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一章 過去と今
8話
気づけばベイル王子達が来て一ヶ月が経とうとしていてもう明日には結婚式が迫っていた。先日、久しぶりにフランの部屋にきたベイル王子とミーシャがとても嬉しそうにどこかふわふわとしていた。王族同士の結婚としては珍しく2人は恋愛結婚なのだ。初めは政略結婚だったがお互いが何度か会ううちに段々と惹かれ合うようになった、らしい。そんな本のような話を2人から聞かされた。
2人が出て行った後にアリアにも聞いてみると、アリアは懐かしむように亡き夫と恋をして結婚したと言っていた。恋愛がどうゆうものかわからないフランにとってそれは物語だけの存在なのだ。
そんなことをボーっと考えているといつの間にか結婚式当日になっていて、いつもと違いアリアだけでなく他にも数人のメイドが入ってくる。
「、、、、?」
「フレイ王子、今日は結婚式でございますので入念にご用意を致しますね」
にこやかに言うアリアに何故か冷や汗が出る。
「まずはお風呂で体を清めましょうか」
「、、、」
「では、行きましょう」
首を横に振っているもまるでそれが見えていないかのように部屋についている風呂場へと連れて行かれた。
何かを言う前にアリアに隅から隅までいつもより懇切丁寧に洗い上げられ、まだ、怯えているメイド達によって柔らかいタオルで拭かれた。髪を乾かし、正装に着替え、メイクをし、最近は下に縛っていた長い髪をアレンジを加え高いところで縛った。全ての身支度が終わったのはアリアがきてから3刻ほど経った頃だった。何故かとても疲れてソファーの上で正装の皺ができないように腰を下ろした。
「はぁ、、、」
「お疲れ様です。フラン王子、朝食を召し上がっておりませんからお腹がすいていますでしょう?サンドイッチを持ってきましたのでこちらをよろしければ」
「、、、うん」
正直、お腹は空いていないが、もし結婚式の最中にお腹が鳴ってしまってもダメ出し、今食べるに越したことはないだろう。
「、、、おいし」
「ふふふ、ありがとうございます」
フランやアリアにとって日常的な会話であるが他のメイド達にとってはアリアの馴れ馴れしい態度やフラン王子が癇癪を起こさないことに驚きを隠せないようだった。そして、いつも癇癪を起こして怒り散らすばっかりだったため怒りの顔しか覚えていなかったが、今日は化粧もされて表情はどこか儚げでいわば美の女神のようだ。王族1顔が整っていると噂されていて拡張された噂だと少なからず思っていたが確かに改めて見るととても美しい。その一挙一動に目が離せなくなってしまう。誰であってもその美しさに見惚れてしまう。
サンドイッチも食べお腹も膨れたところで日課の読書をすることにした。
2冊目に入ろうとしたところで時間になったのかメイドが呼びにくる。アリアが最後におかしなところがないかを確認し広間に向かった。
呼びにきた従者の後についていく。アリアは専属であろうとただのメイドであるため一緒に行くことはできない。ついた場所にはすでにベイル王子とミーシャ、ミレイ、陛下以外の王族が揃っていた。披露宴にはすでに貴族が多くいるだろう。披露宴が開始され、まずフラン達が会場へ出て、陛下が挨拶をし、その後に主役であるベイル王子とミーシャが出てくると言った流れだ。
「フラン、よく似合ってるね」
「こ、、、お兄様も似合ってる」
「そうかい?それは嬉しいね。今日は姉様の晴れ舞台だからね気合を入れないと」
そう、心から嬉しそうに言う皇太子に何か眩しいものを感じるフランだった。
優しく声をかけてくれた皇太子をまるで幽霊を見るかのように見ている第2王子と第4王子、第2王女が後ろにいた。そちらに目を向けると第4王子と目が会うが睨まれ直ぐに視線を逸らされてしまった。
そんな俺たちの様子に皇太子は苦笑する。
「皆、揃っているか」
「父上、あとはミレイ王女だけです」
「ミレイ王女はアルベリア達と共にすでに会場に出ている。まだ幼いからな」
「なるほど」
「フラン」
「、、、はい」
「その正装は幼少の頃私が着ていたものだが、、、よく似合っているな」
「、、、は、ぃ」
何故だろうか顔が暑い気がするし、胸がぽかぽかする、嬉しい?のかな。前はこうやって褒められる?こともなかった気がする。
「では皆行こうか」
そう陛下の声に皆気を引き締めた。(フランはまだ少しポーとしています)
陛下の後に続いて皇太子、第2王子、フラン、第4王子、第2王女は幼いため専属メイドと一緒に出ている。会場にいた者たちは一様に頭を下げ陛下の言葉を待っていた。
「皆、頭を上げよ。今宵は第一王女の結婚式に参加してくれたこと感謝する。隣国との友好関係を含め娘達を祝ってくれると助かる」
そういうと会場の壇上にある豪華な椅子に座った。フラン達も陛下に続き座る。
会場が暗くなると扉からベイル王子とミーシャが一緒に出てくる。隣国風のドレスはミーシャにとてもよく似合っており見るもの全てが見惚れているのが直ぐにわかった。
「この度は私たちの結婚式に参加していただき感謝を申し上げます。シルベニア国第一王子ベイル様と結婚させていただくことになりました。我が国とシルベニア国の友好もより深くなることでしょう。この素晴らしき日をお楽しみください」
「シルベニア国第一王子ベイル・ファン・シルベニアです。この度、ミーシャ王女と婚姻を結べたこと大変嬉しく思います。そして私からもこの素晴らしき日に出席いただいたこと感謝申し上げます。ぜひ楽しんでいってください」
2人が指定の席に着くと、貴族が次々に挨拶にくる。フランはその光景をぼーっと見ていたがあからさまな刺すような視線にその方を見ると出席している者達の多くがフランを見ていた。
理由がわからず、何故睨まれているのかわからないフランは居た堪れない気分になる。
貴族の一通りの挨拶が終わると食事が始める。隣国の料理をメインとして出された料理はとても好評があったようだ。皆楽しそうに料理を食べている。新郎と新婦を見ているだけでもとても微笑ましいのだろう。それに加え皆の注目は2人だけではなく大人しく料理を食べている第三王子だった。
いつもの第三王子なら、このようなパーティでは陛下のもとで大体何かをねだるか、自分よりも身分の低い者らを罵倒するか、不機嫌そうにしているかなのだが、それが今日はおとなしく座って、料理を食べているのだから驚くのも無理はない。しかも、いつもは顔が整ってるくらいにしか思わなかったが、その身にあった濃くないシンプルな化粧と落ち着いた衣装のせいか、前に見たフランよりも格段に、美しい。
食事が終わり、新郎らはドレスを変えるために一度下がり、会場を立食会場へ移った。
食事会では有名貴族や血縁の者らしかいなかったが立食会場ではその倍以上の人が集まっている。
ベイル王子とミーシャが再度挨拶をし穏やかに時間が進んでいく。
「フラン王子」
1人壁際でポツンとしているフランのもとにベイル王子がやってくる。
「!、、、ベイル王子」
「楽しんでいるかい?」
「、、、、、はい」
「ふふ、そうか。よければ私のことはお義兄ちゃんと呼んでくれると嬉しいな」
「それは、、、」
「ダメかな?昔は妹達が呼んでくれやのだけれど最近はお兄様としか呼んでくれないんだ。フラン王子にそう読んでもらえると嬉しいな」
「、、、」
「ダメ、、、かな?」
「だ、ダメじゃない、、、」
「それはよかった」
前のことがあってか悲しそうな顔で言われるとどうも強くでれない。それ以前にこの人の前だと妙にむずむずするのだ。
「もう、ベイル。あまりフランをいじめちゃダメよ」
そこへミーシャもやってくる。
「いじめじゃないよ。フラン王子が可愛くてついつい」
「もう、確かにフランは可愛いけれど、いじめたら嫌われちゃうわよ」
「そんなことなさ、私たちは仲良しだもんね、ね、フラン王子 」
「え、、う、うん」
仲良し、仲良くしてもいいのだろうか、、、。ダメではないのかな、でも神様が俺なんかと愛し子が仲良くなることを許すはずがない。ベイル王子が仲がいいって言ってくれて胸がぽかぽかしたってことは俺は嬉しくなってしまったってことだから余計にダメではないだろうか。
今の俺は罰を受けている身であるのに嬉しく思ってしまってもいいのだろうか、、、。
「フラン?どうかしたの?」
「!、、、なんでもない」
「そう?私たち、まだ少し挨拶回りがあるから楽しみなさい。美味しい料理がたくさんあるからね」
「、、、はい」
前の人生ではこんなふうに話すことなんて絶対にあり得なかった。あの時の結婚式は途中で無くなってしまったから、でも今は2人が笑っているのだから少しだけ甘えてもいいだろうか、、、。
2人と別れ、ミーシャに言われ、美味しい料理というのが気になったフランは料理の並ぶテーブルにきた。隣国の料理は食べてことがないが多くは味の濃いものが多いようだ。この国とは違う味付けは不思議とまずいとは思わず、逆に美味しいと思える。
前に食べていたものと比べればなんでもが美味しく思えるのだけれど、、、。
黙々とと言っても少量ずつ料理を食べていると声をかけられる。
「これはこれは、フラン殿下ではありませんか。お久しぶりです」
「、、、?、、、!、、、アルベルト伯爵」
「あぁ、覚えてくださってよかったです。一ヶ月ほど手紙をもらわなかったのでもう私のことを忘れてしまったのではないかと思いましたよ。よかった、よかった」
アルベルト伯爵は前の世界で、俺の悪行をもみ消していた男だ。何故そんなことするのか、それは伯爵はそのもみ消しに自分の行いをフランの行いとしてもみ消していたのだ。フランはそんなことに一切気付かず、伯爵の薦めることに賛同し、金を流し、いわば伯爵に手の上で踊らされていたのだ。それを知った時には、伯爵は処刑されていたが、、、。
「、、、何か?」
「そんな釣れないことをおっしゃらないでくだされ、それにしてもとてもお似合いですね。そう、とても可愛らしい」
頭から足の先までを舐めるような視線で眺め、ゆっくりと近づいたと思うと嫌な手つきで背中をなぞる手にぞくぞくと嫌な気持ちになる。若干震えている体を無視してなんともないように話をする。いい雰囲気を壊したくはない。
「殿下、、、最近、新しいおもちゃを手に入れたのですが、よければ殿下も遊ばれますか?」
「、、、結構だ」
「そういわず、殿下の好みのおもちゃですよ?」
そのおもちゃというのはどこからか買ってきたかさらってきた奴隷だろう。フランがある程度、暴行でストレスを発散したもの達を、伯爵がそれ以上の苦痛、暴行、強姦、薬物、を持って遊び、最後には殺す。そして殺したことをフランに罪を被せた後に揉み消すことで、調べるとフランが殺したことになってしまうのだ。
「よければ、このパーティーの後でも、、、」
そう言って宝石がついた指輪を多くつけた手を頬に触れられそうになり、動かそうにも体が動かなくなってしまって咄嗟に目を瞑ってしまう。そんな時に2人の間に割って入ったのは思いもしない第2王子だった。
「アルベルト伯爵、私の弟に何か?」
「、、、これはこれは第2王子様ではありませんか。フラン様とは少々お話をしていただけでして」
「そうか?ならもういいか、フランに用があるんだ」
「えぇ、そういう訳でしたら、失礼しますね」
急いで離れていくアルベルト伯爵を嫌なものを見たかのような目で見ている第2王子を不思議そうに見る。伯爵に話しかけられて困っていたのは事実だが、まさかフランを嫌っている第2王子に助けられるとは思わなかったのだ。
「、、、勘違いしないでよ。助けたわけじゃないから、本当に用があっただけだ」
「、、、用?」
「私がフラン王子にお会いしたいと言ったのよ」
そこへきたのは、綺麗なドレスに身に纏ったとても美しい女性だった。耳が少し尖っているところを見るとこの大陸ではなく海を越えた場所にあるという島に住む人だろう。そんな人が何故、あったこともない自分に会いにきたのだろうか。
「初めましてフラン王子。私はレフィリア・アルコベットと申します。レイドルト様の婚約者にあたります」
「、、、フラン・ルイス・ディ・アレリア、、、です」
「噂通り、とてもお美しいですわぁ。お肌もツルツルで羨ましいわ」
そう言って頬を触り、次に髪、腰とサワサワと触られる。一体何が起きてるのかわからず固まって、レイドルトに助けを求めるように視線を向けるも背けられてしまった。
「あの、、、」
「あら失礼、私、個人でドレスや化粧を販売していますの。肌の綺麗な人を見るとついつい触りたくなってしまって、不敬でしたね。申し訳ありません」
「、、、大丈夫、、、です」
そういうと、何か探るような目でじーと見つめられ少し居た堪れない。
「?」
「いえ、また機会がありましたら、お茶でもしましょ」
「え!お、俺は?」
「ふふ、もちろんあなたも一緒よ」
「!すぐにでも!!」
お兄様ってこんな笑う人だったろうか?俺は無表情か偽笑しか見たことないから不思議だ。
まぁ、兄上は俺を嫌っているのだから当然か、、、。
「では、これで失礼しますね」
「はい」
去っていく2人を見送って何故か多少空いていたお腹がいっぱいになった。
2人が出て行った後にアリアにも聞いてみると、アリアは懐かしむように亡き夫と恋をして結婚したと言っていた。恋愛がどうゆうものかわからないフランにとってそれは物語だけの存在なのだ。
そんなことをボーっと考えているといつの間にか結婚式当日になっていて、いつもと違いアリアだけでなく他にも数人のメイドが入ってくる。
「、、、、?」
「フレイ王子、今日は結婚式でございますので入念にご用意を致しますね」
にこやかに言うアリアに何故か冷や汗が出る。
「まずはお風呂で体を清めましょうか」
「、、、」
「では、行きましょう」
首を横に振っているもまるでそれが見えていないかのように部屋についている風呂場へと連れて行かれた。
何かを言う前にアリアに隅から隅までいつもより懇切丁寧に洗い上げられ、まだ、怯えているメイド達によって柔らかいタオルで拭かれた。髪を乾かし、正装に着替え、メイクをし、最近は下に縛っていた長い髪をアレンジを加え高いところで縛った。全ての身支度が終わったのはアリアがきてから3刻ほど経った頃だった。何故かとても疲れてソファーの上で正装の皺ができないように腰を下ろした。
「はぁ、、、」
「お疲れ様です。フラン王子、朝食を召し上がっておりませんからお腹がすいていますでしょう?サンドイッチを持ってきましたのでこちらをよろしければ」
「、、、うん」
正直、お腹は空いていないが、もし結婚式の最中にお腹が鳴ってしまってもダメ出し、今食べるに越したことはないだろう。
「、、、おいし」
「ふふふ、ありがとうございます」
フランやアリアにとって日常的な会話であるが他のメイド達にとってはアリアの馴れ馴れしい態度やフラン王子が癇癪を起こさないことに驚きを隠せないようだった。そして、いつも癇癪を起こして怒り散らすばっかりだったため怒りの顔しか覚えていなかったが、今日は化粧もされて表情はどこか儚げでいわば美の女神のようだ。王族1顔が整っていると噂されていて拡張された噂だと少なからず思っていたが確かに改めて見るととても美しい。その一挙一動に目が離せなくなってしまう。誰であってもその美しさに見惚れてしまう。
サンドイッチも食べお腹も膨れたところで日課の読書をすることにした。
2冊目に入ろうとしたところで時間になったのかメイドが呼びにくる。アリアが最後におかしなところがないかを確認し広間に向かった。
呼びにきた従者の後についていく。アリアは専属であろうとただのメイドであるため一緒に行くことはできない。ついた場所にはすでにベイル王子とミーシャ、ミレイ、陛下以外の王族が揃っていた。披露宴にはすでに貴族が多くいるだろう。披露宴が開始され、まずフラン達が会場へ出て、陛下が挨拶をし、その後に主役であるベイル王子とミーシャが出てくると言った流れだ。
「フラン、よく似合ってるね」
「こ、、、お兄様も似合ってる」
「そうかい?それは嬉しいね。今日は姉様の晴れ舞台だからね気合を入れないと」
そう、心から嬉しそうに言う皇太子に何か眩しいものを感じるフランだった。
優しく声をかけてくれた皇太子をまるで幽霊を見るかのように見ている第2王子と第4王子、第2王女が後ろにいた。そちらに目を向けると第4王子と目が会うが睨まれ直ぐに視線を逸らされてしまった。
そんな俺たちの様子に皇太子は苦笑する。
「皆、揃っているか」
「父上、あとはミレイ王女だけです」
「ミレイ王女はアルベリア達と共にすでに会場に出ている。まだ幼いからな」
「なるほど」
「フラン」
「、、、はい」
「その正装は幼少の頃私が着ていたものだが、、、よく似合っているな」
「、、、は、ぃ」
何故だろうか顔が暑い気がするし、胸がぽかぽかする、嬉しい?のかな。前はこうやって褒められる?こともなかった気がする。
「では皆行こうか」
そう陛下の声に皆気を引き締めた。(フランはまだ少しポーとしています)
陛下の後に続いて皇太子、第2王子、フラン、第4王子、第2王女は幼いため専属メイドと一緒に出ている。会場にいた者たちは一様に頭を下げ陛下の言葉を待っていた。
「皆、頭を上げよ。今宵は第一王女の結婚式に参加してくれたこと感謝する。隣国との友好関係を含め娘達を祝ってくれると助かる」
そういうと会場の壇上にある豪華な椅子に座った。フラン達も陛下に続き座る。
会場が暗くなると扉からベイル王子とミーシャが一緒に出てくる。隣国風のドレスはミーシャにとてもよく似合っており見るもの全てが見惚れているのが直ぐにわかった。
「この度は私たちの結婚式に参加していただき感謝を申し上げます。シルベニア国第一王子ベイル様と結婚させていただくことになりました。我が国とシルベニア国の友好もより深くなることでしょう。この素晴らしき日をお楽しみください」
「シルベニア国第一王子ベイル・ファン・シルベニアです。この度、ミーシャ王女と婚姻を結べたこと大変嬉しく思います。そして私からもこの素晴らしき日に出席いただいたこと感謝申し上げます。ぜひ楽しんでいってください」
2人が指定の席に着くと、貴族が次々に挨拶にくる。フランはその光景をぼーっと見ていたがあからさまな刺すような視線にその方を見ると出席している者達の多くがフランを見ていた。
理由がわからず、何故睨まれているのかわからないフランは居た堪れない気分になる。
貴族の一通りの挨拶が終わると食事が始める。隣国の料理をメインとして出された料理はとても好評があったようだ。皆楽しそうに料理を食べている。新郎と新婦を見ているだけでもとても微笑ましいのだろう。それに加え皆の注目は2人だけではなく大人しく料理を食べている第三王子だった。
いつもの第三王子なら、このようなパーティでは陛下のもとで大体何かをねだるか、自分よりも身分の低い者らを罵倒するか、不機嫌そうにしているかなのだが、それが今日はおとなしく座って、料理を食べているのだから驚くのも無理はない。しかも、いつもは顔が整ってるくらいにしか思わなかったが、その身にあった濃くないシンプルな化粧と落ち着いた衣装のせいか、前に見たフランよりも格段に、美しい。
食事が終わり、新郎らはドレスを変えるために一度下がり、会場を立食会場へ移った。
食事会では有名貴族や血縁の者らしかいなかったが立食会場ではその倍以上の人が集まっている。
ベイル王子とミーシャが再度挨拶をし穏やかに時間が進んでいく。
「フラン王子」
1人壁際でポツンとしているフランのもとにベイル王子がやってくる。
「!、、、ベイル王子」
「楽しんでいるかい?」
「、、、、、はい」
「ふふ、そうか。よければ私のことはお義兄ちゃんと呼んでくれると嬉しいな」
「それは、、、」
「ダメかな?昔は妹達が呼んでくれやのだけれど最近はお兄様としか呼んでくれないんだ。フラン王子にそう読んでもらえると嬉しいな」
「、、、」
「ダメ、、、かな?」
「だ、ダメじゃない、、、」
「それはよかった」
前のことがあってか悲しそうな顔で言われるとどうも強くでれない。それ以前にこの人の前だと妙にむずむずするのだ。
「もう、ベイル。あまりフランをいじめちゃダメよ」
そこへミーシャもやってくる。
「いじめじゃないよ。フラン王子が可愛くてついつい」
「もう、確かにフランは可愛いけれど、いじめたら嫌われちゃうわよ」
「そんなことなさ、私たちは仲良しだもんね、ね、フラン王子 」
「え、、う、うん」
仲良し、仲良くしてもいいのだろうか、、、。ダメではないのかな、でも神様が俺なんかと愛し子が仲良くなることを許すはずがない。ベイル王子が仲がいいって言ってくれて胸がぽかぽかしたってことは俺は嬉しくなってしまったってことだから余計にダメではないだろうか。
今の俺は罰を受けている身であるのに嬉しく思ってしまってもいいのだろうか、、、。
「フラン?どうかしたの?」
「!、、、なんでもない」
「そう?私たち、まだ少し挨拶回りがあるから楽しみなさい。美味しい料理がたくさんあるからね」
「、、、はい」
前の人生ではこんなふうに話すことなんて絶対にあり得なかった。あの時の結婚式は途中で無くなってしまったから、でも今は2人が笑っているのだから少しだけ甘えてもいいだろうか、、、。
2人と別れ、ミーシャに言われ、美味しい料理というのが気になったフランは料理の並ぶテーブルにきた。隣国の料理は食べてことがないが多くは味の濃いものが多いようだ。この国とは違う味付けは不思議とまずいとは思わず、逆に美味しいと思える。
前に食べていたものと比べればなんでもが美味しく思えるのだけれど、、、。
黙々とと言っても少量ずつ料理を食べていると声をかけられる。
「これはこれは、フラン殿下ではありませんか。お久しぶりです」
「、、、?、、、!、、、アルベルト伯爵」
「あぁ、覚えてくださってよかったです。一ヶ月ほど手紙をもらわなかったのでもう私のことを忘れてしまったのではないかと思いましたよ。よかった、よかった」
アルベルト伯爵は前の世界で、俺の悪行をもみ消していた男だ。何故そんなことするのか、それは伯爵はそのもみ消しに自分の行いをフランの行いとしてもみ消していたのだ。フランはそんなことに一切気付かず、伯爵の薦めることに賛同し、金を流し、いわば伯爵に手の上で踊らされていたのだ。それを知った時には、伯爵は処刑されていたが、、、。
「、、、何か?」
「そんな釣れないことをおっしゃらないでくだされ、それにしてもとてもお似合いですね。そう、とても可愛らしい」
頭から足の先までを舐めるような視線で眺め、ゆっくりと近づいたと思うと嫌な手つきで背中をなぞる手にぞくぞくと嫌な気持ちになる。若干震えている体を無視してなんともないように話をする。いい雰囲気を壊したくはない。
「殿下、、、最近、新しいおもちゃを手に入れたのですが、よければ殿下も遊ばれますか?」
「、、、結構だ」
「そういわず、殿下の好みのおもちゃですよ?」
そのおもちゃというのはどこからか買ってきたかさらってきた奴隷だろう。フランがある程度、暴行でストレスを発散したもの達を、伯爵がそれ以上の苦痛、暴行、強姦、薬物、を持って遊び、最後には殺す。そして殺したことをフランに罪を被せた後に揉み消すことで、調べるとフランが殺したことになってしまうのだ。
「よければ、このパーティーの後でも、、、」
そう言って宝石がついた指輪を多くつけた手を頬に触れられそうになり、動かそうにも体が動かなくなってしまって咄嗟に目を瞑ってしまう。そんな時に2人の間に割って入ったのは思いもしない第2王子だった。
「アルベルト伯爵、私の弟に何か?」
「、、、これはこれは第2王子様ではありませんか。フラン様とは少々お話をしていただけでして」
「そうか?ならもういいか、フランに用があるんだ」
「えぇ、そういう訳でしたら、失礼しますね」
急いで離れていくアルベルト伯爵を嫌なものを見たかのような目で見ている第2王子を不思議そうに見る。伯爵に話しかけられて困っていたのは事実だが、まさかフランを嫌っている第2王子に助けられるとは思わなかったのだ。
「、、、勘違いしないでよ。助けたわけじゃないから、本当に用があっただけだ」
「、、、用?」
「私がフラン王子にお会いしたいと言ったのよ」
そこへきたのは、綺麗なドレスに身に纏ったとても美しい女性だった。耳が少し尖っているところを見るとこの大陸ではなく海を越えた場所にあるという島に住む人だろう。そんな人が何故、あったこともない自分に会いにきたのだろうか。
「初めましてフラン王子。私はレフィリア・アルコベットと申します。レイドルト様の婚約者にあたります」
「、、、フラン・ルイス・ディ・アレリア、、、です」
「噂通り、とてもお美しいですわぁ。お肌もツルツルで羨ましいわ」
そう言って頬を触り、次に髪、腰とサワサワと触られる。一体何が起きてるのかわからず固まって、レイドルトに助けを求めるように視線を向けるも背けられてしまった。
「あの、、、」
「あら失礼、私、個人でドレスや化粧を販売していますの。肌の綺麗な人を見るとついつい触りたくなってしまって、不敬でしたね。申し訳ありません」
「、、、大丈夫、、、です」
そういうと、何か探るような目でじーと見つめられ少し居た堪れない。
「?」
「いえ、また機会がありましたら、お茶でもしましょ」
「え!お、俺は?」
「ふふ、もちろんあなたも一緒よ」
「!すぐにでも!!」
お兄様ってこんな笑う人だったろうか?俺は無表情か偽笑しか見たことないから不思議だ。
まぁ、兄上は俺を嫌っているのだから当然か、、、。
「では、これで失礼しますね」
「はい」
去っていく2人を見送って何故か多少空いていたお腹がいっぱいになった。
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