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しおりを挟む鋭い目、いつ殺そうかと待っている雰囲気、只者ではない。恐怖に怯え、留まることしか出来なかった俺の前にざっとあの英雄のようなオディル様が立ちはだかった。
「やめろッ、グロス。ルークは俺の友達だ。剣を下ろせ」
「しかし、オディル王子、この者は─」
「下ろせと言っている」
「かしこまりました」
「ごめん、驚かせて悪かったなルーク。こいつは俺の見張り役みたいな者だ。グロス、挨拶」
「はっ、私グロス・エルクス・ソウと申します。お友達様でございましたか、剣を向けたこと、謝罪致します」
「あ、こちらこそすみません。えっとルーク…ルークです」
あんなに殺意をむき出しにしてきた彼がオディル様の一言でぱっと跪き、俺に丁寧に謝罪した。それでも、目は全く笑っていない…。そして、扉からは二人程違う従者が入ってきた。騎士…と、ひつじかな。
「オディル王子、探しましたぞ?急にいなくなられてはダメじゃありませんか!?」
「悪かったよ」
「オディル様、剣術の稽古なら事前に私達にも知らせて置いて下さい。何かあったらどうするんですか?」
「だって、言ったらどうせ許可しないだろ?お父様のところ行かないと駄目だし」
オディル様はまたあのイタズラげな顔でコソッと俺に笑みを浮かべた。俺もだいたいわかってきて、笑みで返事を返す。それを見ていたあのグロスさんは怖い顔で俺を見つめていて思わず「あっ…」と小さな声を漏らした…。
「ところでオディル王子、その子は…お友達様ですか?」
「あぁ、ルークだ。前にお父様がルークと話しているところ見てたんだ。あ、ルーク、こっちが俺の側近のルシスで、こっちがタチの悪い騎士のアジェル」
「げっ、オディル様ぁ、それは傷つきますよぉ~」
「アジェは別に平気だろ?で、こっちの幽霊みたいなやつがグロス」
オディル様は淡々と説明する。アジェルさんは笑って手を振っていたし、ルシスさんはにこやかに笑って見せた。唯一グロスさんだけ笑わずにじっと見つめている。やっぱり少し怖い。それが通じたのかオディル様はグロスさんの黒いマントを引っ張り言った。
「そんな俺の友達に警戒しなくていいよ」
「…彼はオディル王子に剣を本気で向けていました。鍛練仕立てである様、場所が悪ければオディル王子に怪我をさせてしまっていた可能性もありました。オディル様に剣を向けられる人物は事前に陛下に了承を得るように言われております」
「別に俺がやって欲しいって言ったんだからもういいって。グロスはほんっと硬っ苦しいんだからさ、ルークもそう思うだろ?」
「は、はぁ……で、でも俺もすみません……そんな規則があったなんて俺…」
「ルークは知らなくていいのっ。あぁ~、ごめんな、こんな面倒事に。全責任は俺が持つからこれ以上ルークを責めるのは許さないから。あ、そうだ!ルーク、次いつ空いてる?」
「えっと…」
俺は戸惑った。グロスさんはオディル様の発言から一切こっちを見なくなったけど、またいえばなんて見られるか分からない。それを察したアジェルさんは大声で笑ってグロスさんの隣に行き、強く肩に手をあのグロスさんに乗っけて言った。
「ハハハッ、オディル様、ここで言うと、このグロスが言いますよぉー」
「……」
「ハハッ、ナイス、アジェ。じゃ、今日は俺帰るよ。急に悪かった…また会ったら宜しくね」
「は、はい!!」
そう言うとオディル様は端に置かれたジャケットを優しく払い着る。ネクタイも整えて、それをルシスさんがさらに見て整えた。
「じゃ、これ俺直すよ。またな。バイバイ」
「はい!ありがとうございました!」
丁寧に俺の木刀の剣を回収して直して、三人とも出ていこうとした直前、オディル様は振り返り、急にこっちに走ってきた。そして、俺の耳に顔を近付けて言った。
「勝敗、ルークの勝ちね」
「えっ!?」
「じゃあ!」
驚く俺をよそにオディル様は笑って走って行ってしまった。しばらく理解が追いつかない…。でもものすごく嬉しかった…。
そして、人前ではきちんとしているオディル様の一面を見れてさらに嬉しかった。そんな人と友達になれたんだから。友達というとてもいい響き。カイル様にもぜひ話してみたい。
誰もいなくなったら稽古で俺もあった鏡で服を整えて、早歩きで部屋に帰った。
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