イケメンは観賞用!

ミイ

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第1章

40. 嫉妬

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「申し訳ありません…いつか、いつか必ずお話しますので…!」

一緒に旅をしてくれる彼に黙っているのは忍びないが本当のお父様は従者という立場でお母様を身篭らせ駆け落ちをした…、いくら当人達が愛し合っていたとしても結果的にそれは反逆罪として罪に問われる内容なのだ。当時、母にはもしかしたら婚約者がいたかもしれないという話を聞いている。

僕はこの旅を始める時からお父様の名前を口にする時は代わりに相手が信頼の置ける人物でなければ理由までは述べないように決めている。実際ノア様のことは信用はしているが信頼までは至っていないのが正直なところ、なので今すぐノア様に理由を伝えることは出来ない。

「気にしないで、この旅に無理矢理ついて行くといったのは私だよ。オリバーはオリバーのしたいようにしたらいい。」

「ノア様…。」

「それに私は護衛兼指導係になるって言ったでしょう?しばらくはその立ち位置で十分。私がその理由を告げるに値する人物になったら教えてね。」

彼がそう微笑んだその時、部屋の扉がノックされた。

「あっ…「はーい。」

彼が話を切る様に返事をする。

「お食事をお持ちしました。」

その声にノア様が扉を開けると食事の乗ったワゴンを押す執事の姿があった。

「ありがとうございます。」

「いいえ、中でご用意させて頂いても宜しいですか?」

ノア様が頷き食事がセッティングされていく。それを終えると彼は静かに退室した。

「さぁ温かい内に食べよう、また明日から頑張らないといけないからね。」

笑顔で告げる彼に甘え食事を口にした。






その晩、僕にとっての事件が起こる。

同じ部屋ではあるもののベッドがそれぞれ与えられた僕達は各々床についた…はずだった。

「ひぃっっ!」

1人で寝ていた僕の腰を何者かが手を回し更に耳元や頸に鼻を擦り付けられ背中には何かの温もりを感じる。

言わずもがな、ノア様だ。

ちょっちょっとノア様⁉︎急になに⁉︎

「ノッノア様⁉︎やっ、やめて下さい!僕達は"まだ"そんな関係では…!」

僕はノア様の手首を掴み必死に離そうとした。

「うぅ~ん、アビー…。」

えっ?アビー?誰?…もしかしてこの前の親しげに話していた女性…?

「…。」

何故かその時僕の胸はあの時と同様、チクリと痛んだ。結局、アビーという人物が誰か分からないまま僕はノア様の腕を抜け出せずモヤモヤとしながら眠りにつくのだった。
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