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本編
13.ちょっとだけ成功?
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そして、どうにか王城に来るまでの経緯を掻い摘まんでジュードに説明すると。ジュードは顔色1つ変えずに、確認するようにエルフリーデの姿を上から下まで見て、それから淡々とした口調で話し掛けてきた。
「と言うことは今、リーはその下に下着しか着てないの?」
「う、うん……」
うひゃぁっと顔どころか耳までエルフリーデは真っ赤になる。ジュードにそんなことを言われるとどうにもむず痒いというか、やっぱり恥ずかしすぎてエルフリーデには身の置き場がない。けれど真っ赤に反応してしまったエルフリーデとは反対のジュードの淡泊な様子に、エルフリーデは顔を暗くした。
やっぱりジュードはわたしのこと女としては興味ないのかな? そう思ってエルフリーデがチラッとジュードを盗み見るとバッチリと目が合ってしまう。
どっ、どうして目が合うのよ~! さっきまでわたしのことなんか見てなかった癖にっ!
ジュードはエルフリーデの外套ばかりに目がいっていてエルフリーデのことなど少しも見ていなかったというのに。
「ジュードはその、こういうの嫌?」
「うーん嫌というか、流石に驚きはしたけどね」
「それじゃあわたしのこと嫌いになったりしない?」
「嫌いに? 僕がリーのこと嫌いになったりするわけないよ」
今度こそ驚いてエルフリーデを二度見するジュードに、エルフリーデはやっと安心していつものように甘えてそっとその胸元に身体を寄せた。そうしているとトクントクンと規則正しいジュードの優しい鼓動が耳の奥に響いて身体から力が抜けていく。
エルフリーデが小さい子供のように身を寄せてそのままジッと気持ちよさそうにしていたら、ジュードが珍しく自らエルフリーデの頬に触れてきた。それからチュッとおでこに唇を落とされる。
「ジュードどうしたの?」
「ごめんね。僕がそんなにリーを不安にさせているなんて思わなかったんだ。僕はリーのこと愛しているし、もちろん妹だとかそんなこと思っていない。ちゃんと一人の女性として見てる」
子供の頃はよくジュードの方からキスをねだったり、抱き寄せたりしてくれたのに。大人になるに従ってそういうことをジュードはあまりしてくれなくなった。傍にいつもいるのは変わらないのに触れ合う量が減って。会話ばかりが増えていく。
そんな状況が切なくてエルフリーデが自分から抱きついたりするとジュードにいつもやんわりと止められたり、少ししたら身体を離されたりしてすごく寂しくなった。そういう気持ちも気付いて欲しいなと思いながらも、エルフリーデはそれ以上ジュードに言うことは出来なかった。
「うん……」
「だから結婚するまで手を出さないのはあくまでもけじめとしてだってこと分かってくれる?」
「ジュードがそう言うなら……でも、わたし少しはジュードに手出しされてみたかったな……」
エルフリーデが失望に唇をギュッと結んで残念そうにそう呟くと、ジュードが胸元に抱きついているエルフリーデの顎を掴んでクイッと上向かせた。
どうしたんだろう? と、エルフリーデがその角度によっては金色に見える大きな茶色の瞳を不思議そうに見開いて長い睫毛をパチパチと瞬いていたら。ジュードが少し口を開いた。何かを発言しようとして結局は口を閉ざしてしまう。
「ジュード?」
ジュードはわずかに険しい表情を浮かべて、躊躇するようにエルフリーデの顎を掴んでいた手を引っ込めようとした。
……また離れていっちゃうのかな? やっぱりもう諦めるしかないのかな? そうエルフリーデが胸を痛めて切なくその大きな瞳を揺らしても、ジュードは何も言ってくれない。このままいつものようにジュードに嫌がられて離れられるくらいなら、せめて自分から身を引こう。その方がまだましだ。
エルフリーデが伏せがちにジュードから目を逸らして、身体を離そうとしたところでジュードに腕を取られて止められた──
「……リーはどうしてそうなの?」
「えっ?」
ジュードは引っ込めようとしていた手をエルフリーデの後頭部に宛がうと、エルフリーデの唇に唇を重ねてきた。
「ぁ……んっ」
おねだりしたときにしてくれる表面だけの軽いものじゃなくて、舌を差し入れられる大人のキス。それをジュードがしてくれていることが嬉しくてエルフリーデは頬をピンク色に染めた。あれっ? ちょっとだけ成功したのかな? と思いながら唇を開くとジュードの温かい舌が優しくエルフリーデの口腔内を舐めて舌をからめてくる。
ジュードはエルフリーデの肩を掴んで優しく引き寄せながら、互いの唇が離れないよう後頭部に宛がっている手に力を込めて、強く押さえつけながら更に深くしっとりと唇を重ねた。
ジュードに身体が軋むほど抱き締められて舌を吸われている間も、エルフリーデは何の抵抗もすることなく無垢な子供のように、ただただジュードを慕って大人しくその腕の中に収まっている。
そうして少しの間ジュードと唇をくっつけてようやく離れるころには、エルフリーデの身体はすっかり熱く情欲の熱を帯び始めていた。
「と言うことは今、リーはその下に下着しか着てないの?」
「う、うん……」
うひゃぁっと顔どころか耳までエルフリーデは真っ赤になる。ジュードにそんなことを言われるとどうにもむず痒いというか、やっぱり恥ずかしすぎてエルフリーデには身の置き場がない。けれど真っ赤に反応してしまったエルフリーデとは反対のジュードの淡泊な様子に、エルフリーデは顔を暗くした。
やっぱりジュードはわたしのこと女としては興味ないのかな? そう思ってエルフリーデがチラッとジュードを盗み見るとバッチリと目が合ってしまう。
どっ、どうして目が合うのよ~! さっきまでわたしのことなんか見てなかった癖にっ!
ジュードはエルフリーデの外套ばかりに目がいっていてエルフリーデのことなど少しも見ていなかったというのに。
「ジュードはその、こういうの嫌?」
「うーん嫌というか、流石に驚きはしたけどね」
「それじゃあわたしのこと嫌いになったりしない?」
「嫌いに? 僕がリーのこと嫌いになったりするわけないよ」
今度こそ驚いてエルフリーデを二度見するジュードに、エルフリーデはやっと安心していつものように甘えてそっとその胸元に身体を寄せた。そうしているとトクントクンと規則正しいジュードの優しい鼓動が耳の奥に響いて身体から力が抜けていく。
エルフリーデが小さい子供のように身を寄せてそのままジッと気持ちよさそうにしていたら、ジュードが珍しく自らエルフリーデの頬に触れてきた。それからチュッとおでこに唇を落とされる。
「ジュードどうしたの?」
「ごめんね。僕がそんなにリーを不安にさせているなんて思わなかったんだ。僕はリーのこと愛しているし、もちろん妹だとかそんなこと思っていない。ちゃんと一人の女性として見てる」
子供の頃はよくジュードの方からキスをねだったり、抱き寄せたりしてくれたのに。大人になるに従ってそういうことをジュードはあまりしてくれなくなった。傍にいつもいるのは変わらないのに触れ合う量が減って。会話ばかりが増えていく。
そんな状況が切なくてエルフリーデが自分から抱きついたりするとジュードにいつもやんわりと止められたり、少ししたら身体を離されたりしてすごく寂しくなった。そういう気持ちも気付いて欲しいなと思いながらも、エルフリーデはそれ以上ジュードに言うことは出来なかった。
「うん……」
「だから結婚するまで手を出さないのはあくまでもけじめとしてだってこと分かってくれる?」
「ジュードがそう言うなら……でも、わたし少しはジュードに手出しされてみたかったな……」
エルフリーデが失望に唇をギュッと結んで残念そうにそう呟くと、ジュードが胸元に抱きついているエルフリーデの顎を掴んでクイッと上向かせた。
どうしたんだろう? と、エルフリーデがその角度によっては金色に見える大きな茶色の瞳を不思議そうに見開いて長い睫毛をパチパチと瞬いていたら。ジュードが少し口を開いた。何かを発言しようとして結局は口を閉ざしてしまう。
「ジュード?」
ジュードはわずかに険しい表情を浮かべて、躊躇するようにエルフリーデの顎を掴んでいた手を引っ込めようとした。
……また離れていっちゃうのかな? やっぱりもう諦めるしかないのかな? そうエルフリーデが胸を痛めて切なくその大きな瞳を揺らしても、ジュードは何も言ってくれない。このままいつものようにジュードに嫌がられて離れられるくらいなら、せめて自分から身を引こう。その方がまだましだ。
エルフリーデが伏せがちにジュードから目を逸らして、身体を離そうとしたところでジュードに腕を取られて止められた──
「……リーはどうしてそうなの?」
「えっ?」
ジュードは引っ込めようとしていた手をエルフリーデの後頭部に宛がうと、エルフリーデの唇に唇を重ねてきた。
「ぁ……んっ」
おねだりしたときにしてくれる表面だけの軽いものじゃなくて、舌を差し入れられる大人のキス。それをジュードがしてくれていることが嬉しくてエルフリーデは頬をピンク色に染めた。あれっ? ちょっとだけ成功したのかな? と思いながら唇を開くとジュードの温かい舌が優しくエルフリーデの口腔内を舐めて舌をからめてくる。
ジュードはエルフリーデの肩を掴んで優しく引き寄せながら、互いの唇が離れないよう後頭部に宛がっている手に力を込めて、強く押さえつけながら更に深くしっとりと唇を重ねた。
ジュードに身体が軋むほど抱き締められて舌を吸われている間も、エルフリーデは何の抵抗もすることなく無垢な子供のように、ただただジュードを慕って大人しくその腕の中に収まっている。
そうして少しの間ジュードと唇をくっつけてようやく離れるころには、エルフリーデの身体はすっかり熱く情欲の熱を帯び始めていた。
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