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一章 過去の過ち
七話
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七話
孤児院には思ったより多くの子供達がいた。古い洋館は大きくもないが子供達が生活する程度には十分だろう。急に来た人間に子供達は最初は多少警戒はするもののリリーたちを見てすぐに警戒を解いてくれた。孤児院で働いているシスターもはじめは驚いていたが快く出迎えてくれた。
「何もないところですいません」
「そんなことないですよ。お、私は孤児院に来るのは初めてなので勉強になります」
「ふふ、ありがとうございます。ぜひゆっくりしてってくださいね」
「はい、ありがとうございます」
自分を呼んでいる声の方に行って、生まれて初めて、それかあの事件以来、「遊ぶ」というものをしたのかもしれない。
子供の体力はどこから来るものなのか底がしれない。おにごっこやかくれんぼ、なわとび、剣術をやっている時とはまた違った疲労がすごい。
「にいちゃん、足早いねぇ!全然捕まえられない!」
今話しかけてくれているのが、めったに人がいる場所には訪れないと言われているエルフ族のルーラだ。耳の長さからして人とエルフのハーフなのだろう。この孤児院の中で一番の年上が彼女なのだという。
「ありがとうございます。みんなすごいですね、これだけは走っているのに疲れた様子がないなんて」
「そりゃ、みんな楽しいから!特に男子は馬鹿だから疲れっていうのを知らないのよ!」
そう言って笑っている彼女は心底この場所が好きなのだとわかる。
「おねぇちゃーん!お井戸のお水なくなっちゃったよー!」
「お水?」
「あぁ、もうなくなっちゃたのかぁ。まだもつと思ったんだけど、、、」
「ここには水道が通っていないのですか?」
「うん、ここって結構隅の方にあるから、それにあったとしても税をいっぱい取られるからどっちみち無理なんだろうけど、門を出てすぐの森に川があるからそこへみんなでくみにいって井戸に貯めておくの」
「そうなの!自分たちのちからでできることは自分たちでするっていうのがシスターのおしえなのー!」
「そう、なんですか、、、」
孤児院とはこんなに楽しいところなのだろうかと思ったがそれは彼女らがこの生活をギリギリ保っているからなのだろう。特に彼女のようにみんなの姉のような存在にもなるとシスターからも子供たちから頼られる。なんとか子供達が笑っていられるように、できるだけいい生活を心がけているのだろう。そんな彼女やこんな自分に優しくしてくれた孤児院に何かできないだろうか、、、。
「あ!あの、俺でよければ水を用意しますよ」
「え?どうやって??」
「俺、水魔法を使うことができるんです。ある程度ならお力添えできると思います」
「ほんと?そう言ってもらえるのは助かるんだけど、本当にいいの?あとでお金くれって言わない?」
「えぇ、何かお礼をしたかったんですけど、こんなことでよければ」
「助かるわ!井戸はこっちよ!」
先ほどとは違い嬉しそうにする彼女もこの孤児院では年上かもしれないが俺から見るとまだ子供なのだ。嬉しそうな顔を見るとこちらも嬉しくなる。
案内された井戸は思ったより綺麗にされていた。公爵家にあった井戸は使う必要性がなくなって苔やら草やら虫やらで全然使えそうになかった。
「《ウォーター》」
井戸に手をかざし一言唱えると手の周りに水が集まり一気に井戸の中へ落ちていった。井戸は1分もたたずに満タンになり魔法を止める。終わって戻ろうかと女の子を見ると口を開けてポカーンとしていていつの間に来たのか他にも数人の子供が来ていた。
「え、えっと」
「すっごーい!魔法使い初めてみたー!!」
「うん!魔法すごーい!!」
「え?あ、ありがとうございます?」
「私も魔法使えたらなぁ」
「ねぇ、オレもバーってしたい、、、」
「バカなこと言わないの。貴族、ましてや平民な中でも孤児の私たちが使えるはずないでしょ、、、」
「、、、魔法は誰しもが使えるものです」
「「「え?」」」
「確かに貴族のものが魔力が多いですが、だからと言って平民だからと使えないわけではありません。俺も最初は水滴ほどの水しか出せませんでした。でも毎日何度も何度も練習をしていっぱい出せるになりました」
「練習、、、俺も練習したら出せる?」
「それは、わかりません。」
魔法は基本誰でも使うことができるが平民が魔法をあまり使えない理由の一つは遺伝も関係するだろうが多くは幼い頃から教育を受けていないことが多い。やはり貴族に魔力が多いものが多いというのもあるが平民だから魔力が少ないというわけではない。貴族なのに魔力が少ない人もいれば、平民なのに魔力が高い人もいる。貴族が結婚する場合爵位もそうだが魔力量を見て決める場合もあり大体は幼少期のことより魔法の練習をすることで魔力量を増やすことが多いのだ。そこからどれだけ増えるかは個人の素質になる。
「練習をしたからと言って必ずしも増えるわけでもないんです。個人の素質にもよります」
「、、、でも、俺頑張るよ!頑張って増やして冒険者になって!有名になる!」
「私も!私も頑張る!」
「あ、そうだ!これ!お花の冠!おにいちゃんにあげるー!お水のおれー!」
「あ、ありがとございます」
「ふふ、みんな仲良くなったようですね」
「あ、シスター!おにいちゃんがね、井戸に水を入れてくれたんだよー!」
「井戸に水を?本当ですか?」
「え、あ、はい。すみません、勝手にしてしまって」
「いえ、そんなことありません。ありがとうございます。外に水汲みに行くには森を通らなければいけなくて、、、今は魔獣の被害も多いので心配だったんです。本当にありがとうございます。なんとお礼をすれば」
「い、いえ、お礼は大丈夫です。この子達に道を案内してもらいましたし、それにこんな素敵なものまでもらいましたし」
そう言って見せるのは先ほど女の子からもらったお花の冠だった。
「それは、、、そうですね。ではまたぜひ遊びに来てください。大したおもてなしはできませんが我々はあなたを歓迎します」
「は、はい」
仰々しい言い方に緊張をしながらもなんとか言葉を返した。
そしてのちにこの孤児院を創設したのがとても偉い人で、代々多くの偉人を輩出し王族からも金銭的に援助を受けられるほどの立場にありながらそれを断り細々と生活しており、そんな孤児院から認められることが、歓迎されることがとても光栄なことだということを後々知ることになる。
そしてこの時あった子供たちも将来、多くの偉業を成し遂げることとなる。
**********************************************
登場人物のイラストを描いていきたいと思います。
できれば「ぜひこの人のイラストを!」っという感想を送ってくれると助かりまあす。メッセージがくる順番にイラストをアップしていきたいと思います!
よろしくお願いします!
クロ猫
孤児院には思ったより多くの子供達がいた。古い洋館は大きくもないが子供達が生活する程度には十分だろう。急に来た人間に子供達は最初は多少警戒はするもののリリーたちを見てすぐに警戒を解いてくれた。孤児院で働いているシスターもはじめは驚いていたが快く出迎えてくれた。
「何もないところですいません」
「そんなことないですよ。お、私は孤児院に来るのは初めてなので勉強になります」
「ふふ、ありがとうございます。ぜひゆっくりしてってくださいね」
「はい、ありがとうございます」
自分を呼んでいる声の方に行って、生まれて初めて、それかあの事件以来、「遊ぶ」というものをしたのかもしれない。
子供の体力はどこから来るものなのか底がしれない。おにごっこやかくれんぼ、なわとび、剣術をやっている時とはまた違った疲労がすごい。
「にいちゃん、足早いねぇ!全然捕まえられない!」
今話しかけてくれているのが、めったに人がいる場所には訪れないと言われているエルフ族のルーラだ。耳の長さからして人とエルフのハーフなのだろう。この孤児院の中で一番の年上が彼女なのだという。
「ありがとうございます。みんなすごいですね、これだけは走っているのに疲れた様子がないなんて」
「そりゃ、みんな楽しいから!特に男子は馬鹿だから疲れっていうのを知らないのよ!」
そう言って笑っている彼女は心底この場所が好きなのだとわかる。
「おねぇちゃーん!お井戸のお水なくなっちゃったよー!」
「お水?」
「あぁ、もうなくなっちゃたのかぁ。まだもつと思ったんだけど、、、」
「ここには水道が通っていないのですか?」
「うん、ここって結構隅の方にあるから、それにあったとしても税をいっぱい取られるからどっちみち無理なんだろうけど、門を出てすぐの森に川があるからそこへみんなでくみにいって井戸に貯めておくの」
「そうなの!自分たちのちからでできることは自分たちでするっていうのがシスターのおしえなのー!」
「そう、なんですか、、、」
孤児院とはこんなに楽しいところなのだろうかと思ったがそれは彼女らがこの生活をギリギリ保っているからなのだろう。特に彼女のようにみんなの姉のような存在にもなるとシスターからも子供たちから頼られる。なんとか子供達が笑っていられるように、できるだけいい生活を心がけているのだろう。そんな彼女やこんな自分に優しくしてくれた孤児院に何かできないだろうか、、、。
「あ!あの、俺でよければ水を用意しますよ」
「え?どうやって??」
「俺、水魔法を使うことができるんです。ある程度ならお力添えできると思います」
「ほんと?そう言ってもらえるのは助かるんだけど、本当にいいの?あとでお金くれって言わない?」
「えぇ、何かお礼をしたかったんですけど、こんなことでよければ」
「助かるわ!井戸はこっちよ!」
先ほどとは違い嬉しそうにする彼女もこの孤児院では年上かもしれないが俺から見るとまだ子供なのだ。嬉しそうな顔を見るとこちらも嬉しくなる。
案内された井戸は思ったより綺麗にされていた。公爵家にあった井戸は使う必要性がなくなって苔やら草やら虫やらで全然使えそうになかった。
「《ウォーター》」
井戸に手をかざし一言唱えると手の周りに水が集まり一気に井戸の中へ落ちていった。井戸は1分もたたずに満タンになり魔法を止める。終わって戻ろうかと女の子を見ると口を開けてポカーンとしていていつの間に来たのか他にも数人の子供が来ていた。
「え、えっと」
「すっごーい!魔法使い初めてみたー!!」
「うん!魔法すごーい!!」
「え?あ、ありがとうございます?」
「私も魔法使えたらなぁ」
「ねぇ、オレもバーってしたい、、、」
「バカなこと言わないの。貴族、ましてや平民な中でも孤児の私たちが使えるはずないでしょ、、、」
「、、、魔法は誰しもが使えるものです」
「「「え?」」」
「確かに貴族のものが魔力が多いですが、だからと言って平民だからと使えないわけではありません。俺も最初は水滴ほどの水しか出せませんでした。でも毎日何度も何度も練習をしていっぱい出せるになりました」
「練習、、、俺も練習したら出せる?」
「それは、わかりません。」
魔法は基本誰でも使うことができるが平民が魔法をあまり使えない理由の一つは遺伝も関係するだろうが多くは幼い頃から教育を受けていないことが多い。やはり貴族に魔力が多いものが多いというのもあるが平民だから魔力が少ないというわけではない。貴族なのに魔力が少ない人もいれば、平民なのに魔力が高い人もいる。貴族が結婚する場合爵位もそうだが魔力量を見て決める場合もあり大体は幼少期のことより魔法の練習をすることで魔力量を増やすことが多いのだ。そこからどれだけ増えるかは個人の素質になる。
「練習をしたからと言って必ずしも増えるわけでもないんです。個人の素質にもよります」
「、、、でも、俺頑張るよ!頑張って増やして冒険者になって!有名になる!」
「私も!私も頑張る!」
「あ、そうだ!これ!お花の冠!おにいちゃんにあげるー!お水のおれー!」
「あ、ありがとございます」
「ふふ、みんな仲良くなったようですね」
「あ、シスター!おにいちゃんがね、井戸に水を入れてくれたんだよー!」
「井戸に水を?本当ですか?」
「え、あ、はい。すみません、勝手にしてしまって」
「いえ、そんなことありません。ありがとうございます。外に水汲みに行くには森を通らなければいけなくて、、、今は魔獣の被害も多いので心配だったんです。本当にありがとうございます。なんとお礼をすれば」
「い、いえ、お礼は大丈夫です。この子達に道を案内してもらいましたし、それにこんな素敵なものまでもらいましたし」
そう言って見せるのは先ほど女の子からもらったお花の冠だった。
「それは、、、そうですね。ではまたぜひ遊びに来てください。大したおもてなしはできませんが我々はあなたを歓迎します」
「は、はい」
仰々しい言い方に緊張をしながらもなんとか言葉を返した。
そしてのちにこの孤児院を創設したのがとても偉い人で、代々多くの偉人を輩出し王族からも金銭的に援助を受けられるほどの立場にありながらそれを断り細々と生活しており、そんな孤児院から認められることが、歓迎されることがとても光栄なことだということを後々知ることになる。
そしてこの時あった子供たちも将来、多くの偉業を成し遂げることとなる。
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できれば「ぜひこの人のイラストを!」っという感想を送ってくれると助かりまあす。メッセージがくる順番にイラストをアップしていきたいと思います!
よろしくお願いします!
クロ猫
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