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各々の思惑
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帝国魔術団副団長は、苦々しい思いで団長を見た。
団長は、ナジム皇子とその祖父オーランド侯爵、スレード侯爵、モルド伯爵に恩を売り、ホクホクしているが、現場を見た副団長や団員は、間違いなく犯人はナジム達だとわかっていた。
しかし、団長に逆らうには証拠がないし、権力もない。
せめてあそこにいた者が証言してくれたらと思うが、脅されているのか、皆頑なに口を開かない。まあ、証言したところで、平民とどちらを信じるか、言って終わらせるに違いない。
これも行き合わせてしまった不運、こうなる運命だったのだと、諦めてもらうよりない。
それを聞けば、「俺の人生にはいくつの運命があるんだ」とユーリは言うだろうが。
(せめて、行った先では穏やかに過ごせればいいんだが)
副団長は考え、ユーリ達の行先はどこか調べる事にした。
ナジムとスレイドとモルドは、ワインで乾杯をした。
「いやあ、一時はどうなる事かと思いましたが、上手く行きましたね、殿下」
「ついでにユーリは追放になって、一石二鳥だったな」
ナジムは上機嫌でそう言って笑い、グラスを傾けた。
「死刑にしなくて良かったんですか?」
「死刑にしたら、悔しがる顔をあざ笑ってやることができないじゃないか」
「それはごもっともでございますね。流石は殿下」
ナジムとスレイドが笑うのにモルドは合わせながら、内心では溜め息をついていた。
一蓮托生とでもいうのか、モルドもスレイドも、ナジムの側近として確定してしまっていたのである。もう逃げられない。
「そうだ。ユーリはセレムの遊郭の子だろう?本来なら遊妓になっていたはずの。遊郭に売られた子は年季奉公だが、遊女が生んだり、捨てられていた子は、一生そこで働くそうだな」
ナジムが何かを思いついたらしい。
「はい、そのようですよ。たまたまユーリは魔術士の素質が見付かったので、帝国魔術団で働くようにと例外措置が取られるところだったとか。
まあ、就職する前に取り消しになりましたがね」
「では、きっとセレムに戻っているな」
「はい、恐らく」
ナジムは楽しそうにニヤリとした。
「よし。今度セレムに視察へ行こう」
「いいですなあ」
ナジムとスレイドは機嫌よく笑い出し、モルドは頭を抱えたくなった。
キリーは仕事をしながら、イライラとしていた。
調査なんてされていた形跡はなく、居合わせた目撃者達は、何も言わないように脅されてでもいるらしい。
(階級か。その家にたまたま生まれて来ただけだろ。それで決まるのか。それは真実よりも大事なのか。
私だって、どうだ。宰相の息子だからって、何で同期や先輩に遠慮されなくてはいけないんだ。おかしいだろう)
この国では、キリーのような考え方が少ないのはわかっているが、あまりにも大きな理不尽な出来事に、この国の制度を呪いたくなる。
(あいつら、どうしてるかなあ。呑気に焼肉とかして楽しんでないだろうな)
キリーはユーリ達がバーベキューをしている所を想像し、次の休みにはセレムへ行く事に決めた。
その頃ユーリ達は、協会の支部長から「まずは薬草採取からしろ」と新人並みの依頼を命令され、不承不承そこからスタートするところだった。
団長は、ナジム皇子とその祖父オーランド侯爵、スレード侯爵、モルド伯爵に恩を売り、ホクホクしているが、現場を見た副団長や団員は、間違いなく犯人はナジム達だとわかっていた。
しかし、団長に逆らうには証拠がないし、権力もない。
せめてあそこにいた者が証言してくれたらと思うが、脅されているのか、皆頑なに口を開かない。まあ、証言したところで、平民とどちらを信じるか、言って終わらせるに違いない。
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それを聞けば、「俺の人生にはいくつの運命があるんだ」とユーリは言うだろうが。
(せめて、行った先では穏やかに過ごせればいいんだが)
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「ついでにユーリは追放になって、一石二鳥だったな」
ナジムは上機嫌でそう言って笑い、グラスを傾けた。
「死刑にしなくて良かったんですか?」
「死刑にしたら、悔しがる顔をあざ笑ってやることができないじゃないか」
「それはごもっともでございますね。流石は殿下」
ナジムとスレイドが笑うのにモルドは合わせながら、内心では溜め息をついていた。
一蓮托生とでもいうのか、モルドもスレイドも、ナジムの側近として確定してしまっていたのである。もう逃げられない。
「そうだ。ユーリはセレムの遊郭の子だろう?本来なら遊妓になっていたはずの。遊郭に売られた子は年季奉公だが、遊女が生んだり、捨てられていた子は、一生そこで働くそうだな」
ナジムが何かを思いついたらしい。
「はい、そのようですよ。たまたまユーリは魔術士の素質が見付かったので、帝国魔術団で働くようにと例外措置が取られるところだったとか。
まあ、就職する前に取り消しになりましたがね」
「では、きっとセレムに戻っているな」
「はい、恐らく」
ナジムは楽しそうにニヤリとした。
「よし。今度セレムに視察へ行こう」
「いいですなあ」
ナジムとスレイドは機嫌よく笑い出し、モルドは頭を抱えたくなった。
キリーは仕事をしながら、イライラとしていた。
調査なんてされていた形跡はなく、居合わせた目撃者達は、何も言わないように脅されてでもいるらしい。
(階級か。その家にたまたま生まれて来ただけだろ。それで決まるのか。それは真実よりも大事なのか。
私だって、どうだ。宰相の息子だからって、何で同期や先輩に遠慮されなくてはいけないんだ。おかしいだろう)
この国では、キリーのような考え方が少ないのはわかっているが、あまりにも大きな理不尽な出来事に、この国の制度を呪いたくなる。
(あいつら、どうしてるかなあ。呑気に焼肉とかして楽しんでないだろうな)
キリーはユーリ達がバーベキューをしている所を想像し、次の休みにはセレムへ行く事に決めた。
その頃ユーリ達は、協会の支部長から「まずは薬草採取からしろ」と新人並みの依頼を命令され、不承不承そこからスタートするところだった。
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