41 / 126
LUCK
1-7 can't read thoughts
しおりを挟む
枝依西区『西大学街駅』の東口──二四時間営業スーパー。
来客用のブリックパックのココアを三本。
良二のタバコを一カートン。
プチンと押し出せる大きなカップのプリンをふたつ。
『とろりん生クリーム オン』の大きい表記が目に飛び込むプリンをひとつ。
そして、杏仁豆腐をひとつ。
それらを、自ら手編みしたエコバッグに入れ、左肩に掛けた若菜。
「サムエニ、こっちですよ」
紛れてしまうほどの人波はないものの、万が一はぐれてしまっては取り返しもつかないわけで。手を繋ごうかと両の手を差し出すが、しかしやはり、小さな双子は警戒心を緩ませることはない。二人で固く繋いだまま、若菜の三歩後ろを追う姿勢を貫いてくる。
不馴れながら、若菜は口角をニイと持ち上げ「OKです」と親指を突き立てる。
「じゃ、事務所戻るからしっかりついてくるんだぞ」
チラリチラリと周囲を気にし、若菜は事務所へと一歩を踏み出した。
「わっ、若菜っ」
「はいっ!」
呼ばれた、と若菜は硬い髪の毛を翻し、嬉々として振り返り直す。サムがそこそこに鋭いまなざしを、若菜へ刺して立ち止まっていた。
三歩の距離感を保ったまま、若菜は「どうしましたかっ」と声を弾ませる。視線の鋭さが気にならないのは、常日頃から良二のそれに慣れてしまったためで。
「えと、終わったかな、話? ヨッシー」
サムは日本語をじっくりと選ぶように、言葉を捻り出した。
「ああ、依頼の?」
「イライ……ごめんなさい、『イライ』わからないでも、ヨッシーとリョーちんの話、ボクが邪魔したら、あの、がっかりするでしょ? ヨッシー」
サムがそうして申し訳なさそうにシュンと小さく背を丸めるので、若菜は「なんだ」と空を仰いだ。
「大丈夫ですよ。ちゃんと様子窺いしてから入りますから。で、終わってなさそうだったら花屋にでも行きましょ。あーえーっと、『花』だから、は……ふ、『フラワーショップ』!」
「花屋……」
「ふわあ、発音スゴい綺麗だなぁ……って、当たり前だっての私っ」
セルフサービスのノリツッコミ。サムとエニーには空振り。
若菜は気恥ずかしさから「い、行きましょか!」と歩みを進めた。
「若菜も芸やる人なの?」
三歩後ろからかけられる質問。雑踏に負けない、透き通る声だと若菜は思った。
「はい。でも『あんまり』上手くなくて、練習中です」
半身を振り返りながら答えた若菜。わざわざ強調した「あんまり」には視線を逸らす。
「サムエニは? なんかするのか?」
「うん。ヨッシーの慈善公演の助けするから、ちょっとずつ」
「チャリティーのヘルプ……って、手伝い?」
「『テツダイ』? ヘルプはテツダイ?」
「そーですね、うん、多分そう」
「じゃあそれ。テツダイ」
「なんの手伝いするんですか?」
「もちろん芸!」
まるで花の咲いたように、若菜へそうして初めて笑みを向けるサム。隠れ気味のエニーも、満足そうにカクカクと首を上下に揺らしている。
「ぅえ?! もしかして、YOSSYさんに『芸』そのものを教えてもらってんの?!」
「うん。ボクもエニーもだよ」
「え、えぇ……」
じわり、平たい胸に滲み抱く気持ちに、若菜は硬直する。
いくら懸命に頼んでも、決して弟子にはしてもらえなかったのに、不遇な環境にいた双子の子どもたちへは、簡単に指導鞭撻がなされているのか──そうして、「こんなに幼い二人に先を越された」と歯痒く思う若菜。しかしその一方で、『そんな二人に嫉妬している自分自身』にもショックを受けていた。
小さいこと、大きなこと、そんなことはわからないが、「そんなこと」で片がつくことを気にしている現状ほど、若菜の忌み嫌うものはない。
「あっ! だったら──」
ピカンとした閃き。
カツカツカツ、と早足で三歩分二人へ寄る若菜。サムもエニーも肩を縮み上げたものの、若菜の勢いには間に合わない。
「──サムエニと私は、兄弟弟子ですよっ」
すとんと双子の前しゃがみ、つりがちな目尻をいびつに曲げた若菜。
「え?」
「兄弟弟子ですっ。えーと、YOSSYさんが『師匠』で、サムエニは教えてもらう側だから『弟子』。私も、いずれは教えてもらう立場だから『弟子』……(仮)だけど」
「ボクとエニーは兄妹だけど、若菜は姉弟じゃないよ?」
「血の繋がりのことじゃなくて、同じセンセから教わる者同士ってことです」
「センセ? ヨッシーが先生?」
「細かく言うと違うんだろうけど、似たような感じというか。私英語わかんないし、日本語の説明もあやふやだし、そこもまぁ、大体そんな感じということで!」
若菜の言っていることが六割しかわからず、サムもエニーも、ゆっくりとまばたきをひとつ、ふたつ。
「だから、私はこれから、サムエニには敬語で話すことにします。いいですか?」
そうして小首を傾げた若菜は、ニッタァリと笑みを深くした。
この提案は、上下関係の明示を試みたものだった。「双子の背も追いかけますよ」という、若菜なりの意思表示。それは、弟子入りを諦めないという決意表明にも近い。
確かめるように顔を見合わせる、サムとエニー。
返事待ちの、いびつな表情の若菜。
「ふっ! ふふふ」
そのうちに、エニーがそうして小さく笑みを溢した。くるりと深い灰緑の双眸を若菜へ向けるエニーは、細く消えてしまいそうな日本語を話しだす。
「若菜、って、考え、読めない」
「え?! そ、そーかな」
わからないことを増やし、悩ませてしまったろうか──若菜は瞬時に過ったが、エニーがそれを優しく砕く。
「エニー思う。若菜、イッショケンメ、楽しい毎日。ポジティブ、嘘ない。とってもいいね。エニー、そう思う」
「嘘ない、ポジティブ?」
簡単に若菜の本質を見抜いてしまったエニー。
「だから、若菜とは、話しててもヘーキ。きっと」
まるで、天使にでも微笑まれたかのようなエニーのその表情。躊躇い、どこか恐々とし、しかし前向きな印象を持ったことが把握できる態度と雰囲気。
「エニーがヘーキは、ボク嬉しい」
サムの優しい笑みを見て、双子の無垢さや互いへの配慮を目の当たりにする若菜。
「そっか。……あぁ、そっか」
一旦目を伏せ、五秒硬直。
若菜は、ほんの一分足らず前に自分が二人へ抱いた嫉妬心と歯痒さを、「そうじゃない」と考え至る。
二人にあって、私にはないもの。それをYOSSYさんは二人の中に見つけて、伸ばすために芸を教えることにした、のかも──半信半疑の推測に辿り着き、そしてそれがしっくりとくる。
果てに、瞼を上げた若菜は、二人をそれぞれ見つめた。
「今、なんか二人のこと、『スゴい』って思いました」
ただ笑むばかりの双子。柔らかく、穏やかなハテナがその頭上に浮かぶ。
「二人はやっぱり私の兄弟子ですっ! 私も、もっともっと頑張りますねっ!」
「若菜キラキラなったね」
「えへっ?! そおですか?!」
「キラキラ、今、無くなった」
「ええ……そうなんですか?」
「若菜いろんな顔する」
「んっふふふ、そうでしょうそうでしょう? 私、面白い?」
「おもしろい、とは、違う」
「そんなぁ。エニー残酷ですゥ」
「若菜、手、繋いであげる」
「えっ! マジっすか?!」
「マジ? 何?」
「『本当』って意味ですよ。だから今のは『ホントですか?!』、です」
「若菜の話、日本語の勉強、なる、エニー」
「少しボクも」
「うへへへぇー? そうかなぁー? じゃあ変なこと教えないようにしまぁす!」
握り繋がれた、右手の先にはサム。左手の先にはエニー。
「うっふふふ、のんびり帰りましょっかー」
天使を連れて歩くのも、悪くはないなと思う若菜。仰いだ空の曇天が、わずかに割けていた。
来客用のブリックパックのココアを三本。
良二のタバコを一カートン。
プチンと押し出せる大きなカップのプリンをふたつ。
『とろりん生クリーム オン』の大きい表記が目に飛び込むプリンをひとつ。
そして、杏仁豆腐をひとつ。
それらを、自ら手編みしたエコバッグに入れ、左肩に掛けた若菜。
「サムエニ、こっちですよ」
紛れてしまうほどの人波はないものの、万が一はぐれてしまっては取り返しもつかないわけで。手を繋ごうかと両の手を差し出すが、しかしやはり、小さな双子は警戒心を緩ませることはない。二人で固く繋いだまま、若菜の三歩後ろを追う姿勢を貫いてくる。
不馴れながら、若菜は口角をニイと持ち上げ「OKです」と親指を突き立てる。
「じゃ、事務所戻るからしっかりついてくるんだぞ」
チラリチラリと周囲を気にし、若菜は事務所へと一歩を踏み出した。
「わっ、若菜っ」
「はいっ!」
呼ばれた、と若菜は硬い髪の毛を翻し、嬉々として振り返り直す。サムがそこそこに鋭いまなざしを、若菜へ刺して立ち止まっていた。
三歩の距離感を保ったまま、若菜は「どうしましたかっ」と声を弾ませる。視線の鋭さが気にならないのは、常日頃から良二のそれに慣れてしまったためで。
「えと、終わったかな、話? ヨッシー」
サムは日本語をじっくりと選ぶように、言葉を捻り出した。
「ああ、依頼の?」
「イライ……ごめんなさい、『イライ』わからないでも、ヨッシーとリョーちんの話、ボクが邪魔したら、あの、がっかりするでしょ? ヨッシー」
サムがそうして申し訳なさそうにシュンと小さく背を丸めるので、若菜は「なんだ」と空を仰いだ。
「大丈夫ですよ。ちゃんと様子窺いしてから入りますから。で、終わってなさそうだったら花屋にでも行きましょ。あーえーっと、『花』だから、は……ふ、『フラワーショップ』!」
「花屋……」
「ふわあ、発音スゴい綺麗だなぁ……って、当たり前だっての私っ」
セルフサービスのノリツッコミ。サムとエニーには空振り。
若菜は気恥ずかしさから「い、行きましょか!」と歩みを進めた。
「若菜も芸やる人なの?」
三歩後ろからかけられる質問。雑踏に負けない、透き通る声だと若菜は思った。
「はい。でも『あんまり』上手くなくて、練習中です」
半身を振り返りながら答えた若菜。わざわざ強調した「あんまり」には視線を逸らす。
「サムエニは? なんかするのか?」
「うん。ヨッシーの慈善公演の助けするから、ちょっとずつ」
「チャリティーのヘルプ……って、手伝い?」
「『テツダイ』? ヘルプはテツダイ?」
「そーですね、うん、多分そう」
「じゃあそれ。テツダイ」
「なんの手伝いするんですか?」
「もちろん芸!」
まるで花の咲いたように、若菜へそうして初めて笑みを向けるサム。隠れ気味のエニーも、満足そうにカクカクと首を上下に揺らしている。
「ぅえ?! もしかして、YOSSYさんに『芸』そのものを教えてもらってんの?!」
「うん。ボクもエニーもだよ」
「え、えぇ……」
じわり、平たい胸に滲み抱く気持ちに、若菜は硬直する。
いくら懸命に頼んでも、決して弟子にはしてもらえなかったのに、不遇な環境にいた双子の子どもたちへは、簡単に指導鞭撻がなされているのか──そうして、「こんなに幼い二人に先を越された」と歯痒く思う若菜。しかしその一方で、『そんな二人に嫉妬している自分自身』にもショックを受けていた。
小さいこと、大きなこと、そんなことはわからないが、「そんなこと」で片がつくことを気にしている現状ほど、若菜の忌み嫌うものはない。
「あっ! だったら──」
ピカンとした閃き。
カツカツカツ、と早足で三歩分二人へ寄る若菜。サムもエニーも肩を縮み上げたものの、若菜の勢いには間に合わない。
「──サムエニと私は、兄弟弟子ですよっ」
すとんと双子の前しゃがみ、つりがちな目尻をいびつに曲げた若菜。
「え?」
「兄弟弟子ですっ。えーと、YOSSYさんが『師匠』で、サムエニは教えてもらう側だから『弟子』。私も、いずれは教えてもらう立場だから『弟子』……(仮)だけど」
「ボクとエニーは兄妹だけど、若菜は姉弟じゃないよ?」
「血の繋がりのことじゃなくて、同じセンセから教わる者同士ってことです」
「センセ? ヨッシーが先生?」
「細かく言うと違うんだろうけど、似たような感じというか。私英語わかんないし、日本語の説明もあやふやだし、そこもまぁ、大体そんな感じということで!」
若菜の言っていることが六割しかわからず、サムもエニーも、ゆっくりとまばたきをひとつ、ふたつ。
「だから、私はこれから、サムエニには敬語で話すことにします。いいですか?」
そうして小首を傾げた若菜は、ニッタァリと笑みを深くした。
この提案は、上下関係の明示を試みたものだった。「双子の背も追いかけますよ」という、若菜なりの意思表示。それは、弟子入りを諦めないという決意表明にも近い。
確かめるように顔を見合わせる、サムとエニー。
返事待ちの、いびつな表情の若菜。
「ふっ! ふふふ」
そのうちに、エニーがそうして小さく笑みを溢した。くるりと深い灰緑の双眸を若菜へ向けるエニーは、細く消えてしまいそうな日本語を話しだす。
「若菜、って、考え、読めない」
「え?! そ、そーかな」
わからないことを増やし、悩ませてしまったろうか──若菜は瞬時に過ったが、エニーがそれを優しく砕く。
「エニー思う。若菜、イッショケンメ、楽しい毎日。ポジティブ、嘘ない。とってもいいね。エニー、そう思う」
「嘘ない、ポジティブ?」
簡単に若菜の本質を見抜いてしまったエニー。
「だから、若菜とは、話しててもヘーキ。きっと」
まるで、天使にでも微笑まれたかのようなエニーのその表情。躊躇い、どこか恐々とし、しかし前向きな印象を持ったことが把握できる態度と雰囲気。
「エニーがヘーキは、ボク嬉しい」
サムの優しい笑みを見て、双子の無垢さや互いへの配慮を目の当たりにする若菜。
「そっか。……あぁ、そっか」
一旦目を伏せ、五秒硬直。
若菜は、ほんの一分足らず前に自分が二人へ抱いた嫉妬心と歯痒さを、「そうじゃない」と考え至る。
二人にあって、私にはないもの。それをYOSSYさんは二人の中に見つけて、伸ばすために芸を教えることにした、のかも──半信半疑の推測に辿り着き、そしてそれがしっくりとくる。
果てに、瞼を上げた若菜は、二人をそれぞれ見つめた。
「今、なんか二人のこと、『スゴい』って思いました」
ただ笑むばかりの双子。柔らかく、穏やかなハテナがその頭上に浮かぶ。
「二人はやっぱり私の兄弟子ですっ! 私も、もっともっと頑張りますねっ!」
「若菜キラキラなったね」
「えへっ?! そおですか?!」
「キラキラ、今、無くなった」
「ええ……そうなんですか?」
「若菜いろんな顔する」
「んっふふふ、そうでしょうそうでしょう? 私、面白い?」
「おもしろい、とは、違う」
「そんなぁ。エニー残酷ですゥ」
「若菜、手、繋いであげる」
「えっ! マジっすか?!」
「マジ? 何?」
「『本当』って意味ですよ。だから今のは『ホントですか?!』、です」
「若菜の話、日本語の勉強、なる、エニー」
「少しボクも」
「うへへへぇー? そうかなぁー? じゃあ変なこと教えないようにしまぁす!」
握り繋がれた、右手の先にはサム。左手の先にはエニー。
「うっふふふ、のんびり帰りましょっかー」
天使を連れて歩くのも、悪くはないなと思う若菜。仰いだ空の曇天が、わずかに割けていた。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
熱い風の果てへ
朝陽ゆりね
ライト文芸
沙良は母が遺した絵を求めてエジプトにやってきた。
カルナック神殿で一服中に池に落ちてしまう。
必死で泳いで這い上がるが、なんだか周囲の様子がおかしい。
そこで出会った青年は自らの名をラムセスと名乗る。
まさか――
そのまさかは的中する。
ここは第18王朝末期の古代エジプトだった。
※本作はすでに販売終了した作品を改稿したものです。
【短編集】こども病院の日常
moa
キャラ文芸
ここの病院は、こども病院です。
18歳以下の子供が通う病院、
診療科はたくさんあります。
内科、外科、耳鼻科、歯科、皮膚科etc…
ただただ医者目線で色々な病気を治療していくだけの小説です。
恋愛要素などは一切ありません。
密着病院24時!的な感じです。
人物像などは表記していない為、読者様のご想像にお任せします。
※泣く表現、痛い表現など嫌いな方は読むのをお控えください。
歯科以外の医療知識はそこまで詳しくないのですみませんがご了承ください。
前世で私を捨てた皇太子が、今世ではなぜか執着してきます。でも私は静王妃なので『皇叔母様』と呼ばせます
由香
恋愛
沈薬は前世、皇太子の妃だった。
だが彼の寵愛は側室へ移り、沈薬は罪もなく冷宮へ送られ――孤独の中で死んだ。
そして目を覚ますと、賜婚宴の日に戻っていた。
二度目の人生。
沈薬は迷わず皇太子ではなく、皇帝の弟である静王を選ぶ。
ただしその夫は、戦で重傷を負い昏睡中だった。
「今世は静かに生きられればそれでいい」
そう思っていたのに――
奇跡的に目覚めた静王は、沈薬を誰よりも大切にしてくれた。
さらにある日。
皇太子が前世の記憶を思い出してしまう。
「沈薬は俺の妃だった」
だが沈薬は微笑んで言う。
「殿下、私は静王妃です」
今の関係は――
皇叔母様。
前世で捨てた女を取り戻そうとする皇太子。
それを静かに守る静王。
宮廷を揺るがす執着と溺愛の物語。
一億円の花嫁
藤谷 郁
恋愛
奈々子は家族の中の落ちこぼれ。
父親がすすめる縁談を断り切れず、望まぬ結婚をすることになった。
もうすぐ自由が無くなる。せめて最後に、思いきり贅沢な時間を過ごそう。
「きっと、素晴らしい旅になる」
ずっと憧れていた高級ホテルに到着し、わくわくする奈々子だが……
幸か不幸か!?
思いもよらぬ、運命の出会いが待っていた。
※エブリスタさまにも掲載
金の羊亭へようこそ! 〝元〟聖女様の宿屋経営物語
紗々置 遼嘉
ファンタジー
アルシャインは真面目な聖女だった。
しかし、神聖力が枯渇して〝偽聖女〟と罵られて国を追い出された。
郊外に館を貰ったアルシャインは、護衛騎士を付けられた。
そして、そこが酒場兼宿屋だと分かると、復活させようと決意した。
そこには戦争孤児もいて、アルシャインはその子達を養うと決める。
アルシャインの食事処兼、宿屋経営の夢がどんどん形になっていく。
そして、孤児達の成長と日常、たまに恋愛がある物語である。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
愛人を選んだ夫を捨てたら、元婚約者の公爵に捕まりました
由香
恋愛
伯爵夫人リュシエンヌは、夫が公然と愛人を囲う結婚生活を送っていた。
尽くしても感謝されず、妻としての役割だけを求められる日々。
けれど彼女は、泣きわめくことも縋ることもなく、静かに離婚を選ぶ。
そうして“捨てられた妻”になったはずの彼女の前に現れたのは、かつて婚約していた元婚約者――冷静沈着で有能な公爵セドリックだった。
再会とともに始まるのは、彼女の価値を正しく理解し、決して手放さない男による溺愛の日々。
一方、彼女を失った元夫は、妻が担っていたすべてを失い、社会的にも転落していく。
“尽くすだけの妻”から、“選ばれ、守られる女性”へ。
静かに離婚しただけなのに、
なぜか元婚約者の公爵に捕まりました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる