腐男子は神様に願望を叶えてもらいました

ミイ

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第3章

171. 成婚

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それから少しすると父様の部屋にタジェット兄様が飛び込んできた。

「フェル!帰ってきてたの!?」

と僕を抱き締める。

兄様は隊服をそのままに階段を駆け上がってきたようだ。その慌てた様子に僕は嬉しくなり「うん、ただいま兄様。兄様もお帰りなさい。」と頰にキスをした。兄様は感動したように「ただいま、フェル!」と口にキスしてきたのでそれを手のひらで阻止する。途端に「なんで…?」と哀しそうな顔になったが僕がチラッと父様の方を見ると兄様は「チッ。」と舌打ちをした。

「おいおい、実の父親を睨むんじゃない。お前のことを話してたんだぞ。」

その言葉に兄様は「私の…ですか?」と幾分、冷静になった。

「なぁフェル、私はここから退散するからあとは2人でゆっくり話し合いなさい。解決したら夕食の場に来たらいいから。」

そう言うと父様は部屋を出て行った。

兄様は父様が出て行くのを確認すると先程出来なかったのを埋めるようにキスをしてくる。

「んんっ…!」

僕は兄様の早急な動きに驚きの声を上げた。

「はぁ…久しぶりのフェルだ…。この数日フェルに触れたくて仕方なかったよ…あの街でもフェルに触れれなかったし。」

「(確かにあの時は隊長さんの命令ですぐ別れたもんな…。)」

「くそっ…あの時ワートが仕事を与えなきゃもっとフェルといれたのに…。」

と兄様は呟くと再びキスしてくる。さらに身体中、弄られ僕は堪らず喘ぎ声を上げた。

「あっ…あんっ…にいさま…話…話を。」

とハァハァ言いながら伝える。

「んっ…そうだったね、フェル。ゴメン、久しぶりのフェルに我慢出来なかった。」

兄様はそう言いながらも僕のお尻をムニムニと揉んでくる。そしてそのまま僕を抱きかかえるとソファーに腰かけた。

僕は兄様の太ももに下ろされ横抱きに座る。

「…で、私の話って何?」





僕は先程、父様に説明した内容を伝えた。話し終えて兄様の顔を見ると複雑な表情をしている。

「兄様…あの、ごめんなさい。兄様だけを選べなくて…こんな僕は嫌?」

と恐る恐る聞く。

兄様は僕をギュッと抱き締めると「嫌なわけない!」と力強く言った。

「…前、フェルに重婚の話をされた時、なんとなくそうなる気がしてた…フェルは優しいから相手の気持ちを無下に出来ないんじゃないかって。私は正直、重婚して欲しくない、私だけのフェルであってほしい…でもそれでフェルと一緒にいれないなら私は迷うことなく重婚を選ぶよ。言ってることが矛盾してるのはわかってる…けど、私にとって生きる理由はフェルが側にいることだ。だから、フェルの側にいるためにフェルの望みをかなえるよ。」

僕は静かに兄様を抱き締め返すと「…本当にごめんなさい…ありがとう。」と伝えた。







その日の夕食時、僕とタジェット兄様は父様と母様、そしてエリーに重婚することを伝え、さらにそれが成立したことを告げる。僕は少し照れくさいのを誤魔化す様に笑ったがタジェット兄様は真剣な表情をしている。

僕が「タジェット兄様…?」と聞くと「父様、母様お話があります。」と硬い声を漏らした。

「あの時の約束を再確認させて下さい。私はフェルと正式に婚約そして結婚をします。私はこの家の長男として跡継ぎを設ける義務があると思っています。しかし、私とフェルは血の繋がった兄弟…。今後、子を設けることが難しいかもしれません…そうなるとこのローランド家が途絶える可能性があります。それでも私達の結婚に賛同して頂けますか?」

僕はその言葉を聞いて固まった。

「(…そうだ!兄様はこの家の跡取り…跡継ぎを設けないとこの家が途絶えちゃう…。)」

僕は思わず「あっ…あの!」と言ったが被せるように父様が「それで私が反対だと言ってお前は諦めるのか?」と聞く。

それに対しタジェット兄様は「いいえ、その時はフェルと駆け落ちします。」と堂々と答えた。

その答えに僕は驚いたが父様は「お前に言われた時から覚悟していたことだ、自由にしたらいい。私もイリスも了承している。今更、そんなことを気にしてたのか?」と呆れたように言った。

兄様は「その言葉、忘れないで下さいね。」と相変わらず硬い声で返す。

僕はその雰囲気にオロオロしていると母様が「タジェット、そんな怖い顔しないの、フェルが怯えてるわ。未来の妻を怖がらせてはダメよ?」と笑顔で告げる。

途端、兄様は柔らかい表情となり「ゴメンね。」と僕の頭を撫でてくる。いつもの兄様だ。

僕はホッとしながらもいつもいるはずのディル兄様が不在なのを伺った。すると父様が思い出したかの様に「そうか…フェルにはまだ伝えてなかったな。」と言う。

「ディルはこの前、殿下と婚約しただろう?その婚約式が2ヶ月後に迫っていることから、その準備に取り掛かっているところだ。それにディルは今、殿下のいる王都で一緒に暮らしている。ちょうどフェルが旅に出た時にディルも王都へ向かったんだ…報告が遅れてすまなかったな。」

と父様はアハハと笑った。
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