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「い、痛ッ……あ、れ、俺…何か…」
「痛い…目、目が…うぅ…」
「ま、まさか……そ、そんな………」
「目が……!!」
眠りから覚めたのは、いつしか分からなかった。俺は足を鎖で繋がれ、首にもあの輪っかがはめられていた。そして、俺自身檻のようなところにいた。でも、そんな場所なんかより、俺は身体に走る痛みの酷い右目を必死に抑えた。そして気付いた。俺の右目が無いことに…。
「う、嘘だろ……ほ、本当に……俺は…!!?」
俺はその場で泣き叫んだ。涙は残念ながら片方しか溢れ出ない。いくら祈っても願っても、もう視力は戻らない。
「ど、どうして……なんで……」
俺はその場で泣き崩れるしか無かった。もう何も考えられなくなってしまった。父はもう俺の事なんて微塵も心配していないだろう。見捨てられた。いや、売られたんだ。俺は、あいつに。
「やっと起きたのか、やはり薬が多すぎたかな…もう何ヶ月になると思う?」
「………」
「半年だよ?いやー驚いた?あの薬が世界で一番強いだろうな。そうだ、目はどうだい?一つあるからまだ見えるだろ?調べてみるとやっぱり魔力の量は多いね、俺の作った薬で少し更に多くしておいたよ。成功してたらね。やはり魔力の強さは目の色に関係するんだと思うんだよ」
「…」
目の前には俺の身体を弄っていたであろう奴がいた。ここが何処で奴は誰なのかを問う体力すらもなかった。目の前には平べったいお皿に水と粥のようなものが置かれていた。あいつと同じだ。あの人ももう父だとは思わない。俺はもう死んだも同然のただの物なんだから。
「さぁ、お食べ。毎日栄養剤は打っていたから死にはしなかったけど、あれば高いんだ。せっかく君はいい実験材料なんだから死なないでくれよ」
「………」
もはや人間と感じられずにいた。もうどうなってもいい。何をしても無駄だという事に動く気も出なかった。
次の日も次の日も冷たい床にバタッと倒れ込み、痛む目を庇いもせず、遠くを見つめた。それでも段々と痛みは引いてきて、あの医師もどきは何度も俺の体を調べた。
やがて手足が震えることも無くなり、立つことも話す事も無くなった。辺りに臭う嫌な臭いももう慣れて何も感じる事はなくなった。奴は俺の身体を引っ張って台の上で奴らの魔術を受け、痛みに耐えるだけ。今まで何故はやく死んでおかなかったのだろう。たまにふと思うのはそれだけ。逃げる術なんて一切なかった。そもそも考える事すら出来ないでいた。
そんな地獄の日々が過ぎていった。まだ八、いや、本当なら誕生日もすぎて十歳くらいにはなっているだろうか。分からないが、そんな月日が長く感じる。
この場所に変化が起きた。二日に一度は欠かさず確認に来るはずのやつが初めて来なくなった。毎日の栄養剤も打たれなければ俺はこの日々から逃れる事ができるのではないか思うようになった。
ゆっくり、ゆっくり時間がすぎて行く。眠って、起きて、眠って、起きて……。
そして、眠ろうとしていた時だった。
「痛い…目、目が…うぅ…」
「ま、まさか……そ、そんな………」
「目が……!!」
眠りから覚めたのは、いつしか分からなかった。俺は足を鎖で繋がれ、首にもあの輪っかがはめられていた。そして、俺自身檻のようなところにいた。でも、そんな場所なんかより、俺は身体に走る痛みの酷い右目を必死に抑えた。そして気付いた。俺の右目が無いことに…。
「う、嘘だろ……ほ、本当に……俺は…!!?」
俺はその場で泣き叫んだ。涙は残念ながら片方しか溢れ出ない。いくら祈っても願っても、もう視力は戻らない。
「ど、どうして……なんで……」
俺はその場で泣き崩れるしか無かった。もう何も考えられなくなってしまった。父はもう俺の事なんて微塵も心配していないだろう。見捨てられた。いや、売られたんだ。俺は、あいつに。
「やっと起きたのか、やはり薬が多すぎたかな…もう何ヶ月になると思う?」
「………」
「半年だよ?いやー驚いた?あの薬が世界で一番強いだろうな。そうだ、目はどうだい?一つあるからまだ見えるだろ?調べてみるとやっぱり魔力の量は多いね、俺の作った薬で少し更に多くしておいたよ。成功してたらね。やはり魔力の強さは目の色に関係するんだと思うんだよ」
「…」
目の前には俺の身体を弄っていたであろう奴がいた。ここが何処で奴は誰なのかを問う体力すらもなかった。目の前には平べったいお皿に水と粥のようなものが置かれていた。あいつと同じだ。あの人ももう父だとは思わない。俺はもう死んだも同然のただの物なんだから。
「さぁ、お食べ。毎日栄養剤は打っていたから死にはしなかったけど、あれば高いんだ。せっかく君はいい実験材料なんだから死なないでくれよ」
「………」
もはや人間と感じられずにいた。もうどうなってもいい。何をしても無駄だという事に動く気も出なかった。
次の日も次の日も冷たい床にバタッと倒れ込み、痛む目を庇いもせず、遠くを見つめた。それでも段々と痛みは引いてきて、あの医師もどきは何度も俺の体を調べた。
やがて手足が震えることも無くなり、立つことも話す事も無くなった。辺りに臭う嫌な臭いももう慣れて何も感じる事はなくなった。奴は俺の身体を引っ張って台の上で奴らの魔術を受け、痛みに耐えるだけ。今まで何故はやく死んでおかなかったのだろう。たまにふと思うのはそれだけ。逃げる術なんて一切なかった。そもそも考える事すら出来ないでいた。
そんな地獄の日々が過ぎていった。まだ八、いや、本当なら誕生日もすぎて十歳くらいにはなっているだろうか。分からないが、そんな月日が長く感じる。
この場所に変化が起きた。二日に一度は欠かさず確認に来るはずのやつが初めて来なくなった。毎日の栄養剤も打たれなければ俺はこの日々から逃れる事ができるのではないか思うようになった。
ゆっくり、ゆっくり時間がすぎて行く。眠って、起きて、眠って、起きて……。
そして、眠ろうとしていた時だった。
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