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第2章
99. 進路の相談
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その晩はお泊まり会らしくアニスの部屋に集まって色々な話をした。
まずは卒業してからのこと。
僕の予想通りアニスは騎士団へ、ローザは魔術学校へ行くようだった。
僕の進路も聞かれたので正直に僕は騎士団に入りたいのだが、タジェット兄様に反対されていることを2人に相談した。
すると2人は目を合わせ"なるほど"という顔をした。
僕が「えっ…?どうしたの?」と聞くと「そんな気がしてた。」と言われた。
「なんで?僕、兄様がそれだけ反対する理由がわからないんだけど、2人はわかるの?」
と言うとローザには笑いながら、アニスには驚いた顔で「それ本気で言っているのか?」と言われた。
僕はムッとなり「分からないから聞いてるのに…!」と怒ると「自分の容姿を思い出せ。」と言われ、ハッとした。
「(…あっ…僕かなり容姿が良いんだった…。最近周りが普通に対応してくれるから忘れてたよ…それに、兄様が僕を騎士団に入らせたがらないのって僕の容姿のせいだって前の潜入の時に学んだはずなのに…!すっかり忘れてた!そりゃそうか…このままいったら騎士団で襲われるの間違い無いもんね…こんなひ弱そうな奴、いくらでも襲えそうだもん…だから兄様は心配してあれだけ反対してるんだ。
でもさ、考えようによったら兄様の弟ってバラせば襲う人もそうそういないんじゃ…?いや、でもバラした状態で騎士団に入ったらそれこそ兄様の付きっきりの訓練になるよね…?それはある意味、周りに迷惑なんじゃ…?じゃあやっぱり騎士団に入らない方がいいのか…?)」
と僕がウンウンと唸っていると、ローザは「僕はフェル様が魔術学校に来てくれるなら嬉しいけどね。」と言ってくれた。
アニスも「俺もフェルが騎士団に来てくれるなら歓迎するが正直、お前の体格で大丈夫か?という気持ちもある。でも騎士団は体格だけじゃないからな、他にも沢山必要要素はある。その辺は心配してないが、お前の容姿はモテるどころでは済まないぞ?」と心配された。
「じゃあさ…仮に僕が騎士団に入るとして、どうしたらいいと思う…?やっぱり兄様の弟だって公表すべき?」と聞くと、
「タジェット様の弟ってだけじゃ弱いと思うな~。」とローザ。
「俺もそう思う。そこはタジェット様の恋人ってすれば手を出す奴はほとんど防げるはずだ。」とアニス。
「ええっ!?恋人!そこまでしないといけないの!?」
「それくらいしないとお前に手を出そうとする奴はごまんといるだろうな。俺と恋人という風にしてもいいが、それだとあまり効力はない…。あわよくば横取りしようとする奴らばかりだし。しかし、タジェット様…いや第1部隊の副隊長様の恋人としておけばお前を狙おうとする馬鹿はいないだろう。仮にいたとしてもタジェット様に消されるな。それは断言できる。」
「(消されるって…なんか凄い怖いこと言ってるけど、兄様なら有り得るところがもっと怖い…。やっぱりそれくらいしないといけないんだ…僕も最悪、兄様に頼ろうと思ってたけど…でもそうしたら他に恋人を探すってことが出来なくなる…。まだ考えてたのか!って言われるかもしれないけど、このままいったら何にも変わんないんだもん!僕の周りはタジェット兄様によって限られた人しかいなかったから騎士団に入れば少しは変わると思ったんだよ…!最後に少しくらい足掻いたっていいよね!?)」
僕はアニスの発言に納得すると
「じゃあ魔術学校だったらどう思う?」
と聞いた。
するとローザが
「その頃はもうディル様も卒業してるから、さほど気にする必要はないかもね。
魔術学校は女の子も少なからずいるし、騎士団に比べたらそこまで身体を狙われる心配はしなくていいかも。でも、逆に魔法が使える裕福な貴族ってだけで狙われるから、そこは気をつけたほうがいいかもね。それに漬け込んで自分の地位を上げようとする人もいるみたいだし。」
と言われた。
「…なんかドロドロしてるね。」
と僕は日本での昼ドラを思い出した。
「そりゃあ、やっぱり魅力的なんだろうね。特に親から言われている子は可哀想だよ…。それが間違ったことだって気付いてない子もいるんだから。」
「そっか…じゃあ仮に僕が魔術学校に行っても心配事があるといえばあるのか…。」
「フェル様は高位の貴族だし、容姿も優れているからその辺は心配したほうがいいと思うよ。まっ!タジェット様やディル様の弟って言えば、なかなか近付いてこないかもだけどね。」
とローザは笑っていたがその言葉が正論すぎて僕はゔ~!と頭を抱えた。
「まぁまだもう少し時間はあるからゆっくり考えろ。お前の場合、早めに準備しとかないといけないってことはないんだから。」
アニスは僕の肩をポンポンと叩きながら元気付けてくれた。
「…そうだね…。もうちょっと考えてみる…。僕だけじゃ決められないからさ…父様に話してみるよ。
…ゴメン、もう少し1人で考えてみたいから先に部屋に戻ってるね…。2人は楽しんで、おやすみ…。」
と僕はそう声をかけ、心配そうな2人を置いて早々に部屋を後にした。
後々、恋バナをしなかったことを後悔するのだが。
まずは卒業してからのこと。
僕の予想通りアニスは騎士団へ、ローザは魔術学校へ行くようだった。
僕の進路も聞かれたので正直に僕は騎士団に入りたいのだが、タジェット兄様に反対されていることを2人に相談した。
すると2人は目を合わせ"なるほど"という顔をした。
僕が「えっ…?どうしたの?」と聞くと「そんな気がしてた。」と言われた。
「なんで?僕、兄様がそれだけ反対する理由がわからないんだけど、2人はわかるの?」
と言うとローザには笑いながら、アニスには驚いた顔で「それ本気で言っているのか?」と言われた。
僕はムッとなり「分からないから聞いてるのに…!」と怒ると「自分の容姿を思い出せ。」と言われ、ハッとした。
「(…あっ…僕かなり容姿が良いんだった…。最近周りが普通に対応してくれるから忘れてたよ…それに、兄様が僕を騎士団に入らせたがらないのって僕の容姿のせいだって前の潜入の時に学んだはずなのに…!すっかり忘れてた!そりゃそうか…このままいったら騎士団で襲われるの間違い無いもんね…こんなひ弱そうな奴、いくらでも襲えそうだもん…だから兄様は心配してあれだけ反対してるんだ。
でもさ、考えようによったら兄様の弟ってバラせば襲う人もそうそういないんじゃ…?いや、でもバラした状態で騎士団に入ったらそれこそ兄様の付きっきりの訓練になるよね…?それはある意味、周りに迷惑なんじゃ…?じゃあやっぱり騎士団に入らない方がいいのか…?)」
と僕がウンウンと唸っていると、ローザは「僕はフェル様が魔術学校に来てくれるなら嬉しいけどね。」と言ってくれた。
アニスも「俺もフェルが騎士団に来てくれるなら歓迎するが正直、お前の体格で大丈夫か?という気持ちもある。でも騎士団は体格だけじゃないからな、他にも沢山必要要素はある。その辺は心配してないが、お前の容姿はモテるどころでは済まないぞ?」と心配された。
「じゃあさ…仮に僕が騎士団に入るとして、どうしたらいいと思う…?やっぱり兄様の弟だって公表すべき?」と聞くと、
「タジェット様の弟ってだけじゃ弱いと思うな~。」とローザ。
「俺もそう思う。そこはタジェット様の恋人ってすれば手を出す奴はほとんど防げるはずだ。」とアニス。
「ええっ!?恋人!そこまでしないといけないの!?」
「それくらいしないとお前に手を出そうとする奴はごまんといるだろうな。俺と恋人という風にしてもいいが、それだとあまり効力はない…。あわよくば横取りしようとする奴らばかりだし。しかし、タジェット様…いや第1部隊の副隊長様の恋人としておけばお前を狙おうとする馬鹿はいないだろう。仮にいたとしてもタジェット様に消されるな。それは断言できる。」
「(消されるって…なんか凄い怖いこと言ってるけど、兄様なら有り得るところがもっと怖い…。やっぱりそれくらいしないといけないんだ…僕も最悪、兄様に頼ろうと思ってたけど…でもそうしたら他に恋人を探すってことが出来なくなる…。まだ考えてたのか!って言われるかもしれないけど、このままいったら何にも変わんないんだもん!僕の周りはタジェット兄様によって限られた人しかいなかったから騎士団に入れば少しは変わると思ったんだよ…!最後に少しくらい足掻いたっていいよね!?)」
僕はアニスの発言に納得すると
「じゃあ魔術学校だったらどう思う?」
と聞いた。
するとローザが
「その頃はもうディル様も卒業してるから、さほど気にする必要はないかもね。
魔術学校は女の子も少なからずいるし、騎士団に比べたらそこまで身体を狙われる心配はしなくていいかも。でも、逆に魔法が使える裕福な貴族ってだけで狙われるから、そこは気をつけたほうがいいかもね。それに漬け込んで自分の地位を上げようとする人もいるみたいだし。」
と言われた。
「…なんかドロドロしてるね。」
と僕は日本での昼ドラを思い出した。
「そりゃあ、やっぱり魅力的なんだろうね。特に親から言われている子は可哀想だよ…。それが間違ったことだって気付いてない子もいるんだから。」
「そっか…じゃあ仮に僕が魔術学校に行っても心配事があるといえばあるのか…。」
「フェル様は高位の貴族だし、容姿も優れているからその辺は心配したほうがいいと思うよ。まっ!タジェット様やディル様の弟って言えば、なかなか近付いてこないかもだけどね。」
とローザは笑っていたがその言葉が正論すぎて僕はゔ~!と頭を抱えた。
「まぁまだもう少し時間はあるからゆっくり考えろ。お前の場合、早めに準備しとかないといけないってことはないんだから。」
アニスは僕の肩をポンポンと叩きながら元気付けてくれた。
「…そうだね…。もうちょっと考えてみる…。僕だけじゃ決められないからさ…父様に話してみるよ。
…ゴメン、もう少し1人で考えてみたいから先に部屋に戻ってるね…。2人は楽しんで、おやすみ…。」
と僕はそう声をかけ、心配そうな2人を置いて早々に部屋を後にした。
後々、恋バナをしなかったことを後悔するのだが。
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