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それぞれの思惑
女官
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「女官の誰かが、四夫人にすすめられて陛下にお目通りするかもしれないんですって」
「じゃあ、あの子じゃない?ほら、楽曲房の」
「あら、違うんじゃない?だって、すでに陛下の前で演奏しているでしょう?」
「ばかね、昼間ではなく夜にお召しいただけるってことよ」
ひそひそ、ひそひそ
どこを歩いても、女官が二、三人でかたまって噂話をしている。
そして、ちょっとだけ顔をこちらに向けてまたひそひそとはないを続ける。
感じが悪いことこの上ないけど、仕方がないのかな。
女しかいない後宮で唯一の出入り可能な男性。
しかも、この国で一番の権力者の動向だもんね。
それで玉の輿に乗れるなら普通の女性は、気になるものかも知れないね。
私はどっちでもいいんだけど。
「あれって結局茉莉のこと言ってるのかしら?」
一緒に尚儀局へ向かいながら、周りを見ていた明蘭が誰にとももなく言った。
「さあ?名言はおふたりともなさってないもの」
こちらも応えるともなしに応えたのは、春麗。
確かにその通りなんだよね。四夫人のおふたりは誰ってことを明言されていない。
だから余計に憶測を呼んでいるともいえるんだけど・・・。
「あ、私あっちの梅林見てから行くけど、明蘭たちはどうする?」
「掃除当番だから、先に行くわ」
「私も。迷子にならないでよ、茉莉」
「ならないよ!」
「そう言って、北の庭園から戻る時に迷ったじゃない」
「半年も前の話しでしょう!」
くすくすと笑って二人は、先に尚儀局へ向かった。
半年前ってはいったばかりで、建物の一とか覚えてなかったんだよね。
そのせいもあっていろいろ迷っては二人に助けてもらっていたから、仕方ないんだけど・・・。
さすがにもう、後宮の中ならほとんどを覚えたと思う。
前宮とかになると妖しいけど。
今回ひとりできたのは、後宮の中でも梅の木ばかり植えてある庭園。
桜とか菊、牡丹と違ってひっそりと植えられているからそこまで人が多くなくて、私は好きな場所。
まあいままでは、花の季節ではないから余計に人がいなかったのかもしれないけど・・・。
梅が咲き始めていて、いいにおいが庭園いっぱいに広がっている。
いつもは入口から入って、右回りんぐるっと池を回りこんで変えるのだけど、今日は奥の東屋まで来て見た。
んで、新たな発見をひとつ。
ここって後宮のおくだと思い込んでいたけど、一周まわって女官たちが外へ行くための門の側だわ。
一段か二段こちらが高くなっているし、降りるための怪談とかもないから直接はいけないけど下の様子はわかる。
門の側に私をここへ連れてきたときにいた門兵くんがだるそうに、出入りする女官の身分証である札を確認してる。
ふーん。ちょっと面白いかも。
あ、門兵くん気づいたのかな。こっち向いた。
面倒が起きる前に退散だね。
「茉莉、梅は咲いていた?
「7部ってとこかな」
「じゃあ、今度の休みにみんなでいきましょ」
尚儀局へ行くと、明蘭たちがそう言ってきたので仲のいい子たちと今度の休みに一緒に行く約束をする。
掃除をしながら、みんなでおしゃべりをしてるとあわてた様子で、おなじ尚儀局の女官が入ってきた。
「大変!大変よ!!」
「どうしたの?あまりほこりを立てると李尚儀に怒られるわよ」
楽器がたくさん置いてあるこの楽曲房でほこりが立つような行動をすると尚儀に叱られる。
みんなが当然に知っていることを注意すると彼女もいつもなら気にするだろうに、今日は興奮して顔を赤くしてまくし立てる。
「それどころじゃないわ。芳美人が殺されたのですって!!」
「じゃあ、あの子じゃない?ほら、楽曲房の」
「あら、違うんじゃない?だって、すでに陛下の前で演奏しているでしょう?」
「ばかね、昼間ではなく夜にお召しいただけるってことよ」
ひそひそ、ひそひそ
どこを歩いても、女官が二、三人でかたまって噂話をしている。
そして、ちょっとだけ顔をこちらに向けてまたひそひそとはないを続ける。
感じが悪いことこの上ないけど、仕方がないのかな。
女しかいない後宮で唯一の出入り可能な男性。
しかも、この国で一番の権力者の動向だもんね。
それで玉の輿に乗れるなら普通の女性は、気になるものかも知れないね。
私はどっちでもいいんだけど。
「あれって結局茉莉のこと言ってるのかしら?」
一緒に尚儀局へ向かいながら、周りを見ていた明蘭が誰にとももなく言った。
「さあ?名言はおふたりともなさってないもの」
こちらも応えるともなしに応えたのは、春麗。
確かにその通りなんだよね。四夫人のおふたりは誰ってことを明言されていない。
だから余計に憶測を呼んでいるともいえるんだけど・・・。
「あ、私あっちの梅林見てから行くけど、明蘭たちはどうする?」
「掃除当番だから、先に行くわ」
「私も。迷子にならないでよ、茉莉」
「ならないよ!」
「そう言って、北の庭園から戻る時に迷ったじゃない」
「半年も前の話しでしょう!」
くすくすと笑って二人は、先に尚儀局へ向かった。
半年前ってはいったばかりで、建物の一とか覚えてなかったんだよね。
そのせいもあっていろいろ迷っては二人に助けてもらっていたから、仕方ないんだけど・・・。
さすがにもう、後宮の中ならほとんどを覚えたと思う。
前宮とかになると妖しいけど。
今回ひとりできたのは、後宮の中でも梅の木ばかり植えてある庭園。
桜とか菊、牡丹と違ってひっそりと植えられているからそこまで人が多くなくて、私は好きな場所。
まあいままでは、花の季節ではないから余計に人がいなかったのかもしれないけど・・・。
梅が咲き始めていて、いいにおいが庭園いっぱいに広がっている。
いつもは入口から入って、右回りんぐるっと池を回りこんで変えるのだけど、今日は奥の東屋まで来て見た。
んで、新たな発見をひとつ。
ここって後宮のおくだと思い込んでいたけど、一周まわって女官たちが外へ行くための門の側だわ。
一段か二段こちらが高くなっているし、降りるための怪談とかもないから直接はいけないけど下の様子はわかる。
門の側に私をここへ連れてきたときにいた門兵くんがだるそうに、出入りする女官の身分証である札を確認してる。
ふーん。ちょっと面白いかも。
あ、門兵くん気づいたのかな。こっち向いた。
面倒が起きる前に退散だね。
「茉莉、梅は咲いていた?
「7部ってとこかな」
「じゃあ、今度の休みにみんなでいきましょ」
尚儀局へ行くと、明蘭たちがそう言ってきたので仲のいい子たちと今度の休みに一緒に行く約束をする。
掃除をしながら、みんなでおしゃべりをしてるとあわてた様子で、おなじ尚儀局の女官が入ってきた。
「大変!大変よ!!」
「どうしたの?あまりほこりを立てると李尚儀に怒られるわよ」
楽器がたくさん置いてあるこの楽曲房でほこりが立つような行動をすると尚儀に叱られる。
みんなが当然に知っていることを注意すると彼女もいつもなら気にするだろうに、今日は興奮して顔を赤くしてまくし立てる。
「それどころじゃないわ。芳美人が殺されたのですって!!」
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