帰れるな」
「トビーの料理が、最後に食べたい!」
「しょうがないなあ。何がいいの」
「鳥の生姜焼きと、親子丼と、ああ、もう、ありったけで、パーティーしよう!お祝いだ!」
「ね、ね、この前の丼もあるの?」
「勿論さ!」
「やったあ!」
コメ教信者は、確実に増加していた。
父親の親友という人も呼んで、騒いで、すっかり安心して眠りについた。
油断していた。雑魚がまだ、復讐の機会を窺っていた事を忘れていた。奴隷を取り損ねた商人が、変態王族の命令を聞く人間がいる事を、日本の事情と違うという事を、忘れていたのである。
「何か焦げ臭い」
ふと目が覚めた理生は、玄関が燃えているのに一気に目が覚めた。
「火事だーっ!!」
あたふたと皆で火を消そうとしていると、外からドヤドヤと入って来る人達がいる。
消火の手伝いにしては、やけに人相が悪いやつらだ。
「ガキ共は売り物にする。元尼さんは殿下の所へやるから、ケガさせるなよ」
リーダーの命令で、犯人が誰だか言ったも同然だ。
「どこまでもクソ野郎だな」
「理生、突破できるか?あれで」
「幸か不幸か、壁が薄いから」
壁がセットのようにパタンと倒れた。
「いけるね」
「どこまでボロいんだ」
呆れつつ、皆で固まる。そこで、車を出し、とにかく全員で乗り込む。初めて見る侵入者は、何かわからずに遠巻きに眺めるばかりだ。
というのも、やたら眩しい2つの目玉ーーヘッドライトだがーーが自分達を睨み、ブォン、ブォンという聞いた事のない唸り声を上げて威嚇しーーエンジン音だーー、何という怪物かと、腰が引けているのだ。
「やっちまえ!」
振り上げた剣は簡単に弾かれ、今度は、恐ろしいほどのスピードで飛び出していく。
「何だ、あれは!?」
「魔王か!?」
戦慄する彼らの前で、車はクラクションを鳴らした。
「な、何て大きな鳴き声だ!」
「どうする!?」
リーダーは迷ったが、雇い主に粛清される方が怖かった。
「追え!手ぶらで帰ったら殺されるぞ!?皆で囲んで仕留めればやれる!」
それで、車を追って外へ飛び出した。
外へ飛び出した車だったが、ギュウギュウ詰めの車内から、クリスタが前方を指さした。
「あの馬車の紋章、あの変態バカ王族!」
少し先で止まっていた馬車が2台あり、片方は高そうな物、もう片方は輸送用という感じだった。
「あっちは奴隷商人か」
クリスタは、泣きそうな顔で唇をかみしめる。
「どうやってもあいつに踏みつぶされる。それが運命なの?」
「アホか。運命なんてわけのわからないもののせいにするな」
貴音が切り捨てた。
「どうする、タカネ」
「変態バカ王族とダレルは乗ってるのか?」
「乗ってるぞ、窓から覗いてる」
こっちの人間は、目がいい。
「よし。ぶつけて逃げられないようにしよう。それで、目撃者を集めろ」
「どうするんだ、タカネ」
「一番偉いやつを呼ぶんだよ、大勢の前で」
「王と教皇か?」
「もっと上」
「あ。
よし、シートベルトーーは無理だな。皆、掴まっててね」
理生はアクセルを踏み込んだ。思い切ってぶつけに行く。
ガタンとかなりの衝撃があって、高そうな方の馬車の車輪が壊れ、馬車が傾いていた。もう1台が逃げようとするのでそっちにも急加速して追突すると、こっちはバラバラになって、商人が転がり落ちた。
「よし!」
「わ、わざとぶつかるのも、ストレスだよ」
理生は言いながら、クラクションを鳴らしまくった。
火事の炎と煙、大きな音に、衛兵や付近の住民が集まって来る。
「よし」
車から降り、人垣に囲まれて逃げられない変態バカ王族とダレル、奴隷商人の姿を確認して4人はほくそ笑む。
「判子だ、神!」
貴音が堂々と神を呼びつけた。
途端に、神が現れる。依頼をした神、主神だ。
「おお!」
ざわめきが広がる。
「神が!」
「神よ!」
視線で、「やれよ」と言うと、ニヤリと神はしてみせ、すぐにすましかえる。そして、変態バカ王族とダレルの馬車を、落雷でバラバラにした。
「ヒッ!!」
「神意である」
竦みあがった2人は、言い訳もできず、震えていた。
「愚かな。人の法で裁くが良い」
父親の親友が、トビーに突かれ、我に返る。
「罪人を捕えよ!これは、神の御意思だ!」
それで、衛兵達が変態バカ王族とダレル、奴隷商人を捕えていく。
そして神は、判子をおした。
「いやあ、見せ場まで貰っちゃって」
コソッと言う。
「いいから、偉そうにしてて下さいよ」
理生がコソッと返し、神は
「わかってる、わかってる」
とウインクする。
「生まれや地位で人の法から逃れられても、神の目からは逃れられぬと知れ」
神は厳かに言って、消えて行った。
後にこの場面は奇蹟の日、神判の日と呼ばれ、例の歌劇団を中心に、広く語られることになる。
一面、稲が風になびいていた。
一切の罪を明らかにされ、変態バカ王族とダレルの他、手出しできなかった貴族や大商人が、ここぞとばかりに断罪された。
また似たようなことは起こり得るが、それは、人間自身が防がなければならない。
子供達は、前の街へ送った。ここなら今仕事もたくさんあり、意外と子供達は器用で楽器や踊りにも長けていたので、歌劇団に見習いとして入団することになったのである。
そしてトビーとクリスタは生まれ育った家へ領主として戻ることになったので、3人で送って来たのだ。
最後のビータである。
「最初から、えらい騒動の連続だったなあ」
稲の植わった田んぼを見ながら、トビーがしみじみと言う。
「でも、退屈はしなかっただろ」
「する暇なかったな。楽しかった」
「米は、任せた」
「ああ、任せろ」
トビーは力強く、頷く。
「そうだ。あの石のペンダント、返さないと」
外そうとするのを、貴音が止める。
「いや、持っとけよ。アンデッドが出たら使えるぞ。向こうの世界に持ち帰っても、ぼくらは使えないけどな。
まあ、記念に持っておくか」
「そうだね。言っても信じてもらえないだろうけどね」
「ああ、宇宙戦艦にはお礼を言わないとなあ。これには随分助けられた。
だから、予備のも置いて行っていいよね、貴音君」
「ああ。効果が切れたりする可能性はあるけどな、ぼくらが戻ったら。
それと、理生。御崎 怜だから。いい加減人間の名前で呼んでやれよ」
「ははは、つい、ね」
皆で笑うものの、別れの寂しさは消せない。
「なあ、最後に1曲頼むよ」
「何がいいかな」
風が緩やかに、穏やかに吹く。
「ん、タイスでどうだ、理生」
「わかった」
ピアノとバイオリンを出す。
「つくづく、便利だなあ、これ」
ミハイルがクスクスと笑った。
静かに、最初の1音が生まれる。
マスネー作曲『タイス』の瞑想曲。娼婦タイスが修道士の導きで修道院に入り、そこで安らかな死を迎えるというもので、崇高な美しい曲だ。ゆったりと、浪々と。
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