皇帝にプロポーズされても断り続ける最強オメガ

手塚エマ

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第五章 皇帝の寵姫として

第35話 レナにしてやれること 

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 アルベルトまで不安に巻き込む。
 確かにミハエルの言う通り、ふさぎ込んでばかりいたら、きっとそうなる。

「ありがとう、ミハエル。後宮に入ってくれさえしたなら、レナは避妊薬を飲まずにいられる。公娼に留まれば、望まない男の子供を孕むかもしれない。どちらが自分のためになるのかを考えて、もう一度返事をくれるよう手紙を書く」
「俺もそれが一番だと思う」

 ミハエルは肩でほっと息を吐く。

 早々にサリオンが下男を呼びつけ、ペンと紙と封筒を受け取った。
 ミハエルは、今日はお役御免といったところかという顔つきで部屋を出ようとしていたが、それをサリオンが引き止める。

「俺一人じゃ、なんて書けばいいのかがわからない」
「難しく考えなくても大丈夫さ。今さっき自分で言った、後宮に入るか公娼に留まるのかをもう一度考えて欲しいって書けばいいだけの話だろう?」

 縋るサリオンにミハエルが呆れたような声を出す。
 今は何を言っても拒絶されそうで。
 言えば言うほど距離を開けられそうで恐かった。

 最後にミハエル読んでもらい、万が一書簡の検閲を受けたとしても罪には至らないように、ミハエルの同意を得てから巻紙にして紐で縛る。
 これでようやく腹が据わったような心地になる。
 これでも駄目なら、あとはもうレナにしてやれることはない。

「ありがとう。ミハエル」
「俺にはレナのことは放っておけとした言えないけどな」

 まだミハエルは険しい顔を崩さない。
 ここで捨て置けるような関係だとしたら、こうまで苦しくなったりしないはず。
 自分もレナも衝動的になってしまっただけ。
 避妊薬にまで考えがいたらなかった。

 気がつけていたのなら、縛ってでも後宮に入れていただろう。

 封書は下男に渡し、サリオンとミハエルの間に束の間の沈黙が訪れる。

 
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