49 / 58
番外編
①落ちたひな鳥
しおりを挟む
これは、幼き日に王城の秘密の庭園で何時ものようにエルフリーデとジュードが無邪気に時を重ねていた頃のお話──
「あれっ? ジュードなにかジメンにおちてるよ?」
「えっ?」
エルフリーデに言われて見下ろした場所には、少し薄汚れた灰色の毛玉が落ちていた。よくよく見るとそれはもふもふした羽の生えている小さな鳥だった。
「ああ、鳥の雛だね」
「ヒ、ナ?」
「鳥の赤ちゃんだよ」
「アカちゃん……」
「うん、どうやら木の上から落ちてきたみたいだね。ほらっあそこに巣が見える」
「す?」
「うん、沢山小枝が重なっている場所があるでしょ? あれが鳥の巣だよ」
日差しを避けて眩しそうに手を額にかざしながら眺めているジュードの視線の先には巨大な大木があった。
「このこ、ないてるよ?」
エルフリーデが怖々とした様子で拾い上げるとひな鳥は口を大きく開けてピーピー鳴きだしてしまった。
「そうだね。巣に戻りたがってるんだ。それに戻れないとこのままでは死んでしまうからね」
「アカちゃんもどらないとしんじゃうの?」
「うん、僕が登って戻すからその雛を渡し……ん? リー? いったい何処へ──って」
会話の途中で忽然と姿を消した婚約者を探していたジュードの視界に、次の瞬間驚くべきものが入ってきた。それはもう半ばまで木を登り始めているエルフリーデの姿で。どうやらジュードから巣の話を聞いた時にはもう、エルフリーデはひな鳥を片手に目の前の大木を登り始めていたようだ。
それにしても話ながら登っていたとは以外と器用だなと余計なことを考えつつ、普段は物静かで大人なジュードにしては珍しく声を張り上げて制止の声をかけた。
「リー!? 何してるのっ!?」
「もどすの。アカちゃん」
「それは僕がやるから! 駄目だよリー! 降りてきて!」
「や~だ~」
「可愛く言っても駄目だよ! ほらっ早く降りて!」
「あとね。もうちょっとなの」
「リー! 駄目だって……──っ!」
エルフリーデが猿のようにするすると身軽に登って、あっという間に巣の前まで到達したまではよかった。問題はその後だ。ひな鳥を巣に戻せたことに安心してジュードを振り返った時に、エルフリーデは足を踏み外してしまった。
「リ──────ッ!」
落下してくる小さな身体をジュードは全身で何とか受け止めてその場に尻餅をついた。受け止めた時、瞬間的にズシンと重みと衝撃を感じて。それから少しして我に返ると、ジュードはその柔らかくてふわふわしたエルフリーデの身体に傷がないか確かめた。エルフリーデはジュードの上でビックリして目をパチパチしているものの。幸い無傷だった。
「あはは、おちちゃったね~」
呑気にもお気楽な口調でエルフリーデにそう言われてジュードの回りの空気が一瞬凍った。それもジュードの身体が少しだけ揺れたようにも見えるけれど気のせいだろうか? とエルフリーデが首を不思議そうに傾げていると──
「リー……リーはもう木登り禁止だ」
「えっ? どおして?」
「どうしても。とにかく、木登りは今後一切禁止」
「ふぇっ……やぁ~だぁ~」
口調は拙くそしてものすごく緩いがエルフリーデの思いは本物だった。必死にチョコレートを連想させるふわふわの栗色の髪を振って、目に涙を溜め込みながらジュードに何度も緩い口調で嫌だと言って抱きついてくる。
「可愛く言っても駄目だからね?」
「じゅ、ジュードぉ~」
「リー、駄目だよ」
「ふわーん」
「泣いても駄目だよ」
何時も優しいジュードに注意されて行動を規制されたことにビックリして。それからエルフリーデはその決定事項に逆らえないことに憤りを感じるよりも、遊びが減ったことが悲しくて泣き出してしまった。それも盛大に可愛らしく。ジュードの胸元で両手を目に押し当てながら泣きじゃくっている。
「ひっく、うっく、どおして、ひっく、ダメなの?」
「リーが怪我するからだよ」
「ケガ、ひっく、しないように、ひっく、したらいい? エルフリーデきにのぼっても、ひっく、いい?」
「リー……」
ジュードは胸元で泣いている婚約者の身体を引き寄せて抱き締めた。好きな人を泣かせるのは嫌だが。怪我をされるのはもっと嫌だった。だからこればかりはエルフリーデに言い聞かせるしかないとジュードは腹を括った。
「リーは僕に怪我して欲しいと思う?」
「えっ? ひっく、なあに?」
「僕が木に登って怪我したら嫌じゃないかな?」
「ジュードが、……ケガするの?」
「うん」
「……やだ」
「なら僕が駄目って言ったの聞いてくれる?」
「…………」
「リー?」
「どっちもやっ!」
「…………」
ぷくっと頬を膨らませてムーとしている婚約者の顔を見ながら、どこでそんな返しを覚えたんだとジュードは頭を悩ませた。
「分かったよ。じゃあ交換条件はどうかな?」
「こうかんじょおけん?」
なあに? とジュードの膝上でチョコンと座って、それから可愛く首を傾げてエルフリーデはジュードの言葉を待っている。エルフリーデの頭の中はジュードが提示した交換条件とやらですっかり一杯になっていて、変わり身早く涙は止まっていた。
「リーが木に登りたくなったら、僕が代わりにリーを抱き上げるってどうかな?」
「だっこ?」
「うん」
「…………」
エルフリーデはすごく迷っていた。大好きなジュードが木に登りたいと言ったらその代わりに抱き上げてくれる。両親ですら職務に忙しくてなかなかエルフリーデを抱き上げたり触れてくることは少ないのに、そう言う度に大好きな人が抱き上げてくれるのは正直なところエルフリーデにとって相当に魅力的な交換条件だった。
「ジュード」
「ん?」
「き、のぼりたい」
「……それって抱き上げて欲しいってことかな?」
ジュードにそう聞かれてエルフリーデがコクリと小さな頭を下げる。ジュードは要望通りにエルフリーデの身体をそっと掴んで抱き上げた。
「ジュードすき~」
嬉しそうに頬を寄せて抱きついてくる愛しい婚約者の背中に手を回しながら、ジュードは素直に交換条件を聞き入れてくれた泣き虫な婚約者の告白に優しく返事を返した。
「うん、僕もリーのこと好きだよ」
こうして少しずつエルフリーデは幼い頃から交換条件を提示されてジュードに行動を規制されていった。
そして現在の口うるさい幼なじみが出来上がっていくことになるのだが。致命的にもエルフリーデは自分の行動が原因だという自覚を一切持たないまま成長して大人になった。
「あれっ? ジュードなにかジメンにおちてるよ?」
「えっ?」
エルフリーデに言われて見下ろした場所には、少し薄汚れた灰色の毛玉が落ちていた。よくよく見るとそれはもふもふした羽の生えている小さな鳥だった。
「ああ、鳥の雛だね」
「ヒ、ナ?」
「鳥の赤ちゃんだよ」
「アカちゃん……」
「うん、どうやら木の上から落ちてきたみたいだね。ほらっあそこに巣が見える」
「す?」
「うん、沢山小枝が重なっている場所があるでしょ? あれが鳥の巣だよ」
日差しを避けて眩しそうに手を額にかざしながら眺めているジュードの視線の先には巨大な大木があった。
「このこ、ないてるよ?」
エルフリーデが怖々とした様子で拾い上げるとひな鳥は口を大きく開けてピーピー鳴きだしてしまった。
「そうだね。巣に戻りたがってるんだ。それに戻れないとこのままでは死んでしまうからね」
「アカちゃんもどらないとしんじゃうの?」
「うん、僕が登って戻すからその雛を渡し……ん? リー? いったい何処へ──って」
会話の途中で忽然と姿を消した婚約者を探していたジュードの視界に、次の瞬間驚くべきものが入ってきた。それはもう半ばまで木を登り始めているエルフリーデの姿で。どうやらジュードから巣の話を聞いた時にはもう、エルフリーデはひな鳥を片手に目の前の大木を登り始めていたようだ。
それにしても話ながら登っていたとは以外と器用だなと余計なことを考えつつ、普段は物静かで大人なジュードにしては珍しく声を張り上げて制止の声をかけた。
「リー!? 何してるのっ!?」
「もどすの。アカちゃん」
「それは僕がやるから! 駄目だよリー! 降りてきて!」
「や~だ~」
「可愛く言っても駄目だよ! ほらっ早く降りて!」
「あとね。もうちょっとなの」
「リー! 駄目だって……──っ!」
エルフリーデが猿のようにするすると身軽に登って、あっという間に巣の前まで到達したまではよかった。問題はその後だ。ひな鳥を巣に戻せたことに安心してジュードを振り返った時に、エルフリーデは足を踏み外してしまった。
「リ──────ッ!」
落下してくる小さな身体をジュードは全身で何とか受け止めてその場に尻餅をついた。受け止めた時、瞬間的にズシンと重みと衝撃を感じて。それから少しして我に返ると、ジュードはその柔らかくてふわふわしたエルフリーデの身体に傷がないか確かめた。エルフリーデはジュードの上でビックリして目をパチパチしているものの。幸い無傷だった。
「あはは、おちちゃったね~」
呑気にもお気楽な口調でエルフリーデにそう言われてジュードの回りの空気が一瞬凍った。それもジュードの身体が少しだけ揺れたようにも見えるけれど気のせいだろうか? とエルフリーデが首を不思議そうに傾げていると──
「リー……リーはもう木登り禁止だ」
「えっ? どおして?」
「どうしても。とにかく、木登りは今後一切禁止」
「ふぇっ……やぁ~だぁ~」
口調は拙くそしてものすごく緩いがエルフリーデの思いは本物だった。必死にチョコレートを連想させるふわふわの栗色の髪を振って、目に涙を溜め込みながらジュードに何度も緩い口調で嫌だと言って抱きついてくる。
「可愛く言っても駄目だからね?」
「じゅ、ジュードぉ~」
「リー、駄目だよ」
「ふわーん」
「泣いても駄目だよ」
何時も優しいジュードに注意されて行動を規制されたことにビックリして。それからエルフリーデはその決定事項に逆らえないことに憤りを感じるよりも、遊びが減ったことが悲しくて泣き出してしまった。それも盛大に可愛らしく。ジュードの胸元で両手を目に押し当てながら泣きじゃくっている。
「ひっく、うっく、どおして、ひっく、ダメなの?」
「リーが怪我するからだよ」
「ケガ、ひっく、しないように、ひっく、したらいい? エルフリーデきにのぼっても、ひっく、いい?」
「リー……」
ジュードは胸元で泣いている婚約者の身体を引き寄せて抱き締めた。好きな人を泣かせるのは嫌だが。怪我をされるのはもっと嫌だった。だからこればかりはエルフリーデに言い聞かせるしかないとジュードは腹を括った。
「リーは僕に怪我して欲しいと思う?」
「えっ? ひっく、なあに?」
「僕が木に登って怪我したら嫌じゃないかな?」
「ジュードが、……ケガするの?」
「うん」
「……やだ」
「なら僕が駄目って言ったの聞いてくれる?」
「…………」
「リー?」
「どっちもやっ!」
「…………」
ぷくっと頬を膨らませてムーとしている婚約者の顔を見ながら、どこでそんな返しを覚えたんだとジュードは頭を悩ませた。
「分かったよ。じゃあ交換条件はどうかな?」
「こうかんじょおけん?」
なあに? とジュードの膝上でチョコンと座って、それから可愛く首を傾げてエルフリーデはジュードの言葉を待っている。エルフリーデの頭の中はジュードが提示した交換条件とやらですっかり一杯になっていて、変わり身早く涙は止まっていた。
「リーが木に登りたくなったら、僕が代わりにリーを抱き上げるってどうかな?」
「だっこ?」
「うん」
「…………」
エルフリーデはすごく迷っていた。大好きなジュードが木に登りたいと言ったらその代わりに抱き上げてくれる。両親ですら職務に忙しくてなかなかエルフリーデを抱き上げたり触れてくることは少ないのに、そう言う度に大好きな人が抱き上げてくれるのは正直なところエルフリーデにとって相当に魅力的な交換条件だった。
「ジュード」
「ん?」
「き、のぼりたい」
「……それって抱き上げて欲しいってことかな?」
ジュードにそう聞かれてエルフリーデがコクリと小さな頭を下げる。ジュードは要望通りにエルフリーデの身体をそっと掴んで抱き上げた。
「ジュードすき~」
嬉しそうに頬を寄せて抱きついてくる愛しい婚約者の背中に手を回しながら、ジュードは素直に交換条件を聞き入れてくれた泣き虫な婚約者の告白に優しく返事を返した。
「うん、僕もリーのこと好きだよ」
こうして少しずつエルフリーデは幼い頃から交換条件を提示されてジュードに行動を規制されていった。
そして現在の口うるさい幼なじみが出来上がっていくことになるのだが。致命的にもエルフリーデは自分の行動が原因だという自覚を一切持たないまま成長して大人になった。
2
あなたにおすすめの小説
『冷徹社長の秘書をしていたら、いつの間にか専属の妻に選ばれました』
鍛高譚
恋愛
秘書課に異動してきた相沢結衣は、
仕事一筋で冷徹と噂される社長・西園寺蓮の専属秘書を務めることになる。
厳しい指示、膨大な業務、容赦のない会議――
最初はただ必死に食らいつくだけの日々だった。
だが、誰よりも真剣に仕事と向き合う蓮の姿に触れるうち、
結衣は秘書としての誇りを胸に、確かな成長を遂げていく。
そして、蓮もまた陰で彼女を支える姿勢と誠実な仕事ぶりに心を動かされ、
次第に結衣は“ただの秘書”ではなく、唯一無二の存在になっていく。
同期の嫉妬による妨害、ライバル会社の不正、社内の疑惑。
数々の試練が二人を襲うが――
蓮は揺るがない意志で結衣を守り抜き、
結衣もまた社長としてではなく、一人の男性として蓮を信じ続けた。
そしてある夜、蓮がようやく口にした言葉は、
秘書と社長の関係を静かに越えていく。
「これからの人生も、そばで支えてほしい。」
それは、彼が初めて見せた弱さであり、
結衣だけに向けた真剣な想いだった。
秘書として。
一人の女性として。
結衣は蓮の差し伸べた未来を、涙と共に受け取る――。
仕事も恋も全力で駆け抜ける、
“冷徹社長×秘書”のじれ甘オフィスラブストーリー、ここに完結。
大嫌いな幼馴染の皇太子殿下と婚姻させられたので、白い結婚をお願いいたしました
柴野
恋愛
「これは白い結婚ということにいたしましょう」
結婚初夜、そうお願いしたジェシカに、夫となる人は眉を顰めて答えた。
「……ああ、お前の好きにしろ」
婚約者だった隣国の王弟に別れを切り出され嫁ぎ先を失った公爵令嬢ジェシカ・スタンナードは、幼馴染でありながら、たいへん仲の悪かった皇太子ヒューパートと王命で婚姻させられた。
ヒューパート皇太子には陰ながら想っていた令嬢がいたのに、彼女は第二王子の婚約者になってしまったので長年婚約者を作っていなかったという噂がある。それだというのに王命で大嫌いなジェシカを娶ることになったのだ。
いくら政略結婚とはいえ、ヒューパートに抱かれるのは嫌だ。子供ができないという理由があれば離縁できると考えたジェシカは白い結婚を望み、ヒューパートもそれを受け入れた。
そのはず、だったのだが……?
離縁を望みながらも徐々に絆されていく公爵令嬢と、実は彼女のことが大好きで仕方ないツンデレ皇太子によるじれじれラブストーリー。
※こちらの作品は小説家になろうにも重複投稿しています。
王妃そっちのけの王様は二人目の側室を娶る
家紋武範
恋愛
王妃は自分の人生を憂いていた。国王が王子の時代、彼が六歳、自分は五歳で婚約したものの、顔合わせする度に喧嘩。
しかし王妃はひそかに彼を愛していたのだ。
仲が最悪のまま二人は結婚し、結婚生活が始まるが当然国王は王妃の部屋に来ることはない。
そればかりか国王は側室を持ち、さらに二人目の側室を王宮に迎え入れたのだった。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」
仕事で疲れて会えないと、恋人に距離を置かれましたが、彼の上司に溺愛されているので幸せです!
ぽんちゃん
恋愛
――仕事で疲れて会えない。
十年付き合ってきた恋人を支えてきたけど、いつも後回しにされる日々。
記念日すら仕事を優先する彼に、十分だけでいいから会いたいとお願いすると、『距離を置こう』と言われてしまう。
そして、思い出の高級レストランで、予約した席に座る恋人が、他の女性と食事をしているところを目撃してしまい――!?
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる