皇帝にプロポーズされても断り続ける最強オメガ

手塚エマ

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第二章 死がふたりを分かつとも

第64話 どうにもならない

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 アルベルトを愛したらユーリスに、ユーリスを心のどこかで思慕するうちはアルベルトに、顔向けできない気がして苦しい。
 たとえアルベルトの番になったとしても、自分は皇帝の世継ぎをもうけてやれない体にされたオメガなのだ。 


 そしてまた、世継ぎの不在は国の政情不安を引き起こす。

 皇帝に皇太子がいなければ、帝国存続に関わる杞憂が派生する。
 ましてやこんな世情に反して、子供を産めないオメガにうつつを抜かしているなんて、自覚に欠ける淫行だとして、民人からも見損なわれてしまうだろう。

 そうともなればアルベルトを玉座から、引きずり下ろそうと画策するルビ輩との、骨肉の争いが勃発し、内政不安に乗じた隣国からも攻め込まれる、最悪の事態に陥らないとも限らない。

 自分を番にしたせいで、そんな危険を背負わせたくない。


 アルベルトが真摯に、誠実に愛してくれているのなら尚更だ。

 
 サリオンはわらを詰めた固いベッドで胎児のように、いっそう手足を折り曲げる。
 何かを自分で断ち切るように目をつぶる。
 すると今度は目裏まなうら目裏に、アルベルトの寂しげな微笑が去来きょらいする。

 威厳のあるアルベルトの声が、言葉が、蘇る。


 お前ぐらい嘘つきで、正直な奴は他にはいないと告げながら、頬を撫ででくれた人。上掛けを頭から被ったサリオンは、胸中きょうちゅうで声高に言い返す。

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