3 / 11
第1章
3話:変化魔法
しおりを挟む召喚された城から執事(しつじ)の魔族さんに拉致(らち)られて6時間程だろうか? 意外に飛行速度が早い執事さんに小脇(こわき)に抱(かか)えられたまま、今だ絶賛(ぜっさん)、空の旅を満喫中(まんきつちゅう)(笑)です。
「………」
「………」
「………」
「………」
「……ところで質問良いでしょうか?」
「はいどうぞ」
「それで、えっと~、とりあえずお名前はなんて言うんでしょうか?」
「これは失礼いたしました、不肖(ふしょう)わたくしはヴィスと申します」
「真宮寺(しんぐうじ) 茉央(まお)って言います、っあ、コッチだとマオ=シングウジかな?」
「それではこれからはマオ様とお呼びしても構わないでしょうか?」
「かまいません。では私はヴィスさんと呼ばせてもらいますね?」
「はい。承りました」
「……それでどうしてあの時お城に来たのですか?」
「それはですね……自分のお部屋に居ましたら突然脳裏(とつぜんのうり)に、キュピィーン! というかピッキィーン! みたいな、それでいて何処か懐かしい衝撃(しょうげき)というかプレッシャーを感じたのでソレを追って人族のお城まで向かったのでございます」
「………」
「………」
「……それと助けてくれた事には感謝しますが、何故に私はいまだに小脇に抱えられているのでしょうか?」
「マオ様は軽いので持ち運びに便利だからですよ?」
「アンタ! 実は敬(うやま)う気持ちなんて本当は無いだろ!!」
「……まだ、あなた様は力にも目覚めきれていないご様子、諦(あきら)めてください、それともこの高さから落ちてみて力の覚醒(かくせい)を促(うなが)してみますか?」
言われて下を見ればゆうに50メートルはありそうな高さだった。
「っひゃう⁉︎」
「仕方がありませんね今はおんぶは無理なので、お姫様抱っこで良いですか?」
……まだ痛くないけどこのままじゃ腰が痛くなるかもしれないし威厳なんてあるもんじゃ無いけど、お姫様抱っこはな~ハズいし~でもヴィスさん意外と宝塚系イケメンなんだよね~タイプじゃないけど(笑)
「……すみません、このまま運んでください」
「ご安心ください、もう少しで人族の村に休息に寄りますので」
「……はい」
こうして私は、配下? のヴィスさんに村までドナドナされて行くのであった。
ー2時間後ー
それから程なくして村から少し離れた森の中に降り立った2人。
「どうして村の前で降りないんですか?」
「まだ、ここら辺は人族の縄張りですので茉央様ならいざ知らずわたくしは未だ魔族のままです、村人を無駄に怖がらせてしまいかねません、それにあの人族の城の者に逃避ルートがバレる時間を稼がなければいけないのでございます」
「っあ⁉︎ す、すみません」
「大丈夫ですよ、ですので村に入る為に魔法を使います♪」
「ま、魔法ですか⁉︎」
「ええ、変化の魔法ですのでマオ様は少し離れていてくださいね」
言われた通り私はヴィスさんから少し距離をとり事の成り行きを見守った。
ヴィスさんは何も持っていなかった手を振るといつの間にか、虹色の宝玉が付いた杖を持ち出し呪文を唱え始めた。
「では……トランスフォーム♪」
すると何処からか軽快な音楽が聞こえて来たが、どう聴いてもそれはセーラ○ムーンの変身テーマにクリソツだった。
それからヴィスさんの身体から溢(あふ)れる謎の発光現象と軽快なダンスが終わった時に、その場にいたのはギリギリビキニアーマーにならない程度の軽装備に身を包んだ背の高い黒髪の爆乳美女でした。
ちなみに音楽とダンスは使用だそうで、発光現象は変化魔法の魔力の奔流(ほんりゅう)だそうです。
変化後のヴィスさんを前にして私は1度自分の胸に手を当て、それからハイライトを無くした瞳でヴィスさんに視線を向け棒読みの賛辞を贈ったのです。
「ワーー、ヴィスサン、キレイデスネー」
「そうでございますか? ありがとうございます、それと魔王城に着くまで怪しまれない様に口調とそれにマオ様の事は、マオちゃんとお呼びしても構わないでしょうか?」
「……そうですねその方が怪しまれないかもですねそれでは髪色も私と似ているので、私はヴィスさんの事をお姉ちゃんって呼びましょうか?」
っと言った瞬間。ヴィスさん改めてお姉ちゃんは感極(かんきわ)まったのか目を最大限に見開(みひら)き、目から滝のような勢いで涙を流し鼻からも水を垂れ流しその様子を見た私はというと頬を引きつらせドン引きしていました。
ー30分後ー
「お見苦しい所をお見せして、申し訳ありませんでした」
ひとしきりしてヴィスさんの様子が収まった頃を見計らって、とてつもなく気になっていた疑問をぶつけてみました。
「……い、いえ大丈夫ですそれと装備についてなんですが、お姉ちゃんの背に背負っているゴッツイ大剣って何ですか?」
「あ~コレですか? ド○ゴン殺しですよ?」
「………」
「………」
あ、何処(どこ)からかナレーションが聞こえてきそう……ってかこの世界ってドラゴンがいるんだ~、異世界だし~いるよね~見てみたいな~。
「ちなみに城には騎乗用のドラゴン等も飼っていますので、良ければ後で案内しますね?」
「本当ですか!! ぜひ! お願いします!」
ヤバイ! 食い気味にお願いしちゃったドラゴンか~私専用のドラゴンとか欲しいな~、異世界小説物だと慣らすために卵の時から一緒に寝たり、魔力等をあげたり産まれる時に刷り込みしたりとか、色んな育て方が書いてあったけどコッチじゃどうなんだろ?
「あと最後に気になってたんですけど変化前は男性で変化後は女性になりましたよね、お姉ちゃんって本当の性別はどっちなんですか?」
「それは、……ひ・み・つ・よ・♪」
あ、ヴィスさん笑顔だけど目が笑ってない、コレは聞いたらアカンやつだ! 私は背中に氷柱(つらら)を入れられたが如く直立不動になりました。
「それじゃ~そろそろ村に行きましょうか?」
「ハイ、ワカリマシタ、オネエチャン」
「あら? マオちゃんたら初めて異世界の村に行くのに緊張しちゃったかな? 大丈夫よ何があっても護ってあげるから♪ それと、村での対応は私がするから茉央ちゃんはほとんど喋らなくて大丈夫よ」
「ワー、トテモ、ココロズヨイナー」
魂が半ば身体から抜けかかってる私はヴィスさんに手を繋がれヴィスさん先導で村の門に向かって歩き出しましたが、途中で手の繋ぎ方が恋人繋ぎだったのに気付き慌てて普通の繋ぎ方に直しました。
ヴィスさんは少し残念そうな風に見えましたが、私はヴィスさんの今後の扱いに精神がガリガリ削れていく幻聴を耳にしたのであった。
0
あなたにおすすめの小説
異世界転生日録〜生活魔法は無限大!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
☆感想の受付開始しました。
【あらすじ】
異世界に転生したルイは、5歳の高熱を境に、記憶を取り戻す。一度は言ってみたい「ステータス・オープン」で、ステータスを見れることに気付いた。スキル「生活魔法∞(無限大)」を発見。その意味を知るルイは、仄かに期待を抱いた。
それと同時に、今世の出自である農家の四男は、長男大事な両親の態度に、未来はないと確信。
家族に隠れて、ステータスにあったスキルの一つ「鑑定」を使い、村のお婆(薬師)相手に、金策を開始。
十歳の時に行われたスキル鑑定の結果を父に伝えたが、農家向きのスキルではなかったルイは「家の役には立たない」と判断され、早々に家を追い出される。
だが、追放ありがとう!とばかりに、生活魔法を知るべく、図書館がある街を目指すことにしたルイ。
最初に訪れた街・ゼントで、冒険者登録を済ませる。だがそのギルドの資料室で、前世の文字である漢字が、この世界の魔法文字だという事実を知ることになる。
この世界の魔法文字を試したルイは、魔法文字の奥深さに気づいてしまった。バレないように慎重に……と行動しているつもりのルイだが、そんな彼に奇妙な称号が増えて行く。
そして、冒険者ギルドのギルドマスターや、魔法具師のバレンと共に過ごすうちに、バレンのお師匠様の危機を知る。
そして彼に会いにいくことになったが、その目的地が、図書館がある魔法都市アルティメットだった。
旅の道中もさることながら、魔法都市についても、色々な人に巻き込まれる運命にあるルイだったが……それを知るのは、まだ先である。
☆見切り発車のため、後日変更・追記する場合があります。体調が不安定のため、かける時に書くスタイルです。不定期更新。
☆カクヨム様(吉野 ひな)でも先行投稿しております。
「君は有能すぎて可愛げがない」と婚約破棄されたので、一晩で全ての魔法結界を撤去して隣国へ行きます。あ、維持マニュアルは燃やしました。
しょくぱん
恋愛
「君の完璧主義には反吐が出る」――婚約者の第一王子にそう告げられ、国外追放を命じられた聖女エルゼ。彼女は微笑み、一晩で国中の魔法結界を撤去。さらに「素人でも直せる」と嘘を吐かれた維持マニュアルを全て焼却処分した。守護を失いパニックに陥る母国を背に、彼女は隣国の軍事帝国へ。そこでは、彼女の「可愛くない」技術を渇望する皇帝が待っていた。
転生?憑依?したおっさんの俺は【この子】を幸せにしたい
くらげ
ファンタジー
鷹中 結糸(たかなか ゆいと) は、四十目前の独り身の普通という名のブラック会社に務めるサラリーマンだった。だが、目が覚めたら細く小さい少年に転生?憑依?していた。しかも【この子】は、どうやら家族からも、国からも、嫌われているようで……!?
「誰も【この子】を幸せにしないなら俺が幸せにしてもいいよな?」
転生したおばあちゃんはチートが欲しい ~この世界が乙女ゲームなのは誰も知らない~
ピエール
ファンタジー
おばあちゃん。
異世界転生しちゃいました。
そういえば、孫が「転生するとチートが貰えるんだよ!」と言ってたけど
チート無いみたいだけど?
おばあちゃんよく分かんないわぁ。
頭は老人 体は子供
乙女ゲームの世界に紛れ込んだ おばあちゃん。
当然、おばあちゃんはここが乙女ゲームの世界だなんて知りません。
訳が分からないながら、一生懸命歩んで行きます。
おばあちゃん奮闘記です。
果たして、おばあちゃんは断罪イベントを回避できるか?
[第1章おばあちゃん編]は文章が拙い為読みづらいかもしれません。
第二章 学園編 始まりました。
いよいよゲームスタートです!
[1章]はおばあちゃんの語りと生い立ちが多く、あまり話に動きがありません。
話が動き出す[2章]から読んでも意味が分かると思います。
おばあちゃんの転生後の生活に興味が出てきたら一章を読んでみて下さい。(伏線がありますので)
初投稿です
不慣れですが宜しくお願いします。
最初の頃、不慣れで長文が書けませんでした。
申し訳ございません。
少しづつ修正して纏めていこうと思います。
異世界に転生したら?(改)
まさ
ファンタジー
事故で死んでしまった主人公のマサムネ(奥田 政宗)は41歳、独身、彼女無し、最近の楽しみと言えば、従兄弟から借りて読んだラノベにハマり、今ではアパートの部屋に数十冊の『転生』系小説、通称『ラノベ』がところ狭しと重なっていた。
そして今日も残業の帰り道、脳内で転生したら、あーしよ、こーしよと現実逃避よろしくで想像しながら歩いていた。
物語はまさに、その時に起きる!
横断歩道を歩き目的他のアパートまで、もうすぐ、、、だったのに居眠り運転のトラックに轢かれ、意識を失った。
そして再び意識を取り戻した時、目の前に女神がいた。
◇
5年前の作品の改稿板になります。
少し(?)年数があって文章がおかしい所があるかもですが、素人の作品。
生暖かい目で見て下されば幸いです。
異世界へ誤召喚されちゃいました 女神の加護でほのぼのスローライフ送ります
モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎
飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。
保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。
そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。
召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。
強制的に放り込まれた異世界。
知らない土地、知らない人、知らない世界。
不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。
そんなほのぼのとした物語。
いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる