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10.《ロータス視点》

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俺は第六騎士団に所属し、地方の産業の活性化の為に僻地へ飛ばされた。

飛ばされた当初は「何故、俺がこんなところに…。」という気持ちもあったが永年付き合っていた恋人にも振られ、あの街には居辛くなっていた俺は徐々にこれで良かったのだと思うようになった。




俺がこの街へ引っ越して来て3年程経ったある日、仕事を終え、与えられた仮住まいへ帰る途中、木から少しはみ出す脚を見つけた。始めは物盗りかと構えたが一向に動こうとしないので少しずつ相手にバレないように近付く。

するとそこにいたのは20歳になるかならないかくらいの子供だった。

少年は寝ている為かこちらが近付いても気付かない。しかし、あまりの軽装すぎる服装から物盗りにあったのではと思い、声を掛けた。

何度か声を掛けると、こちらの声に返事をし、自分を見てくる。その幼さの残る表情から親が近くにいるのではないかと気配を巡らせた。しかし、何処にもそれらしき気配はなく、さらにこの少年がなんの種族か分からない。そして少年は先程返事をしたにもかかわらず、自分のことをボーッと見つめたまま動かない。次は何か変な物を食べたんじゃないかと心配になる。

少年の肩を掴み、近付くと途端に香る甘い匂い。
「(これは…。)」と思い、少年の至る所を嗅ぐ。すると下腹部からその匂いは強烈に香ってきた。

「(まさか…この子はこんなに幼い状態であの植物に襲われたのか…。)」

と絶望感に浸る。

少年が何か言おうとしたがその言葉を遮り、俺は自分の家へ連れて帰った。

家に着くと早々に少年を風呂に入れる。イランの樹液が入ったままだと催淫効果が持続し、イキっぱなしの状態になる。少年は突然のことに戸惑っていたがこちらのしやすいように力を抜いてくれた。

俺は少年をうつ伏せにすると、その後陰に指を突き入れた。その瞬間、少年の口からはなんとも言えない色気のある声が漏れる。俺は後陰に溜まった樹液を掻き出しながら自分のモノが勃ち上がらないようにするのに必死だった。そして全ての樹液が出し終えた時、少年がグッタリとしながらこちらを見上げてきた。その表情は快感に染まり、目はトロンとして口の隙間から小さな舌が覗く。思わずその唇にしゃぶりつきたくなってしまう衝動に駆られ、俺は慌てて浴室を後にするとキッチンの流しから大量の水を浴びた。

「(あの子はまだ子供だぞ、何考えてるんだ!)」

と自分を叱咤し、冷静になる為に椅子に腰掛ける。そして着替えを用意し、脱衣所に持って行った。




それから、その少年ヨースケの正体が明らかになった。なんとヨースケは何十年も前に絶滅したと呼ばれるヒトであった。言われてみたら我々、獣人特有の特徴が何一つ無い。一見、猿にも見えるが、それにしては尻尾もないし体毛も薄い。それを考えるとヨースケの言うヒトである、という発言も信憑性が高い。

そしてヨースケの希望で王家に保護してもらうことは7日後になった。こんな田舎の森にいるよりももっといい暮らしをヨースケはするべきだ。俺は短期間だがヨースケといれるこの7日間を楽しもうと思う。



次の日、ヨースケに貸していた本からいくつかの質問を受けた。その中でも衝撃的だったのは"子作りについて"だ。まさかこんな幼いヨースケの口から子作りについて聞かれるとは思っていなかった。しかし、ヨースケのいる世界には獣人がいなかったようなので、その質問も納得できる。私は出来る限り詳しく説明した。私の答えに納得してくれたヨースケだったが、本当のところ、どう思ってるのだろう?自分の中でこの世界を受け入れて欲しいという願望が芽生えてきていることに自分でも驚いた。

そして、ふとヨースケが自分を見て"モテそう"だと言う。そんなことはない。3年前、恋人と別れてから出会いの場にも行ったことはないし、娼館にすら脚を運んではいない。自分としては将来共に過ごしてくれると思っていた元恋人に振られ、そういう気持ちにはなれないでいた。しかし、ヨースケに他人事のようにモテそうだ、と言われると良い気はしない、出来ればその中にヨースケが入ってきて欲しいと思ってしまう。

ヨースケが自分の元恋人について聞いてきた。正直、忘れたい過去なので言うのは戸惑ったが、言わなければヨースケに嫌われてしまう、と何故か思ってしまい口を開く。ヨースケは私の言うことに最後まで静かに聞いてくれた。そして私に同情してくれる。更には告白めいたことまで言われ、その言葉に年甲斐もなく恥ずかしくなってしまった。




その日、俺は渋々ながら出勤し、いつも通り業務をこなす。しかし、昼過ぎにいつもと違うことが起きた。街の治安を護る部隊のリナロエが声を掛けてきた。珍しいな、と思いつつ話を聞くとなんとヨースケを自分が保護したいと言いだした。どういうことだ!?と問いただすと、ヨースケと会った経緯から話しだした。その話を聞き、まず思ったのは「(猿と言って誤魔化したのか。)」ということだった。しかし、リナロエの言い分が全てではないはずだ。帰ったらヨースケに詳しく聞かなければ、と思い、いつも以上に早く仕事を切り上げて家に帰った。

俺が帰宅するとヨースケが笑顔で出迎えてくれる。 
こんな気持ち久しぶりだ。挨拶も早々に、ヨースケから事情を聞く。内容はリナロエとほぼ同じだったが、ヨースケに結婚する意思はないことがわかり嬉しさを噛み締める。ヨースケには明後日、俺の口から断りの返事をすることを約束した。

それからヨースケを街へ案内した。短い間だが、共に暮らすということでヨースケが家事全般を引き受けてくれることになった。自分の帰りを出迎えてくれるだけでも嬉しいのに家事をやってくれるなんて…リナロエが惚れるのも無理はないと思う。

俺はこの短期間でヨースケに惚れてしまったようだ。特別、何かあったわけではない。ヨースケの雰囲気が好きで共にいると心地いい、ただそれだけだ。常に隣で笑っていてくれればどんなに幸せなんだろうと考える。

ある時、ヨースケが娼館などが建ち並ぶ通りに興味を示した。驚きはあったものの「(子供だから仕方ない。)」という気持ちもあり、詳しくは話さなかった。




それから数日経ち、事件が起きた。

今日はヨースケと過ごせる最後の夜だ。俺はヨースケをビックリさせようと菓子店でヨースケが好きそうな焼き菓子をいくつか購入し帰宅した。

「(始めは王家に保護してもらうと言ったが、ヨースケが良ければ共に過ごしてほしいと言おう…。)」

しかし、いつも出迎えてくれるはずのヨースケがいない。部屋は真っ暗でランプをつけるとキッチンには頼んでいた買い物袋がある。

「ヨースケ!ヨースケ!」

と大声を出して呼び掛けるも返事はない。

ヨースケの部屋にノックもせずに入ると綺麗に整頓されたままの部屋がある。嫌な予感がして浴室やトイレなど他の部屋の扉も開ける。

「ヨースケ…何処へ…。」

俺は暫くその場に立ち尽くした。
しかし、直ぐに気を取り直し獣の姿になって周辺の森を捜す。

「(ヨースケの匂いが残っていれば辿り着ける!)」

俺はヨースケを王家に保護してもらうためではなく俺自身の為にヨースケを捜すことにした。

それから街に戻る途中でヨースケの匂いが途切れていることに気付く。

「(ここから馬車にでも乗ったか…。)」

俺はその結論に至ると冷静さを取り戻すために一旦、自宅へ戻った。

「(ヨースケは何故、馬車に…?あのヨースケが約束を破るとは考えにくい…なら攫われた?そうか、きっとヨースケのことだ、何か買い忘れたものがあって街に戻るところを誰かに襲われたのだろう…。誰だ…私の"番い"を攫ったのは…。まぁいい…相手は誰であれ殺してやる。待っていてくれ、ヨースケ。必ず俺が助けてやるから…。)」
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