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第三章 争奪戦
第4話 疑念と憶測
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腰かけたレナの脇に立ち、柔らかい金髪に丁寧に櫛を入れながら、サリオンは、ふたつの意味での憂慮に揺れた。
アルベルトが毎晩来るとは限らない。
それは元より承知している。これまでも、他の王族の饗宴の招待を受けたり、公務が長引くなどして、来館しない日もあった。
今夜も深い意味はなく、普段通りの理由で来ないというのなら、また次の機会を待てばいい。
あるいは、レナは抱かないと決めているアルベルトが、毎晩レナを買い続けると、レナの体に別の意味での負担が過度にかかるため、アルベルトは時折あえて日を置くのではないかと、推測していた。
オメガがアルファやベータを欲情させるフェロモンを発し、交尾相手を求めるのは、月に一度の七日間ほどの発情期にすぎないが、オメガの男娼は売り物だ。
アルファやベータを欲情させ、惹きつけなければ仕事にならない。
だから、公娼の男娼は年中発情期を誘発する、経口薬を飲んでいる。
レナは密かに避妊薬は飲んでいる。そして、発情期の誘発剤は自発的に用いている。
アルベルトをフェロモンで惹きつけたいと願っている。けれども、アルベルトはレナになびかない。
アルベルトが何もせずに帰ってしまうと、レナは発情した身体の熱をもてあまし、ベッドの中で自分で慰め、しのいでいる。
クルム民族のオメガは、他民族ほど交尾相手を求める発情期の性欲に、翻弄されたりしないものの、発情した体の飢えは、やはりアルファやベータと繋がらなくては満たされない。
アルベルトは自分が来館しない日に他の客をレナが取り、餓えた体を潤せるよう、配慮してくれているのだろうと思っていた。
来館しない日を、一定の間隔で作るようになった頃から、そう感じるようになっていた。
けれども、昨夜のアルベルトの去り際に、肌で感じたある種の不安。
手酷くフラれる苦しさに、アルベルト自身疲れてしまったかのような、憂いを含んだ背中が脳裏に蘇る。
巻紙に書かれていたように公務があるのではなくて、レナの体を他の男に抱かせる機会を与えるでもなく、もう公娼には行かないと、決めてしまっているかもしれない。
来館しない今夜のアルベルトの真意がそこにあるのなら、この先レナはどうなるのだろう。
募る焦燥感で胸を塞がれ、サリオンの口が重くなる。レナも黙り込んでいる。
アルベルトが毎晩来るとは限らない。
それは元より承知している。これまでも、他の王族の饗宴の招待を受けたり、公務が長引くなどして、来館しない日もあった。
今夜も深い意味はなく、普段通りの理由で来ないというのなら、また次の機会を待てばいい。
あるいは、レナは抱かないと決めているアルベルトが、毎晩レナを買い続けると、レナの体に別の意味での負担が過度にかかるため、アルベルトは時折あえて日を置くのではないかと、推測していた。
オメガがアルファやベータを欲情させるフェロモンを発し、交尾相手を求めるのは、月に一度の七日間ほどの発情期にすぎないが、オメガの男娼は売り物だ。
アルファやベータを欲情させ、惹きつけなければ仕事にならない。
だから、公娼の男娼は年中発情期を誘発する、経口薬を飲んでいる。
レナは密かに避妊薬は飲んでいる。そして、発情期の誘発剤は自発的に用いている。
アルベルトをフェロモンで惹きつけたいと願っている。けれども、アルベルトはレナになびかない。
アルベルトが何もせずに帰ってしまうと、レナは発情した身体の熱をもてあまし、ベッドの中で自分で慰め、しのいでいる。
クルム民族のオメガは、他民族ほど交尾相手を求める発情期の性欲に、翻弄されたりしないものの、発情した体の飢えは、やはりアルファやベータと繋がらなくては満たされない。
アルベルトは自分が来館しない日に他の客をレナが取り、餓えた体を潤せるよう、配慮してくれているのだろうと思っていた。
来館しない日を、一定の間隔で作るようになった頃から、そう感じるようになっていた。
けれども、昨夜のアルベルトの去り際に、肌で感じたある種の不安。
手酷くフラれる苦しさに、アルベルト自身疲れてしまったかのような、憂いを含んだ背中が脳裏に蘇る。
巻紙に書かれていたように公務があるのではなくて、レナの体を他の男に抱かせる機会を与えるでもなく、もう公娼には行かないと、決めてしまっているかもしれない。
来館しない今夜のアルベルトの真意がそこにあるのなら、この先レナはどうなるのだろう。
募る焦燥感で胸を塞がれ、サリオンの口が重くなる。レナも黙り込んでいる。
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