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一章 過去と今
5話
俺は今なぜこんなところにいるんだろうか、、、。第一王女の結婚とあって城下では祭り騒ぎだ。人が多すぎてどうにも動く事ができず、邪魔にならなさそうな場所でぼーっとすることしかできない。先ほどまではベイル様とお姉さまの後をついていたはずなんだが、いつの間にか離れてしまったようだ。
そもそもなぜ城下に降りることになったのは、、、。
* * *
朝起き、アリアが支度を手伝ってくれる。いつものように定席に向かおうとすればアリアに話しかけられる。
「フラン様、本日は陛下よりご一緒に朝食を召し上がりたいと言伝を預かっております」
「え」
思ってもいない言葉に、すこし理解するのが遅れた。
「強制ではありせん。お断りすることもできます。どうなさいますか?」
「、、、行く。、、、、アリアは?」
「大丈夫ですよ。フラン様の後ろにいますから」
「、、、うん」
無意識にこわばっていた体はアリアの言葉で少し和らいだ。
実に久しぶりの食卓には何故かベイル王子らもいた。とりあえずいつもの席につき運ばれてくる食事を食べる。
「それで、お忍びで城下に行ってみたいのですが、、、」
「えぇ、あちらに行ってしまえば 、当分里帰りはできそうにないですし、、、見ておきたいのです」
「そうだな、、、。わかった、しかし最低でも2人は護衛を連れて行きなさい」
「!はい、ありがとうございます」
嬉しそうに話す彼らはそれだけで互いが互いを好きなのだろうとわかる。それがどういう感情なのか気にならなくもないがどうせ自分とは無縁なものだろう。
「私も行っていいですか?」
「えぇ、もちろんですわ。一緒にいきましょう」
「やった!お兄ちゃんも一緒にいきましょ!!」
ミレイがそういった瞬間一部の空気が固まった気がした。特に両隣に座る2人からは変な圧を感じるほどにだ。
「それはいい、ぜひフラン王子も一緒に行こう」
横で若干嫌そうにしている姉様に聞いてからにしたほうがいいと思うのですけど、、、。
「そうだな、一緒に行ってくるといい」
まさか、陛下がそう言うと思っていなかったのか兄様や姉様たちは驚いた顔で陛下の顔を見ていた。
「最近部屋で籠ってばかりだろう?気分転換に行ってみるといい」
「、、、はい」
ここで断るのは分が悪い。
というわけがあり朝食が終わり次第お忍びということでバレないように着替え城下に降りた、のはいいのだが人が多く後ろをついていってると思ったらいつの間にか別人の後ろをついていっていた。戻ろうにも人に押され流され全くきたことのない場所に着いてしまった。お金もなく、知り合いもいなく、どうすることもできず止まっても何もできないだろうからとにかく彼らを探すことにした。
城を出たのが8の刻、そして今、太陽の高さを考えるに12の刻だろう。あまり運動しないが故に少し息が上がってしまう。まだ肌寒いと言っても雲ひとつなくこの人混みだ汗も出てくる。もういっそのこと自分の身分を明かして城に連れってってもらう方が早い気がする。どこかに騎士団の見回りをしているものたちがいるはずだ。
「あっ」
キョロキョロしていると後ろから押され結構思いっきり飛ばされる。かぶっていたフードが取れてしまい。ぶつかって謝ろうとする彼の目が、恐怖に変わる瞬間を見てしまった。
「悪い、大じょう、ぶ、、、、、そ、その漆黒の髪、、、、ま、まさか、第三王子!?」
「ヒッ!?」
「な、なんでこんなところに、、、」
彼の声は思いのほか響き、あっという間に広がっていく。久々に感じる嫌な視線にドギマギとするがゆっくりと立ち上がる。そんな時に手から何かが垂れていく感覚がして手、足を見てみると擦りむいたのか、何かの破片が刺さったのか血が滲んでいた。血が垂れる様子を見ているとフランとぶつかった男が驚くほどに振動をしていた。まぁ、平民が王族とぶつかって怪我させたのだから、しかもそれがあの悪名高き第三王子なのだから、今の彼は処刑台に立たされた気分なのだろう。
「だ、第三王子様!も、申し訳ありません!!罰なら私がお受けします!なので、息子のことはどうか!どうかお許しください!!」
「か、母さん、、、」
一緒にいた母親は頭を地面に擦り付け、泣きながら謝罪をする。
周りにいる奴らは自分は関係ないとばかりに逃げるものや、自分は何もしていないからと傍観してるもの、と様々いるが、それでも彼らの視線は王子への蔑む視線と可哀想にもぶつかってしまった息子への憐れみだった。
「、、、、」
「、、、、」
「、、、、」
「、、、、」
「、、、、あ、あの」
「、、、何」
「し、しょ、処罰などは?」
「、、、べ「なんの騒ぎだ!!」、、、」
何も話さない王子に痺れを切らした母親が聞いてくる。以前のフランであれば即処刑にしていたであろうが、今のフランにそのような考えはないだろう。それ以前に痛覚がなく血が出ていても何か手から垂れているという感覚しかないのだ。いらないことを伝える前に新たな乱入者がくる。
「!ロイドヴァルト様!!」
まるで天から神が来たかのように嬉しそうにする母親に、周囲にそのものがどれほど民から慕われているのかがわかる。
「!第三王子殿下、本日、王族の方が城下に降りてくるという報告は聞いてないのですがこれは一体なんの騒ぎなのか聞いてもよろしいですか?」
俺を視界に入れた瞬間、顔を歪めたがすぐに姿勢を正し俺の前で膝をつき聞いてくる。周りがそのようなロイドヴァルトの態度に息を呑むが、彼は何もない顔をする。それもそうだ、彼の所属は国家所属の騎士であり、そんな彼らを裁くことができるのは騎士団の団長もしくは皇太子、国王陛下だけなのだ。
どれだけ王子が気に食わないと思おうが、第三王子に過ぎないフランには何もできない。
「、、、」
「、、、、王子?」
「、、、、べつに、、、ちょっとぶつかっただけ」
「、、、、そうですか、、、。今日はお一人ですか」
「、、、お姉様たちがいる」
「はぐれられたのですか?」
その問いに頷くと彼は少しめんどくさそうにしながら案内を買ってでてくれる。ぶつかった男たちはずっと青い顔をしていたが騎士が行っていいというとすぐにどっかへいってしまった。バレてしまったのならば隠す必要もないのでフードは被らずそのままだ。そのため、俺をみるたびに、笑顔から恐怖の顔へ変わる民に、再度、城を出たことを後悔した。
「、、、王子」
「、、、、何」
「この近くに、我らの宿屋があります。そこで手足の手当てをしてもよろしいですか?」
痛みがしないことで血が出ていたことを忘れ、そっと手や足を見てみると切った場所が悪かったのか思いのほか血が出ていて、今も地面にぽたぽたと落ちていた。
「、、、あぁ」
めんどくさいとありありと書いてあるが、彼の性格上嫌な相手も怪我していると放って置けないのだろう。軽く布で止血し宿屋に向かう。数分もしないうちに大きな建物についた。
中に入ると思いのほか綺麗だった。前はこんなところに一切近寄らなかった。
「あれ?団長どうかしたんですか?今日は見回りを、、、、え!?」
「お忍びできていた殿下が怪我をなされた、至急治癒師を」
「うぇ?あ、は、はい!」
フランを見た瞬間に驚愕の表情を浮かべ、ロイドヴァルトとフランを行ったり来たりしながら見ていた。ロイドヴァルトの声に我に返ってどこかにいってしまった。
「殿下、こちらへ」
連れて行かれたのは大きな広場のようなところだった。ちらほら人がいて俺をみるなり体を硬くしていた。
「ここで少しお待ちください」
「、、、あぁ」
ロイドヴァルトが部屋から出ていった後空いていた席に座り、治癒師がくるのを待つ。アリアがいたなら本を読見ながらお茶をしていたんだろうが、あいにく今は本を持っていない。することもなくただぼーっとする。
すると2、3分ぐらいで廊下を走っている音が聞こえる。だんだんと近づいてくる音に治癒師なのだろうかと少し意識を向ける。
「ロイド様!!、、、あれ?」
勢いよく入ってきたのは、フランの少し上ぐらいの青年だった。腰には剣を携えているがきている服は平民のそれだ。
「?、、あ、そこのお前、ロイド様見なかったか?」
「、、、、」
「?おい、お前だよ」
「、、、俺?」
肩を掴まれ、視線があう。フランに話しかけているとは思わず少し驚く。
「お前以外に誰がいんだよ、さっきロイド様が来なかったか?」
「、、、ロイドって誰」
「は!?おまっ、ロイド様を知らないのか?ロイドヴァルト様だよ!!」
「、、、、さっきまでいた」
「マジか!!どこにいった!?」
「、、、、知らない。、、、でも、ここに戻ってくると思う」
「そうなのか?じゃあ俺もここでまつわ!」
そう言って、フランの前にあった先に座る彼にまたも驚かされる。フランとこうやって座るのは同じ王子ぐらいしかいない。なんとも不思議な感覚だ。
「てか、お前、ここのやつじゃないよな?なんでここにいんの?」
「、、、怪我をした。それと、姉達とはぐれた」
「あぁ、迷子か」
「、、、、あぁ」
間違ってはいない。服装が似ている人についていってはぐれてしまったのだから、フランが迷子で間違いはない。でもいざ他人から言われると恥ずかしいものがある。
「だよなぁ、お前、細いし、剣とか使えそうにないもんな」
「、、、あぁ」
「まぁ、今からでも習うといいぞ、お前はまず筋肉をつけるところだけどなぁ」
細過ぎと言ってくる彼に思わず自分の腕をさすってしまう。アリアに言われてしまうのだから他の人も同じように見えるはずだ。
筋肉とはどうつけるものなのか少し調べようかと思っていると何かいい匂いがする。
アリアのおかげで味覚が完全に戻り、最近は嗅覚も戻り始めているのだ。
「?どうかしたか?」
「、、、いい匂いが、、、」
「あぁ、ここは食堂にもなってるから、もう昼食は過ぎてるけど、なんか余ってんだろうな」
「、、、そう」
よく考えると、朝、昼食を食べてから何もくちにしていない。お腹が空くとかはないが、長い間、嗅覚をなくし、まず長い間、いい匂いの食事など食べれていなかったので、いい匂いがすると少し落ち着かないのだ。
「、、、なんかくうか?」
「!、、、、いや」
「腹減ってんだろ?遠慮すんなよ。あまりもんだけど」
そう言って席を立つ彼はキッチンがあるだろう場所へそう時間もかからずにもどてきた。
「ほら」
そう言って渡されたのは、パンのようなものだった。
「、、、、、これは?」
「あ?お前これしらねぇの?カレーパンだよ」
「かれーぱん、、、」
見た目は確かにパンだと思うが、何か油が塗ってあるようにも見えるのは気のせいだろうか?
「東方にある国の食いもんらしいざぞ?いいから食ってみろよ。それなら片手でも食えるだろう?」
確かに片手で食べれなくもない。
ちょっと躊躇って、食べてみる。
「、、、、、、、、、っ!」
「はは!うめぇだろ」
これは、、、、。美味しいのだろうか、、、。初めて食べる味だ。外はサクサクとしていて、なかは何かどろっとしたものが入っていた。それがパンととてもよく合うのだ。少しピリッとしているのもなんとも、、、。無言で食べ続けるといつの間にか食べ終わっていた。
「、、、かれーぱん」
「おぉ、気に入ったか」
そう言いながら水を差し出され、受け取る。
「そんなにうまかったんだったら「殿下、お待たせしました」!ロイド様!!」
「!アルフ、なぜここに、、、」
「ロイド様、そろそろ休憩で戻ってくるかと思って!ここにきたんだ!そこにいるやつから、ここに戻ってくるって言われて、一緒にいだああ!!」
話す彼の頭にロイドはとても痛そうなゲンコツを落とす。
「殿下、申し訳ありません。なにぶん、平民の遠い地方からやってきたものなので、フラン様のことを知らなかたようです。罰なら私が受けます」
「いったぁあ、、、で、殿下って、、、黒髪で王子、、、!もしかしてあの悪魔王子の第3もがっ」
全部言う前に口は塞いだがもう色々と遅いだろう。この空間にいたものもなぜ止めなかったのかにらめれるが、視線を逸らすだけだった。
「申し訳ありません。罰ならなんなりと、、、殿下?」
「、、、、、」
「殿下」
「、、、、、」
「フラン殿下!!」
「!、、、何?」
「いえ、アルフが無礼を」
「、、、いい」
「、、、そうですか。では治療をしても?」
「、、、、あぁ」
カレーパンの衝撃が大き過ぎて少しぼーっとしてしまった。治癒しが震えながらも治癒術を手にかけ傷を治していく。
「先ほど、殿下がこちらにいることを第一王女にお伝えしたところすぐにくるそうなのでもうしばらくお待ちください」
「、、、、」
「殿下?」
「、、、、」
「フラン殿下」
「!なに」
「どこか調子が悪いのですか?」
「いや、、、」
「しかし、何か様子が」
「だいじょ『くうぅぅ』ぶ、、、」
まさに場が静まる。フラン自身もパン?一つでまさかお腹が鳴ることになるとは思わず、咄嗟にお腹を隠してしまう。
「、、、」
「、、、」
「何か、、、お持ちしますね」
「、、、あぁ」
そう言って出されたのはやっぱりカレーパンだった。
そもそもなぜ城下に降りることになったのは、、、。
* * *
朝起き、アリアが支度を手伝ってくれる。いつものように定席に向かおうとすればアリアに話しかけられる。
「フラン様、本日は陛下よりご一緒に朝食を召し上がりたいと言伝を預かっております」
「え」
思ってもいない言葉に、すこし理解するのが遅れた。
「強制ではありせん。お断りすることもできます。どうなさいますか?」
「、、、行く。、、、、アリアは?」
「大丈夫ですよ。フラン様の後ろにいますから」
「、、、うん」
無意識にこわばっていた体はアリアの言葉で少し和らいだ。
実に久しぶりの食卓には何故かベイル王子らもいた。とりあえずいつもの席につき運ばれてくる食事を食べる。
「それで、お忍びで城下に行ってみたいのですが、、、」
「えぇ、あちらに行ってしまえば 、当分里帰りはできそうにないですし、、、見ておきたいのです」
「そうだな、、、。わかった、しかし最低でも2人は護衛を連れて行きなさい」
「!はい、ありがとうございます」
嬉しそうに話す彼らはそれだけで互いが互いを好きなのだろうとわかる。それがどういう感情なのか気にならなくもないがどうせ自分とは無縁なものだろう。
「私も行っていいですか?」
「えぇ、もちろんですわ。一緒にいきましょう」
「やった!お兄ちゃんも一緒にいきましょ!!」
ミレイがそういった瞬間一部の空気が固まった気がした。特に両隣に座る2人からは変な圧を感じるほどにだ。
「それはいい、ぜひフラン王子も一緒に行こう」
横で若干嫌そうにしている姉様に聞いてからにしたほうがいいと思うのですけど、、、。
「そうだな、一緒に行ってくるといい」
まさか、陛下がそう言うと思っていなかったのか兄様や姉様たちは驚いた顔で陛下の顔を見ていた。
「最近部屋で籠ってばかりだろう?気分転換に行ってみるといい」
「、、、はい」
ここで断るのは分が悪い。
というわけがあり朝食が終わり次第お忍びということでバレないように着替え城下に降りた、のはいいのだが人が多く後ろをついていってると思ったらいつの間にか別人の後ろをついていっていた。戻ろうにも人に押され流され全くきたことのない場所に着いてしまった。お金もなく、知り合いもいなく、どうすることもできず止まっても何もできないだろうからとにかく彼らを探すことにした。
城を出たのが8の刻、そして今、太陽の高さを考えるに12の刻だろう。あまり運動しないが故に少し息が上がってしまう。まだ肌寒いと言っても雲ひとつなくこの人混みだ汗も出てくる。もういっそのこと自分の身分を明かして城に連れってってもらう方が早い気がする。どこかに騎士団の見回りをしているものたちがいるはずだ。
「あっ」
キョロキョロしていると後ろから押され結構思いっきり飛ばされる。かぶっていたフードが取れてしまい。ぶつかって謝ろうとする彼の目が、恐怖に変わる瞬間を見てしまった。
「悪い、大じょう、ぶ、、、、、そ、その漆黒の髪、、、、ま、まさか、第三王子!?」
「ヒッ!?」
「な、なんでこんなところに、、、」
彼の声は思いのほか響き、あっという間に広がっていく。久々に感じる嫌な視線にドギマギとするがゆっくりと立ち上がる。そんな時に手から何かが垂れていく感覚がして手、足を見てみると擦りむいたのか、何かの破片が刺さったのか血が滲んでいた。血が垂れる様子を見ているとフランとぶつかった男が驚くほどに振動をしていた。まぁ、平民が王族とぶつかって怪我させたのだから、しかもそれがあの悪名高き第三王子なのだから、今の彼は処刑台に立たされた気分なのだろう。
「だ、第三王子様!も、申し訳ありません!!罰なら私がお受けします!なので、息子のことはどうか!どうかお許しください!!」
「か、母さん、、、」
一緒にいた母親は頭を地面に擦り付け、泣きながら謝罪をする。
周りにいる奴らは自分は関係ないとばかりに逃げるものや、自分は何もしていないからと傍観してるもの、と様々いるが、それでも彼らの視線は王子への蔑む視線と可哀想にもぶつかってしまった息子への憐れみだった。
「、、、、」
「、、、、」
「、、、、」
「、、、、」
「、、、、あ、あの」
「、、、何」
「し、しょ、処罰などは?」
「、、、べ「なんの騒ぎだ!!」、、、」
何も話さない王子に痺れを切らした母親が聞いてくる。以前のフランであれば即処刑にしていたであろうが、今のフランにそのような考えはないだろう。それ以前に痛覚がなく血が出ていても何か手から垂れているという感覚しかないのだ。いらないことを伝える前に新たな乱入者がくる。
「!ロイドヴァルト様!!」
まるで天から神が来たかのように嬉しそうにする母親に、周囲にそのものがどれほど民から慕われているのかがわかる。
「!第三王子殿下、本日、王族の方が城下に降りてくるという報告は聞いてないのですがこれは一体なんの騒ぎなのか聞いてもよろしいですか?」
俺を視界に入れた瞬間、顔を歪めたがすぐに姿勢を正し俺の前で膝をつき聞いてくる。周りがそのようなロイドヴァルトの態度に息を呑むが、彼は何もない顔をする。それもそうだ、彼の所属は国家所属の騎士であり、そんな彼らを裁くことができるのは騎士団の団長もしくは皇太子、国王陛下だけなのだ。
どれだけ王子が気に食わないと思おうが、第三王子に過ぎないフランには何もできない。
「、、、」
「、、、、王子?」
「、、、、べつに、、、ちょっとぶつかっただけ」
「、、、、そうですか、、、。今日はお一人ですか」
「、、、お姉様たちがいる」
「はぐれられたのですか?」
その問いに頷くと彼は少しめんどくさそうにしながら案内を買ってでてくれる。ぶつかった男たちはずっと青い顔をしていたが騎士が行っていいというとすぐにどっかへいってしまった。バレてしまったのならば隠す必要もないのでフードは被らずそのままだ。そのため、俺をみるたびに、笑顔から恐怖の顔へ変わる民に、再度、城を出たことを後悔した。
「、、、王子」
「、、、、何」
「この近くに、我らの宿屋があります。そこで手足の手当てをしてもよろしいですか?」
痛みがしないことで血が出ていたことを忘れ、そっと手や足を見てみると切った場所が悪かったのか思いのほか血が出ていて、今も地面にぽたぽたと落ちていた。
「、、、あぁ」
めんどくさいとありありと書いてあるが、彼の性格上嫌な相手も怪我していると放って置けないのだろう。軽く布で止血し宿屋に向かう。数分もしないうちに大きな建物についた。
中に入ると思いのほか綺麗だった。前はこんなところに一切近寄らなかった。
「あれ?団長どうかしたんですか?今日は見回りを、、、、え!?」
「お忍びできていた殿下が怪我をなされた、至急治癒師を」
「うぇ?あ、は、はい!」
フランを見た瞬間に驚愕の表情を浮かべ、ロイドヴァルトとフランを行ったり来たりしながら見ていた。ロイドヴァルトの声に我に返ってどこかにいってしまった。
「殿下、こちらへ」
連れて行かれたのは大きな広場のようなところだった。ちらほら人がいて俺をみるなり体を硬くしていた。
「ここで少しお待ちください」
「、、、あぁ」
ロイドヴァルトが部屋から出ていった後空いていた席に座り、治癒師がくるのを待つ。アリアがいたなら本を読見ながらお茶をしていたんだろうが、あいにく今は本を持っていない。することもなくただぼーっとする。
すると2、3分ぐらいで廊下を走っている音が聞こえる。だんだんと近づいてくる音に治癒師なのだろうかと少し意識を向ける。
「ロイド様!!、、、あれ?」
勢いよく入ってきたのは、フランの少し上ぐらいの青年だった。腰には剣を携えているがきている服は平民のそれだ。
「?、、あ、そこのお前、ロイド様見なかったか?」
「、、、、」
「?おい、お前だよ」
「、、、俺?」
肩を掴まれ、視線があう。フランに話しかけているとは思わず少し驚く。
「お前以外に誰がいんだよ、さっきロイド様が来なかったか?」
「、、、ロイドって誰」
「は!?おまっ、ロイド様を知らないのか?ロイドヴァルト様だよ!!」
「、、、、さっきまでいた」
「マジか!!どこにいった!?」
「、、、、知らない。、、、でも、ここに戻ってくると思う」
「そうなのか?じゃあ俺もここでまつわ!」
そう言って、フランの前にあった先に座る彼にまたも驚かされる。フランとこうやって座るのは同じ王子ぐらいしかいない。なんとも不思議な感覚だ。
「てか、お前、ここのやつじゃないよな?なんでここにいんの?」
「、、、怪我をした。それと、姉達とはぐれた」
「あぁ、迷子か」
「、、、、あぁ」
間違ってはいない。服装が似ている人についていってはぐれてしまったのだから、フランが迷子で間違いはない。でもいざ他人から言われると恥ずかしいものがある。
「だよなぁ、お前、細いし、剣とか使えそうにないもんな」
「、、、あぁ」
「まぁ、今からでも習うといいぞ、お前はまず筋肉をつけるところだけどなぁ」
細過ぎと言ってくる彼に思わず自分の腕をさすってしまう。アリアに言われてしまうのだから他の人も同じように見えるはずだ。
筋肉とはどうつけるものなのか少し調べようかと思っていると何かいい匂いがする。
アリアのおかげで味覚が完全に戻り、最近は嗅覚も戻り始めているのだ。
「?どうかしたか?」
「、、、いい匂いが、、、」
「あぁ、ここは食堂にもなってるから、もう昼食は過ぎてるけど、なんか余ってんだろうな」
「、、、そう」
よく考えると、朝、昼食を食べてから何もくちにしていない。お腹が空くとかはないが、長い間、嗅覚をなくし、まず長い間、いい匂いの食事など食べれていなかったので、いい匂いがすると少し落ち着かないのだ。
「、、、なんかくうか?」
「!、、、、いや」
「腹減ってんだろ?遠慮すんなよ。あまりもんだけど」
そう言って席を立つ彼はキッチンがあるだろう場所へそう時間もかからずにもどてきた。
「ほら」
そう言って渡されたのは、パンのようなものだった。
「、、、、、これは?」
「あ?お前これしらねぇの?カレーパンだよ」
「かれーぱん、、、」
見た目は確かにパンだと思うが、何か油が塗ってあるようにも見えるのは気のせいだろうか?
「東方にある国の食いもんらしいざぞ?いいから食ってみろよ。それなら片手でも食えるだろう?」
確かに片手で食べれなくもない。
ちょっと躊躇って、食べてみる。
「、、、、、、、、、っ!」
「はは!うめぇだろ」
これは、、、、。美味しいのだろうか、、、。初めて食べる味だ。外はサクサクとしていて、なかは何かどろっとしたものが入っていた。それがパンととてもよく合うのだ。少しピリッとしているのもなんとも、、、。無言で食べ続けるといつの間にか食べ終わっていた。
「、、、かれーぱん」
「おぉ、気に入ったか」
そう言いながら水を差し出され、受け取る。
「そんなにうまかったんだったら「殿下、お待たせしました」!ロイド様!!」
「!アルフ、なぜここに、、、」
「ロイド様、そろそろ休憩で戻ってくるかと思って!ここにきたんだ!そこにいるやつから、ここに戻ってくるって言われて、一緒にいだああ!!」
話す彼の頭にロイドはとても痛そうなゲンコツを落とす。
「殿下、申し訳ありません。なにぶん、平民の遠い地方からやってきたものなので、フラン様のことを知らなかたようです。罰なら私が受けます」
「いったぁあ、、、で、殿下って、、、黒髪で王子、、、!もしかしてあの悪魔王子の第3もがっ」
全部言う前に口は塞いだがもう色々と遅いだろう。この空間にいたものもなぜ止めなかったのかにらめれるが、視線を逸らすだけだった。
「申し訳ありません。罰ならなんなりと、、、殿下?」
「、、、、、」
「殿下」
「、、、、、」
「フラン殿下!!」
「!、、、何?」
「いえ、アルフが無礼を」
「、、、いい」
「、、、そうですか。では治療をしても?」
「、、、、あぁ」
カレーパンの衝撃が大き過ぎて少しぼーっとしてしまった。治癒しが震えながらも治癒術を手にかけ傷を治していく。
「先ほど、殿下がこちらにいることを第一王女にお伝えしたところすぐにくるそうなのでもうしばらくお待ちください」
「、、、、」
「殿下?」
「、、、、」
「フラン殿下」
「!なに」
「どこか調子が悪いのですか?」
「いや、、、」
「しかし、何か様子が」
「だいじょ『くうぅぅ』ぶ、、、」
まさに場が静まる。フラン自身もパン?一つでまさかお腹が鳴ることになるとは思わず、咄嗟にお腹を隠してしまう。
「、、、」
「、、、」
「何か、、、お持ちしますね」
「、、、あぁ」
そう言って出されたのはやっぱりカレーパンだった。
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