字が書けない侯爵の長男は捨てられ、王の騎士を目指す

Allen

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    「ルーク、料理はもう取ったかい?」 
    「はい、大丈夫です」
 「それじゃ、どこか席に─」
 
 そうカイル様が席の方に目線を通じた時だった。急に奥から男の人の声がし、カイル様の身体にぶつかった。俺達は驚いたものの、カイル様は少しだけ身体を傾け、ぶつかってきた衝撃に耐えたようだ。俺には強そうに押されたようにも見えたのにトレーに乗ったコップの水すらこぼれていない。その体幹に感動したものの、こんな状況であのカイル様にあたるなんてありえないことだ。しかし、ぶつかってきた相手に若干腹が立ったのもつかの間の事。カイル様はぶつかってきた相手に怒ることなく、逆に相手を見て笑顔になっている。
 
 「やぁ~、カイル。また甘いもん食ってるのか?」
 「アドルファス!久しぶりじゃないか!珍しいな、こんなところにいるなんて」
 「まぁーな、久しぶりに食堂に行こうと思ってさ」
 
 俺の知らない方に楽しそうに話し始めるカイル様。不思議に思ったが、友達という言葉を思い出し、カイル様の友達を知りたいという感情が高まる。カイル様の影からそっと奥にいる人物を見ると、カイル様より少し背が高く、真っ赤な髪を持った男の人が現れた。服装からして、騎士、それもカイル様のように綺麗な服を着ている。炎の様な真っ赤な髪に少し暗めの赤と黒の服とマントがよく似合っていた。カイル様とは真逆の色なのに、お二人を後ろから見ていても敵対することなく、和やかな雰囲気に包まれている。
 
 「君のような人が帰ってきたとなれば、退屈しないだろうな」
 「それは嬉しいな!おや?ところで後ろの子は?」
 「私の新しい家族だ、ルーク」
 「はいッ」
 
 カイル様に家族と言われ、思わず笑みが零れた。でも、零してしまったのは一瞬。カイル様がこちらを向いたと同時に、先程までニコニコして優しそうだったアドルファスさんの雰囲気がほんの一瞬だけ、敵意のこもった目線を感じてしまった。それには、カイル様は気付いていない様。
 
 アドルファスさんは俺に近付き、次は上から明らかに強い敵意を含む目線を向けられ、足がすくみそうになった。あの冷たい眼差し。

     どうして俺にそんな敵意を見せるのか、何もわからなかった。俺はこの人に何もしていない、会ったばかりなのに。何故か俺の中で怒りがこみ上がった。ラヌークと同じだ。俺の事を知りもしないのに、こんな敵意を見せられて…いつもの俺なら怯え、反応出来なくなっていた…。

      でも、グロスさんのを見たあとだと不思議と強くなったように思った。ほんの少しだけ、グロスさんとは何か違う。それが何かは分からないけど、今はもう引きはしない。
 
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